この記事の対象と結論

債務超過の会社清算は、借入を含む債務を払い切れるかで進め方が変わります。返済資金が足りない場合は、特別清算や破産の検討が必要です。引き継げる事業があれば、M&Aと債務整理を組み合わせる余地もあります。

借入の連帯保証を抱え、廃業を考えている方へ。会社の解散、会社の債務整理、社長の保証債務の整理は、分けて確認してください。 解散の登記だけで、借入や保証の問題まで片付くわけではありません。

これから30日以内に進路を決めたいなら、まず資金が足りなくなる日を出します。そのうえで、会社を閉じる場合と事業を譲る場合を比較してください。廃業を考えた段階で、社長個人の自己破産まで決まるわけではありません。手元資金が残るうちに、会社と個人の出口を並べて検討できます。

債務超過でも解散は検討できるが、清算を終えられるかは別

債務超過であっても、会社の解散を検討することは可能です。ただし、解散を決めることと、債務を整理して清算を終えることは異なります。

解散は、残った仕事と債務を片付ける出発点

会社の営業を終える方針を決めても、取引関係はその場で消えません。納品済みの売掛金を回収し、未払いの代金や借入を整理する仕事が残ります。解散後も、清算のために必要な範囲で会社は存続します。

「債務超過の会社を解散すれば、銀行への返済も終わる」という理解では、段取りを誤ります。登記と返済は別の問題です。借入が残っているなら、その扱いを決める作業が続きます。

先に営業を止めると、入金が減る一方で支出だけが続く場合もあります。閉じる日を決める際は、残る契約と支払いを確認してください。

  • 回収前の売掛金が残っているか
  • 未納品の受注を抱えているか
  • 家賃やリース料が続くか
  • 借入に担保や連帯保証が付いているか

営業終了の希望日と、支払いを終えられる日は分けて考えます。両者がずれるなら、その間の費用も用意する必要があります。

通常清算の判断には、資産を現金にした金額を使う

債務を支払い、残った財産を整理して会社を終えるのが通常清算です。債務超過で資金の補い方も決まっていないなら、この流れだけで終えることは難しくなります。

判断に使うのは、決算書に載っている資産額だけではありません。設備を売った場合の代金や、売掛金を実際に回収できる見込みを確認します。帳簿の金額と、使える現金は異なるためです。

在庫も同じです。仕入れた金額で売れるとは限りません。撤去や処分に費用がかかる資産なら、売却代金からその支出を引いて考えます。

反対に、帳簿に十分表れていない資産価値がある場合もあります。債務超過という表示だけで結論を出さず、現金化できる額と支払総額を照合してください。

見込みの売却代金には、根拠も添えます。売り手の希望額なのか、査定が出ているのかで、清算計画に使える度合いが変わるからです。売却までにかかる時間も確認します。

赤字と債務超過と資金不足は、判断する場所が違う

赤字は、一定期間の収入より費用が多い状態です。債務超過は、資産より負債が多い状態を指します。資金不足は、支払日に必要な現金が足りない問題です。

廃業の進め方には、いずれも関係します。ただし、対応を急ぐ度合いは同じではありません。債務超過でも支払いを続けられる場合があり、資産が多くても現金化が間に合わない場合があります。

見る資料も分けましょう。

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確認したいこと 見る資料 判断への使い方
赤字が続いているか 損益計算書 営業継続の見通し
負債が資産を超えるか 貸借対照表 清算時の不足確認
支払日に現金があるか 資金繰り表 対応期限の設定

最終的な資産売却で債務を払える見込みでも、途中で資金が尽きることがあります。資産と負債の比較に、日付の確認を加えてください。

詳しくは債務超過とは?赤字との違い・判断方法と会社を残す選択肢を経営者向けに解説をご覧ください。

通常清算が難しいときは、合意の見通しと事業価値で比べる

完済が難しい会社では、特別清算や破産を比較します。事業を引き継ぐ候補がある場合は、M&Aの可能性も並べて検討します。

特別清算は、清算中の株式会社で検討する

解散後の株式会社について、裁判所の関与のもとで清算を進める手続きが特別清算です。債務超過が疑われる場合などに検討されます。利用できる会社の種類にも条件があります。

会社法511条は、特別清算開始の申立てについて定めています。清算株式会社に債務超過の疑いがある場合、清算人には申立ての義務があります。「解散してから、払えない分は放っておく」という進め方にはできません。

