用語集 > 会社分割

会社分割とは、会社が事業に関して持つ権利義務の全部または一部を、他の会社(吸収分割)、または分割で新しく設立する会社(新設分割)に承継させる手続です(会社法2条29号・30号)。分割の契約や計画に書いた権利義務がまとめて移るため、債務も移りえます。

条文・原文の核心

『その事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後他の会社に承継させること』会社法2条1項29号(吸収分割)(原文)

『分割により設立する会社に承継させること』会社法2条1項30号(新設分割)(原文)

仕組み

  • 吸収分割:権利義務を、すでにある別の会社に承継させる(会社法2条29号)。
  • 新設分割:権利義務を、分割によって新しく設立する会社に承継させる(同条30号)。

承継されるのは、吸収分割契約・新設分割計画で定めた権利義務です。事業譲渡のように資産や契約を一つずつ移すのではなく、定めた範囲が法律の効果でまとめて移ります。このため債務も、定めに従って承継会社へ移ります(759条1項・764条1項)。

条件と注意点

  • 債権者への手続がある。分割後に債務の履行を請求できなくなる債権者などは、異議を述べることができ、会社は債権者への公告と、知れている債権者への各別の催告をします。各別の催告を受けなかった債権者は、分割契約等でその会社に請求できないとされていても、請求できる場合があります(759条2項・3項、764条2項・3項)。
  • 残された債権者は承継会社に請求できることがある。承継されない債務の債権者(残存債権者)を害することを知って分割した場合、残存債権者は、承継した財産の価額を限度として、承継会社に履行を請求できます。
    • 吸収分割(759条4項):承継会社が、効力が生じた時に債権者を害することを知らなかったときは、請求できません。
    • 新設分割(764条4項):この但書はありません。
    • どちらも、分割した会社が破産手続開始・再生手続開始・更生手続開始の決定を受けたときは、この請求の権利を行使できません(759条7項・764条7項)。
  • 会社法の定めのうち、債権者を害することを知って分割した場合の責任は、害することを知った時から2年以内に請求または請求の予告がなければ消えます。分割の効力発生から10年経過した場合も同様です(759条6項・764条6項)。

中小企業の社長にとっての意味

事業を新会社に分けたいときの手続ですが、「分ければ債務を置いていける」という単純な方法ではありません。債権者への手続を怠ったり、債権者を害する分割だったりすると、承継会社が請求を受けることがあります。第二会社方式の中で使われることが多い手続です。進め方の判断は、弁護士など専門家と行ってください。

よくある質問

会社分割をすれば、債務を元の会社に置いていけますか

分割契約・計画でそう定めることはできますが、債権者を害することを知って分割した場合などは、残された債権者が承継会社に請求できることがあります(会社法759条4項・764条4項)。

吸収分割と新設分割の違いは何ですか

権利義務を承継させる先が違います。吸収分割は既存の別の会社、新設分割は分割によって新しく設立する会社です。残存債権者への請求では、吸収分割には承継会社が知らなかった場合の但書があり、新設分割にはありません。

関連する用語

  • 事業譲渡:事業譲渡とは、会社が事業の全部または一部を、資産・契約・従業員などを個別に移す形で他社に譲ることです。
  • 第二会社方式:第二会社方式とは、赤字・債務超過の会社の事業を別の会社(第二会社)に移し、元の会社を清算するなどして整理する方法の、実務上の呼び名です。
  • 詐害事業譲渡:詐害事業譲渡とは、譲渡会社が、譲受会社に承継されない債務の債権者(残存債権者)を害することを知りながら、事業を譲渡することです。
  • 特別清算:特別清算とは、すでに解散して清算中の株式会社に、債務超過の疑いなどがあるときに、裁判所の監督のもとで行う清算手続です(会社法510条以下)。

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出典

この用語集は一般的な制度の説明です。個別の会社への当てはめは、弁護士など専門家にご相談ください。条文は e-Gov 法令検索の原文で確認しています(2026年10月23日時点)。法令や制度は改正されることがあります。

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