目次
この記事の対象と結論
債務超過になった中小企業に、共通して使える一律の猶予期間が設けられているわけではありません。改善を求められる期限や支払いへの影響は、契約と資金の状態によって変わります。
借入の連帯保証を抱え、廃業を考えている方が先に確かめたいのは、次の支払日に使える現金が足りるかです。決算書上の不足額だけでは、判断に使える時間は見えてきません。
支払いを続けられる間に、立て直し、譲渡、会社の整理を比べてください。すでに支払いが遅れているなら、今日の未払い額と入金予定を整理します。状況によっては法的整理が適切な場合もあります。
廃業に迷う段階で相談する経営者は珍しくありません。資料がそろっていなくても、直近の支払日から状況を伝えられます。
債務超過の猶予期間は「何の期限か」で意味が変わる
債務超過の猶予期間を調べるときは、財務の改善期限と借入の返済期限を区別してください。債務超過という状態だけで、支払いを待ってもらえる期間が決まるわけではありません。
決算書のマイナスと支払期限は別に動く
会社の資産より負債が多くなっている状態を、債務超過と呼びます。貸借対照表では、純資産がマイナスになっているかが確認の入口です。
一方、仕入先への支払日や借入の返済日は、契約などに沿って到来します。決算で債務超過が分かっても、それらの日付が自動で延びる仕組みではありません。
財務と資金は別に見ます。純資産がマイナスでも、入金と手元資金で支払いを続けている会社はあります。帳簿の状態だけで、明日営業を止めるかまで判断するのは早計です。
確認する資料も異なります。
- 財務の不足は貸借対照表で確認する
- 支払いの見通しは資金繰り表で確認する
- 返済の条件は借入契約で確認する
赤字との違いも整理したい方は、詳しくは債務超過とは?赤字との違い・判断方法と会社を残す選択肢を経営者向けに解説をご覧ください。
上場会社向けの説明を自社の期限にしない
検索結果には、上場会社を対象にした債務超過の説明も含まれます。そこで示された期限を、非上場の中小企業がそのまま使えるとは限りません。
対象が違うためです。「猶予期間内だから支払いを待ってもらえる」と受け取ると、契約上の期限を見落とすおそれがあります。
記事や資料を読む際は、期間の長さより先に次を確かめてください。
- 対象は上場会社か、非上場会社か
- 何の条件を満たすための期限か
- 自社の借入契約にも関係するか
- 期限までに必要な行動は何か
自社に当てはまる根拠が見つからない期間は、資金計画の前提に置かないほうが無理を避けられます。経営判断には、自社の支払予定を使ってください。
また、取引先から財務改善を求められている場合も、期限の意味を確認します。借入の返済条件と、取引を続けるための条件は、別々に扱う必要があります。
返済を待ってもらうには合意の内容を確かめる
金融機関に返済条件の変更を申し入れることと、変更が認められることには違いがあります。相談を始めた段階で、返済予定が変わったと扱わないようにします。
話が進んだら、対象の借入と適用開始日を照合してください。元金と利息で扱いが異なる場合もあるため、口頭の理解だけで資金繰り表を書き換えるのは避けたいところです。
確認する項目は次のとおりです。
- どの借入が変更の対象か
- 変更後の返済額はいくらか
- いつから条件が変わるか
- 変更した条件がいつまで続くか
借入の返済が軽くなっても、給与や仕入れの支払いは残ります。返済条件の変更は、事業全体の資金不足を自動で埋めるものではありません。
変更した条件が終わる時点の資金も見積もります。そのときに返済を続けられるかまで考えると、単なる先送りになっていないかを確かめられます。
解消を待つ間にも、資金と事業の状態は変わる
利益の積み上げなどで債務超過の解消を目指す場合、時間がかかることもあります。その間の支払いを続けられる見通しがあって、初めて計画として検討できます。
待っている間にも費用は発生します。赤字が続けば、財務の不足がさらに広がる可能性もあります。
見るべきなのは、解消する予定日だけではありません。途中で現金が不足しないか、改善が遅れた場合に別の道へ移れるかも含めます。
「次の決算で考える」と先送りすると、その前に支払期限が来ることがあります。資金の動きに合わせて見直す日を決めてください。
たとえば、改善策を実行しても受注が戻らない場合です。計画を続ける根拠が薄れた時点で、譲渡や整理を比べ直します。決算の確定まで待つと、準備に使う資金が減ってしまうおそれがあります。