出典は会社法511条です。解散を先に決めた場合も、清算人が負う役割を踏まえて進める必要があります。

選択の際は、債権者の合意を得られる見通しも確認します。債権者の数だけで判断するものではありません。返済の原資と条件に納得してもらえるかが関わります。

資料をそろえても、合意の見通しが立たない場合があります。特別清算を希望するという理由だけで決めず、破産を含めた適否の確認が必要です。状況によっては法的整理が適切な場合もあり、その手続きの選択は弁護士等と検討します。

破産は、公平な清算と再出発のための手続き

支払いが難しく、個別の合意による整理も見通せない場合は、破産を検討します。裁判所の関与のもとで財産や債務を整理する手続きです。会社と社長個人では、対象となる財産や債務が異なります。

破産法1条は、目的に「債務者の財産等の適正かつ公平な清算」を掲げています。さらに「債務者について経済生活の再生の機会の確保」も含めています。出典は破産法1条です。

破産という言葉だけで、再出発の余地までなくなったと受け止める必要はありません。財産と債務を整理し、その後の生活を立て直すための検討につながります。

引き継げる事業が見つからず、営業を続けるほど不足が増える場合もあります。その局面で売却だけを待ち続けると、未払いが広がるおそれがあります。事業の価値と支払余力の両方で判断してください。

売却を検討することと、破産の準備を進めることは、併行する場合があります。方針が決まるまで何もしないより、共通して必要になる財産や債務の資料を整えられます。

M&Aは会社清算の代わりにも、清算前の工程にもなる

会社の株式を譲る方法では、会社を残して経営者が交代する形を検討できます。一方、事業を譲る方法では、事業を引き継いだ後に元の会社を整理する形も考えられます。

役割が違います。M&Aを選べば会社の債務が消える、と捉えないでください。譲渡の形によって、借入の残る先と代金を受け取る人が変わります。

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選択肢 主な判断条件 別に確認すること
通常清算 完済資金の見通し 未払いと清算費用
特別清算 対象会社と合意見通し 保証債務の整理
破産 支払状況と財産の確認 個人側の債務整理
M&A 引継ぎ価値と買い手 残債務と保証解除

表の上から順に試す、という意味ではありません。資金が尽きる時期によっては、複数の準備を並行して進める必要があります。

また、事業譲渡と特別清算のように、組み合わせて検討する場合もあります。「売るか、清算するか」だけで考えると、事業を引き継いで会社を整理する道を見落としかねません。

選択肢は「使いたい制度」より「成立する条件」で絞る

特別清算なら負担が軽い、M&Aなら事業が残る。そうした期待だけでは進路を決められません。自社で条件を満たせるかを確かめる必要があります。

たとえば、買い手候補がいても、引継ぎまでの給与を払えなければ実行は難しくなります。返済条件を説明できても、債権者の合意が見通せない場合は別の整理を考えます。

予定表と資金繰り表を重ねてください。比較には、次の順序が使えます。

1. 支払資金が足りなくなる日を出す
2. 清算時の不足額を見積もる
3. 引き継げる事業の有無を確認する
4. 合意と実行までの時間を比べる

営業を続ける費用だけで資金を使い切ると、手続きの選択にも影響します。成立を待てる期限と、整理のために残す資金を同時に考えます。

詳しくは会社清算手続きの全体像|解散・債務整理・連帯保証を順序立てて理解するをご覧ください。

会社を清算しても、社長の連帯保証は別に整理する

会社の清算だけで、社長の連帯保証が自動的に外れるわけではありません。保証契約と金融機関の同意、個人側の返済能力を別に確認します。

最初に借入ごとの保証契約を確かめる

借入総額だけでは、社長個人の負担を判断できません。どの借入について、誰が、どの範囲で保証しているかを確認します。記憶に頼らず、契約書をもとに整理してください。

借入が複数ある場合、保証条件が同じとは限りません。借り換えや契約変更をしていれば、手元の古い書類だけでは現在の条件が分からないこともあります。

まずは借入ごとに、次の項目を記録します。

  • 現在の借入残高
  • 保証人の氏名
  • 保証の対象と範囲
  • 担保として提供した財産
  • 返済条件と延滞の有無

書類が見つからない項目は「不明」と書いて構いません。空欄を推測で埋めると、会社を譲った後の責任まで誤って見積もるおそれがあります。

銀行からの借入以外にも、個人が責任を負う契約がないか確認します。事務所の賃貸借などについても、署名した契約書に戻って確かめてください。

会社の破産と社長の自己破産を同一視しない

会社が返済できなくなり、保証に基づく請求を受けた場合は、社長個人の支払能力が問題になります。法人の手続きに入っただけで、個人の自己破産まで自動的に決まるわけではありません。

