この記事の対象と結論

自社株の売却は、従業員の仕事を残す選択肢になりえます。ただし、従業員に買ってもらう場合も、外部へ譲る場合も、営業を続ける資金と連帯保証の扱いを別に確かめる必要があります。

借入の返済が重く、廃業が頭をよぎる。それでも、長く働いてくれた人たちの生活を守りたい。そんなときは、株の値段より先に「引き継いだ後も給与を払えるか」を確認してください。

株式の売却、雇用の継続、連帯保証の解除は、それぞれ条件が異なります。 社長が交代しただけで、すべてが片づくわけではありません。

従業員が株を買えなくても、外部の買い手へ譲る道が残る場合があります。会社と個人のお金を分け、後継者の意思と事業を続けられる条件から判断しましょう。

自社株を従業員に売る話と、売却後の雇用は分けて考える

自社株の売却では、従業員が買い手になる場合と、売却後も従業員として働く場合を区別します。引き継ぐ責任も、用意する資金も異なるためです。

従業員への売却は、経営を引き受ける意思から

現場をよく知る従業員は、後継者の候補になりえます。取引先との関係や仕事の進め方を理解していれば、引き継ぎの負担を抑えられる可能性があるからです。

ただし、仕事を任せられる人が、経営も望んでいるとは限りません。まずは本人の意思です。

「会社に残りたい」と「会社を買いたい」は別の判断になります。雇用を守るためという理由で購入を求めると、断りづらくなるおそれがあります。承継を断った場合の勤務についても、切り分けて話してください。

最初に確認したいのは、次の内容です。

  • 経営を引き受ける意思があるか
  • 購入資金を用意できる見込みがあるか
  • 会社の資金不足を理解しているか
  • 家族と相談する時間を取れるか

売り手の希望だけで日程を決めないことです。候補者が迷っている間も外部への譲渡を検討できれば、本人に結論を迫らずに済みます。

外部への株式売却では、雇用主は通常変わらない

経営者が保有株式を第三者へ売る場合、通常は会社そのものが残ります。株主が変わっても、従業員を雇っている法人は同じです。

そのため、株式売却だけを理由に、全員が退職する扱いになるわけではありません。現在の雇用関係が続くことを出発点に、譲渡後の体制を検討します。

一方、働き方まで将来にわたり固定されるとは限りません。買い手が拠点の統合や業務の見直しを考えている場合もあります。雇用を続ける方針と、労働条件を変更する手続きは分けて確認してください。

「従業員は大事にします」という説明だけでは、具体的な判断はできません。対象となる人や勤務地、給与の扱いまで聞き取ります。売り手が望む条件を早めに示すと、買い手との認識のずれを減らせます。

事業譲渡では、雇用の引き継ぎを個別に整える

株式を売るほかに、営業に必要な資産や契約を譲る形もあります。事業の範囲を決めて引き継ぐ取引が、事業譲渡です。

雇用主が変わる場合には、対象となる従業員本人の承諾が通常必要になります。売り手と買い手だけで、全員の転籍まで決められるとは考えないでください。

譲渡の形による違いは、次のように整理できます。

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比較項目 従業員へ株式売却 外部へ株式売却 事業譲渡
買い手 社内の後継者 外部の買い手 事業の引受先
雇用主 原則同じ会社 原則同じ会社 変更の可能性
購入資金 従業員側が用意 買い手側が用意 買い手側が用意
保証の扱い 別に確認 別に確認 別に確認

事業譲渡を候補に入れるなら、誰の仕事をどの会社へつなぐかを整理します。譲渡対象から外れる従業員がいる場合、その後の対応も残ります。引き継がれる人だけで計画を完結させないことです。

従業員がすでに株主なら、売却の意思も確認する

従業員が自社株を保有している会社では、社長の株式だけで話がまとまらない場合があります。買い手が求める取得範囲と、各株主の意向を照らし合わせるためです。

勤務を続けたい人でも、株式の売却条件には納得していないかもしれません。逆に、株を売りたい人が、経営や保証を引き受けたいとは限りません。従業員と株主の立場を分けて扱いましょう。