自社に残された時間は、入出金を日付で並べて確かめる
経営判断に使える時間は、現金が不足する日と、準備に必要な期間を重ねて考えます。債務超過額を毎月の利益で割るだけでは、途中の支払いを見落とします。
通帳残高から、使い道が決まったお金を分ける
通帳に残高があっても、その全額を再建や廃業の準備に使えるとは限りません。給与や家賃など、近く支払う予定の金額を先に並べてください。
残高だけでは判断できません。支払日と金額を書き出すと、現金が減る順序が見えてきます。
最初に確認したいのは、次の資料です。
- 現在の預金残高が分かるもの
- 給与と仕入代金の支払予定
- 借入の返済予定表
- 税金など未払いの分かるもの
口座が複数ある場合は、会社全体で確かめます。引落口座に資金が足りない問題と、会社全体の資金不足では、対応の出発点が異なるからです。
家族の預金を足した金額を会社の残高として扱うと、生活費との境目が曖昧になります。法人と個人の資金は分けて記載してください。
すぐに引き出せない預金や、使い道に制限のあるお金も区別します。帳簿上の残高と、支払日に使える現金を一致させるための確認です。
売上の予定と入金の確かさを分けて書く
請求書を発行していても、その代金が支払日に間に合うかは別の確認です。売上があることだけで安心せず、入金日と回収の見込みを見てください。
まだ受注が決まっていない仕事は、確定した入金と分けて扱います。期待している売上をすべて足すと、現金が足りるように見えてしまいます。
→ 横にスクロールできます
| 入金の状態 | 計画での扱い | 確認すること |
|---|---|---|
| 入金日が確認済み | 基本の見通しに入れる | 金額と着金予定 |
| 回収が遅れている | 遅延も見込む | 相手の支払状況 |
| 受注が未確定 | 別枠で考える | 成立までの条件 |
| 融資を相談中 | 未実行分を分ける | 実行の可否と時期 |
入金が予定どおりの場合と、遅れた場合を比べると、判断の余裕が見えます。楽観的な予定だけに合わせて契約を増やすことは避けましょう。
月末の残高がプラスでも、その途中で資金が足りなくなる場合があります。支払いが入金より先に来るなら、月単位の合計だけで済ませず、日付順に並べ直します。
支払いが遅れているなら、今日の事実をそろえる
すでに期限を過ぎた支払いがある場合は、現在の未払い状況の確認を先に進めます。誰に、何の代金を、いくら払えていないかを整理してください。
複雑な事業計画は後からでも補えます。今日そろえる内容は、次のような事実です。
1. 未払いの相手と金額を書き出す
2. 直近の入金予定を確認する
3. 催促や通知の内容を保存する
4. 新たに約束した支払日を記録する
見通しが立たないまま、相手ごとに異なる支払日を約束すると、対応が難しくなります。支払いの優先順位や資産売却には、法的な判断が関わる場合もあります。
不明な項目は不明のままで構いません。資料作りに時間を使い切らず、支払期限と手元資金を先に共有してください。
状況によっては法的整理が適切な場合もあります。支払いを続ける案だけに絞らず、債務と財産を整理する必要性も弁護士と確認します。
判断を切り替える日も資金繰り表に入れる
現金が尽きる日まで考え続けると、譲渡や整理の準備時間が残らないことがあります。資金繰り表には、支払日とともに判断を見直す日も書き込みます。
予定した入金が遅れたときは、見直しの機会です。返済条件の変更が進まない場合も、当初の計画をそのまま使わず更新してください。
確認事項は、金額だけに絞りません。
- 買い手候補との話が進んでいるか
- 従業員の離職が増えていないか
- 主要取引先との取引が続くか
- 整理に使う費用が残っているか
期限を置く目的は、自分を追い込むことではありません。予定が外れたときに、残った選択肢を使える状態にしておくためです。
改善策の結果が出る日より前に資金が不足するなら、その計画だけでは支払いをつなげません。追加資金の裏付けがない段階では、譲渡や整理の準備も並行して検討します。
廃業・立て直し・M&Aは、必要な現金と残る責任で比べる
進む道は、債務超過の大きさだけで決められません。事業の収支と準備中の資金に加え、会社と個人に残る債務を並べて比べます。
立て直すなら、利益が現金になるまで追う
