赤字・債務超過の製造会社でも、設備・技術・取引先を引き継いで生産を続けたい買い手はいます。買い手が見るのは、工場や設備だけではありません。加工や検査を担う職人が残るか、取引先が発注を続けるかも重要です。賃借工場、リース設備、取引先との契約を事業譲渡で引き継ぐには、相手方の承諾が必要です。会社の借入と社長の連帯保証も、譲渡とあわせて扱いを検討します。
あさひ国際会計は、赤字・債務超過の製造会社の譲渡を支援してきました。工場・設備・雇用を引き継ぐ条件と、会社に残る借入・社長の連帯保証について、譲渡前に確認する点を説明します。
赤字でも、設備・技術・取引先に買い手はつくか
赤字でも、設備・技術・取引先を引き継いで生産を続けられる事業には、買い手がつくことがあります。工場や設備を使い続けられるか、技術を持つ人が残るか、取引先からの受注が続くかが判断のポイントです。
- 工場と土地建物:所有か賃借か、賃貸人の承諾が得られるか、借入の担保に入っていないか
- 設備:自社所有かリースか、引き続き使える状態か
- 技術と図面:図面・金型・加工や検査の手順を、特定の人だけに頼らず引き継げるか
- 技術を持つ人:職人や技術者が譲渡後も働くか。少人数の会社では、その人たちが残るかどうかが事業の価値を左右します
- 取引先:主な取引先はどこか、売上が1社に偏っていないか、譲渡後も取引が続く見込みがあるか
- 在庫と受注:原材料・仕掛品・製品はどのような状態か、受注済みの案件は何か
- 借入と未払い:金融機関からの借入、仕入先への未払い、税金・社会保険料の滞納があるか
決算が赤字でも、設備と技術、取引先がそろった事業を取得したい買い手はいます。一方、黒字でも、1人の職人に技術が集中し、その人が辞めると生産が止まる会社では、譲渡の条件が厳しくなります。
賃借工場・リース設備・取引先との契約は引き継げるか
株式譲渡では会社自体が変わらないため、契約・工場・設備はその会社に残ります。事業譲渡では、契約ごとに相手方の承諾を得て、資産を一つずつ移します。
| 引き継ぐもの | 事業譲渡の場合 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 賃借している工場 | 賃借人が賃借権を譲り渡すには、賃貸人の承諾が要る(民法612条) | 承諾なしに譲り渡すと、賃貸人は契約を解除できる(同条2項) |
| 取引先・リース会社との契約 | 契約上の地位を譲渡する旨の合意をしたうえで、相手方が承諾すれば移る(民法539条の2) | 主要な取引先から承諾を得られるかが、譲渡の条件に直結する |
| 従業員 | 一人ひとりの同意が要る(民法625条1項) | 技術を持つ人が同意するかを先に確認する |
赤字・債務超過の会社では、借入を売り手の会社に残し、事業だけを移す事業譲渡が多く選ばれます。製品や工程によっては、営業の許可や届出が必要です。たとえば食品の製造では、食品衛生法の営業許可を受けた者が営業を譲渡すると、譲り受けた者が許可営業者の地位を承継します。譲り受けた者は、遅滞なく都道府県知事に届け出ます(食品衛生法56条)。許可・届出の手続きは、行政書士などの専門家が担います。
職人や従業員に、譲渡後も働いてもらうには
事業譲渡で雇用を買い手に引き継ぐには、従業員一人ひとりの同意が必要です(民法625条1項)。株式譲渡では、雇用契約の相手は同じ会社のままです。
加工や検査の技術を持つ人が残るかどうかは、買い手の判断を大きく左右します。譲渡の条件を決める前に、誰が引き続き働くかを確認します。
製造会社を売れば、社長の連帯保証は外れるか
会社を売っても、社長の連帯保証が自動的に外れるわけではありません。事業譲渡では借入が売り手の会社に残るため、譲渡代金を返済にどう充てるか、残る借入をどう扱うかも検討します。
当社は、会社の譲渡とあわせて、連帯保証の解除を目指す譲渡方法や条件を検討し、提案します。ただし、譲渡による連帯保証の解除をお約束するものではありません。
状況によっては、破産などの法的整理が適切な場合もあります。その判断と手続きは弁護士が担います。
給料・仕入代金・リース料の支払いが厳しいとき、どこに相談するか