個人側では、保証債務に加え、ほかの借入や生活費も確認します。会社に投入できる資金と、今後の暮らしに必要な資金を混ぜないでください。

焦って個人資産を会社へ入れてしまうと、その後の生活や手続きの準備が難しくなる場合があります。追加の借入で当面の支払いをつなぐ場合も同じです。返せる見込みと、いつまで何を待つのかを具体化する必要があります。

会社と個人の財産は、それぞれ一覧にします。自宅などの扱いも、名義や担保、保証契約により変わります。「会社が債務超過だから家も失う」と、その場で結論を出す必要はありません。

一方、保証による請求額を個人で支払えないなら、個人側の債務整理も検討対象です。会社の結論が出るまで放置せず、生活の見通しと一緒に確認します。

保証債務の整理では、会社側の手続きとの関係を見る

一定の要件のもとで保証債務の整理を検討する枠組みとして、経営者保証に関するガイドラインがあります。利用を希望すれば保証が外れる、という制度ではありません。

同ガイドライン7.(1)には、会社側の手続きに関する要件があります。会社が法的債務整理手続または準則型私的整理手続を申し立てているか、その見込みがあることなどです。出典は経営者保証に関するガイドライン7.(1)です。

保証を新たに付けない場面と、すでに負っている保証を整理する場面では、確認する要件が異なります。廃業を考えているなら、会社側で予定する整理と個人側の整理を組み合わせて検討します。

個人の財産を開示するだけで結論が出るわけでもありません。対象となる債権者や会社の状況を踏まえ、弁護士等の専門家による確認が必要です。

制度を利用できるか分からない段階でも、保証契約や財産の資料は役立ちます。会社と個人のお金のやり取りについても、説明できる記録を残してください。

買い手との約束と金融機関の保証解除は区別する

「買い手が保証を引き受けると言っている」と聞くと、安心したくなるかもしれません。しかし、売り手と買い手の契約だけで、金融機関に対する保証責任が消えるわけではありません。

M&Aの成約と連帯保証の解除は、同じものとして扱わないでください。 金融機関の同意と、その内容を確かめる必要があります。

確認するのは、契約書に解除の約束があるかだけではありません。対象の借入が漏れていないか、いつ、どの条件で解除されるかを確かめます。口頭の説明だけで完了と判断しないようにしましょう。

手続きが残る場合には、その担当者と確認方法まで明らかにします。代表者が交代したという事実だけでは、保証の処理状況は分かりません。

あさひ国際会計株式会社がこれまで成約に至った案件では、いずれも連帯保証の解除まで見届けています。ただし金融機関の同意が前提です。すべての会社で同じ結果になると言い切れるほど単純ではありません。

残せる事業があるなら、営業を止める前に譲渡の成立条件を探る

債務超過でも、買い手が引き継ぐ価値を見いだせる事業なら、M&Aを検討する余地があります。財務上の不足額だけで、譲渡の可否を決めることはできません。

買い手が必要とするのは、事業を続けられる条件

過去の赤字や借入があっても、顧客との取引や働く人の技術に価値がある場合があります。買い手は、引き継いだ後に事業を続けられるかを確認します。設備だけを売る場合とは、判断材料が変わります。

ただし、受注があるだけでは足りません。受注をこなすための支出が大きく、続けるほど資金が減るなら、その原因も説明する必要があります。

資料にするのは、魅力と課題の両方です。

  • 継続している受注や取引
  • 事業を担う従業員の体制
  • 使用する設備と契約条件
  • 引継ぎに必要な運転資金
  • 赤字の原因と改善の見通し

強みだけを並べると、後から条件が変わりやすくなります。足りない資金や契約上の制約まで示すと、実行できる条件を検討しやすくなります。

社長自身が営業や現場を担っている場合は、退任後の体制も課題です。引継ぎにどの程度協力できるかを伝えると、買い手側も人員配置を考えやすくなります。

株式譲渡と事業譲渡では、残る借入と代金の行き先が違う

株主が株式を譲る株式譲渡では、会社自体が存続します。会社の借入も、基本的には会社に残ります。社長が退任することと、連帯保証から外れることは別に確認します。

事業を譲る事業譲渡では、譲る対象や引き継ぐ契約を定めます。売却代金は通常、事業を譲った会社が受け取ります。その後に会社へ残る債務の整理が必要になる場合があります。

