この記事の対象と結論

休眠会社の廃業手続きは、現在の登記と残った債務を確かめてから進めます。営業を止めた事実だけでは、会社の借入や経営者の連帯保証まで整理されたことにはなりません。

「売上はなく、返済だけが続いている」。そんな会社を閉じるなら、使えるお金と支払総額の照合が先です。廃業費用を含めて払える見込みなら、解散・清算を検討します。不足する場合は、債務の整理も含めた判断になります。

休業、解散、清算結了、連帯保証の解除は、それぞれ完了を確かめる事項が違います。 登記だけを終点にすると、個人の負担が見えないまま残りかねません。

廃業や保証の悩みを相談する経営者は珍しくありません。資料がそろわなくても、会社と個人の問題を分けるところから始められます。

休眠会社を閉じる出発点は、現在の登記と休業時の記録

休眠会社を廃業するときは、営業を止めた経緯と登記上の状態を照合します。休業中だと思っていても、すでに解散が登記されている場合があるためです。

営業を止めても、法人を閉じる手続きは残る

日常会話で使う「休眠会社」は、営業を止めている会社を指すことがあります。ただ、店を閉めた日や受注をやめた日が、そのまま解散日になるわけではありません。

税務関係の届出をした記憶がある場合も同様です。何を、どこへ、いつ届けたか。まずは控えを確かめてください。税務の届出と法人の登記は、分けて確認する対象です。

手元に集めたい資料は次のとおりです。

  • 現在の登記内容が分かる資料
  • 休業時に提出した届出の控え
  • 最後に作成した決算書
  • 会社名義の口座の入出金記録

見つからない書類は「未確認」として残します。記憶だけで済んだことにすると、後から未処理の申告や契約が見つかった際に、予算も日程も組み直すことになります。

会社法上の休眠会社は、最後の登記から判断する

会社法上の「休眠会社」は、営業停止の長さだけで判断する言葉ではありません。株式会社の最後の登記から、どれだけ経過したかが基準です。

会社法第472条では、最後の登記から12年を経過した株式会社が対象です。法務大臣の公告後、2箇月以内に所定の対応がなければ、解散したものとみなされます。出典は会社法第472条で、制度内容は2026年8月18日確認です。

この扱いを「みなし解散」と呼びます。自ら営業を止める休業とは、きっかけが違います。

法務省は、必要な登記や「事業を廃止していない」旨の届出を案内しています。廃業を決めた会社が、内容を確かめずに出すものではありません。届いた通知と実際の状況を照合してください。

