この記事の対象と結論

債務超過とは、会社の負債が資産を上回り、純資産がマイナスになっている状態です。赤字とは意味が異なり、債務超過でも営業や支払いを続けられる会社はあります。

一方、黒字でも手元資金が尽きれば、支払いが止まるおそれがあります。そのため、貸借対照表の数字だけで会社の行く末を決めるのは早計です。

まず確認したいのは、債務超過額、今後の資金繰り、事業が生み出す利益、借入の連帯保証です。そのうえで、経営改善、資金繰りの見直し、事業再生、M&A、廃業、法的整理を比較します。

債務超過は、会社の終わりを意味する言葉ではありません。ただし、判断を先送りすると選択肢が狭くなります。数字を正しく整理し、事業と経営者個人の両方を守る道を検討する段階です。

債務超過とは何か

似た言葉を整理
3つの違い

負債が資産を上回っている状態

債務超過は、貸借対照表に載る資産の合計より、負債の合計が大きい状態です。計算式にすると、次のようになります。

> 純資産=資産-負債

この計算結果がマイナスなら、会計上は債務超過です。

たとえば、資産が5,000万円、負債が7,000万円なら、純資産はマイナス2,000万円になります。このマイナス部分が債務超過額です。

資産には、現預金、売掛金、在庫、土地、建物、機械などが含まれます。負債には、借入金、買掛金、未払金などが入ります。

ただし、帳簿上の金額と、実際に売却できる金額が同じとは限りません。回収できない売掛金や、販売しにくい在庫が含まれていることもあります。反対に、帳簿価格を上回る価値の不動産や事業資産がある場合もあります。

そのため、決算書の純資産を見るだけでなく、資産の実態も確かめる必要があります。

赤字と債務超過は別の概念

赤字は、一定期間の収益より費用が多い状態です。損益計算書で判断します。

債務超過は、決算時点における資産と負債の関係です。貸借対照表で判断します。両者の違いを整理すると、次のとおりです。

→ 横にスクロールできます

項目 赤字 債務超過
表すもの 期間の損失 財産の不足
確認書類 損益計算書 貸借対照表
主な数字 当期純損失 純資産
判断基準 収益より費用が多い 負債が資産を上回る

赤字が続くと、利益剰余金が減り、やがて債務超過につながることがあります。しかし、単年度の赤字だけで債務超過になるとは限りません。

過去に蓄積した利益が十分にあれば、赤字でも純資産はプラスのままです。一方、今期が黒字でも、過去の損失が大きければ債務超過は残ります。

「今期は黒字だから問題ない」とも、「赤字だから会社を閉じるしかない」とも言い切れません。損益と財産の両面を見る必要があります。

資金ショートとも意味が異なる

資金ショートは、支払日に必要な現金を用意できない状態です。債務超過とは異なり、手元資金と支払予定の問題を表します。

純資産がプラスでも、売掛金の回収が遅れれば資金は不足します。利益が出ていても、借入返済や設備投資が重なれば、現金が足りなくなることがあります。いわゆる黒字倒産につながりうる状態です。

反対に、債務超過でも金融機関からの借入を継続でき、毎月の支払いが回っている会社はあります。この場合、すぐに営業が止まるわけではありません。

ただし、資金が回っているから安心ともいえません。借入で赤字を補い続けているなら、債務超過額が広がるおそれがあります。

債務超過と資金繰りは、次のように分けて確認します。

  • 債務超過は貸借対照表で見る
  • 赤字は損益計算書で見る
  • 支払能力は資金繰り表で見る
  • 返済負担は借入一覧で見る

この4つを重ねると、会社の状態が見えやすくなります。

債務超過だけでは倒産にならない

「債務超過になったら倒産する」と考える経営者は少なくありません。しかし、債務超過になっただけで、会社が自動的に破産するわけではありません。

破産法15条1項では、債務者が支払不能にあるとき、裁判所が申立てにより破産手続を開始すると定めています。支払不能とは、弁済期にある債務を一般的かつ継続的に弁済できない状態です。

