この記事の対象と結論

自社株の相続税が払えないときは、納税額と不足額を確かめ、廃業とは分けて判断してください。会社を閉じても、株式の評価額に相当する現金が手元に残るとは限りません。

親から会社の株を引き継いだものの、個人の預金では税金を払えない。会社にも余裕がなく、借入の連帯保証まで気になる。廃業を考えるほど困ってから相談する経営者は珍しくありません。

相続税の支払い、会社の資金繰り、連帯保証は、別々に確認する課題です。 ただし、判断に使う日程表はそろえます。納期限が迫っている場合や、すでに過ぎている場合は、その事実を最初に伝えてください。

資料の完成を待つ必要はありません。納期限と用意できる現金を出発点に、事業を続ける案と手放す案を比較できます。

自社株の評価額が高くても、納税に使える現金があるとは限らない

自社株の相続税評価額と、売却で受け取れる金額は別に確認します。帳簿上の財産が多くても、相続人個人の現金が不足することはあります。

税金を計算する評価額と、買い手の提示額を分ける

相続税のために計算した株価を、そのまま売却価格として扱うのは避けてください。税務上の評価と、買い手が取引条件として示す価格は、目的が異なります。

買い手が見るのは、引き継いだ後の事業です。利益が出る見込みや、追加で必要になる資金によって、提示額は変わり得ます。評価書に金額が載っていても、その金額で買う相手が決まったわけではありません。

手元の資料では、次の欄を分けてください。

  • 相続税の計算に使う株式の評価額
  • 買い手から提示された譲渡価格
  • 税金や費用を引いた後の手取り
  • 代金を実際に受け取れる予定日

納税の見通しに使うのは、手取りと入金日です。高い提示額でも、納期限より後の入金なら別の資金対応が要ります。

価格と手取りの違いについて、詳しくは自社株がいくらで売れるかを知るための価格と手取り、廃業時の連帯保証の見方をご覧ください。

現在の赤字だけで、相続時の評価を判断しない

いまの資金繰りが厳しくても、その状況だけで相続税の評価額を判断しないでください。相続時の財産評価と、その後の経営悪化は分けて整理します。

例えば、相続後に主要な仕事を失った場合です。現在は株式を売りにくくても、相続時点の状況は別に確認する必要があります。「いま赤字だから税金も少ないはず」と考えると、資金の準備が遅れかねません。

評価の前提を確かめる資料は、時点ごとに残します。

  • 相続時点の状況が分かる決算資料
  • 現在の経営状況が分かる試算表
  • 事業が悪化した経緯を示す資料

税理士には、評価の誤りを確認する話なのか、その後の資金不足への対応なのかを伝えてください。相続時の計算に疑問があるなら、どの資料を使った評価なのかを確かめます。現在の赤字額だけを伝えるより、検討すべき箇所が明確になります。

会社の土地や預金を、個人の納税資金に数えない

会社名義の財産は、株主個人の財布と分けて扱います。会社が土地を持っていても、相続した人が自由に売却代金を使えるわけではありません。

預金にも用途があります。残高があっても、給与や仕入れの支払いを控えていれば、余剰資金とは考えにくい状態です。納税のために引き出した結果、事業が止まれば、会社と個人の両方が苦しくなります。

お金の持ち主と使い道をそろえて確認してください。

  • 相続人が使える個人の預金
  • 会社が事業の支払いに使う預金
  • 会社から個人への支払い予定額
  • 支払いの根拠と税務上の扱い

会社から資金を受け取る案には、法的な根拠や手続きの確認も要ります。株主だから自由に引き出せる、と考えないことです。帳簿処理で後から整えようとせず、資金を動かす前に検討します。

自社株だけを見て、相続税の不足額を決めない

納税の不足額は、自社株の評価額だけでは計算できません。相続した財産全体と、ご本人が負担する税額を確認する必要があります。

家族から聞いた概算と、税理士が確認した税額では、前提が違う場合もあります。誰が何を引き継ぐ想定なのかが変われば、個人ごとの資金計画も見直すことになります。

確認するのは、金額の根拠です。

  • 税額は概算か、申告に向けた計算か
  • 財産の分け方は決まっているか
  • ご本人が使える現金はいくらか
  • すでに納付した金額があるか

家族全体の財産額と、ご本人の納税能力を同じものとして扱わないでください。現金を別の相続人が引き継ぐ予定なら、そのお金を自分の納税予定に組み込めるとは限りません。家族の了解がある場合も、資金の受け渡し方まで確認します。