制度の説明は、法務省「休眠会社・休眠一般法人の整理作業について」に掲載されています。

みなし解散になっていても、清算の仕事は残る

みなし解散は、財産の回収や借入の整理まで自動で終える仕組みではありません。解散の記録があっても、その先の作業が済んだかを調べます。

法務局からの通知があれば、封筒ごと保管してください。古い通知だけで現状を決めず、現在の登記と見比べます。

照合する項目は次のとおりです。

  • 解散が登記されているか
  • 清算人が登記されているか
  • 清算結了まで記録されているか
  • 財産や債務が残っているか

「待てば会社が消える」と考えている間にも、未解約の契約から請求が続く場合があります。郵便物の受取先が古いままなら、通知を見落としていないかも調べる対象です。

すでに解散している場合は、任意に解散する会社と同じ手順を最初から繰り返すとは限りません。現在地を把握して、未了の作業を特定します。

再開を考えるなら、予定と維持費を比べる

営業再開の意向があるなら、会社を残す理由を具体化します。「いつか使うかもしれない」だけでは、維持する負担との比較が難しくなります。

再開の見込みは、次の点から確かめます。

  • 再開を予定する時期
  • 受注につながる取引先の意向
  • 人材や設備を確保する見通し
  • 再開後の返済を含む資金計画

再開時期が決まらず、費用だけが続くなら廃業との比較に進みます。取引や技術を引き継げる可能性があれば、譲渡も検討対象です。

営業を戻すことと、昔の会社をそのまま使えることは別の話です。詳しくは休眠会社の再開手続きは登記の確認から、借入が残る会社の営業再開と資金準備をご覧ください。

廃業の進め方は、残った債務と費用を払えるかで分かれる

通常の解散・清算で進められるかは、債務と廃業費用を賄える見込みから判断します。古い決算書の資産額より、今いくら回収できるかを確かめてください。

帳簿にある資産と、返済に使えるお金を分ける

売掛金や在庫が決算書に載っていても、その金額で回収できるとは限りません。休眠期間が長い会社ほど、記録と実態の差を調べる作業が増えます。

売掛金なら、相手先と連絡が取れるかが出発点です。設備なら、売却代金から撤去や運搬の負担を引いて考えます。売値だけでは、返済に回せる額は分かりません。

資産の一覧には次の情報を添えます。

  • 帳簿に記載された金額
  • 現在の回収見込額
  • 入金を見込める時期
  • 回収や処分にかかる費用

現預金と、まだ買い手のいない設備は区別してください。合計額で足りていても、売却前に支払期限が来れば資金が不足します。

回収できるか不明な資産は、使えるお金へ足し込まないほうが判断しやすくなります。見込みが確認できた段階で、資金計画へ反映させます。

借入以外の未払いと契約終了費用も拾う

銀行への返済だけを計算しても、廃業の予算は完成しません。営業停止後に残った契約や、休業前の未払いを含めて調べます。

たとえば、事務所から荷物を出していても、賃貸契約の終了が済んでいるとは限りません。口頭で伝えた内容と契約書を照合する場面です。

確認対象には次のものがあります。

  • 税金や社会保険料の未処理分
  • 買掛金や未払いの外注費
  • 給与や退職に伴う支払い
  • 賃貸物件の明渡しに伴う費用
  • リースや保守契約の残った負担

休業前の請求書に加え、その後の郵便物も開いて確認してください。金額に争いがある請求も、存在自体を一覧から外さず、争点を添えます。

従業員や取引先への説明には、支払える額と時期の見通しが関わります。不明なまま約束を重ねるより、確認済みのことと未確定のことを分けて伝える準備をします。

完済できる会社と不足する会社では、出口が違う

財産を換金して債務と費用を払える会社なら、通常の解散・清算を検討できます。支払総額に届かない場合は、債務の整理まで含めた設計になります。

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現在の状態 検討する方向 先に調べること
債務と費用を払える 解散・清算 回収額と支払日
支払資金が不足する 債務の整理 不足額と期限
引き継げる事業がある M&Aの検討 価値と承継条件
記録が不足している 実態の確認 登記・財産・債務

複数の状態に当てはまる会社もあります。事業を譲渡した後に、残った会社の債務を整理する案も検討対象です。

ただし、買い手が決まっていない段階の譲渡代金を、支払原資として扱うのは早計です。条件が固まるまでは未確定の収入として分けます。

再開を待つ案も含め、支出が続く間に現金がどこまで減るかを比べてください。選択肢の名前より、実行まで資金が持つかが判断に直結します。

支払えない見込みなら、登記だけを先行させない

解散しても、返済に使えるお金が増えるわけではありません。不足が見えたら、法的整理を含む進め方を弁護士が検討する局面です。

清算中の株式会社に債務超過の疑いがある場合も、放置してよいとは扱えません。会社法第511条は、その場合の清算人に特別清算開始の申立義務を定めています。根拠は会社法第511条です。

もっとも、特別清算という名称だけで利用の可否は決まりません。財産の状態や債権者との関係を踏まえて、適した手続きを検討します。

支払期限が来た債務を継続して払えないなら、破産手続の検討も視野に入ります。引き継げる事業があっても、資金が尽きる時期を無視してM&Aの成立を待つのは避けたいところです。

