目次
この記事の対象と結論
自社株を会社が買い取る場合、代金の一部が「みなし配当」となり、株式の譲渡益とは異なる課税を受けることがあります。買い取り代金に一律の税率を掛けても、税引き後の手取りは分かりません。
廃業を考え、会社に残ったお金で自分の株を買ってもらいたい。連帯保証を抱えていると、家族の生活費を残せるかも気になるはずです。
ただ、会社から株主へ支払えば、会社の資金は減ります。税額とともに、買い取り後の支払余力を確認してください。株を手放すだけでは、連帯保証の解除にはつながりません。
対象は、個人の経営者が保有する非上場会社の株式です。法人株主や上場株式では、税務の扱いが異なる場合があります。
自社株を会社が買い取る税金は、配当部分と譲渡部分に分ける
発行会社による自社株の買い取りでは、みなし配当の有無と金額を確認します。残りの金額をもとに、株式の譲渡所得等を計算する流れです。
買い手が発行会社なら、第三者への売却と区別する
経営者の株を、その株を発行した会社自身が買う取引を「自己株式の取得」と呼びます。株主から見れば株の売却ですが、買い手によって税務の扱いが変わります。
第三者への売却では、原則として売却収入から取得費などを引いて譲渡益を計算します。発行会社が買う場合は、代金に配当として扱う部分が含まれることがあります。
買い手の名義を確認しましょう。
「会社に買ってもらう」という話でも、取引先の会社が買うなら第三者への売却です。自分が経営する会社自身が買う場合とは区別してください。口頭の説明だけでは、この違いが抜け落ちることがあります。
検討の出発点として、次を紙に書くと整理しやすくなります。
- 株式を発行した会社の名称
- 現在の株主の氏名
- 買い手となる個人や法人の名称
- 代金を支払う口座の名義
契約上の買い手と、実際にお金を出す人が違う場合も要確認です。資金の流れまで伝えて、税務と法務の確認を進めます。
売買代金でも、配当として扱う部分がある
形式が株式の売買でも、税務では配当を受け取ったものとして扱う金額があります。その部分が、みなし配当です。
国税庁は、自己株式の取得等で受け取る金額について、「みなし配当」とされる部分を区分しています。代金のすべてを株式の譲渡収入として扱わない点が核心です。国税庁「株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされる場合」
個人が受け取る非上場株式のみなし配当は、原則として総合課税の配当所得として扱われます。ほかの対象所得と合わせて税金を計算するため、個人側の所得状況も必要です。
預金残高だけでは計算できません。
みなし配当の有無や金額には、会社側の税務資料が関係します。買い取り予定額だけを伝えても、税額試算の材料が足りない場合があります。決算書だけで足りるかも含め、必要な資料を確認してください。
譲渡益の税率を、受取額全体に掛けない
株式の譲渡所得等の収入金額は、受け取る金銭等からみなし配当部分を除いて考えます。その収入金額から取得費や譲渡に要した費用を引き、損益を計算します。
個人の株式等の譲渡益は「申告分離課税」の対象です。原則的な合計税率は、復興特別所得税を含めて20.315%です。対象期間は平成25年から令和19年までとされています。出典は国税庁の以下の資料です(2026年8月15日確認)。国税庁「株式等を譲渡したときの課税」
税率を掛ける相手は、課税対象となる譲渡益です。買い取り代金そのものとは違います。配当部分には、別の税額計算も必要です。
試算を受け取ったら、所得の内訳を見てください。譲渡所得等と配当所得が区分されていれば、条件が変わったときも影響を追いやすくなります。合計税額だけでは、どの金額に何の課税をしたか分かりません。
個人の取得費と、会社側の計算資料は別にそろえる
経営者が株を取得するために払った金額と、みなし配当の計算に使う会社側の金額は同じとは限りません。個人の取得費だけで配当部分を計算しないようにします。
設立時から持っている株でも、その後の取得や資本の変更によって確認が必要です。「昔、自分が出したお金だから」と記憶だけで処理すると、試算の根拠が弱くなります。
手元にある資料から集めてください。
- 株式取得時の契約書
- 出資や購入代金の払込記録
- 過去の株式取引に関する資料
- 株主の変動が分かる記録
見つからない資料があっても、推測で取得費を埋めないことです。不明な箇所を示せば、追加確認の範囲を絞れます。
詳しくは自社株のみなし配当と税金の落とし穴|会社の買い取り・廃業で変わる課税をご覧ください。
