会社をたたんでも、保証だけが残るのが原則です

「もう資金繰りが限界かもしれない。会社をたためば、この重い連帯保証からも解放されるのだろうか」――そう考えて夜も眠れない経営者の方は、少なくありません。

先に結論からお伝えします。会社を清算しても、連帯保証(経営者保証)は原則として消えません。会社と経営者個人は法律上、別の人格として扱われるためです。会社の借入は会社の債務ですが、連帯保証をした瞬間から、その返済義務は経営者個人の債務にもなっています。会社が消滅しても、個人の債務はそのまま残ります。

ただし、これで終わりではありません。連帯保証には、整理するための制度がいくつか用意されています。廃業型の保証債務整理、事業を引き継ぐM&Aによる保証解除、そして自己破産です。それぞれ性質が異なり、どれが合うかは会社の状況によって変わります。この記事では、廃業の手続きと保証の関係、保証が残った場合に起きること、そして整理の3つの道を順番に見ていきます。

廃業の手続きと保証債務の関係

廃業しても連帯保証が残る理由(解散・清算・清算結了の流れ)の図解

まず、廃業のおおまかな流れを押さえておきましょう。会社をたたむ場合、一般的には「解散」→「清算」→「清算結了」という順序をたどります。

  • 解散:会社の事業活動をやめる決定をし、法務局に登記します。株主総会での決議が必要になります。
  • 清算:清算人が会社の財産と債務を整理します。資産を売却し、残った債務を返済していく作業です。
  • 清算結了:清算が終わったことを登記し、会社の法人格が消滅します。ここで会社そのものはなくなります。

問題は、この「清算結了」をしても、連帯保証は自動的には消えないという点です。理由はシンプルで、連帯保証は経営者個人が金融機関と結んだ別の契約だからです。会社の借入金を清算の中で全額返済できれば保証の出番はありませんが、資産を売却しても借入金を返しきれない場合、その不足分について、連帯保証人である経営者に返済を求められる可能性が出てきます。

つまり「会社を清算すること」と「個人の保証債務を整理すること」は別の手続きだということです。この違いを知らないまま清算だけを進めてしまうと、清算結了後に金融機関から個人あてに請求が来て、初めて事態の深刻さに気づく方もいます。廃業を検討する段階で、保証債務の扱いも同時に考えておくことが大切です。

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保証債務が残ったらどうなるか

会社の清算で借入金を返しきれなかった場合、どのような流れになるのか、事実ベースで整理します。

1. 金融機関からの請求:会社の清算(または倒産手続き)が進むと、連帯保証人である経営者個人に対して、残った債務の返済を求める連絡が来ます。これは契約上の当然の流れであり、驚くべきことではありません。
2. 返済方法の協議:一括での返済が難しい場合、分割返済の相談や、返済条件の見直しについて金融機関と話し合う余地があります。この段階で専門家が入るかどうかで、その後の進み方が大きく変わってきます。
3. 保証債務の整理:自宅など生活に必要な資産を守りながら債務を整理する方法として、後述する経営者保証ガイドラインに基づく整理や、自己破産という選択肢があります。

ここで大切なのは、請求が来た段階で慌てて全財産を差し出す必要はないということです。経営者保証ガイドラインという公的な枠組みが存在し、一定の条件を満たせば、生活に必要な資産を手元に残しながら債務を整理できる可能性があります(詳細は全国銀行協会の経営者保証に関するガイドラインをご参照ください)。不安を感じる時期だからこそ、正確な情報をもとに次の一手を決めることが重要です。

保証を整理する3つの道

連帯保証を整理する3つの道(廃業型の保証債務整理・再生型M&A・自己破産)の比較図

連帯保証を整理する方法は、主に3つに分かれます。それぞれの特徴を比較表にまとめました。

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整理方法 概要 生活資産の扱い 主な検討ポイント
廃業型の保証債務整理(経営者保証ガイドライン) 弁護士など専門家と連携し、ガイドラインに基づいて金融機関と保証債務の整理を進める方法 一定の生活費や自宅の一部を残せる可能性がある 事業に清算価値以上の資産がないことなど、一定の要件を満たす必要がある
再生型M&Aによる保証解除 事業に価値が残っている場合、事業や会社ごと引き継ぎ手を見つけ、その過程で経営者保証の解除を目指す方法 事業継続に伴う対価が得られる場合がある 引き継ぎ手探しと金融機関との調整に、財務とM&A両方の実務経験が必要になる
自己破産 裁判所を通じて、保証債務を含む個人の債務全体を清算する法的手続き 自由財産(一定額の現金など)を除き、資産の多くが処分対象になる 保証以外の個人債務もまとめて整理できるが、資格制限など一定の影響がある