売上が増えても、仕入れや人件費が先に出る業種では、途中で資金が不足することがあります。利益が出る見込みと、支払いを続ける見込みを重ねてください。
改善策には実行の根拠が必要です。値上げなら取引先の反応を確かめます。経費削減では、実施後に仕事を続けられるかまで検討してください。
次の内容を短く説明できる状態にすると、計画の不足が見えます。
- どの仕事で利益を残すのか
- 改善の効果がいつ現れるのか
- それまでの支払いをどう賄うのか
- 計画が遅れたら何を見直すのか
役員報酬を削っても、家族の生活が続かない水準なら長くは持ちません。会社の収支と生活費を分け、両方が成り立つかを確認します。
解消策を横に並べたい方は、詳しくは債務超過の解消方法を比較する|利益改善・資本支援・M&Aの選び方をご覧ください。
債務超過でも、引き継ぎたい事業があれば譲渡を探れる
借入が多くても、買い手が事業の引き継ぎを検討する余地はあります。継続する取引や働く人の技術など、純資産だけでは測りきれない要素があるためです。
ただし、候補先が現れることと成約は別です。契約の引き継ぎや運転資金に問題があれば、条件の見直しが必要になります。
当社が支援して成約した案件には、運送業で年商が1億円台の会社があります。債務超過額は3,000万円規模、従業員は10名前後でした。出典は当社の成約案件資料で、2026年8月16日に確認した内容です。
同じ規模なら成約できるという基準ではありません。事業の中身と、借入・保証の扱いを個別に確かめます。
買い手が何を引き継ぎたいのかも整理してください。
- 続いている取引や受注
- 従業員の技術と仕事の体制
- 事業に使っている設備
- 引き継ぎに必要な契約
経営者が退くことと、従業員の仕事を残すことを分けて考えられる点は、譲渡を検討する理由になります。詳しくは債務超過の会社は売却できるか。価格と進め方をご覧ください。
閉じる場合も、残った財産と債務の整理が続く
営業を止めても、借入や未払いの確認は残ります。設備を売って現金を配れば終わるとは限らず、会社の状態に合う整理を選ぶ必要があります。
解散後の株式会社で債務超過の疑いがある場合は、単に様子を見る判断には注意が要ります。会社法511条2項は、清算人について「申立てをしなければならない」と定めています。
対象は、債務超過の疑いがある清算株式会社の清算人です。特別清算開始の申立てに関する規定であり、営業中の会社に共通する猶予期間とは異なります。出典は会社法511条2項、2026年8月15日確認の条文です。
破産も、経営者を責めるための言葉ではありません。破産法1条には「経済生活の再生の機会の確保」という目的もあります。出典は破産法1条、2026年8月15日確認の条文です。
状況によっては法的整理が適切な場合もあります。事業を残す案と、生活を立て直すために整理する案を、残る資金と負担から比べてください。
選択肢ごとに「途中の資金」を見積もる
最終的な結果だけで比べると、準備中の支出が抜けやすくなります。立て直しにも譲渡にも整理にも、その道を進むための現金が必要です。
→ 横にスクロールできます
| 選択肢 | 準備中に見る資金 | 残る課題 |
|---|---|---|
| 立て直し | 改善までの運転資金 | 返済の継続 |
| M&A | 引き継ぎまでの資金 | 借入と保証の扱い |
| 廃業・整理 | 終了までの費用 | 残債務の整理 |
廃業を選ぶと売上の入金が減る一方、契約の終了などに支出が残ることがあります。営業を続ける案では、赤字が広がる可能性も見積もります。
比較の期間をそろえてください。片方は今月だけ、もう片方は事業終了までという計算では、負担の違いを読み違えます。
また、譲渡代金が入る予定でも、契約前から使えるお金として扱うのは避けます。入金までの運転資金が足りなければ、事業を維持したまま引き継ぐ計画が崩れるおそれがあります。
会社の猶予期間と、社長の連帯保証は分けて考える
会社が返済条件の変更や事業譲渡を進めても、社長の連帯保証が自動で消えるわけではありません。会社の債務と個人の保証を、別々に確認する必要があります。
保証している借入を契約ごとに確認する
借入残高の合計だけでは、経営者個人が負っている保証の範囲は分かりません。会社の借入一覧と、保証に関する契約を照合してください。
記憶だけで判断しないことです。以前の借入や借り換えも含めて、現在の契約を確認します。
- どの借入に保証が付いているか