手取りは、税額だけでなく入金と納税の時期まで見る
自社株を買い取ってもらった後に使えるお金は、契約上の代金とは異なります。配当部分と譲渡部分の税負担に加え、入金時と後日の納税を分けて確認します。
配当部分の試算には、その年の所得も必要になる
総合課税では、配当所得をほかの対象所得と合わせて税金を計算します。買い取り額が同じでも、経営者の所得状況によって負担が変わる可能性があります。
国税庁は、上場株式等以外の配当等について「総合課税」の対象と説明しています。非上場株式のみなし配当も、この扱いを踏まえて税額を確認します。国税庁「配当金を受け取ったとき」
株の資料だけでは足りません。
買い取り予定の年に受け取る役員報酬や、会社以外からの所得も整理してください。廃業に向けて報酬を変更する予定なら、その見込みも伝えます。前年の申告書だけを使うと、実際の所得とずれるおそれがあります。
試算表には、想定した所得と買い取り時期を残してもらいます。日程が変わった場合は、そのまま使える試算かを再確認するためです。
振り込まれた金額を、そのまま生活費に回さない
入金後に税額を考え始めると、後日の納税資金が足りなくなるおそれがあります。家族の生活費に回す額は、税金と費用の見込みを引いてから決めてください。
使える額を把握する順序は、次のとおりです。
1. 契約上の買い取り代金を確認する。
2. 支払時に差し引かれる税額を確認する。
3. 後日の納付額や精算額を見積もる。
4. 費用を引いて生活に使える額を求める。
支払時に税金が差し引かれても、課税関係が完結するとは限りません。源泉徴収は、支払う側が税金を差し引いて納める仕組みです。最終的な税負担との違いを確認します。
二重に引かない確認も要ります。
試算表の税額が年間の総額なら、すでに差し引かれた税額との関係を見ます。年間税額と後日の追加納付額を混ぜると、手取りの計算がずれます。
個人が受け取ったお金を会社の返済に充てる予定なら、その支出はさらに別枠です。「税引き後」と「返済後」の手取りを分けて記載してください。
譲渡部分が赤字でも、配当への課税は別に確認する
みなし配当を除いた譲渡収入が取得費を下回ると、譲渡部分に損失が生じる場合があります。それだけで、配当部分の税金も消えるとは考えないようにします。
経営者の感覚では、出資した額より少ないお金しか戻らない取引かもしれません。それでも、税務では配当所得と株式の譲渡所得等を区分します。
損失の扱いを見落とせません。
試算の依頼時には、譲渡損失をどのように扱ったかも確認してください。配当部分と単純に差し引いた表になっていないかを見るためです。税務上認められない相殺を前提にすると、手取りを多く見積もってしまいます。
会社の赤字とも分けて考えます。法人に損失が出ていることと、株主個人に課税が生じることは両立しえます。会社の決算が赤字だから個人も無税、と置かないでください。
会社の支払額と、個人の税負担を照合する
株主本人の所得税等と、発行会社の税務処理は分けて確認します。会社の経理で処理しても、個人の申告まで済んだことにはなりません。
みなし配当が生じる場合、会社側には源泉徴収や納付の確認が必要です。経営者への振込額だけを会社の支出に入れると、納付する税金を落とすおそれがあります。
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| 確認する側 | 確認する内容 | 残す資料 |
|---|---|---|
| 個人株主 | 所得区分と最終税額 | 個人の税額試算 |
| 発行会社 | 源泉徴収と納付 | 会社の支払予定 |
| 双方 | 代金と振込額の差 | 決済の明細 |
会社が差し引いて納める税金は、経営者への振込額と分けて記載します。そのうえで、代金総額と支出の合計がつながるかを照合してください。
「契約額」「実際の入金額」「納税後に使える額」を別々に書くと、手取りの誤認を減らせます。 廃業費用の原資にする場合も、この区分で判断します。
廃業を考える会社は、買い取りに使える資金を先に確かめる
資金繰りが厳しい会社では、買い取りの法的な可否と支払余力を先に確認します。税額を計算できても、取引を実行してよいとは限りません。
預金残高のすべてを株主に払えるとは限らない
会社の通帳にお金があっても、全額を株式の買い取りに使えるとは限りません。近い支払いに必要な額と、法的に株主へ交付できる範囲を確認します。
