目次
この記事の対象と結論
特別清算手続きとは、解散して清算中の株式会社を、裁判所の関与のもとで整理する手続きです。清算を進めるうえで著しい支障がある場合や、債務超過の疑いがある場合に検討されます。
借入を返しきれず、廃業すれば自分も自己破産するのかと悩んでいる。そんな経営者が分けて考えたいのは、会社の清算と、ご自身の保証債務です。特別清算を進めても、社長の連帯保証が自動的に消えるわけではありません。
廃業や保証の悩みを抱えて相談する経営者は珍しくありません。会社の財産で返せる額を確認し、事業を引き継げる余地も調べる。そのうえで清算の方法と個人の保証整理を組み立てます。状況によっては、破産を含む法的整理が適切な場合もあります。
特別清算の対象は、解散して清算中の株式会社
特別清算の対象は、すでに解散している「清算株式会社」です。営業中の会社が、解散を経ずにそのまま利用する手続きとは区別されます。
解散の登記だけでは、借入や未払いは片づかない
会社の解散は、財産や債務の整理に入るきっかけになります。株主総会で解散を決めても、借入の返済や取引先への支払いまで終わるわけではありません。
売掛金を回収し、設備などを売却して、債務の支払いを進める。こうした整理を清算と呼びます。解散後にも仕事は残るのです。
会社法第475条は、解散した株式会社に原則として清算を求めています。ただし、合併によって消滅する場合などは例外です。破産手続開始で解散し、その手続きが終わっていない場合も含まれます。その場合の財産整理は、破産手続の中で進みます。
「会社を解散した日」と「債務の処理が終わる日」を同じにしないでください。廃業の予定表には、営業終了後の回収や支払いも残しておきます。根拠はe-Gov法令検索「会社法」第475条です。
開始の条件には「債務超過の疑い」が含まれる
会社法第510条は、特別清算を開始する原因を定めています。清算の遂行に著しい支障を来すべき事情がある場合、または「債務超過の疑い」がある場合です。出典は会社法第510条です。
債務超過とは、負債が資産を上回る状態を指します。ただし、清算の見通しを考える際は、決算書の残高を見るだけでは足りません。実際に回収・売却できる金額との差も確認します。
たとえば、売掛金が帳簿に残っていても、回収できなければ返済には使えません。設備の売却額が帳簿価額を下回る場合もあります。確認対象は次のとおりです。
- 売掛金を回収できる金額と時期
- 設備や在庫の売却見込み
- 帳簿に反映されていない未払い
- 営業終了後に発生する支出
売却代金から処分費を引くと、手元に残る額が小さくなることもあります。資産と借入を比べる際は、清算を終えるまでの費用も加えてください。
清算人には、申立ての義務が生じる場合がある
清算を担当する人を清算人と呼びます。株主総会の決議による解散では、定款などに別段の定めがなければ、解散時の取締役が清算人になります。
特別清算の開始を申し立てられるのは、次の立場の人です。
- 債権者
- 清算人
- 監査役
- 株主
会社法第511条は、清算株式会社に債務超過の疑いがあるとき、清算人に申立てを義務づけています。解散後に不足が分かった場合も、放置してよいわけではありません。
すでに清算人になっているなら、不足を把握した経緯と資料を残してください。どの支払いを進められるかも含め、依頼する弁護士等の専門家に確認します。「返せる相手から返しておこう」という判断は、債権者間の扱いに問題を生むおそれがあります。
代表者だったからといって、法的な判断までひとりで抱える必要はありません。清算人の責任と、専門家へ委任する仕事の範囲を整理するところから始められます。
通常の清算・特別清算・破産は、返済原資と合意の見通しで比べる
会社を終える方法は、返済に使える財産と、債権者との合意の見通しで比較します。特別清算という名称だけで、破産より負担が軽いと判断することはできません。
全額を支払えるか、閉鎖費用まで含めて確認する
通常の清算を考える出発点は、会社の財産で債務と清算費用をまかなえるかです。借入金だけを集計すると、廃業に必要な金額を見落とします。
未払いの給与や税金も対象です。店舗の明渡しに伴う費用など、営業を止めた後に請求される支出も加えます。普段の返済表に、会社を閉じるための支出を足す作業と考えてください。
