目次
この記事の対象と結論
法人の廃業手続きは、会社の財産で借入や未払いを支払えるかを確かめるところから始まります。営業を止めて解散登記をしても、それだけで借入や社長の連帯保証が消えるわけではありません。
「会社を閉じたいが、借金が残っている」。その段階では、手元資金と支払予定を並べてください。全額を支払える見通しがあるかで、通常の清算と債務整理の分岐が変わります。 引き継げる仕事があれば、事業譲渡なども比較の対象です。
廃業を相談する経営者は珍しくありません。従業員や家族への説明に迷っていても、相談は始められます。対象は主に、株式会社の解散・清算です。ほかの法人形態では、決議や登記の扱いが異なるため、同じ手順をそのまま当てはめないでください。
法人の廃業は、返済の見通しと事業の引継ぎで進め方が分かれる
法人の廃業方法は、残る財産で支払えるかと、事業の引継ぎが見込めるかで変わります。借入残高だけでは、通常の清算で終えられるかを判断できません。
借入が残っていても、返済できるなら通常の清算を検討する
借入があるという理由だけで、通常の清算が難しくなるわけではありません。売掛金の回収や設備の売却で返済できるなら、解散・清算を検討する余地があります。
ただし、決算書の資産額と、実際に使える現金は別です。在庫が売れないこともあれば、設備の売却額が帳簿の金額を下回ることもあります。回収できても、支払日に間に合わなければ資金は不足します。
確認に使う資料をそろえましょう。
- 現在の預金残高と現金残高
- 売掛金の回収予定日と見込額
- 資産を売却した場合の見込額
- 借入と未払いの残高・支払日
- 営業終了後に発生する費用
資産の合計から借入だけを引く計算では足りません。明渡しや清算中の申告に使うお金も残すためです。
売却価格が未定なら、希望額と見積額を分けます。購入時の価格を回収できる前提で予定を組むと、清算の途中で不足が見つかりかねません。入金の時期も書き添えてください。
支払えない見込みなら、解散登記と債務整理を切り離さない
全額返済の見通しが立たない場合は、通常の清算だけを前提に進めないでください。資産の処分や債権者への支払いについて、法的な判断を伴う場面になるためです。
期限の来た債務を、一般的・継続的に払えない状態を「支払不能」と呼びます。破産法は、支払不能を破産手続開始の原因として定めています。一時的な入金の遅れとは区別して判断するものです。
清算中の株式会社に、債務超過の疑いがある場合も確認が要ります。会社法第511条第2項は、清算人に「特別清算開始の申立てをしなければならない」と定めています。通常の清算を続けてよいか、自分だけで決める段階ではありません。
根拠は破産法第2条・第15条と会社法第511条です。解散すれば借入の問題も片づく、という順序では考えないでください。
経営者が退いても、仕事や雇用を引き継げる場合がある
会社を閉じる判断と、仕事を終わらせる判断は分けて考えられます。取引先との関係や従業員の経験に、買い手が価値を感じる場合があるためです。
比較する際は、会社と事業がどうなるかを整理します。
→ 横にスクロールできます
| 選択肢 | 主な検討条件 | 会社・事業の扱い |
|---|---|---|
| 通常の清算 | 全額支払える見通し | 会社を清算する |
| 法的整理 | 支払不能等の状況 | 手続きにより異なる |
| 株式譲渡 | 株式の買い手がいる | 法人を引き継ぐ |
| 事業譲渡 | 事業の買い手がいる | 対象事業を引き継ぐ |
事業譲渡では、事業を残した後に元の会社を整理する場合があります。買い手探しだけで完了するものではありません。
一方、譲渡を検討している間にも支払日は来ます。見込みの薄い買い手を待ち続けると、清算に使える資金まで減るおそれがあります。引継ぎの可能性と、検討に使える資金を一緒に確認してください。
閉鎖の公表や設備の処分によって、引継ぎの条件が変わることもあります。必要な説明を遅らせる趣旨ではなく、説明と処分の順序を決めるための比較です。
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株式会社の解散・清算は、決議から清算結了まで続く
株式会社を通常の清算で閉じる場合は、解散決議と登記の後に債権者対応を進めます。営業終了日と、法人の清算が終わる日は分けて予定を組んでください。
解散決議とあわせて、清算を担う人を確認する