今月・来月の給料、仕入代金、リース料、借入の返済が間に合わない場合は、まず弁護士へ相談してください。自社で事業を続けたい場合は中小企業活性化協議会、引き継ぎ先を探したい場合は赤字・債務超過の製造会社のM&Aを扱う専門家が相談先になります。
今月・来月の支払いが間に合わない場合は弁護士へ
最初の相談先は弁護士です。並行して、製造会社のM&Aを扱う専門家に、事業の引き継ぎ先を探せる見込みがあるか相談することもできます。
赤字でも自社で事業を続けたい場合は中小企業活性化協議会へ
公的機関の中小企業活性化協議会に相談できます。相談は無料です。
設備・技術・職人の引き継ぎ先を探すなら製造業のM&Aを扱う専門家へ
赤字・債務超過の製造会社のM&Aを扱う専門家に相談できます。許可・届出の手続きは、行政書士などの専門家が担います。
相談先ごとの違いは、赤字・債務超過の会社は、どこに相談すればいいかで説明しています。
当社が支援した製造会社の例
当社には、売上1億円規模・従業員数名の製造会社の譲渡を支援し、成約した例があります。個別の会社が分からないよう、規模は幅を持たせて示しています。
- 製造業/売上1億円規模/従業員数名の小規模
あさひ国際会計は、譲渡のどこまで相談に乗れるか
当社は、赤字・債務超過の製造会社のM&A仲介と、連帯保証の解除を目指す譲渡方法・条件の提案を行います。法的手続きの代理や、許可・届出の申請代行は行いません。
| 相談できること | 赤字・債務超過の製造会社の事業譲渡・株式譲渡の仲介/連帯保証の解除を目指す譲渡方法・条件の提案 |
|---|---|
| 実績 | M&A仲介の成約は年間60件以上(譲渡の実行まで完了したもの)。製造業の会社の成約もあります。 |
| 費用 | 相談は無料です。着手金はいただきません。報酬は成約時に、譲渡代金の中から精算します。 |
| 登録 | 中小企業庁「M&A支援機関登録制度」の登録支援機関(FA・仲介/支援地域は全国)。法人番号 6010501044373。 |
| 当社では対応できないこと | 破産・民事再生などの法的手続きの代理(弁護士が担います)/営業許可・届出の申請の代行(行政書士などが担います) |
よくあるご質問
赤字続きでも、設備や加工技術を引き継ぎたい買い手はいますか
います。設備と技術、取引先を引き継いで、生産を続けたい買い手がいるためです。ただし、すべての会社に買い手が見つかるわけではありません。
借りている工場やリース設備を、買い手が使い続けるには何が必要ですか
事業譲渡では、賃貸人やリース会社の承諾が必要です(民法612条、539条の2)。株式譲渡では会社が変わらないため、契約はそのまま続きます。ただし、契約の内容によっては、会社の持ち主が変わること自体に承諾や通知が要る場合があります。契約書の確認が必要です。
売上が1社に偏っていても、製造事業を譲れますか
譲渡できる場合はあります。ただし、買い手が重く見るのは、その取引先との取引が譲渡後も続くかどうかです。取引先から承諾を得られるかを、早めに確認します。
会社の売却が決まれば、社長の連帯保証も解除されますか
売却だけで連帯保証が解除されるわけではありません。当社は、会社の状況に応じて、連帯保証の解除を目指す譲渡方法や条件を提案します。解除をお約束するものではありません。
決算書や設備・リースの一覧がそろっていなくても、相談できますか
資料がそろっていなくても相談できます。決算書(直近3期分)、借入の一覧、設備とリースの一覧、工場の賃貸借契約書、主な取引先の一覧は、用意できる範囲でご準備ください。
関連する記事と資料
- 製造業M&Aで工場を引き継ぐ段取りと、設備・職人・連帯保証の引き継ぎ条件
- 無料資料『債務超過でも事業は譲れる』
- 赤字・債務超過の会社は、どこに相談すればいいか
- 赤字・債務超過の会社の譲渡で、買い手は何を聞いてくるか(質問1,052問の分類)
根拠の条文と公的機関のページ
このページで挙げた条文は、次の一次資料で確認できます。
- 民法(612条・539条の2・625条)(e-Gov法令検索)
- 食品衛生法(56条・食品製造の営業許可を承継する場合)(e-Gov法令検索)
- 中小企業活性化協議会(中小企業庁)
ご相談の窓口
お電話:03-5657-7496(平日9:00〜19:00)
メール:hiromu@asahi-int.com
フォーム:お問い合わせ