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| 比較項目 | 通常の清算 | 特別清算 | 破産 |
|---|---|---|---|
| 主な検討場面 | 全額返済を見込める | 清算の支障等がある | 支払不能等がある |
| 整理の枠組み | 清算人による整理 | 裁判所が関与 | 裁判所の手続き |
| 会社の方向 | 清算して終える | 清算して終える | 財産を清算する |
| 社長の保証 | 別途確認 | 別途確認 | 別途確認 |
表は検討の入口であり、個別の開始要件をすべて示したものではありません。特別清算では債務超過の疑いも開始原因になり、法人の破産では債務超過も検討対象です。
また、資産の総額が足りていても、支払日に現金がなければ支障が出ます。「最終的にいくら回収できるか」と「いつ払えるか」を分けて確認しましょう。
債権者ごとの事情によって、進めやすさが変わる
返済条件を整えるには、債権者が会社の状況をどう把握しているかも関わります。主要な金融機関への説明が済んでいても、他の債権者が同じ認識とは限りません。
金額に争いがある請求もあるかもしれません。その場合、会社が認識する残高だけで清算計画をつくると、後から前提が変わります。
まず、次の内容を債権者ごとに整理してください。
- 残高と支払期日
- 担保や保証の有無
- すでに説明した内容
- 金額や契約内容に関する争い
- 受け取った請求書や通知
「銀行には話している」という記録だけでは不十分です。説明した相手と日付、相手の回答まで残すと、合意できている範囲が見えます。
ただし、主要な債権者が理解を示しただけで、特別清算の実行が決まるわけではありません。債権者の構成や債権の種類を踏まえ、どのように条件を整えるかは専門家が検討します。見込みの薄い合意を前提に、資産処分を先行させることは避けてください。
破産を選ぶ判断と、事業を残す判断を切り分ける
財産の状況を把握できない、争いが大きい、支払いを続けられない。こうした事情があれば、特別清算にこだわらず、破産も含めて検討します。
破産法第1条は、財産の適正で公平な清算とともに、「経済生活の再生の機会の確保」を目的に掲げています。経営者が生活を立て直すことも、法律が目指す方向です。出典はe-Gov法令検索「破産法」です。
一方で、会社全体では返済が難しくても、引き継げる事業が残る場合があります。継続する受注や従業員の技術を、買い手が評価することがあるためです。
法人をどの方法で整理するかと、事業を誰が続けるかは別の検討事項です。廃業を決める際も、雇用や取引を残せる余地まで確認してから方針を絞ります。
詳しくは廃業とM&Aの比較|メリット・デメリットと判断基準を解説をご覧ください。
特別清算は、財産調査から申立て・返済・終結へ進む
特別清算では、解散した会社の財産と債務を調べ、裁判所の関与のもとで清算を進めます。開始の申立てだけで完了するものではないため、返済原資と残務の担当まで準備します。
解散を決める段階で、使える財産と不足額を調べる
廃業を検討中なら、営業を止めた場合の収支をつくります。決算書の利益とは別に、今後出入りする現金を確認する作業です。
準備は、次の順番で進めると整理しやすくなります。
1. 現預金と入金予定を確認する。
2. 財産の売却見込みを整理する。
3. 借入と未払いを一覧にする。
4. 閉鎖費用を加えて不足額を確認する。
入金予定には、回収できる時期も添えてください。売掛金があっても、手続費用の支払日までに回収できるとは限りません。残高だけでは、資金の不足時期が見えないのです。
株式会社が株主総会の決議で解散する場合は、特別決議を要します。代表者の希望だけでは決められないため、株主の構成も確認対象になります。
事業譲渡を検討するなら、設備の処分や取引終了を決める段階から比較に入れます。人や設備がそろっている状態と、営業を止めた後では、引受先に渡せるものが変わるためです。引継ぎの可能性を調べる時間も、資金計画に織り込んでください。
解散後も、登記と債権者への手続きが残る