株主総会の決議で株式会社を解散する場合は、特別決議の要件を満たす手続きを踏みます。社長の意思だけで進められるとは限りません。株主構成と定款を確認しましょう。
解散後に残った財産や債務を整理する事務を担う人が、清算人です。定款や株主総会で別段の定めがなければ、解散時の取締役が清算人となります。
決議に向けた確認事項は次のとおりです。
- 株主構成と議決権を確認する
- 解散日と営業終了日を整理する
- 清算人となる人を確認する
- 清算中の支払資金を見積もる
- 議事録と登記書類を準備する
根拠は会社法第309条・第471条・第475条・第478条です。
清算中にも問い合わせや請求が届きます。代表者を退いたつもりでも、清算人としての仕事が残る場合があります。郵便物を受け取る人と、通帳や契約書を管理する人も決めておくと、作業の中断を減らせます。
解散登記と清算人の登記は、起算日を確かめる
解散の登記は、解散の日から2週間以内におこないます。清算人の登記も原則として解散の日から2週間以内で、別途選任した場合は選任日が起点です。株式会社についての会社法第926条・第928条の定めで、法令の確認日は2026年8月18日です。会社法の該当条文を根拠としています。
いずれも本店所在地でおこなう登記です。営業を止めた日だけを基準にすると、登記の期限を取り違えるおそれがあります。
準備の段階では、次の項目を予定表に入れます。
- 決議日と解散日
- 登記書類をそろえる期限
- 申請を担当する人
- 公告を手配する人
- 税務上の届出を確認する人
司法書士に登記を依頼する場合も、公告や税務の作業まで含まれるかを確認してください。担当が決まっていない作業は、依頼済みの欄に入れない方が見落としを防げます。
官報公告に加え、分かっている債権者には個別に催告する
清算では、会社に対する債権を申し出てもらうための手続きを進めます。官報で公告するほか、会社が把握している債権者には個別に催告します。
株式会社の通常の清算では、申出期間は2か月以上です。会社法第499条は「二箇月を下ることができない」と定めています。法令の確認日は2026年8月18日です。会社法第499条に基づく期間であり、廃業全体の所要期間ではありません。
そのため、営業終了直後に清算まで終える予定は組めません。債権者を洗い出す作業も先に進めます。
- 仕入先への買掛金
- 従業員への未払い賃金
- 税金や社会保険料の未払い
- 賃貸借やリースに関する債務
- 顧客への返金義務
借入先の一覧だけでは不足します。請求書がまだ届いていない費用や、受け取った前受金も確認対象です。帳簿と契約書を照らし合わせ、請求の有無を確認していきます。
未処理の財産や債務を確認してから、結了登記へ進む
清算人は、売掛金の回収や資産の換金を進め、債務を整理します。株主への分配を先に決める段階ではありません。支払えないと判明した場合は、清算の進め方を見直します。
残務を整理した後は、清算の決算報告を作成し、株主総会の承認を受ける流れです。清算結了の登記は、承認日から2週間以内におこないます。会社法第929条に基づく期限で、法令の確認日は2026年8月18日です。会社法第929条が根拠となります。
申請前の確認も残ります。
- 未回収の売掛金がないか
- 未払いの債務が残っていないか
- 契約の終了処理が済んでいるか
- 税務処理と納税の見通しがあるか
- 記録の保管先が決まっているか
清算結了の登記を、残った借入を消すために使うことはできません。書類を整える作業と、実際の財産・債務の整理を一致させて進めてください。
詳しくは法人廃業手続きの実務地図|解散・清算と借入・連帯保証を順番に整理をご覧ください。
営業終了に向けて、税務・雇用・契約の処理も並行する
法人の廃業では、解散・清算の登記以外にも作業が残ります。税務や従業員対応を、契約の終了日と同じ予定表で管理すると、資金と期限を照合しやすくなります。
税務は解散の届出だけで終わらせない
解散後の清算中にも、入出金や資産売却が生じます。税務上の届出を出した後も、申告や納税の確認は続きます。
設備を売った代金を、全額返済に回せるとは限りません。売却に伴う税負担を見積もり、手元に残す額を確かめてください。
税理士と確認する事項を整理します。
- 解散までの売上と経費
- 清算中の入出金
- 資産売却に伴う税負担
- 申告と届出の対象・期限
- 納税資金の確保
