
言葉の整理
会社の終わり方をめぐる言葉を、使い分ける
倒産・廃業・解散・清算。似ている言葉の違いが、選べる道の違いです。
言葉が違えば、社長に残るものも違います。
こんな場面はありませんか
「倒産」と「廃業」を同じ意味で使っている
どちらも法律の言葉ではありません
「解散」と「清算」の違いがわからない
この2つには決まった順番があります
「保証」と「連帯保証」を区別せずに話している
請求の来かたがまったく違います
専門家の説明が、言葉のところで頭に入ってこない
原因は理解力ではなく、言葉の定義です
自分がどの道の話をされているのか、わからなくなる
言葉が定まると、道筋も見えてきます
本資料は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の結果をお約束するものではありません。状況によっては、法的整理(破産・特別清算等)を選ぶことが適切な場合もあります。個別の手続きの選択は、依頼者が委任する弁護士等の専門家とご相談ください。
「倒産」は、法律の言葉ではありません。
| 倒産 | 法律に定義はありません。破産・民事再生・特別清算などの総称として使われる日常語です | 手続きの名前ではありません |
|---|---|---|
| 廃業 | 法律に定義はありません。事業をやめることを指す一般的な言い方です | 手続きの名前ではありません |
| 解散 | 会社法471条に6つの事由が定められています。株主総会の決議のほか、破産手続開始の決定も含まれます | 会社法471条に定義があります |
破産・民事再生・特別清算などをまとめて指す、日常の言い方です。法律にこの言葉の定義はありません。一方で「解散」は会社法に定義があり、破産手続開始の決定もその事由のひとつです。つまり倒産と解散は、並んだ別の言葉ではなく、重なっています。
解散した会社は、そのあと清算に入ります。
- 解散会社法471条株主総会の決議など、会社法471条の事由が生じます。この時点で会社はまだ残っています。
- 清算会社法475条債権を取り立て、債務を弁済し、残った財産を分配します。
- 清算結了登記で完了登記をして、会社が法律上なくなります。
解散は「会社をたたむ」と決まった時点のことで、そこから財産と債務を整理するのが清算です(会社法475条)。ただし破産手続開始の決定で解散し、その破産手続が終わっていない場合は、清算はしません。破産手続の中で処理されるためです。
保証と連帯保証では、請求の来かたが違います。
連帯保証人
- 催告の抗弁を持ちません
- 検索の抗弁も持ちません
- 会社に請求する前でも、いきなり自分に請求が来ます(民法454条)
- 「保証人になっただけ」ではありません
保証人
- 「まず会社に催告してください」と言えます(民法452条)
- 「会社に払える財産があり、執行も容易です」と証明できれば、先に会社の財産へ執行を求められます(民法453条)
- 会社に請求が行くのが先になります
保証人には本来2つの言い分があります。「まず会社に催告してください」(催告の抗弁・民法452条)と「会社に払える財産があります」(検索の抗弁・民法453条)です。ところが連帯保証人は、この2つをどちらも持ちません(民法454条)。経営者が金融機関から求められるのは、ほとんどが連帯保証です。
保証は、書面がなければ効力を生じません。
まず確かめること
- 保証書の写しが手元にあるか
- 誰が、いつ、何を保証したのか
- 極度額(上限)の記載があるか
根保証には、法律上の歯止めがあります
極度額がなければ効力を生じない
個人が保証人になる根保証は、上限額を定めなければ効力を生じません(民法465条の2第2項)
期日の定めがなければ3年
借入や手形割引による債務を含む個人の根保証は、期日の定めがなければ締結から3年で元本が確定します(同465条の3第2項)
5年を超える定めは無効
5年を超える元本確定期日を定めても、その定めは効力を生じません(同1項)
元本が確定するというだけで、保証そのものが消えるわけではありません。
保証契約は書面でしなければ効力を生じません(民法446条2項)。電子的な記録も書面とみなされます(同3項)。だからこそ、まず保証書の写しが手元にあるかを確かめることが、状況を把握する最初の一歩になります。
破産・民事再生・特別清算は、目的が違います。
| 何をするものか | 根拠 | |
|---|---|---|
| 破産 | 会社の財産を配当して、会社をなくします。解散の事由のひとつでもあります | 破産法1条 |