どれが正解ということはなく、会社の状態や個人の資産状況によって向き不向きが分かれます。例えば、事業そのものにまだ収益力や取引先との関係といった価値が残っているなら、清算より先に再生型M&Aを検討する余地があります。経営者保証ガイドラインをM&Aの場面でどう活用するかについては、経営者保証ガイドラインのM&A活用法でも詳しく触れています。

なお、経営者保証ガイドラインに基づく事業承継の保証制度は、信用保証協会側でも整備が進んでいます(事業承継特別保証などのモデルケース参照)。また、財務課題を抱える企業が無料で相談できる公的窓口として、中小企業活性化協議会もあります(中小機構の案内ページ参照)。

ここで一つお伝えしておきたいことがあります。連帯保証の解除は、「制度を知っていること」と「実務として外せること」が別物だという点です。金融機関が最終的に見るのは、返済の見通しと、それを裏付ける数字です。制度の説明ができることと、実際に金融機関と向き合える財務資料やM&Aの実務を組み立てられることの間には、距離があります。

廃業を決める前に検討したいこと

廃業は取り消しの効かない決断です。決める前に、次の2点を確認しておくことをおすすめします。

1. 事業に価値が残っていないかの確認
赤字が続いていても、取引先との関係、従業員の技術、許認可、設備など、第三者から見れば価値のある資産が残っている場合があります。この価値に気づかないまま清算を進めてしまうと、本来なら再生型M&Aで保証解除まで到達できた可能性を、自ら手放すことになりかねません。運送業のように許認可の価値が評価されやすい業種では、この判断が特に重要です(運送業の廃業と連帯保証も参考にしてください)。

2. タイミング
資金繰りが完全に尽きてからでは、選べる選択肢が限られてしまいます。まだ数か月の余力があるうちに動き出せれば、M&Aによる引き継ぎ手探しや、ガイドラインに基づく整理の準備に、十分な時間をかけられます。「もう少し様子を見よう」と先延ばしにするほど、選択肢は狭まっていく傾向があります。

建設業の廃業で連帯保証を残さないための選択肢

建設業の廃業では、会社の清算だけを先に決めないことが重要です。借入に連帯保証が付いていると、清算後も個人に請求が及ぶ可能性があります。

一方で、建設業には第三者が評価する事業上の価値が残ることもあります。廃業、M&A、法的整理を同じ時点で比べることが、判断の出発点です。

廃業前に確認したい事業の価値

決算書が赤字でも、それだけで引継ぎが難しいとは限りません。建設業では、次のような要素が評価材料になりえます。

  • 継続中の工事や受注見込み
  • 技術を持つ従業員
  • 元請けや協力会社との関係
  • 保有する車両や設備
  • 建設業許可を含む事業基盤

当社が支援して成約した案件には、とび・土工や内装仕上があります。売上2億円規模で、従業員20名弱の事例です。

規模だけでM&Aの可否が決まるわけではありません。事業を評価せずに解散へ進むと、引継ぎの選択肢を失うおそれがあります。

連帯保証を含めて3つの道を比較する

建設業の廃業を考えたときは、次の道を比較します。

  • 清算と保証債務整理を進める
  • M&Aで事業と雇用を引き継ぐ
  • 破産などの法的整理を検討する

M&Aでは、買い手が見つかるだけでは足りません。経営者本人が金融機関と協議し、保証解除への同意を得る必要があります。必要に応じて、弁護士などの専門家へ依頼します。

あさひ国際会計株式会社は、財務資料の整備をおこないます。さらに、条件設計や説明資料の作成を通じ、ご本人の協議を支えます。

これまで成約に至った案件では、いずれも連帯保証の解除まで見届けています。ただし、金融機関の同意が前提です。すべての会社で同じ結果になると言い切れるほど単純ではありません。