つまり、会計上の債務超過と、現実に支払いができない状態は区別して考えます。

もっとも、債務超過は財務基盤が弱っているサインです。金融機関の追加融資、取引条件、人材採用などに影響する可能性があります。状態を把握した時点で、改善策と出口を並行して検討することが大切です。

債務超過の反対は?資産超過と黒字・無借金の違い

反対の状態は「資産超過」と表せる

「債務超過の反対」を調べているなら、まず「資産超過」という言葉を押さえましょう。資産が負債を上回り、純資産がプラスの状態を表す言葉として使われます。決算書を説明する場面では、「純資産がプラス」と伝えると意味が届きやすくなります。

債務超過と資産超過は、どちらも資産と負債の大小関係に着目した表現です。売上の多さや、預金残高だけを指しているわけではありません。

→ 横にスクロールできます

状態 資産と負債の関係 純資産
債務超過 資産より負債が多い マイナス
差額がない状態 資産と負債が同額 ゼロ
資産超過 負債より資産が多い プラス

資産と負債が同額なら、純資産はゼロという境目です。債務超過ではなくても、損失を受け止める余裕があるとは言いにくい状態でしょう。

黒字や無借金とは見る対象が異なる

債務超過の反対を「黒字」と考えると、判断がずれることがあります。黒字は一定期間の収益と費用の関係を示すためです。資産超過は、ある時点の財産の状態に着目しています。

今期に利益が出ても、過去の損失を埋め切れなければ債務超過が残る場合があります。逆に、今期が赤字でも、蓄積した利益に余裕があれば資産超過を保てることもあります。

また、「無借金」と「資産超過」も同じ意味ではありません。借入金があっても、それを含む負債より資産が多ければ、資産超過と捉えられます。

借入金だけに注目せず、買掛金や未払金も含めて確認したいところです。「借金が少ないから健全」と考える前に、負債全体を見る視点が役立ちます。

資産超過でも支払いの余裕は別に確かめる

純資産がプラスというだけで、経営が安定していると言い切れるほど単純ではありません。資産の多くが土地や設備なら、支払日に使える現金が少ない場合もあります。

売掛金が多い会社では、回収の遅れにも注意が必要でしょう。在庫が多くても、予定どおり売れなければ現金は増えにくくなります。資産の合計と、すぐ使えるお金は分けて見たいところです。

確認するときは、次の点を整理すると実態が見えやすくなります。

  • 預金で直近の支払いを賄えるか確認する。
  • 売掛金の回収時期と見込みを確かめる。
  • 在庫や設備の換金可能性を見直す。
  • 未計上の負債がないか調べる。

帳簿では資産超過でも、回収しにくい資産を見直すと評価が変わることがあります。決算書の表示だけで安心せず、資金繰り表と照らし合わせましょう。

債務超過の解消と資金繰りの改善を分けて見る

債務超過から資産超過へ向かうには、純資産の改善に目を向ける必要があります。一方、支払いを続けるためには、現金が残るかどうかの確認も欠かせません。

たとえば、借入で預金が増えても、同時に負債も増えます。手元資金の確保にはつながっても、それだけで純資産が改善するとは考えにくいでしょう。返済予定を含めた確認が求められます。

また、黒字化を目指すときは、利益の金額だけでなく入金の時期も確認しましょう。利益を計上しても、代金の回収前に支払日が来ることがあるためです。

経営の判断では、「純資産が改善しているか」と「支払いを続けられるか」を並べて見ます。資産超過という状態だけを目標にせず、事業の収益力もあわせて確かめることが大切です。

債務超過かどうかを確認する方法

数字から出口を考える
現状確認の順序

直近の貸借対照表で純資産を見る

最初に、直近の決算書にある貸借対照表を確認します。右下付近の「純資産合計」がマイナスなら、決算日時点では債務超過です。

確認する資料は、決算書だけでは足りないことがあります。決算から時間がたっている場合、直近の試算表も用意してください。月々の赤字が続いていれば、前回決算より債務超過額が増えている可能性があります。

最低限、次の資料をそろえます。

  • 直近の決算書
  • 最新月までの試算表
  • 預金口座の残高
  • 借入金の返済予定表
  • 今後の入出金予定

試算表が作られていない場合は、通帳や請求書から現状を組み立てます。資料が不足していても、分かる範囲から始めることはできます。

見たくない数字ほど、早く把握したほうが対策を選びやすくなります。相談する経営者は珍しくありません。資料が整っていないことを理由に、相談をためらう必要はないのです。