| 民事再生 | 債権者の多数の同意と裁判所の認可を受けた再生計画によって、事業または経済生活の再生をはかります | 民事再生法1条 |
| 特別清算 | すでに解散して清算中の会社に、清算の遂行に著しい支障があるとき、または債務超過の疑いがあるときに、裁判所が開始を命じます | 会社法510条 |
同じく裁判所が関わる手続きでも、何のための手続きかが違います。どれが適しているかは会社の状況によって変わり、この資料で決められるものではありません。
事業譲渡と会社分割では、動くものが違います。
会社分割
- 事業に関して有する権利義務を、まとめて承継させます
- 承継先が既存の会社なら吸収分割(会社法2条29号)
- 分割で新しく設立する会社なら新設分割(同30号)
- 債務も動きうる点が、事業譲渡と違います
事業譲渡
- 個々の資産・契約を選んで引き継ぎます
- 事業の全部、または重要な一部を譲るときは、株主総会の決議による承認が必要です(会社法467条1項)
- 「重要な一部」の目安は、譲り渡す資産の帳簿価額が総資産額の5分の1を超えるもの(同1項2号)
- 商号を引き続き使う場合は、譲受会社も債務を弁済する責任を負います(会社法22条1項)
事業を他社へ引き継ぐ方法にもいくつかあります。何が相手に移るのかが違うため、債務の扱いも変わってきます。なお事業譲渡でも、譲り受けた会社が譲渡会社の商号を引き続き使う場合は、その会社も債務を弁済する責任を負います(会社法22条1項)。会社分割でも、残された債権者を害することを知って行ったときは、承継した財産の価額を限度に請求されることがあります(同759条4項)。
よく聞く言葉にも、法律用語でないものがあります。
法律に定義がある言葉
- 解散(会社法471条)
- 清算(会社法475条)
- 特別清算(会社法510条)
- 事業譲渡(会社法467条)
- 吸収分割・新設分割(会社法2条29号・30号)
- 保証・連帯保証・根保証(民法446条・454条・465条の2)
法律に定義がない言い方
- 倒産
- 廃業
- 第二会社方式
- 経営者保証
- ── 出てきたら「それは具体的にどの手続きですか」と聞いて構いません
実務でよく使われていても、法律に定義がない言葉があります。定義がないから間違いというわけではありませんが、人によって指す範囲が違うことがあります。相談の場では、どういう意味で使っているかを確かめると話が早く進みます。
言葉が定まると、相談は早く進みます。
書類の言葉をそのまま
「保証」なのか「連帯保証」なのか。書いてあるとおりに読み上げていただければ十分です
極度額の記載を探す
根保証なら上限額が書かれているはずです。無ければ、それも情報になります
解散しているかどうか
登記がすでに動いているかどうかで、取れる道が変わります
わからない言葉はそのまま
意味を調べてからでなくて構いません。言われたままお聞かせください
うまく説明できなくて構いません。ただ、手元の書類に書かれている言葉をそのまま伝えていただけると、こちらの見立てが早くなります。
言葉が変われば、社長に残るものが変わります。
この資料で確かめられるのは、「倒産」「廃業」が法律の言葉ではないこと、解散と清算には順番があること、連帯保証人には催告の抗弁も検索の抗弁もないこと、保証は書面がなければ効力を生じないこと、事業譲渡と会社分割では動くものが違うことです。
一方で、あなたの会社にどの手続きが適しているか、連帯保証が解除できるかどうか、個別の契約が有効かどうかは、この資料では決められません。会社の状況によって変わります。
出典について
本資料に記した条文は、すべてe-Gov法令検索(デジタル庁)で原文を確認しています。
言葉の意味がわかると、専門家の説明が届くようになります。
この資料は言葉の意味を整理したものであって、どの道を選ぶべきかを示すものではありません。なお、状況によっては、法的整理(破産・特別清算等)が適切な場合もあります。法的手続きの実行は、依頼者が委任する弁護士等の専門家が担当します。
次の一歩へ
言葉がわからないまま、で構いません。
書類に書かれていることを、そのままお聞かせください。こちらで整理します。相談無料・秘密厳守です。03-5657-7496(平日9:00〜19:00)へお電話ください。
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資料ではなく記事で読みたい方は、お役立ち情報に、連帯保証・廃業・事業譲渡の記事をテーマ別にまとめています。
この資料の発行元
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