破産手続きを主に扱う専門家と、事業を残す前提の再生を扱う専門家では、得意分野が異なります。状況によっては法的整理が適切な場合もあります。

30日以内に整理したい資料と判断事項

資金繰りへの不安が強いと、廃業だけを急ぎがちです。しかし、30日以内に確認したいのは、廃業日ではなく選択肢です。

まず、次の資料を手元に集めてください。

  • 直近の決算書と試算表
  • 借入と連帯保証の契約書
  • 資金繰り表
  • 工事台帳と受注残
  • 許認可や設備の一覧
  • 従業員と外注先の状況

そのうえで、手元資金がいつまで持つかを確認します。税金や社会保険料などの支払予定も整理しましょう。

解散登記や資産処分を先に進めると、M&Aの条件に影響する場合があります。会社の価値と保証の状況を並べてから、進む道を選ぶことが大切です。

判断に迷うときは、中小企業活性化協議会も利用できます。47都道府県に設置され、相談無料で秘密厳守です。保証債務の整理を含む再チャレンジ支援もあります。

あさひ国際会計株式会社への相談も無料です。平日の営業時間内のご連絡には、最短当日に対応します。相談後にM&Aを進める場合も着手金はありません。成功報酬は、成約時に譲渡代金の中から精算するため、売り手の手元からの持ち出しは0円です。

よくある質問

会社を清算すれば連帯保証も消えますか?

原則として消えません。会社の清算で借入金を全額返済できれば別ですが、返しきれなかった分については、連帯保証人である経営者個人に返済義務が残ります。この保証債務を整理するには、経営者保証ガイドラインに基づく整理や自己破産など、別の手続きが必要になります。

保証人の家族にも請求はいきますか?

保証債務の請求先は、原則として保証人本人です。連帯保証をしていない配偶者や子どもなど、家族には請求が及ばないのが一般的とされています。ただし、家族が別途連帯保証人や連帯債務者になっている場合は話が変わってきますので、契約内容の確認が必要です。

廃業と自己破産はセットで考えるべきですか?

必ずしもセットではありません。事業に価値が残っている場合は、再生型M&Aで事業を引き継ぎ、その中で保証解除を目指す道もあります。自己破産は保証債務を含む個人の債務全体を清算する手続きであり、選択肢の一つではありますが、唯一の道ではありません。会社の状態を確認したうえで、複数の選択肢を比較することが大切です。

建設業を廃業するとき、連帯保証はどう整理すればよいですか?

清算、M&A、法的整理を比較して判断します。まず、借入契約と保証内容を確認してください。受注残や人材などの事業価値も整理します。M&Aを選ぶ場合も、保証解除には金融機関の同意が必要です。経営者本人が、必要に応じて弁護士などへ依頼して協議します。状況によっては法的整理が適切な場合もあります。

廃業や連帯保証について、誰に相談すればいいですか?

まずは無料相談で状況を整理することをおすすめします。あさひ国際会計株式会社は、赤字・債務超過企業の再生型M&Aと経営者保証(連帯保証)の解除支援を専門としており、年間60件以上の支援実績があります。弁護士に相談して自己破産を勧められた方や、他のM&A仲介会社から対応を断られた方からの相談も数多く受けています。相談は無料、秘密は厳守しますので、どのような状況でもまずはお話をお聞かせください。

まとめ

会社を清算しても、連帯保証は原則として個人に残ります。しかし、廃業型の保証債務整理、再生型M&Aによる保証解除、自己破産という3つの道があり、会社の状態によって適した方法は変わってきます。大切なのは、資金繰りが完全に尽きる前に、事業に残っている価値を確認し、早めに動き出すことです。

あさひ国際会計株式会社は、再生型M&Aと経営者保証の解除支援を専門とする会計事務所です。メディア掲載多数の実績があります。連帯保証の解除は制度を知るだけでなく、財務とM&Aの実務が伴って初めて実現に近づく分野です。廃業を考え始めた段階でも、まだ間に合う選択肢が残っているかもしれません。お一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。

お電話でのご相談は03-5657-7496(平日9:00〜19:00)まで。お問い合わせフォームはこちらからどうぞ。

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取り得る選択肢を比べたい方は、次にこちらをご覧ください。

連帯保証を解除する方法とは?経営者保証を外す4つの選択肢

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あさひ国際会計株式会社は、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録された支援機関です(登録支援機関による支援は、事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)の補助対象とされています)。

この記事を書いた人

あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を伴う再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介に携わっています。
メディア掲載多数。
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最終更新日: 2026年8月17日

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