株主が社長本人だけでも、会社と個人は別の主体です。自分のお金を移す感覚で進めると、後から資金移動を説明しにくくなります。
買い取り後に必要な支出を、先に書き出してください。
- 従業員への給与
- 仕入先や外注先への支払い
- 税金と社会保険料
- 借入の返済
- 廃業や事業引継ぎにかかる費用
入金予定も精査します。
売掛金が予定どおり回収できるか、支払いより先に入るかを確認します。回収が遅れた場合に残る資金も見てください。予定額を合計するだけでは、途中で預金が尽きる日を見落とします。
従業員や取引先への影響を減らしたいなら、株主への支払いと事業の支払いを同じ日程表に置きます。どちらかを隠さず、両方を示して実行可否を判断する順序です。
社内の承認と、支払いの制約を確認する
発行会社が株式を買い取る場合、会社としての意思決定や支払いの制約を確認する必要があります。売買契約への署名だけで完了すると考えないでください。
親族など、ほかの株主がいる場合は、その権利も関係します。経営に参加していない株主についても、口頭の認識と会社の記録を突き合わせます。
確認事項を、次のように整理できます。
- 誰から何株を買い取るか
- 買い取り価格の根拠は何か
- 社内で必要な承認は何か
- 法的な支払制限に抵触しないか
税理士による税額試算と、弁護士等による法務確認は担当範囲が異なります。会社の状況を共有し、片方の確認だけで送金へ進まないようにします。
また、状況によっては法的整理が適切な場合もあります。会社の支払いが成立しない段階では、買い取りの実行より債務整理の検討を優先することがあります。
生活費の希望額だけで、買い取り価格を決めない
家族の生活費を残したい気持ちと、株式の適切な価格は分けて考えます。必要額から逆算した価格では、会社の価値との関係を説明しにくくなります。
税負担を減らすために価格を低く置く場合も、妥当性の確認が必要です。希望額が高いか低いかにかかわらず、価格の根拠を資料に残します。
検討材料は、次のような内容です。
- 直近の財務状況
- 保有資産と負債の内容
- 事業を続ける場合の見込み
- 株式の権利や保有状況
帳簿だけでは分からないこともあります。回収が難しい売掛金があれば、資産の見込みは変わります。設備の処分費用が必要なら、売却額だけで収支を作れません。
生活費の希望を伝えること自体は、相談の材料になります。その希望を満たす取引が成り立つかは、価格と支払余力の両面で検証してください。
支払いが危うい段階で、株主への送金を先行させない
給与や取引先への支払いが難しい中で、株主へ代金を送ると、債権者との関係で問題になるおそれがあります。廃業や法的整理も視野にある場合は、実行前の法務確認を優先します。
「後で戻せばよい」という前提も避けたいところです。一度生活費に使えば、会社へ返す資金がなくなる可能性があります。
すでに支払いが遅れているなら、次をまとめてください。
- 支払先ごとの未払額
- それぞれの支払期限
- 現在の預金残高
- 近く入る予定の売上代金
- 株主へ支払う予定額
急いでいる事情も、そのまま伝えます。家族の生活費が不足している場合でも、会社財産を移してよいかは別途判断が必要です。
詳しくは会社が潰れそうな時どうすればいいか判断手順をご覧ください。
第三者への売却や清算は、お金の出どころから比較する
発行会社の買い取り、第三者への株式売却、清算では、資金の出どころと課税が異なります。廃業を検討する段階では、個人の手取りと会社の資金流出を並べて比べます。
買い取り・売却・清算では、会社への影響が違う
株主が現金を受け取る点が似ていても、誰が代金を負担するかは異なります。会社に残す資金を考えるなら、まず支払う側を確認してください。
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| 選択肢 | お金の出どころ | 個人側の主な課税 |
|---|---|---|
| 発行会社の買い取り | 発行会社の資金 | 配当と譲渡を区分 |
| 第三者への株式売却 | 第三者の資金 | 原則として譲渡益 |
| 清算の残余財産分配 | 債務弁済後の財産 | 配当と譲渡を区分 |
個人が持つ非上場株式を前提とした、基本的な比較です。例外や個別条件は、取引内容に応じて確認します。
発行会社の資金を残したい場合は、第三者が株を買う案も比較対象です。ただし、買い手が見つかるか、価格が付くかは別の判断になります。
実行時期もそろえて比べてください。買い取りはすぐできる、第三者への売却は予定どおり成立する、と置くと比較が偏ります。未確認の条件を明示したうえで、資金が足りる期間と照合します。
