再生型M&Aとは、赤字でも会社と雇用を残すための選択肢です

資金繰りが厳しく、この先どうすればいいのか一人で抱え込んでいる経営者の方も多いのではないでしょうか。決算書の数字を見るたびに気が重くなる、そんな状態でも、会社を畳む以外の道は残っています。

再生型M&Aとは、赤字・債務超過など経営が厳しい状態にある会社の事業を、M&Aによって他の会社へ引き継ぎ、事業と雇用を残しながら会社と経営者の債務問題を整理していく手法です。買い手が現れるはずがないと思われがちですが、事業そのものに価値が残っていれば、赤字や債務超過であっても引き継ぎ先が見つかるケースは少なくありません。

この記事では、通常のM&Aとの違い、対象になりやすい会社の特徴、進め方、経営者保証(連帯保証)がどうなるのかまで、順番に見ていきます。

赤字・債務超過でも買い手に引き継がれる4つの事業価値(許認可・人材・取引関係・技術)の図解

通常のM&Aとの違い

一般的にイメージされるM&Aは、黒字企業がより高く売却するために行うものです。再生型M&Aは出発点がまったく異なります。ここを混同すると検討自体が遅れてしまうため、まず違いを整理しておきます。

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比較項目 通常のM&A 再生型M&A
対象企業の状態 黒字・安定経営が中心 赤字・債務超過を含む
買い手が見る価値 収益性・成長性 許認可・技術・人材・取引先など事業の残存価値
価格の考え方 収益力に基づく企業価値評価 事業価値と債務整理のバランスで決まることが多い
債務・連帯保証の扱い 通常は大きな論点にならない 経営者保証ガイドラインに基づく整理が中心的な論点になる
関係者調整の複雑さ 売り手・買い手中心 金融機関・保証協会など関係者が多く複雑になりやすい

このように、再生型M&Aでは「いくらで売れるか」よりも「事業と雇用をどう残すか」「経営者の債務をどう整理するか」が優先されるのが一般的です。

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どんな会社が対象になるか

「うちは赤字だから無理」と考える経営者は多いですが、事業そのものに価値が残っていれば対象になり得ます。実際に着目されやすいポイントは次のようなものです。

  • 許認可:建設業・運送業・産業廃棄物処理業など、取得に時間と実績が必要な許認可を持っている
  • 人材:特定の技能や資格を持つ従業員、長年の経験を積んだ職人などが在籍している
  • 取引関係:既存の取引先・仕入先とのネットワークが構築されている
  • 技術・ノウハウ:数字には表れにくい独自の製造技術や施工品質がある

これらは決算書の利益額だけでは測れない価値です。単年度の赤字や、資産より負債が多い債務超過の状態であっても、こうした事業の土台が残っていれば、買い手にとって引き継ぐ意味のある会社と映ることがあります。逆に、事業の中身がすでに立ち行かなくなっている場合は、M&Aより先に別の整理方法を検討したほうがよい場合もあります。

代表的な進め方

再生型M&Aの手法は、大きく分けて株式譲渡と事業譲渡の2つがあります。

再生型M&Aの2つの進め方(株式譲渡と事業譲渡)の違いの図解

株式譲渡は、会社そのものの株式を買い手に引き継ぐ方法です。会社を丸ごと引き継ぐため、手続きは比較的シンプルですが、簿外債務など会社に付随するリスクも一緒に引き継がれる点に注意が必要です。

事業譲渡は、会社の中から事業(店舗・工場・契約・従業員など)だけを切り出して引き継ぐ方法です。不採算部門や過大な債務を会社側に残し、価値のある事業部分だけを買い手に引き継げるため、再生型M&Aでは事業譲渡が選ばれる場面も少なくありません。

いずれの方法でも、既存の借入がある金融機関との調整が伴うのが一般的です。この調整は当事者だけで進めるのは難しく、会計士や弁護士などの専門家と連携しながら進めていく流れになります。

経営者保証(連帯保証)はどうなるか

再生型M&Aを検討する経営者の多くが、最も気にかけているのがこの点ではないでしょうか。会社を引き継いでも、自分にかかっている連帯保証が消えなければ再出発は難しくなります。