「売れた金額がそのまま社長の手元に残る」と考えると、生活資金の見積もりまでずれます。代金を受け取る主体を先に確認してください。税金や費用を引いた後の資金も見積もります。

譲渡価格だけを比べても、負担の違いは見えません。引き継がれる債務や、元の会社で負担する費用まで並べて比較します。

詳しくは債務超過の会社は売却できるか。価格と進め方をご覧ください。

債務超過の成約例はあるが、自社の成立条件を確かめる

当社が支援して成約した案件では、売上1億円台の運送業の例があります。債務超過は3,000万円規模、従業員は10名前後でした。当社の成約資料に基づく例で、2026年8月16日に確認しています。

この実績から、債務超過だけで譲渡の可能性が閉ざされるとは考えていません。ただし、同程度の売上や借入なら同じ条件で売れる、という意味ではありません。取引の継続性や引継ぎまでの資金で結果は変わります。

人が辞め、受注が途切れてからでは、買い手が引き継げる範囲が狭まる場合があります。そのため、事業の可能性は営業停止の前に確認したいところです。

一方、売却の見込みが薄いまま営業を続ければ、未払いが増えるおそれもあります。買い手探しと並行して、成立しなかった場合の清算準備を進めます。

過去の成約例は、検討を始める材料として使ってください。自社で待てる期間や支払いの予定を、他社の結果に合わせて延ばすことは避けます。

事業を残す場合も、売却価格の説明と買い手の確認が要る

価値のある事業だけを急いで移し、借入を元の会社に残せばよい、という話ではありません。譲渡価格や条件によっては、債権者との関係で問題になるおそれがあります。関係者への安易な移転は避けてください。

価格の根拠や代金の支払条件を残し、資金の流れを説明できるようにします。買い手についても、引継ぎ後に事業を支えられる資力の確認が必要です。

契約書の確認事項は、次のように分けると漏れを減らせます。

  • 譲渡の対象と対象外の財産
  • 代金の金額と支払時期
  • 契約や雇用の引継ぎ条件
  • 借入と連帯保証の扱い
  • 条件が整わない場合の対応

急いでいるときほど、代金の入金を待たずに財産や権限を渡す約束には慎重な確認が必要です。契約の日と、引渡しや入金の日を分けて把握します。

債務整理に関わる法的判断は、弁護士等が担います。当社は、事業価値の説明資料やM&Aの条件設計を通じて、検討に必要な情報を整えます。

清算費用と取引先への影響は、営業終了までの資金に織り込む

会社を閉じる際の資金は、登記や専門家への費用だけでは足りません。残る支払いと契約終了の負担を含めて、現金が足りるかを確認します。

借入残高に、営業を終えるための支出を加える

通常清算を検討する際、資産と借入だけを比べると不足を見落とします。未払いの仕入代金や給与に加え、退去や設備処分の負担が生じることもあります。

廃業を決めてから新たに分かる費用ほど、資金繰りに響きます。契約書や見積書で、発生する条件と支払日を確かめてください。

  • 未払いの給与や仕入代金
  • 未納の税金や社会保険料
  • 家賃や契約終了に伴う費用
  • 設備の撤去や処分の費用
  • 清算や債務整理にかかる費用

金額が未確定でも、項目を消さずに残します。「未確認」と「支払い不要」は違います。見積もりが届いたら更新できる形にしておくと、必要な資金を比較しやすくなります。

回収予定の売掛金についても、金額だけでなく入金日を記載します。最終的に足りる計算でも、途中の支払日に不足する場合があるためです。

営業を続ける案と止める案では、今後の入出金も変わります。同じ残高から出発しても、どこで不足するかは別々に計算してください。

費用が足りないときは、何にいくら残っているかを伝える

弁護士費用や裁判所への費用など、手続きに必要な資金の確保も課題になります。具体的な金額は、財産や債権者の状況、依頼範囲によって変わります。根拠のない一律の相場で予算を決めないでください。

現金が少ないと、相談しても仕方がないと感じるかもしれません。それでも、残高と入金予定が分かれば、検討の出発点になります。払えないからと手続きを放置しても、支払義務の整理にはつながりません。

費用の見積もりでは、総額と支払時期を分けて聞きます。追加費用が発生する条件も確認してください。個人の借入を増やして支払うと決める前に、会社と個人の負担を並べます。