第三者への株式売却でも、会社の資金は別に確保する
個人株主が第三者に株を売る場合、代金は原則として株主が受け取ります。発行会社の預金が、その取引だけで増えるわけではありません。
会社の運転資金も不足しているなら、資金供給の条件を別途確認します。買い手が会社へ入れるお金と、社長へ支払う株式代金を混ぜないようにしてください。
比較資料では、次の項目を分けます。
- 株主が受け取る売却代金
- 株主にかかる税金と費用
- 会社に入る資金の有無
- 会社の借入の扱い
- 経営者保証の確認状況
高い価格だけでは判断できません。
株式代金を受け取れても、会社の資金不足が解消しなければ事業継続に影響します。保証が残った場合には、売却後の個人にも負担が及ぶ可能性があります。
家族の生活を考えるなら、売却後の責任まで含めた比較が必要です。税率の差だけで結論を出さないようにします。
清算で受け取る財産にも、配当の確認が必要になる
会社の解散に伴い残った財産を受け取る場合も、みなし配当が生じることがあります。買い取りをやめて清算を選べば、配当への課税を避けられるとは限りません。
国税庁は、解散に伴う残余財産の分配についても、配当部分を区分する枠組みを示しています。その部分を除く金額が、株式の譲渡所得等の収入金額とされます。国税庁「株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされる場合」
分配できる財産が残るかが先です。
帳簿に資産があっても、売却時に同じ額で換金できるとは限りません。未払費用や清算にかかる支出も確認します。現在の純資産を、個人の将来の受取額として使わないでください。
買い取り案と比べる際は、同じ資産の処分見込みと債務残高を使います。清算案だけ廃業費用を省くなど、前提がずれた試算では手取りを判断しにくくなります。
事業譲渡の代金は、まず会社が受け取る
事業譲渡では、事業を譲った会社が代金を受け取ります。経営者本人が自社株を売る場合とは、受取人が異なります。
会社に入った代金には、法人側の税金や債務の支払いが関係します。その後に個人へお金を移す場合は、その方法に応じた税務確認が必要です。事業の売却価格を、そのまま社長の手取りとして使うことはできません。
お金の流れを順に記載します。
1. 買い手から会社へ代金が入る。
2. 会社の税金や債務の支払いを見積もる。
3. 会社に残る資金を確認する。
4. 個人への分配等の可否と税金を確認する。
債務の扱いも別に検証します。
事業譲渡なら債務を切り離せる、と単純には考えないでください。契約内容や商号の継続使用など、法的な責任が関係します。
株式を買ってもらう案と事業を譲る案では、税額試算の対象が違います。依頼する際は、誰が何を売り、誰が代金を受け取る案なのかを明示します。
自社株を手放しても、連帯保証は別に整理する
株式を会社へ売るだけで、借入の連帯保証が外れるわけではありません。廃業後の暮らしは、税引き後の資金と保証契約の状態を分けて判断します。
株主・経営者・保証人は、それぞれ別の立場
株式を持つ立場と、会社を経営する立場は異なります。借入を保証する立場も別です。株の売却や代表者の退任だけで、保証契約まで変わるとは限りません。
家族へ「会社を離れたから借入の問題も終わった」と伝える前に、契約を確認してください。肩書が変わることと、個人の責任が変わることを区別するためです。
保証については、次の資料をそろえます。
- 借入先ごとの残高が分かる資料
- 連帯保証の契約内容が分かる資料
- 担保に関する資料
- 返済条件を変更した際の書面
残高表だけでは足りない場合があります。誰が、どの借入を保証しているかは、契約内容と照合します。
書面が見つからない場合は、その点を不明事項として残してください。「たぶん外れている」という認識で、売却後の資金計画を作らないようにします。
買い取りで返済余力が落ちると、保証人にも影響する
発行会社が社長の株を買えば、会社から個人へ資金が移ります。借入返済に使える額が減る場合は、会社と保証人の両方への影響を考える必要があります。
個人の預金が増えても、会社の支払いが続かなければ安心材料にはなりにくいものです。買い取り前後を、同じ表で見てください。
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| 確認項目 | 買い取り前 | 買い取り後 |
|---|---|---|