資産を回収可能額で見直す

決算書に記載された資産が、その金額で現金化できるとは限りません。債務超過を実態に近づけるには、各資産を回収可能額で見直します。

とくに確認したいのは、次の項目です。

  • 長期間回収できていない売掛金
  • 売れ残った在庫
  • 使用していない設備
  • 会社から役員への貸付金
  • 時価が変動した土地や建物
  • 資産性が乏しい繰延資産

売掛金が帳簿に残っていても、取引先が支払えないなら価値は下がります。在庫も、古い商品や特注品なら帳簿価格で売れないことがあります。

一方、土地などに含み益がある場合、実態上の債務超過額は帳簿より小さいかもしれません。資産を過大にも過小にも評価せず、根拠のある金額へ置き換えます。

この見直しによって作るのが、実態貸借対照表です。金融機関への説明や、事業再生、M&Aを検討するときの基礎資料になります。

簿外債務や未計上の支払いを加える

帳簿に載っていない負担がないかも確認します。未計上の債務が見つかると、実態上の債務超過額が広がるためです。

たとえば、次のような項目があります。

  • 未払いの税金や社会保険料
  • 計上されていない残業代
  • リース契約に伴う負担
  • 取引上の損害賠償リスク
  • 他社債務への保証
  • 退職に伴う支払い

税金や社会保険料の滞納を伏せたままでは、再建計画の精度が下がります。M&Aでも、後から判明すると条件変更や中止につながりかねません。

会社に不利な情報ほど、最初に整理しておくほうが対応しやすくなります。問題を隠さず、金額、支払先、期限、担保、保証の有無を一覧にしてください。

資金繰り表で支払い可能な期間を見る

純資産がマイナスでも、今日の支払いができるなら時間は残っています。ただし、いつまで資金が持つかを把握しなければ、動く期限を決められません。

資金繰り表では、少なくとも次の入出金を月別に並べます。

1. 現在の預金残高を確定する
2. 売掛金の入金予定を置く
3. 給与や仕入れの支払日を置く
4. 税金と社会保険料を加える
5. 借入の元本返済と利息を加える
6. 月末残高を計算する

楽観的な売上見込みだけを置かないことが大切です。入金が遅れる場合や、売上が下振れする場合も試算します。

資金が尽きる時期が近いほど、検討できる選択肢は減ります。給料、税金、社会保険料、手形などに不安がある場合は、支払期日が来る前に専門家へ相談してください。

債務超過が会社経営に与える影響

融資審査が厳しくなる可能性がある

債務超過になると、金融機関から財務基盤が弱いと見られやすくなります。追加融資や借換えの審査では、純資産だけでなく、返済原資や改善計画も確認されます。

ただし、債務超過だから融資の余地がなくなるとは限りません。事業の収益力、受注状況、保有資産、経営改善の進み具合なども判断材料です。

金融機関へ説明するときは、単に「今後は売上が増える」と伝えるだけでは不十分です。次の内容を数字で示します。

  • 債務超過になった原因
  • 今後の売上と利益の見込み
  • 削減できる固定費
  • 月ごとの資金繰り
  • 返済に充てられる金額
  • 経営者が実行する改善策

説明内容と実績にずれが続くと、信頼を損ねます。実現可能性を優先し、保守的な計画を作る必要があります。

取引先や採用に影響することがある

債務超過は、決算書を提出する取引や許認可、入札などで影響する場合があります。仕入先から支払条件の短縮や、前払いを求められることも考えられます。

ただし、決算書の情報が一般の取引先へ自動的に伝わるわけではありません。日々の支払いを守り、商品やサービスを安定して提供できていれば、営業を続けられる会社もあります。