解散後は清算人の体制を整え、登記や債権者への手続きを進めます。営業所の閉鎖と、法人の整理は同時に終わるとは限りません。
会社法第499条では、債権の申出を求める官報公告を定めています。判明している債権者への個別の催告も求められます。申出期間は同条の文言で「二箇月を下ることができない」とされています。出典は会社法第499条で、2026年7月に確認された法令内容です。
この期間は、特別清算全体の所要期間ではありません。財産の回収や返済条件の検討など、別の作業も続きます。
事務所を引き払う場合は、郵便物を受け取る方法も決めてください。請求書や裁判所からの通知が届かなくなると、残務が止まります。会社の帳簿や契約書を誰が保管するかも、あわせて決めておきます。
営業をやめた後に連絡できる担当者がいるだけでも、事実確認の遅れを減らせます。社長がすべて対応する場合も、期限を予定表に残すと取りこぼしを防ぎやすくなります。
申立てに向けて、債務超過の理由を資料で示す
申立ての準備では、会社の状況と、通常の清算を進めにくい理由を整理します。「借金が多い」という説明だけでは、財産との関係が伝わりません。
手元で確認する資料の中心は次のものです。
- 決算書と直近の試算表
- 財産の内容と評価の根拠
- 債権者ごとの債務一覧
- 借入や担保に関する契約書
- 解散や清算人に関する書類
提出書類の範囲や書式は、裁判所と事案に応じて確認します。上の一覧をそろえれば申立てが完了する、という意味ではありません。
帳簿残高と実際の金額が違う場合は、差額の理由を添えます。回収が難しい売掛金は、相手とのやり取りも保存してください。会社と経営者の間でお金が動いている場合も、内容が分かる資料を用意します。
資料が欠けているなら、その所在と不足する期間を伝えるところから始められます。すべて完成するまで検討を止めると、その間に手元資金が減るおそれがあります。分かっていることと未確認のことを分けて示しましょう。
開始後は、返済の実行と終了に向けた残務を確認する
裁判所が開始を命じた後も、財産の回収や処分、債権者への対応は続きます。開始したから自由に支払先を選べる、という手続きではありません。許可や手続きが求められる行為は、担当する専門家と確認します。
返済条件を整える際は、清算に充てられる金額と根拠を示します。予定した売却額が下がれば、計画の見直しにつながります。
終了に向けた確認事項は次のとおりです。
- 決められた返済が実行されているか
- 未処理の財産や債務がないか
- 申告や登記の残務を確認したか
- 個人の保証整理がどこまで進んだか
裁判所の手続きが進むことと、会社の残務が片づくことは別の確認事項です。特別清算の終結と清算結了の登記についても、担当者に順序を確認してください。
社長個人の保証整理には、会社とは別の進行があります。会社と個人の予定を並べておけば、どちらかが未処理のまま残っていることに気づきやすくなります。
費用と期間は、清算を終えるまでの資金で考える
特別清算の予算には、申立ての費用だけでなく、会社を閉じる支出も含めます。期間は財産処分や債権者への対応で変わるため、終了日を決め打ちせず資金を見積もります。
見積書は、金額と依頼範囲をセットで読む
弁護士費用には全国一律の報酬基準がなく、各事務所が料金体系を定めています。総額の違いが、そのまま同じ仕事の価格差とは限りません。
たとえば、会社の特別清算と、社長個人の保証整理は別の仕事です。会社側の見積もりに、個人側の報酬まで含まれているかは確認事項になります。
見積書を受け取ったら、次を確認してください。
- 申立てから終結までの対応範囲
- 裁判所に納める費用の扱い
- 登記や公告にかかる実費
- 個人の保証整理にかかる報酬
- 追加費用が発生する条件
特別清算の総費用について、会社の事情を外した一律の金額幅は示せません。債権者との争いや財産処分の作業量でも変わるためです。見積もりでは、現時点の予定額と、追加が生じた場合の計算方法を分けてもらいます。
税務の確認も含めてください。資産の売却や債務の整理が税額にどう影響するかによって、返済に回せる資金が変わる場合があります。法律手続きの費用だけ確保しても、残務全体をまかなえるとは限りません。
登記の税額は、特別清算の総額ではない