確認の入口は株主名簿です。ただし、名簿だけで権利関係を判断しにくい場合には、過去の取得経緯もたどります。名義と実際の権利が食い違っていれば、契約直前に問題になるおそれがあります。

退職と株式売却も別の話です。「辞めるなら株を返してほしい」と口頭で進めず、過去の合意や売却条件を確認します。本人が何に同意したのか、記録に残せる形で整理してください。

従業員への売却は、購入資金と運転資金の両方で判断する

従業員への承継が成り立つかは、株を買えるかだけでは判断できません。引き継いだ会社が、給与や仕入れ代金を払い続けられるかまで確かめます。

社長が受け取る売却代金は、会社の預金とは別

経営者個人が保有株式を売る場合、代金は通常、その経営者が受け取ります。会社の口座に同額が入る取引ではありません。

ここを混同すると、資金計画が崩れます。

社長に売却代金が入っても、会社の給与資金が足りない状態は残りえます。受け取ったお金を会社へ入れる予定なら、金額と時期に加え、その方法も別に整理してください。

資金の流れは、次のように分けると見落としを減らせます。

  • 買い手が株式の購入に使うお金
  • 会社が営業を続けるためのお金
  • 売り手が納税や生活に使うお金

買い手となる従業員が貯蓄を購入代金に使い切れば、会社の不足を埋める余力は減ります。購入額を払えることと、引き継いだ後の経営を支えられることは、別々に確かめる必要があります。

社長から会社への貸付けがある場合も、株式代金とは区別します。その返済をどう扱うかによって、会社に残る資金と売り手の手取りが変わるためです。

安い株価でも、引き継ぐ負担は軽くならない

資金繰りが厳しいと、「安く譲れば従業員も買える」と考えがちです。しかし、株価を下げても会社の借入や未払いが消えるわけではありません。

設備の修繕や採用に支出が必要なら、買った後にも資金が要ります。株式の購入額より、営業を続ける負担のほうが重い場合もあるのです。

確認は直近の決算書だけで終えないでください。現在の預金と支払予定を見れば、決算後に増えた負担が分かることがあります。

また、当事者が納得した価格でも、税務上の確認は残ります。売り手と買い手の関係や評価の根拠によって、扱いが変わる可能性があります。価格を決める際は、税理士による確認も交えて進めましょう。

詳しくは自社株の税金は売却先で変わる―廃業時のお金を会社と個人に分けて考えるをご覧ください。

分割払いでは、退任後も代金回収が続く

購入資金が足りず、従業員が分割払いを希望する場合もあります。その場合、売り手は経営を離れた後も、代金を受け取る相手として関係が続きます。

将来の給与などを支払原資にするなら、会社の業績悪化が支払いに響きます。契約に予定を書くだけでは、資金は生まれません。

売却後の生活費を代金に頼る社長には、入金の遅れが負担になります。受取総額だけを見ず、必要な時期に手元へ入るかを確かめてください。

検討する内容は次のとおりです。

  • 代金の支払日と支払原資
  • 支払いが遅れた場合の扱い
  • 株式を移す時期と範囲
  • 売り手の納税資金の確保

分割で受け取れば、税金の支払いも同じ日程になるとは考えないことです。入金時期と納税時期を照合します。親しい従業員だからこそ、払えなくなった場合の扱いも契約前に詰めておきましょう。

社内承継に足りない資金を、外部の買い手で補えるか

従業員の能力や意欲に問題がなくても、資金面で承継が難しいことはあります。その場合は、外部への売却を比較に入れます。

買い手が資金や管理体制を補い、社内の人材が現場を担い続ける形も検討対象です。従業員が株主になることだけが、仕事を残す道ではありません。

ただし、会社の規模や熱意だけでは判断できません。提示された譲渡価格に加え、運転資金をいつ、どのように入れる予定かを確認してください。借入への対応が曖昧なままなら、給与の継続にも不安が残ります。

社内の候補者には、株を買う意思と今後の働き方を別に聞きます。経営者になる希望がなくても、現場の責任者として残りたい人はいるかもしれません。その意向を買い手との条件設計に反映できるか検討します。