株式会社の解散・清算は、決議から残務の整理へ進む

株主総会の決議で株式会社を解散する場合は、解散後に清算を進めます。すでにみなし解散となっている会社は、現在の登記と残務に合わせて手順を確認します。

解散の決議に向けて、株主と清算人を確認する

任意に株式会社を解散する場合は、株主総会の特別決議が前提です。定款と株主の記録を調べ、議決権を持つ人を確かめます。

会社法第309条・第471条では、原則として議決権を行使できる株主の過半数の出席を要します。賛成は、出席株主の議決権の3分の2以上です。出席要件は定款で3分の1以上まで軽減できます。出典は会社法で、2026年8月18日確認です。

休眠期間が長いと、株主の連絡先や書類の保管場所が分からないこともあります。代表者の意思だけで進める前に、決議に必要な情報を整えます。

解散後の財産回収や支払いを担う人が「清算人」です。定款や株主総会で別段の定めがなければ、解散時の取締役が清算人となるのが原則です。

名義上の担当を決めて終わりにはできません。郵便物を受け取り、支払状況を確認し、専門家との連絡を続けられる体制も考えておきます。

解散と清算人の登記には期限がある

解散の決議後は、登記の日程を具体化します。過去の変更登記が未処理なら、今回の申請と合わせて対応範囲を確認してください。

解散の登記は、解散日から2週間以内です。清算人の登記も、解散日または選任日から2週間以内とされています。根拠は会社法第926条・第928条で、2026年8月18日確認です。

手元の書類と現在の登記に違いがあれば、理由を調べます。古い情報をそのまま申請書へ移さないようにしてください。

依頼時には、次の範囲を確認します。

  • 解散前の未処理登記を含むか
  • 解散と清算人の登記を含むか
  • 清算結了の登記まで含むか
  • 追加書類の作成費用があるか

司法書士への見積依頼でも、会社の状態を伏せずに伝えます。解散の登記だけを頼むのか、未処理事項の調査から頼むのかで、作業の範囲が変わります。

官報公告と、判明している債権者への催告をおこなう

清算では、債権者に債権の申出を求めます。長く営業していない会社でも、把握している債権者への対応を省けると考えないでください。

会社法第499条の文言は「一定の期間内にその債権を申し出るべき旨」です。官報公告と、判明している債権者への個別の催告を定めています。申出期間は2箇月を下回れません。出典は会社法第499条で、2026年8月18日確認です。