株式会社の解散等に関する登録免許税には、法定の税額があります。下表は登録免許税法別表第一第24号に基づく金額です。2026年7月23日時点で確認された内容で、各登記の申請に対応します。
| 登記の内容 | 登録免許税 |
|---|---|
| 解散 | 3万円 |
| 清算人・代表清算人 | 9千円 |
| 清算結了 | 2千円 |
各登記をおこなう場合の税額であり、特別清算の総費用を表すものではありません。官報公告の実費や専門家報酬などは別です。
営業終了に伴う支出も、分けて予算に載せます。
- 店舗や事務所の原状回復費
- 設備や在庫の処分費
- 契約終了に伴う精算金
- 財産を保管するための費用
- 残務を担当する人の人件費
原状回復の範囲は、貸主との契約によって確認します。設備を売れると思っていたのに、撤去費の方が高い場合もあります。
金額が分からない項目は「未確定」と記載してください。空欄を費用なしとして扱うと、資金の余裕を実際より大きく見積もってしまいます。請求が来る時期まで確認すると、入金とのずれも把握できます。
長引く場合と、費用が払えない場合を先に見込む
特別清算が終わるまでの期間は、個別の進行で変わります。裁判所による一律の標準期間は、2026年8月15日時点の確認では把握されていません。出典のない月数を、自社の資金計画の前提にすることは避けてください。
財産の売却先が決まらない場合や、債権額に争いがある場合は、作業が長引く可能性があります。その間も、保管費や残務の費用が発生し得ます。
資金計画は、次の順で確認します。
1. 申立てまでに払う費用を整理する。
2. 清算中に続く支出を確認する。
3. 入金が遅れる場合の不足を計算する。
4. 不足する時点と金額を担当者に伝える。
費用を払えなければ、申立てや清算の実行に支障が出る可能性があります。支払時期や資金の確保方法を検討しても実行が難しいなら、手続きの選択自体を見直します。
会社の財産を社長名義へ移したり、特定の相手にだけ返したりする前に、法的な扱いを確認してください。個人で借入を増やす判断も、保証整理や生活への影響まで検討します。費用不足を隠さず伝える方が、実行可能な計画を組みやすくなります。
会社の特別清算と、社長の連帯保証は別に整理する
会社の返済条件が決まっても、経営者個人の保証契約が同じように変わるとは限りません。特別清算の検討と並行して、借入ごとの保証内容と、個人への請求状況を確認します。
会社の清算が終わるまで請求を待ってもらえるとは限らない
会社の借入と、経営者の保証債務は、契約上の立場が違います。法人の手続きを選ぶだけでは、個人への請求の扱いまで決まりません。
通常の保証には、会社への請求や財産への執行を先に求める権利があります。ただし、行使には条件があります。連帯保証人には、その催告の抗弁と検索の抗弁が認められていません。根拠は民法第452条から第454条です。
会社の清算が終わるまで、個人への請求は来ない。そう考えて準備を後回しにすることは避けてください。
保証について整理する内容は次のとおりです。
- 保証している借入の範囲
- 保証人になっている人
- 担保を提供している財産
- 個人へ届いた請求や通知
手元に保証書が見つからないことと、保証契約が存在しないことは別です。契約書の写しの所在が分からない場合も、その状態を伝えて確認を進めます。
借入ごとに条件が違う場合もあります。金融機関名だけでまとめず、契約ごとの残高と保証人を対応させておくと、整理の漏れを抑えられます。
ガイドラインの利用には、会社側の申立てなどの要件がある
経営者保証に関するガイドラインには、すでに負っている保証債務を整理する枠組みがあります。特別清算とあわせて検討される場合もありますが、会社が申し立てれば利用が決まるというものではありません。
会社が法的整理または準則型私的整理を申し立てていることが、保証債務整理の要件に含まれます。 ガイドラインの利用と同時に申立てをおこなう場合も対象です。会社側の手続きが係属中、またはすでに終結している場合も含まれます。
第7項の保証債務整理では、次の要件をすべて満たすことが求められます。
- 保証契約が第3項の要件を満たすこと
- 会社側が所定の整理手続きを申し立てること