雇用を残す約束は、給与と働く条件まで具体化する

従業員の仕事をつなぐには、雇用人数だけでなく、給与を払う資金と働く条件を確認します。買い手の意向を、契約や引き継ぎで確かめられる内容にするためです。

継続雇用の対象と期間をそろえる

「従業員は引き継ぐ予定です」と説明されても、そこで確認を止めないでください。売り手と買い手が、同じ人を想定しているとは限りません。

正社員だけなのか、短時間勤務の人も含むのか。休職中の人はどう扱うのか。対象が曖昧なままでは、説明の段階で食い違いが表面化します。

確認事項は、書面にできる程度まで具体化しましょう。

  • 継続雇用の対象となる従業員
  • 維持する労働条件とその期間
  • 配置や勤務地を変える予定
  • 条件変更を検討する際の手順

売り手と買い手の約束が、従業員本人との合意を代わりに済ませるわけでもありません。本人の同意が必要な事項は、別途手続きを整えます。

契約に書いた内容を実行できるかも確認してください。人員を維持する計画でも、受注や資金の裏づけがなければ、その約束を続けにくくなります。

次の給与支払日に間に合う資金を確かめる

雇用を続ける予定でも、譲渡前に給与資金が尽きれば、従業員の生活に影響します。売却の検討と並行して、次の給与支払日から逆算してください。

資金繰り表には、売上を計上した日ではなく、実際の入金予定日を使います。見込み段階の受注と、入金日まで確認できた売掛金は分けて扱うと、不足を見つけやすくなります。

入金が遅れた場合も試算しましょう。

株式代金が会社に入らない取引では、成約だけで給与不足は埋まりません。買い手からの資金投入を予定するなら、実行日と前提条件を確認します。

すでに未払いがある場合は、候補者に隠さず伝えてください。給与資料と会計上の残高を照合し、対象期間と金額を整理します。誰にいくら払う必要があるか不明なままでは、買い手も必要資金を判断しにくくなります。

退職金と勤続期間は、譲渡の形に合わせる

株式売却で雇用関係が続く場合、売却日が全員の退職日になるとは通常考えません。「会社を売るので退職金を精算する」と先に伝えないようにしてください。

退職金の支給条件は、会社の規程や個別の約束をもとに確認します。支給の有無だけでなく、計算の根拠をたどれるかも確認が必要です。

事業譲渡で雇用先が変わるなら、過去の勤続期間をどう扱うかが問題になります。退職金のほか、有給休暇などの扱いも含めて、本人が条件を比較できる形に整理します。

確認に使う資料は次のとおりです。

  • 就業規則と退職金規程
  • 個別の雇用契約書
  • 勤続期間を確認できる記録
  • 過去の支給や個別合意の記録

書面と実際の運用が違う場合は、その違いも説明します。買い手に都合のよい資料だけを示すと、譲渡後の紛争や追加負担につながりかねません。

従業員への説明では、未決定の範囲も伝える

説明時期は、取引の進み具合と雇用への影響を踏まえて決めます。未確定の話を早く広げると不安を招きますが、遅すぎれば本人が判断する時間を失います。

まず、買い手と情報を共有する範囲を整理してください。氏名や給与などの個人情報は、提供の必要性と取扱方法を確かめたうえで扱います。初期の検討では、個人を特定しない資料で足りるかも検討します。

社内説明で伝える内容は、次のように分けます。

  • 売却を検討する理由
  • 現時点で決まっている内容
  • 給与や勤務地の確認状況
  • 次の説明予定と質問の受付先

「何も変わらない」と言い切るより、まだ決まっていない範囲を示してください。回答できなかった質問は残し、確認後に伝える日程を決めます。説明会を開いたことだけで、従業員の不安が解消したとは扱わないようにしましょう。

