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リスケは時間を作る手段であって、解決そのものではありません
資金繰りが厳しくなったとき、多くの経営者がまず選ぶのがリスケ(リスケジュール=返済条件の変更)です。毎月の返済額を減らしてもらう、あるいは一時的に元金の返済を止めてもらう。この対応で目の前の資金繰りは一息つけます。
ですが、リスケはあくまで「時間を作る」ための手段です。売上や利益の体質そのものを変えるものではありません。リスケを続けている間に会社の状態が良くならなければ、いずれ限界が来ます。
もし今、「そろそろリスケの延長が難しくなってきた」「次にどうすればいいか分からない」と感じているなら、それは悪い兆候ではなく、次の一手を決めるタイミングが来たというサインです。この記事では、リスケの限界が近いときに現れるサインと、その後に取り得る選択肢を整理してお伝えします。
リスケの限界が近いときに現れるサイン

リスケは永続的に続けられるものではありません。金融機関との関係の中で、次のようなサインが出てきたら注意が必要です。
| サイン | 具体的な状況 |
|---|---|
| 元金返済の再開時期が迫っている | リスケの契約期間が満了し、据置期間終了後に元金返済が再開する予定になっている |
| 追加のリスケに金融機関が難色を示す | 「そろそろ計画の見直しが必要」「これ以上の猶予は難しい」といった反応が増えてきた |
| 新規融資が受けられない | 運転資金や設備資金の相談をしても、新規の借入が実行されない状態が続いている |
| 資金繰りがぎりぎりで回らない | リスケで返済負担を減らしても、月々の資金繰りに余裕がなく、支払いの調整が常態化している |
これらのサインが1つでも重なってきたら、「もう少し様子を見よう」という判断を続けるより、次の一手を具体的に検討し始める時期だと考えたほうが良いでしょう。金融機関側も、リスケを重ねる企業に対しては、単なる延長ではなく「この先どうするのか」という説明を求める姿勢に変わっていきます。
次の一手として考えられる選択肢
リスケの限界が見えてきたとき、次に取り得る道はいくつかあります。会社の状態や経営者の意向によって、選ぶべき道は変わります。
抜本的な再生計画をつくる
事業の中身は残せる見込みがあるものの、財務の立て直しが必要な場合は、収益力改善計画や事業再生計画を策定し、金融機関に示す道があります。全国47都道府県に設置されている中小企業活性化協議会では、中小企業活性化協議会による支援として、窓口相談から再生計画の策定支援まで、公正中立な立場での伴走支援を行っています。何が必要かというと、現状の数字を正確に把握したうえで、実行可能な返済計画と、それを裏付ける具体的な改善策です。
事業の一部を売却する
会社全体ではなく、採算の取れている事業や店舗、部門だけを切り出して売却し、そこで得た資金を債務の圧縮や本体の立て直しに充てる方法です。何が必要かというと、売却できる事業とそうでない事業を切り分ける判断と、譲渡先を見つけるための実務対応になります。
再生型M&Aで会社ごと引き継いでもらう
赤字や債務超過の状態であっても、事業そのものに価値があれば、会社ごと(または事業譲渡の形で)他社に引き継いでもらう再生型M&Aという選択肢があります。従業員の雇用や取引先との関係を維持しながら、経営者自身は経営者保証(連帯保証)の整理を進められる可能性がある点が、単なる廃業との大きな違いです。何が必要かというと、譲渡先となる企業を見つける実務力と、金融機関との調整を含めた進め方の設計です。
廃業と保証債務の整理を進める
事業の継続が難しいと判断した場合は、廃業という選択も現実的な道の一つです。ただし、廃業=自己破産ではありません。全国銀行協会が定める経営者保証ガイドラインには、廃業時における保証債務の整理の考え方も示されています。何が必要かというと、事業を清算する手続きと並行して、保証債務をどう整理するかという計画を早い段階からつくっておくことです。
どの道を選ぶにしても共通しているのは、「今の数字を正確に把握すること」と「その数字を裏付けとした具体的な計画を持つこと」です。
金融機関が見ているもの
リスケを続けている企業に対して、金融機関が重視しているのは大きく2点です。
1つ目は、返済の見通しが立っているかどうかです。「いつまでに」「どのくらいの返済ができるようになるのか」という具体的な数字の裏付けがあるかを見ています。感覚的な説明ではなく、根拠のある試算や計画が求められます。
2つ目は、改善計画がどれだけ実行されているかです。計画を作って終わりではなく、実際に売上や利益が計画通りに推移しているか、コスト削減が実行されているかといった、行動の積み重ねを金融機関は継続的に確認しています。金融庁も経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向けた施策等についての中で、金融機関に対して保証の必要性や解除の可能性を含めた丁寧な説明を求める方針を示しています。