未納の税金がある場合は、対象期間と金額を分けて伝えます。金額が分からなければ、通知書をそのまま用意して構いません。推測で残高を埋めない方が、状況を正しく共有できます。
売掛金の回収口座を閉じる時期も、入出金の予定と合わせて決めます。営業終了を理由に口座や会計サービスを急いで解約すると、清算中の記録が取りにくくなることがあります。
従業員には、給与と雇用の見通しを分けて伝える
従業員が知りたいのは、仕事がいつまで続き、給与がどう支払われるかです。廃業の方針だけを伝えても、生活の準備にはつながりません。
事業譲渡を検討しているなら、雇用の引継ぎがどこまで決まったかを区別します。買い手候補がいるだけの段階で、継続雇用を約束するのは避けてください。
説明に向けて、次の事項を確認します。
- 最終出勤日と営業終了日
- 最終給与と未払い賃金の扱い
- 就業規則に基づく退職金の扱い
- 退職に伴う書類と手続き
- 雇用の引継ぎに関する未定事項
解雇や退職の扱いは、個別の事情を踏まえて整理します。社会保険労務士や弁護士の担当範囲を決め、説明した内容と手続きが食い違わないようにします。
長く働いてくれた人への説明は、負担の重い仕事です。それでも、未定の部分を曖昧な約束で埋めると、後の不信につながります。決まった事項と、次に説明できる時期を分けて伝えましょう。
賃貸借やリースは、営業終了後の支払いまで見積もる
事務所を使わなくなっても、契約上の支払いが残る場合があります。営業終了日と契約終了日が一致するかを確かめてください。
設備も同様です。会社の中にある物が、すべて会社所有とは限りません。リース物件や預かり品を、自社の資産として売却しないよう区別します。
契約書で確認する項目は次のとおりです。
- 解約を申し出る期限
- 明渡しまでの賃料
- 原状回復や撤去の範囲
- リース物件の返却条件
- 敷金や預り金の精算条件
見積もりでは、撤去作業の料金だけを見ないでください。撤去完了まで賃料が発生するなら、その期間の支出も加えます。
事業を譲る可能性がある場合は、契約を残した方がよい場面もあります。解約通知を出した後に引継ぎを検討すると、条件を組み直すことになりかねません。譲渡の検討と解約の判断を同じ日程で進めます。
許認可と記録の保管は、最後まで担当者を残す
許認可が関係する業種では、廃業に伴う届出や返納の要否を確認します。解散登記だけで、業種ごとの手続きまで済むとは限りません。
帳簿や従業員に関する記録も、閉鎖日にまとめて処分するものではありません。対象ごとの保存期間と、保管する人を確認してください。
終了時の確認事項を一覧にします。
- 許認可の終了手続きを確認する
- 契約書や帳簿の保管先を決める
- 電子データを取り出して保存する
- 郵便物の受け手を決める
- 問い合わせへの対応者を決める
記録は、保存しただけでは使えないこともあります。会計ソフトの契約終了後も読める形式か、添付資料まで取り出せているかを確かめます。
取引先への説明でも、連絡先が途切れないようにしてください。商品の返却や未精算の問い合わせが残っていれば、営業終了後の対応方法まで伝えておくと行き違いを減らせます。
廃業費用は、登記の実費と支払い全体を分けて見積もる
法人の廃業費用は、登記にかかる税額だけでは判断できません。営業終了の費用と従来からの債務を加え、清算が終わるまで資金が足りるかを確かめます。
登録免許税の合計には、公告や専門家報酬が含まれない
株式会社の登録免許税は、解散登記が3万円、清算人の登記が9千円です。清算結了の登記は2千円で、合計は4万1千円となります。登録免許税法別表第一第24号に基づき、現行法の確認日は2026年7月23日です。出典は登録免許税法です。
| 登記の種類 | 登録免許税 |
|---|---|
| 解散 | 3万円 |
| 清算人 | 9千円 |
| 清算結了 | 2千円 |
| 合計 | 4万1千円 |
官報公告の実費や司法書士の報酬は、この合計に含まれません。税務申告を依頼する費用も別枠です。
見積書は、依頼する作業の範囲と一緒に読みます。解散登記だけの金額か、清算結了まで含む金額かで比較条件が変わります。追加料金が生じる作業についても、契約前に確認してください。
総額は「確定した支出」と「追加負担を含む額」で幅を作る
廃業費用の幅は、自社の契約と見積もりから作ります。物件を借りていない会社と、撤去を伴う会社に、同じ総額を当てはめると判断がずれます。