| 会社の預金 | 現在の残高 | 支払後の残高 |
| 借入残高 | 現在の借入 | 返済予定後の借入 |
| 個人の資金 | 現在の預金 | 納税等を引いた額 |
| 連帯保証 | 現在の契約 | 変更の有無 |
未定の欄は、未定のまま残します。保証の扱いが決まっていない段階で「解除予定」と書くと、判断の前提が楽観的になります。
個人に移るお金と、会社に残る返済能力を同時に見てください。 生活費を残すつもりの買い取りが、後の負担を増やさないかを確認します。
事業を残す案と、法的整理の適否を並行して検討する
廃業を考える状態でも、事業の引継ぎを検討できる場合があります。債務超過という理由だけでは、買い手が付くかを判断できません。
あさひ国際会計株式会社は、赤字・債務超過企業の再生型M&Aを専門としています。会社を譲る案と廃業する案を比較するための資料整備も、相談の対象です。
ただし、状況によっては法的整理が適切な場合もあります。事業の見通しや資金の残り方を踏まえ、弁護士等による判断も含めて進めます。
検討中も支払日は来ます。
買い手が決まる想定だけで、給与や返済の予定を組まないでください。成約が遅れた場合や成立しなかった場合の対応も、並行して整理します。
従業員の雇用を残したいなら、その希望を引継ぎ条件に反映させます。取引先への供給を続けたい場合も同様です。税負担の比較に加え、何を引き継ぎたいかを言葉にしておくと、条件を評価しやすくなります。
保証解除は、金融機関の同意と書面で確認する
経営者保証の解除には、金融機関の同意が前提となります。買い手との契約に条件を書くだけでは、金融機関との保証契約は変更されません。
金融機関との協議の主体は、経営者ご本人です。必要に応じて、依頼する弁護士等の専門家が担います。
当社は、協議に必要な資料の整備や事業価値の説明資料の作成をおこないます。M&Aの条件設計を通じて、ご本人の協議を後方から支える役割です。
予定と結果を分けて確認してください。
- 解除に向けた条件は何か
- 金融機関の同意は得られているか
- 結果をどの書面で確認するか
- 未了の場合は誰が対応するか
これまで当社で成約に至った案件では、いずれも連帯保証の解除まで見届けています。ただし金融機関の同意が前提です。すべての会社で同じ結果になると言い切れるほど単純ではありません。
相談の準備は、資金予定と税額試算をそろえるところから
相談時には、会社と個人の資金予定を分け、税額試算の前提を共有します。資料がそろっていなくても、支払期限と不明点が分かれば確認の順序を付けられます。
会社の不足額と、家族の生活費を別に書く
会社の資金不足と生活費不足が重なると、買い取りが唯一の解決策に見えることがあります。先に不足額を分けると、買い取りで何が変わるかを確かめやすくなります。
法人側は入出金を日付順に並べます。個人側は、生活費と納税予定を別に記載してください。
- 会社で不足する金額と日付
- 個人で必要になる金額と日付
- 自社株の買い取り希望額
- 現時点で分かっている税額
- 借入と保証についての不明点
どちらのお金かを明確にします。
買い取りによって個人の不足が埋まっても、会社の不足が広がるなら、ほかの案と比較する必要があります。入金予定に不安がある場合も、その条件を隠さず書いてください。
税金の支払いが遅れている場合は、詳しくは税金滞納から差し押さえまでのタイミング|相談と廃業判断の実務順序をご覧ください。
税額試算には、条件と未確認事項を残す
税額の合計だけでなく、どの資料と条件で計算したかが分かる試算を依頼します。価格や実行時期が変わっても、修正する箇所を追えるためです。
依頼時には、次を明示してください。
- 個人が持つ非上場株式であること
- 発行会社が買い手となること
- 買い取りの予定額と予定時期
- 取得費を示す資料の有無
- 同じ年のほかの所得の見込み
受け取る試算では、配当部分と譲渡部分の区分を確認します。会社側の源泉徴収等と、個人側の納税見込みも分けてもらいます。
仮定は、仮定と分かる形にします。
取得費などが不明なら、暫定試算として扱ってください。未確認の数字を生活費の予算や契約条件に固定すると、後から変更しにくくなります。税額を固めるために不足している資料も確認します。
税務・法務・M&Aで、同じ前提を共有する
税理士は税額や申告を、弁護士等は買い取りの適法性や債務整理などを扱います。M&A仲介では、買い手候補との条件設計や成約に向けた資料整備を進めます。
