資金繰りに悩んだとき、最初に迷うのが「再生」か「M&A」かという選択です

売上は立っているのに資金繰りが苦しい。借入の返済が重い。そんなとき、経営者の頭には「事業再生」と「M&A」という2つの言葉が同時に浮かぶことが多いものです。ただ、この2つは似ているようで目的も進め方もまったく違います。

結論から言うと、事業再生とは会社を存続させたまま財務と収益を立て直す取り組みで、M&Aとは事業や会社そのものを第三者へ引き継ぐ手法です。どちらか一方を選ばなければならないというより、両者を組み合わせる「再生型M&A」という選択肢もあります。この記事では、それぞれの定義と違いを比較表で整理したうえで、どちらが自社に向いているかを判断するための材料をお伝えします。

事業再生とM&Aの違いを比較表で整理する

事業再生とM&Aの違いを一言で整理した図解

言葉の意味を先に押さえておくと、この先の判断がしやすくなります。

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比較項目 事業再生 M&A
目的 現在の会社を存続させたまま収益力・財務を立て直す 事業や会社の経営権を第三者へ引き継ぐ
会社の存続 同じ会社が継続する 会社(または事業)は買い手のもとで存続する
経営者の立場 引き続き経営を担うことが多い 退任・移行するケースと、一定期間残るケースがある
連帯保証の扱い 返済計画とセットで見直しの交渉対象になる 譲渡・株式売却の条件として整理されることが多い
必要な期間 計画策定から実行まで数か月〜数年単位 交渉開始から成約まで数か月程度が目安
主な相手 金融機関・中小企業活性化協議会など 買い手企業・M&A仲介会社など

この表からわかる通り、事業再生は「時間をかけて自社を立て直す」発想、M&Aは「第三者の力を借りて事業を残す」発想です。どちらが優れているという話ではなく、会社の状態と経営者が何を優先したいかで答えが変わってきます。

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事業再生が向いているケース

事業そのものの収益力はあり、資金繰りや過去の投資負担が重荷になっているケースでは、事業再生が選択肢になりやすいと言えます。具体的には次のような状況です。

  • 本業の利益は出ているが、借入の返済負担が重く資金繰りが苦しい
  • 後継者がいて、引き続き自分たちで会社を続けたい意向が強い
  • 金融機関との関係が維持できており、返済計画の見直しに応じてもらえる余地がある

事業再生の相談先としては、国が47都道府県に設置している中小企業活性化協議会が挙げられます。中小機構の中小企業活性化協議会では、収益力改善や再生計画の策定支援を無料の窓口相談から受けられる仕組みが用意されています。

M&Aが向いているケース

一方で、次のような状況ではM&Aのほうが現実的な選択肢になることがあります。

  • 後継者がおらず、事業を存続させる手段が第三者への引き継ぎしかない
  • 債務の規模が大きく、自社単独での立て直しには時間も資金も足りない
  • 従業員の雇用や取引先との関係を守りながら、会社をたたむ以外の道を探したい

特に、債務超過に近い状態でも事業に価値がある場合は、自己破産の前に検討したい会社売却という選択肢が現実的になることがあります。自己破産は最終手段であり、その前にできることが残っているケースは少なくありません。

事業再生とM&Aを組み合わせる「再生型M&A」とは

実務では、事業再生とM&Aを二者択一で考える必要はありません。財務の立て直しと第三者への引き継ぎを組み合わせた「再生型M&A」という手法があります。

これは、収益力のある事業部分を切り出して買い手に譲渡し、過大な債務は整理する、あるいは経営者保証(連帯保証)の解除を織り込みながら会社ごと引き継ぐ、といった設計を指します。会社をそのまま存続させる再生と、第三者に委ねるM&Aの「良いとこ取り」ができる可能性がある反面、財務・法務・交渉の実務が複雑になるため、対応できる専門家が限られる分野でもあります。詳しい仕組みは再生型M&Aとはでも解説しています。

なお、経営者保証の扱いについては、全国銀行協会が経営者保証ガイドラインを公表しており、事業承継やM&Aの場面でも活用が進んでいます。金融庁も経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向けた施策等についての中で、M&A・事業承継時の経営者保証に関する取り組み事例を紹介しています。こうした公的な枠組みがあることを知っておくと、交渉の土台をイメージしやすくなります。