当社のM&A仲介は、相談無料・着手金なしの成功報酬のみです。報酬は成約時に譲渡代金の中から精算するため、売り手の手元からの持ち出しは0円です。成功報酬そのものが無料という意味ではありません。

税金や別途依頼する専門家の費用は、分けて確認します。仲介報酬の支払方法だけで、清算全体の費用が賄えると判断しないでください。

取引先には、履行できる範囲を確認してから説明する

廃業を考えたとき、長年の取引先に何と話すかは重い課題です。説明を先延ばしにすると、相手も代替先を探す時間を失う場合があります。一方、方針が固まらないまま断片的に伝えると、混乱が広がることもあります。

まず、進行中の取引を確認します。

  • 納品やサービス提供を終えられるか
  • 前受金に対応する仕事が残っているか
  • 預かり品や貸与品を返せるか
  • 継続契約の終了条件は何か

履行できる範囲を踏まえて、誰にいつ何を伝えるかを決めます。支払いが難しい状況では、弁護士等と説明内容や順序を確認する必要があります。

関係が深いという理由だけで、特定の取引先への支払いを先行させることにも注意が必要です。公平な債務整理との関係が問題になる場合があります。謝罪の気持ちと、支払いの判断は分けて扱います。

追加の受注についても、納品やサービスを終えられるかを確認してください。入金を急ぐあまり、履行の見通しがない約束を増やすことは避けます。

従業員への説明は、雇用と未払いを分けて準備する

事業を譲る可能性があっても、従業員の雇用がどうなるかは譲渡の形や条件で変わります。買い手が見つかったという段階だけで、全員の雇用継続を約束することは避けてください。

伝えるべきことは、営業終了や引継ぎの見通しと、給与などの支払いです。未確定の事項は、そのまま未確定と伝えます。見通しが変わる場合に備え、次に説明する時点も考えておきましょう。

退職に関する扱いは、就業規則や雇用契約の確認が必要です。給与の未払いがあるなら、対象期間と金額を整理します。取引先への未払いと一緒にしてしまうと、説明に使う情報が不足します。

従業員が不安から離職すれば、事業の引継ぎ条件も変わりえます。情報を伏せ続けるか一斉に伝えるかの二択にせず、手続きに応じた説明の順序を設計します。

説明の際には、決まった内容を記録に残してください。後から条件が変わった場合も、何が変わったかを伝えやすくなります。

30日以内に進路を決めるなら、資金確認と出口の検討を並行する

これから30日以内に方針を決めたい場合は、資金繰りの確認と選択肢の比較を同時に始めます。すでに支払いが止まりそうなら、30日を待たずに法的対応の要否を確認する必要があります。

着手時点で、残高と最初に足りなくなる日を出す

まず、今日使える現金と預金を確認します。そこへ、入金予定と支払予定を日付順に並べます。月末の合計だけで見ると、月の途中の不足を見逃します。

請求書を出したことと、入金が見込めることは分けてください。支払いの遅れがある売掛金は、その不確実さも記載します。まだ決まっていない融資や売却代金を、使える資金として足すのは避けます。

記録は簡単な表で構いません。

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日付の区分 入金予定 支払予定 残高の見通し
直近の支払日 回収予定を記載 給与などを記載 不足の有無
次の返済日 確認済み分を記載 返済額を記載 不足の有無
営業終了の候補日 最終入金を記載 終了費用を記載 残る資金

不足が見えた日が、判断期限の目安になります。その日までに契約を結べるかだけでなく、代金が入るかまで確認します。

資金不足の日が早まったら、当初の予定にこだわらず判断を見直します。入金の遅れが分かった段階で共有すると、対応を検討する時間を残せます。

初回相談では、資料の完成より現状の共有を優先する

決算書が古い、試算表ができていない。それを理由に相談を遅らせる必要はありません。現時点である資料を使い、不明な箇所を明らかにします。

初回に用意したいものは、次のとおりです。

  • 最新の決算書と手元の試算表
  • 預金残高と今後の入出金予定
  • 借入残高と返済予定が分かる資料
  • 保証契約と担保が分かる書類
  • 未払い先と金額の一覧
  • 継続中の受注と契約の資料