自社株を売って退任しても、連帯保証は別に確認する

株式を売って代表者を交代しても、連帯保証が自動的に外れるとは限りません。保証契約ごとに、金融機関の同意と必要な手続きを確かめます。

株主、代表者、保証人の立場を分ける

社長は、株主と代表者に加え、会社の借入の保証人でもある場合があります。日常では重なって見える立場ですが、売却時には分けて扱います。

保有株式を売ると、株主としての立場が変わります。代表者の交代は別の手続きです。保証についても、契約に沿った確認が残ります。

「従業員を社長にしたので、自分の責任も終わった」と判断しないでください。会社が返す借入と、経営者個人が負う保証責任は、株式の名義だけでは決まりません。

家族への説明でも、この違いを伝えます。売却の予定日と保証解除の見通しを混ぜると、退任後の生活費を見誤るおそれがあります。

確認が済んでいない借入は、未確認と記録しましょう。希望を予定として扱わないことが、生活の立て直しにもつながります。

買い手との約束だけで、金融機関の同意は得られない

譲渡契約で買い手に保証解除への対応を求めることと、金融機関が解除に同意することは別です。当事者間の合意だけで、金融機関の権利まで変わるわけではありません。

「買い手が対応すると言った」と「保証解除を確認できた」は区別してください。 契約文言に加え、実際の手続きの進み具合を確認します。

借入ごとに、次の事項を整理しましょう。

  • 対象となる金融機関と借入
  • 現在の保証人と保証の範囲
  • 解除に必要な条件と書類
  • 同意や完了を確認できる資料

「成約後に対応する」という条件なら、保証が残る間のリスクがあります。いつまでに何をおこなうかに加え、未了の場合の扱いも契約前に検討します。

書面の表現だけで判断しにくい場合は、弁護士等に確認します。解除の条件を満たしていない状態で株式を渡すかは、売却価格とは別の判断です。

後継者に保証を引き受けてもらう前提を置かない

従業員への売却では、「自分の代わりに保証人になってほしい」という話が出る場合があります。しかし、株を買う意思と保証を負う意思は同じではありません。

本人と家族の暮らしに関わる判断です。借入や資金不足を十分に説明せず、承継の条件として迫ることは避けてください。

経営者保証に関するガイドラインには、保証を付けずに融資を受ける場面の要件があります。法人と個人のお金を分けることや、財務基盤、適時の情報開示などが確認されます。

ただし、要件を並べるだけで保証の扱いが決まるわけではありません。会社の状態を資料で説明し、金融機関の判断を確かめる必要があります。

新たな保証が必要か、現在の保証をどう扱うか。それぞれを経営者本人が確認し、必要に応じて弁護士等へ依頼します。社内の合意だけで保証人の交代まで決めないようにしましょう。

保証債務の整理には、会社側の手続きも関わる

すでに負っている保証債務を整理する場合は、新たに保証を付けない場面とは別の要件を確認します。会社の資金を正直に説明するだけで、保証債務を整理できるとは考えないでください。

経営者保証に関するガイドラインには、「法的債務整理手続」が示されています。会社側で対象となる手続きを申し立てているか、申し立てる見込みがあることが要件に含まれます。

もう一つ、同じ要件で示されているのが「準則型私的整理手続」です。会社側の手続きと保証債務の整理を、あわせて検討する枠組みになります。

出典は、全国銀行協会・日本商工会議所が事務局を務める同ガイドラインです。上記は保証債務の整理に関する規定の一部で、ほかの要件も確認が必要です。

売却予定があることだけで、利用できると判断しないことです。詳しくは自社株ランキングの順位より先に確かめたい、廃業時の売却条件と保証の行方をご覧ください。

売却を進める順序は、資金の期限から組み立てる

廃業と売却を比べるには、会社が営業を続けられる期間内に譲渡を実行できるかを確かめます。候補者がいることと、資金や同意がそろうことは分けて判断してください。

最初に支払期限と不足額を見えるようにする

売却を検討する時間がどれほど残っているかは、預金残高だけでは分かりません。入金と支払いを日付で並べ、資金が不足する時点を確認します。

給与を払えても、仕入れが止まれば営業を続けられない場合があります。買い手へ引き継げる事業の状態も変わるため、営業に必要な支出を落とさないことです。

整理する順序は次のとおりです。

1. 現在使える現預金を確認する
2. 入金予定を確度と日付で分ける
3. 支払予定を期限ごとに並べる
4. 不足する時期と金額を算出する

すでに支払いが遅れているなら、最初の相談で伝えてください。売却の検討とあわせて、債務整理の判断も急ぐ必要があるかを見極める材料になります。

不足するお金を家族が補う予定でも、入金が決まるまでは未確定として扱います。支援を受けられる希望だけで、会社を続けられる期間を延ばさないようにしましょう。

株式、借入、給与の資料を集める

買い手は、事業の魅力と引き受ける負担の両方を確認します。資料をきれいに整えるより、現在の状態が分かることを優先してください。

株式については、誰がどれだけ保有しているかを確認します。譲渡に会社の承認が必要なら、定款などに沿って手続きも整理します。従業員への売却だから手続きを省けるとは考えないことです。