- 債権者に経済的な合理性が期待できること
- 所定の免責不許可事由がなく、そのおそれもないこと
会社側の法的整理には、特別清算や破産などが含まれます。単に廃業を考えている段階や、営業を止めただけの状態とは区別して確認します。
経済的な合理性とは、破産による配当より多くの回収が見込めることなどです。また、免責不許可事由の対象は、破産法第252条第1項の第10号を除く事由です。該当する事由が生じておらず、そのおそれもないことが求められます。
根拠は全国銀行協会「経営者保証に関するガイドライン」7.(1)です。財産を正直に開示するだけで保証が免除される、という仕組みではありません。
これから保証を付けない融資の要件と、既存の保証債務を整理する要件は異なります。廃業時は、会社側の手続きとのつながりまで含めて確認してください。
自宅や生活費は、残したい希望と資料をあわせて伝える
自宅や生活費をどこまで残せるかは、個人の資産・債務や担保の状況によって検討します。特別清算を選んだことだけで、自宅の扱いが決まるわけではありません。
経営者保証に関するガイドラインでは、早期に事業再生や清算に着手した場合の扱いを示しています。一定の生計費に相当する額や、自宅等を残存資産に含めることを検討する内容です。対象債権者の回収見込額の増加額の範囲内、という条件があります。
自宅が残るという約束ではありません。対象債権者の判断も踏まえて検討する仕組みです。根拠は同ガイドライン5.(3)に示されています。
家族の生活については、住居費や毎月の支出が分かる資料を用意してください。家族への説明も、会社の整理方法と生活の見通しを分けると話しやすくなります。まだ決まっていないことまで、結論として伝える必要はありません。
詳しくは廃業したら連帯保証はどうなる?残る理由と整理の道をご覧ください。
事業を譲ってから特別清算する場合は、引継ぎと清算を一緒に設計する
事業を別の会社へ譲り、元の会社を特別清算する組み合わせも考えられます。実行の可否は、事業価値に加え、債権者への説明や譲渡後の返済原資を踏まえて判断します。
会社を終えても、事業を引き継げる場合がある
事業を別会社へ移し、引受先で再建を目指す形は、実務上、第二会社方式と呼ばれます。会社法上の手続名ではありません。
中小企業庁の中小M&Aガイドライン第3版には、事業譲渡等の後に、元の会社を特別清算するケースが示されています。制度の説明では、公的機関の関与下で進める場面も取り上げられています。根拠は中小企業庁「中小M&Aガイドライン」掲載ページです。
検討する際は、引き継げる内容を具体化します。
- 続けられる取引や受注があるか
- 引継ぎを希望する従業員がいるか
- 設備や拠点を継続して使えるか
- 許認可や契約を整えられるか
従業員の雇用や取引が、そのまま続くとは限りません。引受先の条件と関係者の意向を確かめます。未払いの給与があれば、その整理も別途検討事項です。
買い手を探している間にも運転資金は減ります。譲渡を検討する期限と、成立しなかった場合の方針を並べておくと、判断を先延ばしにしにくくなります。
譲渡代金の使い道まで、清算計画と整合させる
事業を譲るときは、価格の根拠を残します。設備の価値や事業の収益力をどう評価したかを、説明できる形にするためです。
会社法第23条の2は、残る債権者を害すると知って事業を譲渡した場合の責任を定めています。条件によっては、買い手が承継財産の価額を限度に請求を受けます。買い手が事情を知らなかった場合の例外もある規定です。
「別会社へ安く移せば、借入だけ整理できる」と考えないでください。元の会社が受け取る対価と、その使い道も検討対象になります。
株式譲渡では法人格が変わらず、借入などの債務は会社に残ります。事業譲渡は対象財産を選べますが、商号の継続使用などにより、買い手も債務を負う場合があります。手法の名前だけで責任の範囲は決まりません。
M&A当事者間で保証解除を取り決めても、金融機関との保証契約が自動的に変わるわけではありません。金融機関の同意が前提です。会社への入金と、個人の保証整理を別々に確認できる計画にしてください。
法的手続きとM&Aの後方支援は、担当を分ける