どちらを選ぶか、判断材料を整理する

事業再生とM&Aどちらが向いているかの判断材料4つの図解

事業再生とM&Aのどちらが向いているかは、次の4つの観点で整理すると見えやすくなります。

1. 事業の収益力
本業の利益が出ているなら再生の余地があります。赤字が続いている場合は、第三者の資本や経営資源を入れるM&Aのほうが立て直しやすいこともあります。

2. 債務の規模
売上規模に対して債務が大きすぎる場合、自社単独での再生は時間がかかりすぎることがあります。信用保証協会の保証制度を使った事業承継という道もあり、全国信用保証協会連合会の事業承継モデルケースでは、M&Aを含む承継類型に対応した保証制度が紹介されています。

3. 後継者の有無
後継者がいれば再生を軸に検討しやすく、いなければM&Aが有力な選択肢になります。

4. 資金の余力
再生計画の実行には一定の運転資金が必要です。資金繰りが限界に近い場合は、M&Aによる早期の引き継ぎのほうが従業員や取引先への影響を抑えられることがあります。

いずれの場合も、連帯保証をどう扱うかは避けて通れない論点です。連帯保証の解除は「制度を知っていること」と「実務として外せること」が別物であり、金融機関が見ているのは返済の見通しと数字の裏付けです。財務資料を整え、M&Aの実務と組み合わせて交渉材料を作る必要があるため、経験がものを言う分野と言えます。連帯保証を解除する方法4つ会社を売却しても連帯保証が外れない理由もあわせてご覧ください。

よくある質問

再生を試してからM&Aを検討しても遅くないですか?

時間が選択肢の幅を決めます。資金繰りに余裕があるうちに動き始めれば、再生とM&Aの両方を比較検討する余地が残ります。逆に資金が尽きる直前まで様子を見てしまうと、選べる手段が限られてしまうことがあります。迷っている段階で早めに相談することが、選択肢を残すことにつながります。

事業再生に失敗したら自己破産しかないのですか?

再生計画が思うように進まなかった場合でも、自己破産だけが唯一の道とは言い切れるほど単純ではありません。事業の一部だけでも第三者に引き継ぐM&Aや、廃業を選びつつ連帯保証の負担を整理する方法など、段階に応じた選択肢が残っていることがあります。自己破産しないで会社をたたむ方法でも具体的な考え方を紹介しています。

M&Aをすると経営者は退任することになりますか?

退任するケースもあれば、一定期間は引き継ぎのために残るケース、条件によっては経営に一部関与し続けるケースもあります。買い手側の意向や事業の性質によって形はさまざまで、契約交渉の中で具体的な立場が決まっていきます。

自社が事業再生とM&Aのどちらに向いているか診断してもらえますか?

財務状況や債務の規模、後継者の有無などを整理すれば、方向性を判断しやすくなります。あさひ国際会計株式会社では、再生型M&Aと連帯保証解除支援を専門に、無料相談の中で状況をお伺いした上で方向性を一緒に整理しています。

まとめ

事業再生は会社を存続させたまま立て直す手法、M&Aは第三者に事業を引き継ぐ手法です。対立する選択肢ではなく、収益力・債務の規模・後継者の有無・資金の余力を踏まえて、再生型M&Aという組み合わせも含めて検討する価値があります。

一人で抱え込まず、早い段階で専門家に状況を整理してもらうことが、選べる手段を減らさないための一歩になります。あさひ国際会計株式会社では、赤字や債務超過でお悩みの経営者の方から年間60件以上のご相談を受けています。相談は無料、秘密は厳守しますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

お電話: 03-5657-7496(平日9:00〜19:00)
お問い合わせフォーム: https://asahi-int.com/contact/

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あさひ国際会計株式会社は、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録された支援機関です(登録支援機関による支援は、事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)の補助対象とされています)。

この記事を書いた人

あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を伴う再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介に携わっています。
NHKスペシャル・週刊ダイヤモンドなどメディア掲載多数。
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最終更新日: 2026年8月17日

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