払えないと分かったら、納期限と不足額を同じ表に置く

納税への対応は、税額の大小だけでなく、いつ現金が必要かで変わります。納期限と入金予定を並べ、間に合わない部分を先に見つけてください。

最初の相談で、期限が近いことを伝える

申告の準備が進んでいても、納税資金まで用意できているとは限りません。「申告を頼んでいるので大丈夫」と思い込まず、支払いの見通しを別に確認します。

最初に伝える内容は、短くて構いません。

1. 相続税の納期限を伝える。
2. 税額が概算かどうかを伝える。
3. 用意できる現金を伝える。
4. 売却などの入金予定を伝える。

納期限が過ぎている場合は、その事実を冒頭で伝えてください。通知が届いているなら、書面の日付と記載内容も確認の対象です。封を開けずに置いたままでは、急ぐべき作業が分かりません。

書類が不足していても、期限の共有まで待つ必要はありません。「金額は確認中だが、納期限が迫っている」という伝え方でも構いません。税額の確認と資金の準備を、どの順序で進めるかを決める材料になります。

売却予定のお金は、入金日が見えるまで分けておく

納税資金の表では、現在ある現金と、将来入る見込みのお金を分けます。買い手候補がいる段階の売却代金を、手元の預金と同じように扱わないでください。

次の表は、金額を書き込む前の整理に使えます。

→ 横にスクロールできます

資金の種類 確認すること 納税予定での扱い
個人の預金 使用できる残高 現在の資金
財産の売却代金 手取りと入金日 入金条件を確認
株式の譲渡代金 契約と実行条件 未確定分を分離
借入予定の資金 審査と返済条件 承認前は別枠

契約書に署名していても、代金の支払いに条件が付いている場合があります。条件を満たすために誰の手続きが要るのか、その完了予定まで確認してください。

不足額の表は、家族への説明にも使えます。「払えない」という言葉だけより、足りない時点と理由を共有しやすくなります。売却が遅れた場合の不足も、別の欄に残しておきましょう。

申告の準備と、納付が難しい場合の確認を同時に進める

お金が足りないことを理由に、申告に向けた確認まで止めないでください。税額を計算する作業と、納付方法を検討する作業は並行して進めます。

相続税には、金銭での一括納付が難しい場合に検討する納付方法があります。ただし、希望すれば利用できるというものではありません。適用条件や必要書類に加え、申請時期も関係します。

税務上の確認事項は、次の内容です。

  • ご本人の状況で使える納付方法
  • 申請を要する場合の期限
  • 担保などの条件を満たせるか
  • 利息に相当する負担が生じるか

「株を売れば払える見込みだから」と、納付の確認を後回しにしないでください。売却が遅れた際に、準備の時間を失うおそれがあります。資金調達の成否が分かる前から、税務の担当者と確認を進める順序です。

支払えないまま放置しても、廃業で税金は解消しない

会社を閉じる決断と、個人が負担する相続税への対応は別の問題です。廃業に関する手続きをしただけで、相続税の不足が解消するわけではありません。

納付が遅れれば、追加の負担や滞納処分が問題になる可能性があります。事業の対応に追われているときほど、個人の納税に関する書面も分けて管理してください。

未処理の事項は、短く書き出せば十分です。

  • 税額の計算が終わっていない。
  • 納付方法の確認が終わっていない。
  • 売却代金の入金日が決まっていない。
  • 届いた通知の内容を確認していない。

家族には、結論より先に現状を伝える方法もあります。「会社を閉じるしかない」と話す前に、何が未確認なのかを共有してください。判断が済んでいない部分まで、決定事項として伝えずに済みます。