問題は、支払遅延や納品遅れが生じたときです。財務不安が表面化すると、取引条件の変更が連鎖するおそれがあります。

従業員に対しても同じです。噂だけが先行すると、退職が増え、事業価値が下がる場合があります。伝える時期と内容は慎重に設計しなければなりません。

経営者保証の負担は自動で消えない

会社の借入に経営者が連帯保証をしている場合、会社を閉じても保証債務が自動的に消えるわけではありません。

民法446条では、主たる債務者が履行しないとき、保証人が履行する責任を負うとされています。連帯保証人には、民法454条により催告の抗弁と検索の抗弁がありません。

一般の保証人であれば、「先に会社へ請求してください」と主張できる場面があります。しかし、連帯保証人にはその権利がないため、経営者個人へ直接請求が及ぶ可能性があります。

まず、次の資料を確認してください。

  • 金銭消費貸借契約書
  • 保証契約書
  • 信用保証協会の関係書類
  • 担保設定の書類
  • 借入残高の一覧

保証契約は書面でなければ効力を生じないと、民法446条2項に定められています。保証書の写しが手元にない場合は、契約内容を確認できる状態にすることが最初の一歩です。

廃業後の保証については、廃業したら連帯保証はどうなる?残る理由と整理の道もご覧ください。

放置すると選択肢が狭くなる

債務超過そのものより危険なのは、資金繰りを確認しないまま時間が過ぎることです。

現預金が残っていれば、改善費用や専門家費用を用意できます。買い手候補を探す時間も取れます。従業員や取引先への影響を抑える準備も可能です。

現金が尽きてからでは、給与や仕入代金を支払えません。信用が低下し、事業の継続に必要な人材や契約を失うこともあります。事業価値が下がれば、M&Aの可能性にも影響します。

経営者が罪悪感から判断を先送りすると、従業員、家族、取引先への影響が広がりかねません。逃げずに向き合うとは、一人で抱え込むことではありません。期限と数字を整理し、扱う分野が合う専門家へ早めに見せることです。

債務超過から抜け出す選択肢

本業の利益を回復して解消する

本業が利益を生み出せるなら、将来の利益を積み上げて債務超過を解消する方法があります。

まず、赤字の原因を一時的なものと構造的なものに分けます。一時的な設備故障や取引先の事情なら、原因がなくなった後に回復する可能性があります。

一方、販売価格が原価を下回る、固定費が粗利益を超える、主要事業の需要が減っているといった問題は、事業構造の見直しが必要です。

改善策は、売上を増やすことだけではありません。

  • 不採算商品から撤退する
  • 値上げや条件変更を検討する
  • 遊休資産を売却する
  • 固定費を見直す
  • 採算のよい事業へ集中する
  • 資金繰り管理を月次化する

利益を出せても、債務超過額が大きければ解消まで時間がかかります。その期間を資金繰りが支えられるかも、同時に確認します。

事業再生を検討する

事業自体に収益力が残る場合、事業再生によって会社の立て直しを目指す選択肢があります。借入返済の見直しだけでなく、本業の改善と資金繰りの安定を組み合わせます。

中小企業活性化協議会は、産業競争力強化法に基づき、47都道府県すべてに設置された公的機関です。

支援は次の3段階です。

1. 収益力改善支援
2. プレ再生支援・再生支援
3. 再チャレンジ支援

再チャレンジ支援には、保証債務に悩む経営者などの保証債務の整理や清算も含まれます。

事業再生とM&Aの選び分けは、事業再生とM&Aの違いとは?定義と比較でわかる選び方も参考にしてください。

M&Aで事業を引き継ぐ

自社だけで債務超過を解消する時間が足りない場合でも、事業に価値があればM&Aを検討できます。

買い手が見るのは、貸借対照表だけではありません。顧客、従業員、許認可、技術、設備、仕入網、営業地域なども評価対象です。単独では赤字でも、買い手の事業と組み合わせることで改善できる場合があります。