資料と一緒に、「何を残したいか」も伝えてください。雇用の継続を重視するのか、保証の整理を急ぐのかで、検討する条件が変わります。

希望が整理できていなくても構いません。「来月の支払いが不安」「取引先への説明ができていない」と、そのまま伝えることから始められます。

すでに督促や請求を受けている場合は、届いた書面も共有してください。金額だけでなく、対応を求められている期限の確認に使えます。

売却を待つ期限と、清算へ進む条件を決めておく

買い手探しを始めたら、いつまで検討を続けられるかも設定します。候補がいるというだけでは、支払資金は増えません。条件の確認や資金の準備が進んでいるかを見ます。

進捗確認では、次の事項を分けます。

  • 買い手の意思が確認できているか
  • 譲渡対象と価格が固まっているか
  • 必要な同意の見通しがあるか
  • 引継ぎまでの支払いを続けられるか

どこかが止まっているなら、資金繰り表に戻って判断します。見込みが薄いまま期限を延ばすと、清算に使える資金まで減る場合があります。

「売れなかった場合にどうするか」まで決めて、売却を検討します。 弁護士等と清算の準備を並行すれば、方針を切り替える際に必要な資料も整えやすくなります。

売却を断念する条件には、資金面だけでなく契約面も含めます。保証の扱いが未解決のままでは、社長が望む出口に合わない可能性があります。

当社は資料とM&Aの条件設計で、経営者本人の判断を支える

あさひ国際会計株式会社では、赤字・債務超過企業の再生型M&Aを扱っています。会社を残す案と事業を譲る案を検討し、連帯保証の解除を見据えたスキームをご提案します。

金融機関や債権者との交渉の主体は、経営者ご本人です。必要に応じて依頼する弁護士等の専門家が対応します。当社は、本人の協議に必要な情報を整える後方支援を担います。

具体的な役割は、次のとおりです。

  • 事業価値の説明資料を作成する
  • 協議に必要な財務資料を整える
  • M&Aの条件と資金の流れを設計する
  • 買い手候補との譲渡条件を整理する

法的手続きの適否や保証債務の整理は、専門家の確認を踏まえて進めます。状況によっては法的整理が適切な場合もあります。売却を続けること自体を目的にはしません。

相談時点で清算か売却かを決めておく必要はありません。資金の残り方と事業の状態を共有いただければ、比較に必要な情報から整理します。

よくある質問

債務超過でも、会社の解散登記だけ先に進めてよいですか?

解散を検討することはできますが、登記だけを先行させてよいかは、債務と事業の状態によります。解散しても借入や未払いの整理は残ります。清算株式会社に債務超過の疑いがある場合は、会社法511条に基づく清算人の申立義務も関わります。事業譲渡の可能性があるなら、引継ぎに必要な契約や営業の扱いも含めて順序を確認してください。

社長が自分のお金で不足分を払えば、通常清算できますか?

会社の債務と清算に必要な費用を支払える状態になれば、通常清算を検討できる場合があります。ただし、入金の扱いによっては会社に社長への返済義務が残ります。会社へ貸すのか、ほかの形で資金を入れるのかによって、会計や税務も変わります。生活資金を投入する前に、資金提供後の会社と個人の状態を確認してください。

事業を売った代金で借入を返し切れなければ、どうなりますか?

事業譲渡後も会社に債務が残る場合は、その債務の整理が必要です。特別清算や破産などの適否を、残る財産や債権者の意向から検討します。譲渡代金の使い道も、経営者だけの判断で決めてよいとは限りません。売却の契約と、売却後の会社の整理を一続きで設計してください。連帯保証も別途確認します。

まだ廃業すると決めていなくても、相談できますか?

廃業を決めていない段階でもご相談いただけます。当社への相談は無料です。借入と保証の状況、使える資金、引き継げる事業を整理し、M&Aを検討する余地を確認します。状況によっては法的整理が適切な場合もあります。手続きの選択に法的判断が必要な場合は、弁護士等の専門家による確認を踏まえます。資料が不足しているときは、その旨をお伝えください。

まとめ

預金残高と次の支払予定を確認し、借入・保証・未払いの資料を手元に集めてください。通常清算が難しいと感じたら、資金が尽きる前に当社の無料相談で現状を共有し、事業を譲る可能性と清算へ進む条件を並べて検討しましょう。

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この記事を書いた人

あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を見据えた再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介の成約実績があります。
他社で断られた案件のご相談も承っています。ご相談は無料です。

無料相談はこちら / お急ぎの方はお電話でも承ります 03-5657-7496

状況によっては法的整理が適切な場合もあります。他社で断られた案件も、M&Aの成立を約束するものではありません。資金や債務の状況を踏まえ、弁護士等の専門家による法的判断を尊重して検討します。

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—END FIGURES—


最終更新日: 2026年10月20日