納税資金を作る案は、手取りと会社への影響で比べる

資金を作る方法は、受け取れる金額だけで選ばないでください。手取りが生じる時期と、その後の生活や事業への影響まで比べて判断します。

個人の財産を使うなら、その後の生活費も見積もる

個人の預金や売却可能な財産で納税する案は、会社の運転資金を直接減らさずに済む可能性があります。ただし、納税後の暮らしまで確認する必要があります。

会社から役員報酬を受け取れない状態なら、預金は生活を支える資金でもあります。使い切れば、家計も苦しくなります。納税だけを見て決めず、その後の収入も一緒に確認してください。

資金計画では、用途を分けます。

  • 納税に回せる現金
  • 当面の生活に必要な現金
  • 個人の返済に充てる現金
  • 売却まで時間がかかる財産

家族名義の財産は、ご本人の財産と区別します。家族の協力を前提にする場合も、受け渡す方法の税務上の扱いを確認してください。生活費の見積もりと、制度上認められる納付能力の判断も同じではありません。自己判断で納付額を減らさず、計画を税務の担当者に示します。

自社株の売却は、税引き後の金額で納税に届くか

株式を第三者に売却する案では、譲渡代金から税金や費用を差し引いた手取りを見ます。提示価格だけを納税予定に入れると、支払いの段階で不足するおそれがあります。

相続税と、売却に伴う税負担の計算も分けて確認してください。納税のための売却であっても、売却自体の税務を省けるわけではありません。

比較する条件は、価格以外にもあります。

  • 代金を受け取れる時期
  • 売却に伴う税金と費用
  • 売却後も負う契約上の責任
  • 経営を離れた後の収入

株式を売れば、役員報酬などの収入が変わることもあります。納税を終えた後の生活費まで見積もると、売却で解消する負担と残る負担が見えてきます。

提示額が納税額に届かない場合は、不足分を残した計画として扱います。買い手との条件がまとまったことと、納税資金が足りることを混同しないでください。

会社に株を買ってもらう案は、運転資金から逆算する

発行会社に自社株を買い取ってもらう案も、会社に支払い能力があることが前提です。使える財源や手続きの確認に加え、受け取る側の税務も検討します。

預金残高だけでは判断できません。そのお金を買い取りに使うと、次の給与や仕入れを払えなくなる場合があります。納税資金を得ても、事業が止まれば借入や保証の問題が深まるおそれがあります。

検討は、次の順序で進めます。

1. 事業継続に必要な資金を見積もる。
2. 買い取りに使える財源を確認する。
3. 必要な社内手続きを確認する。
4. 株主の税引き後の手取りを計算する。

会社に余裕がないなら、この案に固執しないことです。第三者への売却と比べ、どちらが事業の資金を残せるかを見ます。会社側に生じる支出と、個人側の手取りを別々に試算してください。

新たな借入は、返済の原資がある場合に検討する

借入で納税資金を用意するなら、その後に何で返すのかを先に確認します。納期限を越えられても、返済できなければ、別の支払いに困る状態へ移るだけです。

会社からの収入が減っている場合は、従来の役員報酬を前提にしないでください。廃業を検討しているなら、その後の収入も未定かもしれません。借りられる金額と返せる金額を分けて考えます。

確認事項は、次の内容です。

  • 返済に使える継続収入があるか
  • 担保にする財産を失う影響は何か
  • 家族が保証を負う条件にならないか
  • 会社の資金繰りと同時に悪化しないか

借入の承認が出るまで、納税資金として確保できた扱いにはしません。売却と借入を並行して検討する場合も、同じ財産を重複して数えないようにします。担保に入れた財産を売る計画なら、売却代金の使途にも確認が要ります。

猶予を考える場合は、相続人本人の事情と制度の条件を照合する

会社が赤字というだけで、相続税の猶予が認められるとは限りません。相続税を負担するご本人の事情と、申請する制度の要件を照合します。

会社の廃業と、納税者本人の事業廃止を混同しない

一定の事情により国税を一時に納付できない場合、申請による納税の猶予が検討対象になります。国税通則法第46条第2項には、「納税者がその事業を廃止し、又は休止したこと」とあります。

同項による猶予は、納付できないと認められる金額が対象です。期間は1年以内とされています。出典はe-Gov法令検索「国税通則法」第46条、条文確認日は2026年8月19日です。