この期間は、廃業全体の完了予定を示すものではありません。財産の回収や未払いの確認が残れば、さらに作業が続きます。

公告の準備と合わせて、次の情報を整えます。

  • 債権者の名称と連絡先
  • 債務の内容と残高
  • 支払期限や契約の条件
  • 金額に争いがあるかどうか

借入の返済先だけで一覧を終えないようにします。元従業員や取引先からの請求も確認し、個別の催告と公告の両方を手順に入れます。

財産と債務を整理してから、清算結了へ進む

清算では、残った財産を調べて回収し、債務を処理します。株主に残余財産を分配する場合も、債権者への対応を踏まえた順序で進めます。

途中で古い未払いが見つかる場合もあります。内容が分からないからと帳簿から消しても、請求の問題が解決したことにはなりません。確認した相手と経過を記録してください。

終盤の作業は次の順に整理します。

1. 財産の回収と処分の結果をまとめる
2. 債務の処理状況を確認する
3. 決算報告を作成して承認を受ける
4. 清算結了の登記を申請する

清算結了の登記は、決算報告の承認日から2週間以内です。根拠は会社法第929条で、2026年8月18日確認です。

登記と合わせ、税務上の申告や届出も担当者と確認します。詳しくは会社の廃業手続きを全体整理|解散・清算と借入、連帯保証の分岐をご覧ください。

休眠会社の廃業予算には、登記以外の支出も入れる

休眠会社の廃業費用は、登記の税金だけでは足りません。公告の実費や専門家報酬に加え、過去の記録を整える費用も見積もります。

登録免許税の合計を、廃業総額と取り違えない

株式会社の解散・清算に伴う登録免許税は、登記ごとに定められています。依頼先によって変わる報酬と、法定の税額を分けて見られる部分です。

次の税額は、株式会社の各登記の申請に対するものです。登録免許税法別表第一第24号を出典とし、2026年7月23日時点の現行法で確認されています。

登記の内容 登録免許税
解散 3万円
清算人・代表清算人 9千円
清算結了 2千円
上記の合計 4万1千円

この合計は、廃業費用の総額ではありません。 官報公告の実費や司法書士報酬は別にかかります。過去の登記に未処理事項があれば、その費用も確認する対象です。

すでに解散が登記されている会社は、これから任意に解散する会社と作業範囲が異なります。表の合計をそのまま当てはめず、未了の登記から予算を組みます。

費用の幅は、未処理の期間と作業範囲で見積もる

営業していなかった期間にも、口座の入出金や申告の確認が残っている場合があります。売上がないことだけで、経理の作業もないとは判断できません。

維持費を経営者が立て替えていたなら、その記録も探してください。会社から個人へ返したお金があれば、入出金の理由と資料を対応させます。

見積もりでは次の範囲を明らかにします。

  • 未処理の会計記録を整える作業
  • 申告や届出の状況を調べる作業
  • 解散後の税務処理
  • 契約の終了や物品の処分

休眠会社すべてに共通する総額の幅は、これらを確認しない段階では示せません。確認済みの作業で計算した額と、追加作業を含む額を分けて見積もります。

追加料金が発生する条件も聞いておきます。資料不足の調査費用を含むのかが分かれば、提示額だけを比べるより判断しやすくなります。

口座の解約は、残った入出金を確認してから

廃業を決めた直後に口座を閉じると、売掛金の回収や返金の受取りが難しくなる場合があります。口座の解約時期は、清算の進み方に合わせます。

引落しが止まったことと、契約が終了したことも別です。使っていないサービスの請求が残っていないか、通帳と契約書を照合してください。

資金表には次の項目を置きます。

  • 現在使える現預金
  • 入金予定と根拠資料
  • 支出予定と支払期限
  • 清算の作業に残しておく費用

会社へ個人のお金を入れる場合も、用途と金額を記録します。生活費まで投入してから個人の返済が難しくなると、会社と家計の両方を組み直すことになりかねません。

家族へ説明する際は、会社に使う予定額と生活のために残す額を分けます。見通しが未確定な部分も、そのまま共有するほうが誤解を減らせます。

費用を払えない場合は、不足額と時期を示す

廃業費用が払えないときは、足りない金額と支払時期を具体化します。資金不足を理由に放置しても、未払いの債務や残務が片づくわけではありません。

法的整理を検討するなら、弁護士費用や裁判所への費用も資金計画に入ります。手続きの選択と費用の準備を、並行して検討する場面です。

自分への立替金返済や、関係者への支払いを急ぐのは避けてください。支払先の公平性が問題になる可能性があるため、弁護士による確認を踏まえて進めます。

相談時は預金残高だけでなく、売却を考えている財産と見積額も伝えます。費用を捻出できる可能性と、処分の妥当性を分けて検討するためです。

詳しくは倒産手続き費用はいくら残すべきか|法人破産・廃業・M&Aの資金設計をご覧ください。

借入と連帯保証は、会社の登記とは別に完了を確認する

休眠や解散の事実だけで、経営者の連帯保証が外れるわけではありません。会社の返済状況と、保証契約の扱いを別々に確認します。

保証している借入を、契約ごとに整理する

借入残高が分かっていても、保証の対象や担保の範囲まで把握できているとは限りません。残高表と保証契約の書類を並べて確認します。

個人名義で借りて会社へ入れたお金も分けてください。法人の清算予算だけを見ると、その返済負担が抜け落ちます。

契約ごとに整理する項目は次のとおりです。

  • 借主が会社か個人か
  • 現在の借入残高
  • 保証人として記載された人
  • 担保に入っている財産
  • 返済条件を変更した履歴

書類のない契約は、確認待ちと記載します。署名した記憶が曖昧でも、保証がないと決めつけないでください。

休業中に代表者が変わっている場合も、現在の登記だけで保証人は判断できません。誰の契約が残っているかを調べる作業になります。

保証債務の整理には、会社側の手続きも関わる

すでに負っている保証債務には、経営者保証に関するガイドラインによる整理を検討できる場合があります。ただし、情報を開示すれば利用できる仕組みではありません。

同ガイドラインには、会社側の手続きに関する要件があります。会社が法的債務整理手続または準則型私的整理手続を申し立てていること。あるいは、その申立てをおこなう見込みであることなどです。