当社が支援して成約した案件のうち、財務資料が残る9件では、およそ3分の2が債務超過でした。債務超過額は3,000万円から6,000万円規模が中心です。

たとえば、次のような成約案件があります。

  • 運送業で売上5億円規模
  • 借入が売上を上回る状態
  • 運送業で売上1億円台
  • 債務超過3,000万円規模

これは、同じ条件の会社に買い手がつくことを約束するものではありません。事業内容、資金繰り、買い手との相性によって結果は変わります。

債務超過企業の買い手探しについては、債務超過の会社を買ってくれる会社の探し方をご覧ください。

廃業や法的整理も比較する

事業を残すことだけが適切な選択とは限りません。事業に収益力がなく、改善や承継の見込みが乏しい場合は、廃業や法的整理も検討します。

主な選択肢を整理すると、次のようになります。

→ 横にスクロールできます

選択肢 事業 主な判断軸 主な相談先
経営改善 継続 利益回復 税理士等
事業再生 継続 再建可能性 活性化協議会等
M&A 引継ぎ 事業価値 M&A専門家
法的整理 整理 支払能力 弁護士

破産手続きを主に扱う専門家と、事業を残す前提の再生を扱う専門家では、得意分野が異なります。相談先を一つに絞る前に、複数の出口を検討できる状態を作ることが有効です。

状況によっては、破産や清算などの法的整理が適切な場合もあります。法的手続きの実行は、依頼者が委任する弁護士等の専門家が担います。

債務超過の会社をM&Aで譲るときの注意点

株式譲渡と事業譲渡で債務の扱いが違う

中小企業庁「中小M&Aガイドライン第3版」では、株式譲渡と事業譲渡の特徴が整理されています。

株式譲渡では、会社の法人格は変わりません。借入金などの債務も会社に残ります。手続きは比較的シンプルですが、買い手は簿外債務や偶発債務を詳しく調べる傾向があります。

事業譲渡では、譲渡する財産を選択できます。ただし、資産や契約を個別に移す作業が必要です。許認可の取得や、取引先の同意が必要になる場合もあります。

事業譲渡なら債務が一切移らない、と単純にはいえません。会社法22条では、譲受会社が譲渡会社の商号を使い続ける場合、譲受会社も事業から生じた債務を弁済する責任を負うと定めています。

また、残存債権者を害すると知って事業を譲渡した場合、会社法23条の2により、譲受会社へ履行を請求できる場合があります。スキームは、法務、税務、会計の確認を重ねて設計します。

債務超過でも事業価値は残る

貸借対照表の純資産がマイナスでも、事業価値までマイナスとは限りません。

長年の取引関係、従業員の技術、許認可、販売網などは、帳簿に十分表れないことがあります。買い手が自社との相乗効果を見込めるなら、引継ぎを検討する余地が生まれます。

一方、帳簿に資産が多くても、利益を生まない設備や回収不能な債権ばかりなら、評価は厳しくなります。

買い手へ伝える資料では、次の内容を整理します。

  • 顧客基盤と継続性
  • 従業員と保有技術
  • 許認可や契約
  • 事業別の採算
  • 改善できる費用
  • 簿外債務の有無
  • 今後の資金需要

良い面だけを並べるのではなく、問題と改善余地を分けて示すことが、検討の土台になります。

連帯保証は金融機関の同意が前提になる

会社の株式や事業を譲れば、経営者の連帯保証も自動的に外れるわけではありません。保証契約の当事者は金融機関と経営者です。M&Aの売り手と買い手だけでは、解除を決められません。

中小M&Aガイドライン第3版でも、経営者保証の解除または移行は、最終的に金融機関等の判断によるとされています。買い手の信用力が低い場合などには、円滑に進まないリスクがあります。

そのため、M&Aでは次の事項を早い段階から確認します。

1. 保証の対象となる借入を特定する
2. 保証契約書の内容を確認する
3. 買い手の信用力を調べる
4. 最終契約で保証の扱いを定める
5. 金融機関の正式な手続きを確認する

M&A支援機関協会は、自主規制ルールを改正しています。2025年1月1日施行の広告・営業規程では、最終契約書の草案作成時に、経営者保証の解除を譲受け事業者へ義務付ける条文案を盛り込むことが定められました。譲受け事業者の資力調査も定められています。

これまで当社で成約に至った案件では、いずれも連帯保証の解除まで見届けています。ただし、金融機関の同意が前提です。すべての会社で同じ結果になると言い切れるほど単純ではありません。