ただし、株式を相続した人と、その株式を発行する会社は別の主体です。会社の廃業を、そのまま相続人本人の事業廃止として扱えるわけではありません。

税務上の検討では、適用を求める根拠を確認してください。事業廃止などの事実と、納付できない事情との関係も問われます。廃業という言葉が条文にあるから利用できる、と先に結論を出さないようにします。

生活や事業への影響を理由とする猶予にも条件がある

国税を一度に納めると生活や事業が立ち行かなくなる場合は、換価の猶予の要件を確認します。財産を売却して税金に充てる処分を猶予する仕組みで、納税の猶予とは別の制度です。

国税徴収法第151条の2には、「その事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれ」とあります。納税について誠実な意思が認められることなども条件です。

申請による換価の猶予は、納期限から6月以内の申請が要件です。猶予期間は1年以内とされ、財産目録などの添付も必要になります。出典はe-Gov法令検索「国税徴収法」第151条の2、条文確認日は2026年8月19日です。

税額が高いという説明だけでは、生活への影響は伝わりません。収入と支出を資料で示し、納付できる金額も含めて検討します。他の要件もあるため、この記載だけで適用の可否を判断しないでください。

猶予が認められても、将来の納付資金を考える

猶予の検討と並行して、将来の納付に使う資金を考えてください。支払いの時間を得ることと、税金がなくなることは別です。

予定していた株式売却が進まなければ、その後の計画も変わります。会社からの収入を見込む場合は、事業の継続が可能かまで点検する必要があります。

納付の見通しは、次の内容を組み合わせて作ります。

  • 継続して見込める個人の収入
  • 財産売却による手取りの見込み
  • 生活維持に必要な支出
  • 既存の借入返済に必要な支出

実現性の低い売却価格や、未承認の借入で収支を合わせないでください。入金が遅れた場合に、どの支払いが不足するかも確認します。資金計画が成立しないなら、売却条件や事業を続ける期間を見直す判断が要ります。

制度の名称より、申請と納付計画の中身を確認する

「猶予を使えるかもしれない」という段階では、納税の見通しが立ったとは扱えません。申請に必要な条件と、ご本人が満たせる条件を具体的に並べます。

税理士が税務上の判断を担い、ご本人が必要な事実と資料を用意する分担です。期限がある作業は、担当する人も決めてください。

相談時の確認事項は、次の内容です。

  • 適用を検討する制度とその理由
  • 申請期限と必要書類
  • 担保の扱いと追加の負担
  • 認められない場合の資金計画

相続税固有の納付方法と、一般的な国税の猶予は、要件を分けて確認します。一般的な猶予の条件だけで、相続税の納付全体を判断しないでください。

すでに税務を依頼している場合も、申告書の作成だけが依頼範囲になっていないかを確かめます。納付が難しい事情まで共有しているかで、準備する資料が変わります。

廃業とM&Aは、個人に残る現金と連帯保証で比較する

廃業とM&Aの比較では、会社の支払いを処理した後の現金と、連帯保証の扱いを確認します。事業に買い手が付いても、相続税の不足まで解消できるとは限りません。

廃業して財産を売っても、株主に残るお金は別計算

会社の設備や土地を売った代金は、まず会社のお金として扱います。会社には、借入返済や未払いの支出が残っている可能性があります。

営業を止めるための費用も見落とせません。資産の売却見込み額が高くても、それを丸ごと株主の納税資金に回せる計算にはなりません。

廃業案では、次の項目を積み上げます。

  • 会社の財産を売った場合の収入
  • 借入や未払いへの支出
  • 契約を終えるための支出
  • 税金と専門家への費用

収入から支出を差し引き、株主へ分配できる見込みがあるかを確認します。分配が見込めても、その時期が納期限に間に合うかは別の確認事項です。

費用の内訳について、詳しくは会社を畳む費用を分解|解散・清算・破産で変わる支出と払えない場合の出口をご覧ください。

株式譲渡と事業譲渡では、代金を受け取る人が違う

相続した株式を売却する株式譲渡では、売り手となる株主が代金を受け取ります。一方、会社が事業を売る事業譲渡では、代金は会社に入ります。

受取人の違いは、納税資金に直結します。事業の売却額が納税額を上回っていても、相続人が使える資金になるとは限りません。

→ 横にスクロールできます

比較する項目 株式譲渡 事業譲渡
代金の受取人 売り手の株主 事業を売る会社
個人の納税資金 手取りを確認 資金移転を別検討
会社の借入 原則として会社に残る 移転条件を個別確認
個人の連帯保証 別途確認が必要 別途確認が必要