まだ金額が決まっていない項目は、確定した支出と分けてください。下限を確認済みの費用、上限側を追加負担込みの見込額とすれば、不足しそうな額をつかめます。根拠のない一律の相場を置くより、自社の判断に使えます。
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| 支出の区分 | 主な内容 | 確認資料 |
|---|---|---|
| 手続き費用 | 登記・公告・専門家 | 見積書 |
| 営業終了費用 | 撤去・返却・解約 | 契約書 |
| 従来からの債務 | 借入・買掛金 | 残高と支払予定 |
| 清算中の支出 | 賃料・保管・申告 | 清算の予定表 |
返還予定の敷金にも注意します。原状回復費と精算した後の金額が、使える資金になるためです。売却未定の設備代金も、入金済みの預金とは分けておきます。
詳しくは倒産手続き費用はいくら残すべきか|法人破産・廃業・M&Aの資金設計をご覧ください。
法人破産の裁判所費用は、申立て方によっても変わる
通常の清算が難しければ、法人破産にかかる費用も比較します。裁判所に納める費用と、弁護士に支払う報酬は別です。
東京地方裁判所の費用一覧では、弁護士を代理人とする自己破産申立ての法人管財事件について、予納金基準額は最低20万円です。法人1件あたり16,264円が加わります。2026年1月1日版の基準で、資料の確認日は2026年8月20日です。出典は東京地方裁判所「破産手続費用一覧」です。
同じ2026年1月1日版では、法人自己破産の申立手数料は1,000円です。通常の自己破産申立ての予納郵券は4,950円とされています。いずれも同裁判所の基準で、確認日は2026年8月20日です。全国の全案件に共通する総額ではありません。
弁護士費用には、全国一律の報酬基準がありません。依頼範囲と事案に応じて見積もりを確認します。
本人申立てには別の予納金基準があり、代理人がいる場合の最低額は使えません。裁判所への納付額も事案に応じて変わります。少ない費用だけを取り出して、予算を決めないでください。
費用を払えない場合は、残った資金の使い方から確認する
費用が不足すると、予定した手続きを進める資金を確保できないおそれがあります。放置しても契約や債務は整理されないため、残る会社財産と支払予定を示して判断します。
資金不足の相談には、次の情報を用意してください。
- すぐに使える預金残高
- 回収予定の売掛金
- 直近の支払日と不足見込額
- 売却を検討できる会社財産
- すでに支払った相手と金額
特定の知人への返済や、親族への財産移転を先に進めると、後の手続きで問題になる場合があります。一方、手続き費用を残すために全支払いを止めればよい、とも決められません。
支払いを続けるかどうかは、具体的な資金繰りに基づく法的判断を伴います。弁護士が判断するための資料を整え、支払日が来る前に検討します。
会社の預金と家計のお金も分けて伝えてください。生活費まで使えば解決すると思い込まず、会社側と個人側の負担を別々に確かめます。
連帯保証は、法人の廃業とは別に整理する
社長の連帯保証は、営業停止や解散登記だけでは消えません。会社の債務処理と並行して、保証契約の対象と個人側の返済能力を確認します。
保証の範囲は、借入ごとの契約書で確かめる
誰がどの債務を保証しているかは、契約ごとに確認します。すべての借入に同じ保証人が付いているとは限りません。借入残高の一覧だけでは、責任の範囲が分からないこともあります。
用意する書類は次のとおりです。
- 金融機関ごとの借入残高
- 金銭消費貸借契約書
- 保証契約に関する書類
- 担保に関する書類
- 条件変更時の合意書
自宅が担保に入っている場合は、その内容も共有します。保証人と担保の提供者が異なることもあるため、氏名と財産の名義を照合してください。
書類が見つからない借入は、未確認として残します。「昔の契約だから保証はないはず」と扱うと、整理の前提を誤ります。分からない箇所を明確にするだけでも、次に確認する契約を絞れます。
法人破産と社長個人の自己破産は、別々に判断する
法人が破産するからといって、社長個人の自己破産まで自動的に決まるわけではありません。保証債務に加え、個人の財産や借入を確認して判断します。
ただし、会社に返済できない債務があれば、保証契約に基づく請求が問題になります。会社の整理だけ進めて、個人側の負担を後回しにはできません。
家族への影響も、契約と名義から確認します。
- 家族が保証契約に関与しているか
- 自宅を誰が所有しているか