最初にまとめる資料は、次のとおりです。

  • 株主名簿と定款
  • 決算書と直近の試算表
  • 借入残高と返済予定の資料
  • 保証契約に関する書類
  • 給与と未払いを確認できる資料

不足する資料は、不足していると伝えれば検討を始められます。口頭の約束や帳簿に反映していない負担を見つけたら、その内容も記録してください。契約直前に初めて分かると、条件や日程が変わる原因になります。

買い手の価格と資金の裏づけを比べる

高い譲渡価格を提示されても、支払原資が不明なら実行の見通しは立てにくくなります。会社に必要な追加資金も含め、用意できる根拠を確認してください。

長年働いている従業員でも、この確認は省けません。人柄への信頼と、資金を準備できることは別です。

条件を比べる際は、次の軸を使います。

判断する項目 確認する内容
株式代金 金額と支払時期
運転資金 金額と投入時期
従業員 対象と雇用条件
連帯保証 同意と完了条件

外部の買い手の場合は、取得後に誰が経営を担うのかも確認します。社長が退いた後に受注や支払いを判断する人がいなければ、引き継ぎが止まるおそれがあります。

提示額だけで決めず、会社の資金が尽きる時期に間に合うかを照合しましょう。条件のよさと、実行できる見込みを並べて判断します。

実行前に、代金と権限を渡す順序をそろえる

条件がまとまったら、契約から引き継ぎまでの順序を整えます。何を確認したら次に進めるのか、売り手と買い手で認識を合わせるためです。

口頭で合意していても、資金の準備や必要な同意が終わっていない場合があります。代表者変更や株式の移転を先に済ませるかは、残るリスクを踏まえて検討してください。

実行前には、次を照合します。

1. 契約に合意内容が反映されているか
2. 代金の支払いを確認できるか
3. 必要な承認や同意がそろっているか
4. 保証と雇用の未了事項が明確か

通帳や印章、管理権限を渡す時期も決めます。先にすべてを渡すと、代金の未払いなどに対応しにくくなるおそれがあります。

引き継ぎ後の担当も書面に残してください。従業員からの質問に誰が答えるかまで決めておくと、現場が旧社長と新社長の間で迷う状況を減らせます。

社内承継が難しい段階でも、残せる事業を検討できる

従業員が自社株を買えなくても、外部への譲渡を検討できる場合があります。借入の重さだけで判断せず、事業の価値と必要な資金を照らし合わせます。

債務超過だけで、雇用を残す可能性を閉じない

借入が重くても、従業員の技術や取引先との関係に買い手が価値を見いだす場合があります。会社の資産と負債の差だけで、引受先の有無は決まりません。

あさひ国際会計株式会社が支援して成約した案件には、売上が1億円規模の製造業があります。従業員数名の会社です。出典は当社の成約資料で、2026年8月16日の集計時に確認した内容です。