事業を売った金額と、相続人が納税に使える金額は同じとは限りません。 提案を受けたら、お金が誰に入り、どの支出を経て、いくら残るのかを書面で確認してください。

事業譲渡が事業の存続に役立つ場合でも、個人の納税資金は別に不足することがあります。事業を残す目的と、個人の支払いを満たす目的を、それぞれ検証します。

株を手放すことと、連帯保証が外れることを分ける

株式の譲渡だけで、借入の連帯保証も終わるとは考えないでください。保証の解除には、金融機関の同意が前提になります。

買い手との契約に保証解除の約束を入れても、それだけで保証契約が変わるわけではありません。売却価格に納得できても、保証の扱いが未整理なら、経営から離れた後の負担が残るおそれがあります。

契約を検討する段階で、次を確認します。

  • どの借入に個人保証が付いているか
  • 金融機関の同意をどう確認するか
  • 解除に必要な条件が何か
  • 条件未達の場合にどう扱うか

相続した株式と、保証に関する責任の範囲も分けて確認してください。株主名簿だけでは、誰がどの保証を負っているかは判断できません。

金融機関との協議の主体は経営者ご本人です。必要に応じて、弁護士等の専門家に依頼します。仲介会社には、協議で使う資料やM&Aの条件設計を担う範囲を確認してください。

従業員と取引先への影響も、事業を続ける期限に反映する

納税を急ぐあまり、取引先との契約終了を先に進めると、引き継げる事業が小さくなる可能性があります。営業が続いているからこそ評価される仕事もあるためです。

一方、売却を待つために赤字を積み重ねれば、会社に残るお金が減ります。待つことにも費用があります。どこまで営業を続けられるかを、資金繰り表で確認してください。

判断の材料は、次の内容です。

  • 給与などの支払日と不足見込み
  • 継続中の仕事を引き継げる可能性
  • 買い手の確認に必要な期間
  • 廃業へ切り替える場合の支出

従業員や家族への罪悪感から、ご本人の資金だけで抱え込む必要はありません。続ける場合と終了する場合の負担を示すことが、関係者への説明につながります。

支払いを続ける見込みが立たない場合は、M&Aを待つ判断も見直します。状況によっては法的整理が適切な場合もあるため、事業の価値だけで継続を決めないでください。

相談では、税務の確認と事業の出口設計を並行させる

自社株の相続税が払えない相談では、税務とM&Aの検討範囲を分けると作業が進みます。誰が税額を確認し、誰が事業の売却条件を整理するかを決めてください。

税理士・弁護士・M&A仲介の役割を区別する

税理士が担当するのは、自社株の税務評価や相続税の確認です。売却時の税負担や、納付が難しい場合の税務上の検討も関わります。

相続人の間で意見が対立している場合や、債務整理が必要な場合は、弁護士の法律上の判断が関わります。株式の権利関係が整理できなければ、売却の日程にも影響します。

M&A仲介が扱うのは、譲渡可能性や買い手候補との条件整理です。

担当する専門家 主に確認する内容
税理士 評価・税額・納付方法
弁護士 相続紛争・債務整理
M&A仲介 買い手・譲渡条件

すでに弁護士から助言を受けている場合は、その前提も共有してください。状況によっては法的整理が適切な場合もあります。 M&Aの検討は、法律上の判断を置き換えるものではありません。

あさひ国際会計株式会社へのご相談では、事業の出口と確認すべき課題を整理します。税務申告や法律事務については、それぞれの専門家に依頼する範囲を区別します。

初回は、不足している情報が分かれば進められる

相談前に評価書を完成させたり、資料を作り直したりする必要はありません。すでにあるものを使い、分からない項目を明らかにするところから始めます。

用意できる範囲で、次の資料が役立ちます。

  • 納期限と概算税額が分かる資料
  • 株主と保有株数が分かる資料
  • 会社の直近の決算書
  • 現在の資金繰りが分かる資料
  • 借入と連帯保証が分かる契約書