- 誰が保証人になっているか
- 現在の借入残高はいくらか
- 担保に入っている財産は何か
保証契約が手元にない場合は、書類がないことも記録します。「保証なし」と「未確認」を混ぜると、その後の判断を誤りかねません。
会社の返済が苦しくなったからといって、個人の財産の扱いまで即断する必要はありません。契約と資産の状況を整理し、会社側の方針と合わせて見通しを立てます。
家族への説明でも、会社の借入総額だけを伝えると不安が広がりがちです。個人が負う保証の範囲を確認し、分かっていることと未確認のことを分けて伝えてください。
M&A契約の約束と金融機関の同意を区別する
買い手と保証解除について約束しても、その約束だけで金融機関との保証契約が変わるとは限りません。金融機関の同意を前提に、必要な手続きを確認します。
「買い手が対応すると言った」という説明だけでは、実際の解除を確かめられません。契約上の約束と、金融機関で進める手続きを分けて記録してください。
確かめたいのは、次の内容です。
- 対象となる保証契約
- 金融機関に確認する事項
- 手続きを担う人と進捗
- 解除を確認するための書面
譲渡の実行日だけを目標にすると、保証が残った場合の対応を見落とします。成立までの条件と、その後に確認する事項を、契約の段階から整理しておきます。
会社の所有者が変わったことを、個人の保証が終わった証拠にしないでください。保証ごとに確認を終えたかを記録しておくと、未処理の契約を把握しやすくなります。
保証債務の整理には、会社側の手続きも関わる
すでに負っている保証債務の整理では、経営者保証に関するガイドラインが検討の対象になることがあります。会社と保証人の状況について、利用要件の確認が必要です。
同ガイドライン7.(1)には、会社側の手続きに関する要件があります。会社が法的債務整理手続か準則型私的整理手続を、同時に申し立てていることです。申立てをおこなう見込みである場合も含まれます。
出典は、全国銀行協会・日本商工会議所が事務局を務める同ガイドラインです。2026年8月20日に確認した内容にもとづきます。
資産を開示すれば、ほかの条件に関係なく保証が外れる制度とは捉えないでください。会社側の整理方法と、個人側の保証債務を合わせて検討します。
これから保証を付けずに借りる場面と、すでに負った保証を整理する場面では、確認する要件が異なります。検索で見つけた条件を使う際も、自分がどちらの場面にいるかを確認してください。
個人のお金を入れる前に、何が変わるかを見る
会社を守ろうとして、自分の預金を追加で入れたくなる経営者もいます。その判断の前に、資金を入れると何が改善するのかを言葉にしてください。
入金の遅れを埋めれば、通常の支払いに戻れるのか。赤字が続き、次の支払いでも不足するのか。見通しによって、お金の使い方は変わります。
一時的に払えるだけなのかも確認します。会社の口座に入金できたことと、立て直しの見通しが立ったことは別です。
家族の生活費まで入れてしまうと、廃業後の生活の選択肢も狭まりかねません。会社のために使う額と、生活を続けるために必要な額を分けて考えます。
資金の出し入れや特定の相手への返済には、法的な判断が関わる場合もあります。善意でおこなった行動でも、後の整理に影響する可能性があるためです。財産を動かす前に、弁護士による確認も含めて判断します。
猶予を使うなら、事業の価値と記録を残す行動に充てる
判断に使える時間が残っている場合は、資料の整備と事業の引き継ぎ条件の確認を進めます。待つだけでは、従業員の離職や取引の終了によって選択肢が減ることがあります。
古い決算書に、現在の状況を足す
過去の決算書だけでは、現在の資金不足を説明しきれません。直近の残高や未払いなど、決算後に変わった内容を付け足します。
最初から整った資料でなくても構いません。更新されている部分と、不明な部分が分かれば、確認の順序を決めやすくなります。
手元にある範囲で、次をそろえてください。
- 直近の決算書
- 現在の売上や経費が分かる資料
- 借入と保証の契約書
- 未払いと支払予定の一覧
数字が合わない箇所を隠すより、そのまま伝えるほうが後戻りを減らせます。帳簿に載る金額と、実際に回収できそうな金額に差があれば、理由も添えます。
在庫や設備も同様です。帳簿上は資産でも、すぐに売れるとは限りません。売却を前提に資金を組むなら、価格だけでなく入金までの時間も確かめておきます。