相談先は扱える分野で選ぶ

債務超過の相談先は、相談したい内容によって異なります。

弁護士は、破産、民事再生、債務整理などの法的手続きを扱います。税理士や会計士は、財務状況の把握、税務、事業計画の作成などを担います。公的機関では、中小企業活性化協議会や事業承継・引継ぎ支援センターが相談を受けています。

M&Aの専門家へ相談する場合は、次の点を確認してください。

  • 債務超過案件の経験があるか
  • 経営者保証を確認するか
  • 買い手の資力を調べるか
  • 着手金と成功報酬はいくらか
  • 成約後の確認範囲はどこまでか
  • 法務専門家と連携できるか

あさひ国際会計株式会社は、中小企業庁のM&A支援機関登録制度に登録しています。中小M&Aガイドライン第3版に対応した登録支援機関です。

当社は、金融機関との協議に必要な資料の整備、事業価値を説明する資料の作成、M&Aの条件設計を通じて、経営者ご本人の協議を支えます。法的な交渉が必要な場面では、依頼者が委任する弁護士等と役割を分けます。

相談は無料で、着手金はありません。報酬は成功報酬のみです。成約時に譲渡代金から精算するため、売り手の手元からの持ち出しは0円です。

よくある質問

債務超過になったら会社はすぐ倒産しますか?

債務超過だけで、会社がすぐ倒産するわけではありません。債務超過は負債が資産を上回る状態であり、支払いができない状態とは別です。ただし、赤字と借入依存が続けば資金が尽きるおそれがあります。直近の試算表と資金繰り表を使い、いつまで支払いを続けられるか確認してください。

債務超過でも銀行から融資を受けられますか?

債務超過では融資審査が厳しくなる可能性がありますが、純資産だけで結論が決まるとは限りません。本業の収益力、返済原資、受注状況、保有資産、改善計画なども見られます。融資の可否は金融機関の判断となるため、根拠のある事業計画と資金繰り表を用意することが求められます。

債務超過でも会社を売却できますか?

債務超過でも、顧客、従業員、技術、許認可などに価値があれば、M&Aを検討できます。当社の成約案件にも債務超過企業が含まれています。ただし、買い手の有無や条件は事業内容によって異なります。現預金が尽きる前に、事業価値と債務の内容を整理することが大切です。

会社を譲れば連帯保証も外れますか?

会社を譲っただけで、連帯保証が自動的に解除されるわけではありません。金融機関の同意と正式な手続きが必要です。M&Aの契約では保証の扱いを明確にし、買い手の資力や解除までの手順も確認します。経営者保証を抱えている場合は、価格だけでなく保証の行方を条件に含めて検討してください。

債務超過の反対は黒字ですか?

債務超過の反対の状態は、「資産超過」や「純資産がプラス」と表せます。黒字は一定期間の利益を示すため、区別して考えましょう。黒字でも過去の損失によって債務超過が残る場合があります。また、資産超過でも支払資金が足りなくなることはあるため、資金繰りも確認したいところです。

まとめ

債務超過とは、会社の資産より負債が多く、純資産がマイナスになっている状態です。赤字は一定期間の損失、資金ショートは支払資金の不足を示すため、それぞれ意味が異なります。

債務超過が判明したら、次の順序で現状を整理します。

1. 貸借対照表と試算表を確認する
2. 資産を回収可能額へ見直す
3. 簿外債務を洗い出す
4. 資金繰り表を作る
5. 経営者保証の契約を確認する
6. 改善・再生・M&A・整理を比べる

債務超過でも、事業に価値が残っていれば、経営改善やM&Aを検討できます。一方、状況によっては法的整理が適切な場合もあります。

大切なのは、会社の純資産だけでなく、資金が残る期間と連帯保証まで含めて判断することです。資金繰りが止まる前であれば、比較できる選択肢は多くなります。

あさひ国際会計株式会社では、債務超過企業の事業価値を整理し、連帯保証の解除を見据えた再生型M&Aのスキームをご提案しています。平日の営業時間内にいただいたご連絡には、最短当日に対応します。

この記事を書いた人

あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を見据えた再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介の成約実績があります。
他社で断られた案件のご相談も承っています。ご相談は無料です。

無料相談はこちら / お急ぎの方はお電話でも承ります 03-5657-7496


最終更新日: 2026年9月9日