担当範囲は異なっても、使う数字はそろえる必要があります。ある資料では借入が返済済みで、別の資料では残っていれば、判断が食い違います。
説明資料には、次を載せてください。
- 検討している取引の形
- 買い取り前後の資金残高
- 税額試算の前提と未確認事項
- 借入と連帯保証の状況
- 廃業または引継ぎの希望時期
依頼先を選ぶ際は、成果物と担当範囲を確認します。税額計算までか、実行時の処理までかによって、頼む仕事が変わるためです。
説明が一致しないときは、まず取引条件と資料の更新日を照合します。法的整理が適切と判断される状況なら、M&Aの検討だけに絞らず、その理由も踏まえて進めます。
費用を払えるか不安なら、依頼前に精算方法を確認する
資金繰りが厳しい中で相談する経営者は珍しくありません。買い取りや廃業を決めていない段階でも、現在の支払い状況から相談できます。
あさひ国際会計株式会社への相談は無料です。M&A仲介の報酬は成功報酬のみで、着手金はありません。成約時に譲渡代金の中から精算するため、売り手の手元からの持ち出しは0円です。
成功報酬自体が無料という意味ではありません。税金や、別途依頼する専門家の費用は区別して確認します。自社株の買い取りに関する税務・法務の個別業務も、依頼範囲に応じた費用確認が必要です。
手元資金が足りない場合は、契約前に次を確認してください。
- 報酬の対象となる業務
- 支払いが発生する時点
- 税金や実費が含まれる範囲
- 取引が成立しない場合の負担
払えない見込みの費用を、成約予定だけで約束しないようにします。必要な業務の範囲と支払方法を確認し、実行できる計画を組みます。
他社で断られた経験があっても、ご相談を承っています。ただし、状況によっては法的整理が適切な場合もあります。事業の引継ぎと債務整理の双方を踏まえ、会社と個人の負担を整理します。
よくある質問
自社株を会社が買い取ると、代金のすべてがみなし配当になりますか?
すべてがみなし配当になるとは限りません。会社側の税務資料などで配当部分を確認し、残りを株式の譲渡所得等の収入金額として整理します。買い取り価格や個人の取得費だけでは判断できない場合があります。
配当部分が未確認なら、手取りも未確定です。入金予定額をそのまま生活費や廃業費用に割り当てず、内訳が分かる試算を用意してください。
会社が赤字なら、株主にも税金はかかりませんか?
会社の赤字と、株主個人への課税は別に判断します。法人に損失が出ていても、買い取りに伴うみなし配当や譲渡益が生じれば、個人に税負担が生じる可能性があります。
赤字という言葉だけでは、買い取りの可否も決まりません。会社の支払余力と法的な制約を確認し、個人の税額を試算する順序です。
株を会社に売れば、廃業後の連帯保証もなくなりますか?
株式の売却だけでは、連帯保証は外れません。保証解除には金融機関の同意が前提となるため、株の取引と保証契約の確認を分けて進めます。
発行会社による買い取りで、返済に使える資金が減る場合もあります。個人の受取額だけを見ず、会社の支払余力と保証の残り方まで確認してください。
買い取りも廃業も決めていない段階で相談できますか?
廃業するか、会社や事業を譲るか迷っている段階でも、当社への相談は可能です。買い取りの希望を出発点に、資金の残り方と連帯保証の状況を整理します。
初回から資料をすべてそろえる必要はありません。預金残高と近い支払期限を伝え、不明点を共有してください。状況によっては法的整理が適切な場合もあるため、税務・法務の担当範囲を確認しながら進めます。
まとめ
買い取り代金を動かす前に、会社の支払予定と株の取得資料をそろえ、配当部分を含む税額試算を依頼してください。廃業を考えているなら、買い取り後の資金残高と連帯保証の状態を当社へ共有し、第三者への売却や法的整理の適否も含めて比較しましょう。
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この記事を書いた人
あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を見据えた再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介の成約実績があります。
他社で断られた案件のご相談も承っています。ご相談は無料です。
無料相談はこちら / お急ぎの方はお電話でも承ります 03-5657-7496
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最終更新日: 2026年9月22日