- 担保として提供した財産があるか
- 家計をどの収入で支えているか
家族だから同じ返済責任を負う、と考える必要はありません。反対に、契約を見ずに影響がないとも決めないでください。
破産法第1条は、目的に「経済生活の再生の機会の確保」も掲げています。破産法第1条の趣旨には、生活の立て直しも含まれます。今後の住まいや収入を考えることも、債務整理と並行する課題です。
保証債務の整理には、会社側の申立ても要件になる
一定の要件のもとで保証債務の整理を求める枠組みが、「経営者保証に関するガイドライン」です。資産を正直に開示するだけで保証が外れる制度ではありません。
同ガイドラインの保証債務整理では、会社が法的整理または準則型私的整理を申し立てていることが要件に含まれます。 利用と同時に申立てをおこなう場合も対象です。会社側の手続きが係属中の場合や、すでに終結した場合も含まれます。
会社が単に営業を止めた状態や、廃業の意思を示しただけの状態とは区別します。対象となる整理手続きと、申立ての時点を確認してください。
ほかにも、次の要件を満たすかを確認します。
- 保証契約が対象要件を満たすこと
- 債権者に経済的合理性があること
- 所定の免責不許可事由等がないこと
経済的合理性とは、破産時より多くの回収が見込める場合などです。免責不許可事由については、破産法第252条第1項のうち第10号を除く範囲が対象です。その事由が生じておらず、生じるおそれもないことが求められます。
根拠は全国銀行協会「経営者保証に関するガイドライン」の7.(1)です。本文の確認日は2026年8月19日です。新たな融資で保証を求めないための要件と、既存の保証債務を整理する要件を混同しないでください。
利用は対象債権者との合意を前提に検討します。申立てをおこなえば、その時点で保証債務が消えるわけではありません。
廃業を決めきれない段階でも、事業承継と整理を比較できる
廃業か譲渡かは、相談前に決めておかなくても構いません。残せる事業と資金の期限を確かめ、清算や法的整理と並べて判断を進められます。
株式譲渡と事業譲渡では、借入と代金の帰属が異なる
株式譲渡では、株主が変わっても法人は同じです。借入などの債務は会社に残ります。株式の売却代金は売り手の株主に帰属するため、会社の返済原資とは分けて考えます。
事業譲渡では、対象となる事業や財産を選んで移す形が考えられます。会社が事業を譲る場合、代金を受け取るのも会社です。引き継がれない債務があれば、その後の整理が残ります。
確認すべき条件を並べます。
- 何を買い手に引き継ぐか
- 誰が譲渡代金を受け取るか
- どの債務が元の会社に残るか
- 従業員の雇用をどう扱うか
- 連帯保証の解除をどう確認するか
譲渡契約に保証の扱いを書いても、それだけで金融機関との保証契約が消えるわけではありません。保証解除は、金融機関の同意と所定の手続きを踏まえて確認します。
手法と保証の扱いは、中小企業庁「中小M&Aガイドライン」でも説明されています。譲渡価格だけを見て、社長の負担がなくなると判断しないでください。
債務超過でも、引き継げる仕事が残っているかを確かめる
負債が資産を上回っていても、取引や人材に買い手が価値を見いだす場合があります。ただし、引継ぎの可能性と成約までの資金は、それぞれ確認する課題です。
当社が支援して成約した案件には、売上1億円前後の会社があります。債務超過は5,000万円規模、借入は8,000万円規模でした。自社の成約資料に基づく匿名事例で、確認日は2026年8月16日です。近い規模なら同じ結果になる、という意味ではありません。
自社で確かめたいのは、次の事項です。
- 引き継ぎたい取引が残っているか
- 事業を続ける従業員がいるか
- 必要な設備を使用できるか
- 引継ぎまで資金が続くか
- 残る債務の整理方針が立つか
設備や在庫を安く移せば済む、という話でもありません。譲渡価格の妥当性や債権者への影響を確認し、残る会社の整理まで見通します。
買い手の意思と資金の裏付けが確認できなければ、予定どおり進まない可能性があります。検討を続ける期限と、進まない場合の方針を用意しておきます。
専門家は、依頼する作業と担当範囲で選ぶ
廃業では、作業によって担当する専門家が異なります。依頼先を決める際は、登記だけなのか、債務や保証の判断まで扱うのかを確かめてください。
| 専門家・支援者 | 主に扱う内容 |
|---|---|
| 弁護士 | 債務整理・法的判断 |