同じ規模なら売れる、という意味ではありません。買い手の関心と、引き継ぐ条件が合うことが前提です。

特定の従業員に仕事が集中しているなら、本人の継続意思も確認します。現場の技術が評価されても、その人が退職すれば事業を続けにくくなる場合があるためです。

反対に、社長しか分からない業務を整理できれば、引き継ぎの見通しを立てやすくなります。残せる強みと、営業を続けるうえでの負担を両方伝えてください。

当社は資料整備と条件設計で後方支援する

当社は、再生型M&Aの仲介と、連帯保証の解除を見据えた条件設計を扱っています。金融機関との協議の主体は、経営者本人と、必要に応じて依頼する弁護士等の専門家です。

金融機関へ説明するための資料整備や、事業価値の説明資料の作成をおこないます。M&Aの条件を設計し、経営者本人の協議を後方から支える役割です。

依頼範囲は、次のように整理できます。

担当 主に確認する内容
経営者本人 意思決定と事実の説明
当社 M&A仲介と資料整備
弁護士等 法的判断と債務整理
税理士 株価評価と税務の確認

すでに専門家へ依頼している場合は、その状況もお知らせください。説明や判断の食い違いを減らしながら検討します。

なお、状況によっては法的整理が適切な場合もあります。支払能力や残せる事業を踏まえ、売却の見込みだけに頼らず判断する必要があります。

手元資金が乏しい場合は、報酬と手取りを分けて確認

当社への相談は無料です。報酬は成功報酬のみで、着手金はありません。

成約時に譲渡代金の中から報酬を精算するため、売り手の手元からの持ち出しは0円です。当社の費用条件として、2026年8月11日に確認した内容です。成功報酬そのものが無料という意味ではありません。

売却代金の総額と、精算後に残る手取りは分けて確認してください。 会社の運転資金や個人の納税資金まで不要になるわけではありません。

手元資金がない場合も、相談時にそのまま伝えていただけます。譲渡代金から報酬を精算できる条件かを確認します。別途必要となる専門家費用があれば、当社の報酬と分けて整理してください。

一律の総費用は、取引条件を確認せずには示せません。依頼前に、費用の対象と支払時期を確かめましょう。

詳しくは自社株売却の税金と手取りを分ける計算帳、廃業時に見落とせない借入と保証をご覧ください。

売却を決めていなくても、相談を始められる

「従業員に引き継いでほしいが、まだ本人に話せていない」。その段階でも、購入資金や雇用の条件を整理できます。売却の決断が相談の前提になるわけではありません。

最初から詳しい説明は不要です。

  • 廃業を考えている理由
  • 支払いが苦しくなる時期
  • 従業員に残ってほしい仕事
  • 借入と連帯保証の現状

分かる範囲で伝えてください。資料が不足していれば、次に何を確認するかを整理します。

家族や従業員に申し訳ない気持ちがあっても、一人で結論を出す必要はありません。相談する経営者は珍しくありません。

従業員の生活に加え、取引先への納品や引き継ぎも気になるはずです。その責任に向き合うためにも、残せる仕事と続けにくい部分を分けて考えます。廃業への迷いも含め、今の状況から検討を始めてください。

よくある質問

自社株を売却すると、従業員の給与はすぐ変わりますか?

株式売却だけで、給与が自動的に変わるわけではありません。通常は同じ会社との雇用関係が続きます。ただし、譲渡後に働く条件の見直しが検討される場合はあります。買い手の方針と必要な手続きを確認し、従業員には決まった内容と未決定の内容を分けて説明してください。

従業員に株を買うお金がなければ、廃業しかありませんか?

第三者への株式売却や事業譲渡を検討できる場合があります。従業員が株主にならず、引き続き現場で働く形も候補になります。ただし、買い手の資金と営業を続ける条件がそろうことが前提です。社内承継だけに絞らず、会社の資金が残っている間に比較してください。

従業員へ自社株を売れば、自分の連帯保証も移りますか?

株式の売却だけで、連帯保証が従業員へ移るわけではありません。現在の保証を外す条件や、新たな保証の要否を金融機関に確認する必要があります。本人が株の購入に同意していても、保証を負う意思とは分けて扱います。借入ごとに、必要な同意と手続きを確かめてください。

売却の検討を始めたら、すぐ全従業員へ知らせるべきですか?

説明時期は、取引の確度と従業員に必要な手続きから判断します。未確定の話を一斉に伝えると、不安だけが広がる場合があります。一方、雇用先や条件が変わる話を直前まで伏せれば、本人の判断時間を奪います。情報の共有範囲と説明の順序を、契約の進行に合わせて決めましょう。

まとめ

次の給与支払日と資金不足の見込み、連帯保証がある借入をメモにし、当社の無料相談で従業員への売却が成り立つ条件を整理してください。後継者が決まっていなくても、第三者への譲渡と比較しながら、仕事を残せるかを検討できます。

この記事を書いた人

あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を見据えた再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介の成約実績があります。
他社で断られた案件のご相談も承っています。ご相談は無料です。

無料相談はこちら / お急ぎの方はお電話でも承ります 03-5657-7496

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