経営者保証の解除についても、「制度としてこういう仕組みがある」と知っていることと、実際に「実務として保証を外せるかどうか」は別の話です。金融機関が最終的に見ているのは返済の見通しと数字の裏付けであり、そこには財務の整理とM&Aの実務の両方が関わってきます。この分野は実績がものを言う領域で、対応できる専門家が限られているのが実情です。
動く順番

次の一手を考えるとき、いきなり結論を出そうとせず、次の順番で進めることをおすすめします。
1. 現状把握 資産・負債・キャッシュフローの実態を、感覚ではなく数字で正確に洗い出します。
2. 計画づくり 現状把握をもとに、再生計画・事業売却・M&A・廃業のうち、どの道が現実的かを比較検討します。
3. 金融機関への説明 選んだ方向性を、数字の裏付けとともに金融機関に説明します。ここで信頼を得られるかどうかが、その後の進めやすさを大きく左右します。
4. 選択肢の実行 決めた方向に沿って、専門家と連携しながら実務を進めていきます。
この順番を飛ばして、いきなり金融機関に相談したり、逆に何も相談しないまま時間だけが過ぎてしまったりすると、選べたはずの選択肢が狭まってしまうことがあります。早めに現状把握から始めることが、結果的に選択肢を広く保つことにつながります。
なお、再生型M&Aとはどのような仕組みかを知っておくと、廃業以外の道をイメージしやすくなります。また、経営者保証ガイドラインのM&A活用法も、金融機関への説明を考えるうえで参考になります。
よくある質問
リスケ中でも会社は売れますか?
はい、リスケ中であることを理由に会社が売れなくなるわけではありません。むしろ、事業に価値が残っているうちに再生型M&Aを検討することで、雇用や取引先との関係を維持しながら次の一手を打てる可能性があります。ただし、財務状況や負債の状況によって進め方が変わるため、早めに現状を整理しておくことが大切です。
リスケを続けると金融機関に見放されますか?
リスケそのものを理由に一方的に見放されるとは言い切れるほど単純ではありませんが、計画の実行が伴わないまま延長だけを求め続けると、金融機関の姿勢が厳しくなっていくのは自然な流れです。逆に言えば、数字の裏付けを持った計画と、その実行状況を継続的に示せていれば、金融機関との対話は続けやすくなります。
経営者保証(連帯保証)はどうなりますか?
会社の状態や選ぶ道によって扱いは変わります。再生型M&Aや廃業のいずれの場合も、経営者保証ガイドラインに沿った整理の余地があるケースがありますが、それは自動的に適用されるものではなく、財務の整理状況や交渉の進め方によって結果が変わってきます。個別の状況に応じた検討が必要です。
誰に相談すればいいですか?
現状把握・計画づくり・金融機関への説明・実行までを一貫して考える必要があるため、財務とM&A、経営者保証の実務に詳しい専門家に相談することをおすすめします。あさひ国際会計株式会社では、赤字・債務超過の企業の再生型M&Aと経営者保証の解除支援を専門に行っており、弁護士に相談して自己破産を勧められた方や、他のM&A仲介会社に断られた方からの相談も数多く受けています。相談は無料で、秘密は厳守されます。
まとめ
リスケは資金繰りの時間を作るための手段であり、それ自体が経営の立て直しにはなりません。元金返済の再開が迫る、追加のリスケに難色を示される、新規融資が受けられない、資金繰りが回らない、といったサインが出てきたら、次の一手を具体的に考えるタイミングです。
抜本的な再生計画、事業の一部売却、再生型M&A、廃業と保証債務の整理と、道はいくつもあります。どの道を選ぶにしても、現状把握から始め、数字の裏付けを持って金融機関に説明していくことが欠かせません。
一人で抱え込まず、早い段階で専門家に相談することが、選べる選択肢を広く保つことにつながります。まずは現状をお聞かせください。お電話(03-5657-7496・平日9:00〜19:00)、またはお問い合わせフォームからご相談いただけます。
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あさひ国際会計株式会社は、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録された支援機関です(登録支援機関による支援は、事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)の補助対象とされています)。
執筆: あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢(再生型M&A・連帯保証解除支援の専門家。NHKスペシャル、週刊ダイヤモンドなどメディア掲載多数)
最終更新日: 2026年7月20日