特別清算の法的な判断や裁判所への対応は、依頼者が委任する弁護士等の専門家が担います。税務は税理士、登記は司法書士など、仕事の範囲に応じて担当を明確にします。
あさひ国際会計株式会社は、再生型M&Aの仲介と、検討に必要な後方支援を担います。金融機関との協議に用いる資料を整え、事業価値の説明資料を作成します。M&Aの条件設計を通じて、経営者ご本人の協議を支える役割です。
債権者との交渉の主体は、経営者ご本人です。必要に応じて、委任した弁護士等の専門家が対応します。当社が法律上の債務整理を代行するものではありません。
相談時には、次の内容からお伝えください。
- 手元資金と直近の支払予定
- 借入残高と連帯保証の有無
- 事業を続けられる見通し
- 従業員や家族についての希望
当社の相談は無料で、M&A仲介の着手金はありません。報酬は成約時に譲渡代金から精算するため、売り手の手元からの持ち出しは0円です。特別清算や個人の保証整理にかかる専門家費用とは分けて確認してください。
破産手続きを主に扱う専門家と、事業を残す再生を扱う専門家では、得意分野が異なります。状況によっては法的整理が適切な場合もあるため、M&Aだけを前提に方針を固めないことも含めて検討します。
よくある質問
特別清算を選べば、社長は自己破産を避けられますか?
特別清算を選ぶだけで、社長個人の自己破産を避けられるとは判断できません。会社の清算と、個人の保証債務は別に検討します。保証契約や個人の資産、保証債務整理の要件を確認し、生活の立て直しを含む方針を考えます。
保証債務が残り、個人にも返済の見通しがなければ、自己破産を含む法的整理が適切な場合があります。会社の結論を待ってから着手するより、個人側の確認も並行して進める方が、資金や日程の不足を把握しやすくなります。
債務超過が分かったら、すぐに特別清算が始まりますか?
債務超過が分かっただけで、特別清算が自動的に始まるわけではありません。対象は解散して清算中の株式会社です。申立てを受けて裁判所が開始を判断します。清算株式会社に債務超過の疑いがある場合は、清算人の申立義務にも注意してください。
営業中であれば、資金繰りと事業の継続可能性も確認します。帳簿上の債務超過と、直近の支払いができるかどうかは、分けて把握する事項です。
特別清算と破産では、どちらが安く済みますか?
財産や債権者の状況、依頼する範囲によって変わります。特別清算の方が安いと決めつけず、裁判所への費用と専門家報酬、閉鎖費用を含めた総額で比べてください。途中で方針を変える場合の追加費用も、見積もり時に確認します。
費用だけで実行の難しい手続きを選ぶと、時間と支出が増えるおそれがあります。総額に加えて、支払時期が手元資金に合っているかを確認しましょう。
従業員を残したい場合も、特別清算を検討できますか?
事業の引受先が見つかり、雇用などの条件が整えば、事業を譲った後に元の会社を特別清算する形を検討できます。ただし、特別清算そのものに雇用を引き継ぐ働きがあるわけではありません。事業の譲渡と、従業員の雇用条件を別途確認します。
従業員への説明では、決まった事項と検討中の事項を分けてください。引継ぎが未確定の段階で継続雇用を約束すると、後で説明を修正する負担が生じます。給与の未払いも含め、説明時期と対応方針を担当する専門家と検討します。
まとめ
借入先ごとの残高と保証契約、手元資金、直近の支払予定を整理し、会社の清算と個人の保証整理をあわせて検討してください。事業や雇用を残したい場合は、設備の処分や契約終了を決める段階から、その希望もお伝えください。
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この記事を書いた人
あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を見据えた再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介の成約実績があります。
他社で断られた案件のご相談も承っています。ご相談は無料です。
無料相談はこちら / お急ぎの方はお電話でも承ります 03-5657-7496
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