従業員への説明は、給与と今後の仕事を軸にする
従業員への罪悪感から、状況を話せずにいる経営者もいます。ただ、説明を延ばす間にも、働く人は次の給与や仕事の予定を前提に生活しています。
伝える内容と時期は、譲渡や整理の方針に合わせて検討します。未確定の計画を、決まったことのように話さない配慮も必要です。
準備するのは、働く人の判断に必要な事実です。
- 給与の支払見通し
- 現在決まっている営業の予定
- 引き継ぎを検討している範囲
- 次に状況を伝える時期
M&Aを検討していても、雇用条件がそのまま維持されると先に約束するのは避けます。買い手との条件や必要な手続きを確認してから、説明できる範囲を広げていきます。
何も決まっていない部分は、その旨を伝えます。見通しをよく見せるための約束より、次にいつ説明するかを示すほうが、働く人も予定を立てやすくなります。
取引先には、納品と支払いの見通しを分けて伝える
事業を続ける予定でも、仕入れが止まれば納品に影響することがあります。取引先への連絡は、新たな負担を広げないためにも必要です。
受注の見込みと、納品できる根拠を分けて確かめてください。資材や人員を確保できていない仕事を引き受けると、後で問題が膨らむおそれがあります。
説明の記録も残します。担当者ごとに異なる内容を伝えると、相手も予定を立てられません。
支払いの約束は、実行できる資金の見通しに合わせます。債務整理が関わる場合は、連絡内容や対応の順序について弁護士の助言を受けることも考えられます。
状況によっては法的整理が適切な場合もあります。取引を続けるための説明と、整理に向けた対応に食い違いが出ないよう、会社の方針をそろえてください。
急な資産処分は、価格と理由を確認してから進める
現金が足りないと、設備や在庫を急いで売りたくなることがあります。しかし、事業に必要なものを手放すと、営業や譲渡の可能性に影響します。
売却を決める前に、目的を整理してください。現金が入るという理由だけでは、その後の収支まで判断できません。
確認したいのは、次の点です。
- 売却後も仕事を続けられるか
- 価格の根拠を説明できるか
- 売却代金を何に使う予定か
- 担保や契約上の制限はないか
事業に欠かせない設備を売った結果、受注を失う場合もあります。資産単体の売却額と、事業を続けて引き継ぐ場合の条件を比べてから判断します。
身近な人への安易な名義変更も、後の整理を難しくする可能性があります。契約や法的な問題を確認し、価格の根拠と代金の動きを記録に残してください。
相談では、期限・費用・担当する範囲を先に合わせる
相談の入口では、直近の支払日と不足する見込み額を伝えると、検討の順序を決めやすくなります。費用と役割も先に確認し、誰が何を担当するかを曖昧にしないようにします。
廃業するか決めていない状態でも話せる
相談するために、廃業や自己破産を決断しておく必要はありません。事業を続けたい気持ちと、これ以上の負担は難しいという気持ちが混じったままでも構いません。
初回に伝えたい内容は、次のとおりです。
- 直近で資金が不足しそうな日
- 借入と連帯保証の有無
- 従業員や取引を残したい意向
- 手元にある資料の範囲
借入の総額がすぐ分からなければ、分かる部分から伝えます。資料を探している間に支払期限が近づくなら、期限の共有を先にしてください。
あさひ国際会計株式会社では、赤字・債務超過企業のM&Aを扱っています。連帯保証の解除を見据えたスキームのご提案もおこないます。
相談したことだけで、売却に進むわけではありません。残したい事業と負担の限界を整理し、譲渡を検討できる状態かを確認するところから始められます。
法的判断とM&Aの準備は、担当する仕事が異なる
借入や保証の法律問題は、弁護士が扱う領域です。税務の確認や譲渡の準備も、それぞれ必要な仕事に応じて役割を分けます。
| 担当 | 主に確認する内容 |
|---|---|
| 経営者本人 | 経営方針と協議内容 |
| 弁護士 | 債務整理と法的判断 |
| 税理士 | 税務と会計の確認 |
| M&Aの支援者 | 候補先と譲渡条件 |
当社の役割は、M&A仲介と資料整備などの後方支援です。金融機関との協議に必要な資料や、事業価値の説明資料を整えます。M&Aの条件設計を通じて、経営者ご本人の協議を支えます。
債権者との交渉は、経営者本人と、必要に応じて依頼する弁護士等の専門家が担います。依頼時には、担当範囲と追加で必要になる業務を確認してください。