休眠や廃業の届出だけで、この要件を満たすとは扱えません。会社の債務をどの枠組みで処理するかも検討します。

また、新たに保証を付けない場面と、すでに負った保証を整理する場面では、確認する要件が異なります。会社と個人の財産を分けて管理してきた、という事情だけで結論は出せません。

制度の原文は全国銀行協会「経営者保証に関するガイドライン」で確認できます。

法人の破産と、経営者個人の判断は分ける

会社が支払いを続けられない場合でも、個人の手続きは個人の債務と財産から判断します。法人の状況だけで、経営者の自己破産まで決まるものではありません。

反対に、会社の清算が済めば個人への請求も終わる、と考えるのも早計です。保証の対象となる契約と、個人で負担できる範囲を照合します。

破産法第1条は、目的に「経済生活の再生の機会の確保」を掲げています。財産の清算とともに、その後の生活を立て直す意味もある手続きです。出典は破産法第1条です。

状況によっては法的整理が適切な場合もあります。事業を譲れるかを調べることと、個人の債務整理を検討することは、並行して進められます。

M&Aの契約と、金融機関の保証解除は別に確かめる

会社や事業を譲渡しても、保証が自動で外れるとは限りません。買い手の約束と、金融機関が同意した内容を分けて確かめます。

契約書に「解除に協力する」と書かれていても、作業が完了したことにはなりません。譲渡の実行時期と保証の整理時期が異なるなら、その間の負担も確認します。

確認事項は次のとおりです。

  • 対象となる借入と保証契約
  • 金融機関の同意の内容
  • 解除までに残っている作業
  • 予定どおり進まない場合の扱い

会社の譲渡と保証の整理には、別々の完了条件を置きます。 書類の有無だけでなく、対象となる保証と効力が生じる時点まで確認してください。

金融機関との協議・交渉は経営者本人が主体です。法律上の判断や代理による交渉が関わる部分は、依頼する弁護士等の専門家が役割に応じて担います。

残った事業価値があるなら、廃業と譲渡を比較する

休眠会社のM&Aは、買い手が引き継ぎたい事業や資産があるかを確かめて検討します。法人が残っているという理由だけで、売却可能と判断することはできません。

過去にあった事業と、今引き継げるものを分ける

営業を止めた後も、技術や取引関係が残っている場合があります。ただし、以前の売上をそのまま将来の価値として示せるとは限りません。

長く連絡していない取引先が、再開後も発注するかは未確認です。退職した従業員の復帰も、本人の意向を聞くまでは前提にできません。

検討資料には、現在の状態を記載します。

  • 連絡が取れる取引先と取引の状況
  • 稼働できる設備と維持の状態
  • 引継ぎを検討できる人材
  • 他社が活用できる技術や資料

許認可や契約は、引継ぎが可能かを別途確かめます。持っているという説明だけでは、買い手がそのまま使えるかは分かりません。

反対に、廃業に向けて先に設備を処分すると、事業として引き継ぐ余地が狭まる場合もあります。処分の前に、単体で売る案と事業として譲る案を比べます。

譲渡代金の受取人と、会社に残る債務を確認する

株式譲渡と事業譲渡では、譲る対象と代金を受け取る主体が異なります。経営者個人の手取りと、法人の返済資金を混同しないようにします。

事業を譲渡した後も、元の会社に債務や契約が残る場合があります。買い手が見つかった段階で、廃業資金の問題まで解決したと考えないでください。

比較する項目は次のとおりです。

  • 譲渡の対象となる財産や契約
  • 譲渡代金を受け取る主体
  • 譲渡後も会社に残る債務
  • 税金や報酬を差し引いた資金

従業員の雇用や取引先との契約も、承継条件を確認します。「事業を残せる」という説明だけで、すべての関係が同じ条件で続くとは受け止めないでください。

成約後の残務まで担当を決めておけば、会社を閉じるために残す資金も見積もりやすくなります。

当社は資料整備と条件設計で経営者を後方支援する