見つからない資料は、そのまま伝えてください。借入先は分かるが保証契約書が見つからない、という状態でも構いません。

初回の相談では、廃業を決めたかどうかより、いつ何の支払いが難しくなるかを共有します。納税と会社の支払いを同じ日程表にすると、急いで確認する作業が見えてきます。家族との話し合いが済んでいない事項も、未決定として分けておきます。

相談料と成約報酬を分け、手取りまで確認する

当社の相談は無料で、着手金はありません。成功報酬は成約時に譲渡代金の中から精算します。そのため、当社報酬について売り手の手元からの持ち出しは0円です。

成功報酬自体が無料という意味ではありません。納税資金を計算する際は、譲渡代金から報酬を差し引いた手取りを確認してください。税金や、別途依頼する専門家の費用も区別します。

契約前に確認する項目は、次のとおりです。

  • 成功報酬の計算方法
  • 報酬が発生する条件
  • 別途発生する費用の有無
  • 成約しない場合の費用の扱い

譲渡代金から必要額を精算できない条件なら、その案を成立済みの資金計画として扱いません。金額だけでなく、支払う時期も確認してください。

法的整理が適切な場合には、その費用の準備も検討対象です。詳しくは破産費用はいくらかかる?法人・経営者個人の内訳と払えない場合の選択肢をご覧ください。

当社は、経営者本人の協議を資料と条件設計で支える

あさひ国際会計株式会社は、再生型M&Aの仲介をおこなっています。連帯保証の解除を見据えたスキームの提案と、事業承継支援が業務の中心です。

金融機関との協議に向けては、必要な資料を整備します。事業価値の説明資料の作成や、M&Aの条件設計を通じた後方支援です。交渉の主体は経営者ご本人と、必要に応じて依頼する弁護士等の専門家になります。

相談時には、次の順にお話しください。

1. 相続税の納期限と不足見込みを伝える。
2. 会社の支払いと借入の状況を伝える。
3. 廃業や譲渡で迷っている点を伝える。

「まだ売ると決めていない」という段階でも相談を承っています。他社に断られた経験がある場合は、その理由も検討材料になります。ただし、状況によっては法的整理が適切な場合もあります。譲渡に進めるかは、資金の残り方や権利関係を確認して判断します。

よくある質問

自社株を相続しただけで、会社を売らなければならないのですか?

株式の売却を直ちに決める必要はありません。相続税額と、個人で用意できる資金を確認し、納付方法も含めて検討します。会社を続けた場合の収入で負担できるか、売却した場合にいくら残るかが判断材料です。納税後の生活と事業まで続けられる計画かを確かめてください。

会社が債務超過なら、自社株の相続税はかからないのでしょうか?

会社が債務超過という説明だけで、ご本人の相続税の有無は判断できません。株式の税務評価に加え、相続した財産全体などを確認する必要があります。相続時と現在で、会社の状態が変わっている場合もあります。現在の決算書だけで結論を出さず、評価に使った資料と計算の前提を税理士に確認してください。

納税のために株を売れば、連帯保証もなくなりますか?

株式の売却と連帯保証の解除は、別に確認する必要があります。金融機関の同意が前提であり、買い手との約束だけで保証が外れるとは限りません。納税資金の計算とあわせて、どの借入の保証が、どの条件で解除されるのかを確認してください。未確定の部分は、残る負担として生活再建の計画に反映します。

まだ相続は起きていませんが、将来払えそうにない場合も相談できますか?

相続が起きる前でも、株式の評価見込みと納税資金の準備を整理できます。ただし、将来の税額は現時点の概算と分けて扱ってください。事業を継ぐ人の意思や、会社の収益力も検討材料です。廃業を視野に入れている場合は、相続に向けた準備と、事業を第三者へ引き継ぐ案を比較するところから相談できます。

まとめ

納期限と概算税額、個人で用意できる現金をメモにし、会社の資金とは分けてください。そのメモをもとに、納付方法の確認と、廃業・譲渡それぞれの手取りや連帯保証の検討を並行して進めましょう。

この記事を書いた人

あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を見据えた再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介の成約実績があります。
他社で断られた案件のご相談も承っています。ご相談は無料です。

無料相談はこちら / お急ぎの方はお電話でも承ります 03-5657-7496

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