状況によっては法的整理が適切な場合もあります。弁護士から整理を提案されている場合は、その理由と資金の期限を共有し、譲渡案との両立を確認します。
持ち出し0円の理由と、別に必要な費用を確認する
当社への相談は無料で、報酬は成功報酬のみです。着手金はありません。成約時に譲渡代金の中から精算するため、売り手の手元からの持ち出しは0円としています。2026年8月11日確認の当社報酬方針です。
成功報酬まで無料という意味ではありません。報酬の金額や計算方法、精算後の資金の扱いは、契約時に確認してください。
会社の運転資金や別途依頼する専門家の費用は、仲介報酬と分けて考えます。自己破産を選ぶ場合は、弁護士や裁判所への費用を用意する必要があります。
見積もりでは次の項目を確認します。
- 何の業務に対する費用か
- どの時点で支払いが必要か
- 別途発生する費用はあるか
- 手元の資金で準備できるか
払えない見込みなら、準備できる金額を初めに伝えます。支払時期も含めて検討するためです。費用が不足したまま進めると、必要な時期に手続きが止まるおそれがあります。
成約実績を、自社にもらえる猶予期間と受け取らない
当社には、相談から最短5日でクロージングした実績があります。赤字・債務超過案件はおおむね2〜4週間という実績上の目安もあります。いずれも2026年8月11日に確認した当社の取扱実績です。
この期間は、支払いを待ってもらえる期間ではありません。買い手の判断や資料の状態によって、日程は変わります。
これまで成約に至った案件では、いずれも連帯保証の解除まで見届けています。2026年8月16日に確認した当社の成約実績です。ただし金融機関の同意が前提であり、すべての会社で同じ結果になると言い切れるほど単純ではありません。
検討にあたっては、自社の支払期限に対して、準備と協議が間に合うかを確認します。最短実績を前提に、手元資金を使い切らないでください。
他社で断られた案件のご相談も承っています。ただし、状況によっては法的整理が適切な場合もあります。譲渡の可能性と残る時間を確かめ、整理の必要性も含めて判断します。
よくある質問
債務超過を次の決算までに解消しないと、会社を閉じる必要がありますか?
次の決算が、すべての中小企業に共通する廃業期限になるわけではありません。支払いを続けられるか、借入契約にどのような条件があるかで判断が変わります。決算日を待つ間に資金が不足する見込みなら、先に資金と事業の方針を見直してください。
銀行に相談している間は、返済を止めてもよいですか?
相談中であることだけで返済期限が変わるとは扱わないでください。変更の対象や開始日について、金融機関との合意内容を確認します。払えない見込みがある場合は、約束できる金額と日付を整理し、早い段階で状況を伝える必要があります。
会社を売却すれば、社長の連帯保証も外れますか?
売却だけで自動的に外れるわけではありません。保証解除には金融機関の同意が前提となり、買い手との約束だけでは足りない場合があります。譲渡の条件と並行して、対象となる保証契約と解除に必要な手続きを確かめます。
廃業を考えていますが、資料がそろうまで相談を待つべきですか?
支払期限が近い場合は、資料の完成を待たずに状況を伝えてください。手元資金と直近の支払予定が分かれば、何から確認するかを考えられます。足りない資料は後から補い、不明な金額は推測で埋めずに共有します。
まとめ
今日の預金残高と直近の支払予定を並べ、資金が不足する見込みの日を確かめてください。その日付と連帯保証の有無を添えてご相談いただければ、廃業・事業の引き継ぎ・保証の整理を、現状から一緒に検討できます。
この記事を書いた人
あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を見据えた再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介の成約実績があります。
他社で断られた案件のご相談も承っています。ご相談は無料です。
無料相談はこちら / お急ぎの方はお電話でも承ります 03-5657-7496
状況によっては法的整理が適切な場合もあります。事業譲渡の可能性とあわせて、会社と経営者の負担に応じた選択肢を検討します。
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