あさひ国際会計株式会社は、再生型M&Aの仲介を扱っています。連帯保証の解除を見据えたスキームの提案と、事業承継支援をおこなっています。

金融機関への説明に用いる事業価値の資料を作成し、M&Aの条件を設計します。協議・交渉の主体は経営者本人と、必要に応じて依頼する弁護士等です。当社は資料整備などの後方支援を担います。

これまで成約に至った案件では、いずれも連帯保証の解除まで見届けています。ただし金融機関の同意が前提です。すべての会社で同じ結果になると言い切れるほど単純ではありません。

相談は無料で、着手金はありません。報酬は成約時に譲渡代金の中から精算するため、売り手の手元からの持ち出しは0円です。成功報酬は発生し、清算や法律・税務の費用は別に確認します。

相談時には、分からない事項もそのまま伝える

相談前に資料を完成させる必要はありません。「未確認」の箇所を示すだけでも、次に調べることを決めやすくなります。

初回には次の内容をお伝えください。

  • 営業を止めた時期と理由
  • 現在の預金と直近の支払期限
  • 借入残高と保証の有無
  • 手元にある登記・会計資料
  • 残っている取引や設備の状態

登記は司法書士、税務は税理士が扱う領域です。債務整理や法律上の交渉は弁護士が担います。役割を分けて、誰が何を確認するかを明らかにします。

依頼範囲を選ぶ際は、提出書類の作成だけで終わるのかも確認してください。借入や保証が残るなら、その整理と手続きの日程を合わせられるかが判断材料になります。

当社への相談では、廃業を考えている理由からお話しください。譲渡の可能性と、法的整理の検討を要する事情を分け、残せるものと整理するものを確認します。

よくある質問

休眠会社は、そのまま放置すれば廃業できますか?

放置によって、債務や清算の仕事まで済むわけではありません。株式会社にはみなし解散の仕組みがありますが、解散と清算結了は異なります。現在の登記を調べ、財産や契約、借入が残っていないかを確認してください。届いた通知の内容も、営業の実態と合わせて確かめます。

売上も預金もない休眠会社でも、手続きは残りますか?

売上や預金がないことと、未処理事項がないことは別です。登記に加えて、未払いの請求や申告の状況、契約の解約状況を調べます。廃業費用も払えない場合は、不足額と会社に残る財産を整理してください。資金をどう用意するかも含めて、進め方を検討します。

借入が残っていても、解散の登記で連帯保証は外れますか?

解散の登記だけで連帯保証が外れるわけではありません。保証の対象となる契約と、借入の返済・整理の内容を確認します。会社の清算と並行して、金融機関の同意や保証債務を整理する条件を検討します。会社側の登記と、個人の保証の扱いを分けて確かめてください。

長く休眠していた会社でも、M&Aを相談できますか?

ご相談は可能です。ただし、休眠会社であることだけで買い手が見つかるとは判断できません。現在も引き継げる取引や設備、技術などを確認します。事業価値が乏しい場合や、支払いを続けられない場合には、清算・法的整理が適切なこともあります。

まとめ

休眠会社の廃業手続きに着手するなら、現在の登記と借入の資料を並べ、未処理の支払いを書き出してください。資金不足や連帯保証が残る場合は、その一覧をもとに、清算・債務整理・事業譲渡のどこから検討するかをご相談ください。

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この記事を書いた人

あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を見据えた再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介の成約実績があります。
他社で断られた案件のご相談も承っています。ご相談は無料です。

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最終更新日: 2026年9月22日