この点については、全国銀行協会が事務局を務める「経営者保証に関するガイドライン」という枠組みが存在します。一定の要件を満たす場合、経営者保証の整理について金融機関との話し合いの土台として使えるとされています。金融庁も同様に、経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向けた取り組みを進めており、事業承継やM&Aの場面における保証の取り扱いについても指針が示されています。

こうした整理は、経営者本人や当社のような会計事務所だけで完結するものではなく、弁護士など専門家と連携し、経営者保証ガイドラインに基づく手続きを進めていく形が一般的です。また、全国の都道府県には中小企業活性化協議会という公的な相談窓口もあり、事業再生や廃業・再チャレンジの相談を無料で受け付けています。信用保証協会でも、事業承継やM&Aの場面で経営者保証が不要になる保証制度が用意されている場合があります(全国信用保証協会連合会の事業承継支援参照)。

ガイドラインの活用方法は経営者保証ガイドラインのM&A活用法、廃業を含めた選択肢の比較は自己破産しないで会社をたたむ方法で詳しく解説しています。

保証がどこまで整理できるかは、会社の状況や金融機関との関係によって個別に変わってきます。早い段階で専門家に相談し、選択肢を確認しておくことが再出発への近道になります。

メリットと注意点

再生型M&Aには次のようなメリットがあるとされています。

  • 事業を存続させることで、従業員の雇用を守れる可能性がある
  • 取引先との関係を維持でき、地域経済への影響を抑えられる
  • 経営者自身が過大な債務から離れ、再出発への道が開ける

一方で、注意しておきたい点もあります。

  • 交渉や関係者調整に時間がかかり、数か月単位のスケジュールになることが多い
  • 必ずしもすべての案件で買い手が見つかるとは限らない
  • 事業譲渡・株式譲渡いずれの場合も、金融機関との調整が前提になる

いずれにしても、資金繰りに余力があるうちに動き出すほど、選べる手段は多くなります。この点は次のFAQでも触れます。

よくある質問

債務超過でも本当に売れますか?

事業そのものに許認可・人材・取引関係などの価値が残っていれば、債務超過であっても買い手が見つかるケースはあります。ただし価格は事業価値と債務の整理方針のバランスで決まることが多く、通常のM&Aのような高値売却を前提にしない点は理解しておく必要があります。

廃業や自己破産とどう違いますか?

廃業や自己破産は事業を終了させる選択肢ですが、再生型M&Aは事業自体を他社に引き継ぎ、存続させる点が大きく異なります。従業員の雇用や取引先との関係を維持できる可能性がある点も、廃業とは異なる特徴です。

従業員にはいつ伝えますか?

一般的に、M&Aの検討段階では秘密保持が徹底され、交渉がある程度まとまった段階で関係者に説明されることが多いとされています。早期に情報が広がると事業運営や取引先との関係に影響する場合があるため、専門家と相談しながら伝えるタイミングを見極めることが大切です。

どのタイミングで相談すべきですか?

資金繰りがまだ回っているうちに相談するほど、選べる手法や交渉の余地が広がります。資金がひっ迫してから動き出すと、時間的な制約で選択肢が狭まってしまう場合があります。再生型M&A専門のあさひ国際会計では「うちは売れるのかどうかだけ知りたい」という段階のご相談も無料で受け付けています。少しでも不安を感じた時点で、お気軽にご相談ください。

まとめ

再生型M&Aは、赤字や債務超過であっても、事業と雇用を残しながら経営者自身の再出発を目指せる手法です。通常のM&Aとは前提が異なり、対象企業の状態も、価格の考え方も、関係者調整の複雑さも変わってきます。経営者保証の整理についても、弁護士など専門家と連携しながらガイドラインに基づいて進めていく流れが一般的です。

あさひ国際会計株式会社は、赤字・債務超過企業の再生型M&Aと経営者保証(連帯保証)の解除支援を専門とする会計事務所です。年間60件以上の支援実績があり、NHKスペシャルや週刊ダイヤモンド、物流ウィークリーなどのメディアにも取り上げられています。相談は無料で、秘密は厳守いたします。まずは現状を整理するところから、お気軽にお電話ください(03-5657-7496、平日9:00〜19:00)。

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この記事を書いた人

あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を伴う再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介に携わっています。
NHKスペシャル・週刊ダイヤモンドなどメディア掲載多数。
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最終更新日: 2026年8月17日

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