| 税理士 | 税務申告・税負担 |
| 司法書士 | 解散・清算の登記 |
| 社会保険労務士 | 労務・社会保険 |
| M&A支援者 | 買い手探索・譲渡条件 |
比較するときは、料金だけでなく業務の終点を確認します。追加費用の条件や、他の専門家が担当する作業も見積もりと一緒に整理します。
破産手続きを主に扱う専門家と、事業を残す再生を扱う専門家では、得意分野が異なります。状況によっては法的整理が適切な場合もあります。M&Aの検討中でも、支払不能が迫っていれば法的判断を後回しにしない進め方を選びます。
詳しくは法人解散手続きの正しい順序|借入・連帯保証がある会社の出口判断をご覧ください。
当社への相談は、困っている支払いが分かる段階から始められる
あさひ国際会計株式会社では、再生型M&Aの仲介を扱っています。資料がそろうまで待たず、手元資金と直近の支払予定が分かる段階から相談できます。
初回は、分かる範囲の情報をご用意ください。
- 現在の手元資金
- 次の支払日と不足見込額
- 借入残高と連帯保証の有無
- 従業員数と事業の概要
- 廃業を考え始めた理由
当社は、買い手の探索とM&Aの条件設計を担います。金融機関に示す財務資料や事業価値の説明資料も整えます。債権者との交渉の主体は経営者ご本人と、必要に応じて依頼する弁護士等です。当社の役割は、資料作成などの後方支援です。
相談は無料で、着手金はありません。成功報酬は成約時に譲渡代金から精算するため、売り手の手元からの持ち出しは0円です。自社の報酬条件として2026年8月11日に確認した内容です。報酬そのものが無料になるわけではなく、廃業に伴う別の費用は分けて見積もります。
よくある質問
法人は廃業届を出すだけで閉じられますか?
株式会社は、税務上の届出だけで清算まで終わるわけではありません。通常の清算では、解散決議と登記の後に債権者対応を進めます。財産や債務を整理し、決算報告と清算結了の登記へ進む流れです。借入を返せない見込みなら、届出の準備に加えて債務整理の検討を進めます。
借入が残る法人でも、廃業手続きは進められますか?
借入があっても、財産の換金や売掛金の回収で返済できるなら、通常の清算を検討できます。返済が難しい場合は、法的整理などの進め方を判断します。資産と借入を比較するときは、撤去費用や清算中の支出、税負担も見込んでください。残高だけで判断しないことが、途中の資金不足を避ける準備になります。
休業させておけば、廃業手続きをせずに済みますか?
休業中も法人や債務は残り、申告や契約上の対応が続く場合があります。返済を免れる手段として休業を考えることはできません。再開予定があるなら維持費を確認し、見通しがなければ清算や譲渡と比較します。登記を長期間放置した会社への「みなし解散」とも区別してください。
M&Aが成立すれば、社長の連帯保証も外れますか?
M&Aの成立だけで連帯保証が自動的に外れるわけではありません。金融機関の同意と所定の手続きが前提です。当社では、これまで成約に至った案件はいずれも連帯保証の解除まで見届けています。自社実績の確認日は2026年8月16日です。ただし金融機関の同意が前提であり、すべての会社で同じ結果になると言い切れるほど単純ではありません。
まとめ
現在の預金残高と直近の支払予定を並べ、不足する時期と金額を書き出してください。そのメモをもとに、あさひ国際会計株式会社の無料相談で、廃業と事業承継を比較するための整理を始めましょう。
▶ 関連資料:『会社が倒産したら、自己破産するしかないのか?』(全19ページ・無料)をダウンロードいただけます。
▶ あわせて読まれています:『相談してから、事業が引き継がれるまで』(全14ページ)(無料)
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この記事を書いた人
あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を見据えた再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介の成約実績があります。
他社で断られた案件のご相談も承っています。ご相談は無料です。
無料相談はこちら / お急ぎの方はお電話でも承ります 03-5657-7496
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最終更新日: 2026年10月1日