この記事の対象と結論

クリニックの閉院手続きは、開設者と借入の名義を確かめ、診療終了後までの資金を見積もるところから始めます。届出の準備と並行して、患者の診療継続や従業員への支払いも整えてください。

借入が残り、家族への影響を考えると閉院日を決められない。そんな段階で相談する経営者は珍しくありません。資料がそろっていなくても、検討は始められます。

診療を終えることと、借入・連帯保証の責任を整理することは別の作業です。 閉院を目指すなら、院長個人の生活費も含めた予定表が要ります。

今後90日以内の撤退を考える場合は、閉院の準備と承継の可能性を並行して検討しましょう。この90日間は検討の時間軸であり、法定期限や完了までの標準期間ではありません。

閉院の準備は「誰が開設し、誰が借りているか」から

必要な閉院手続きは、個人開設か医療法人による開設かで変わります。最初に開設関係の書類と契約書を照合し、診療所・法人・院長個人の作業を分けてください。

個人開設と医療法人では終了させる対象が違う

個人で開設している場合は、診療所の閉院と個人事業の終了を整理します。医療法人が開設している場合は、診療所を閉じる判断に加え、法人をどうするかの検討が必要です。

診療所の閉院日を決めただけでは、法人の処理まで決まりません。別の診療所を運営しているか、残る契約があるかでも進め方が変わります。

まず、次の書類で名義をそろえましょう。

  • 開設時と変更時の届出・許可関係書類
  • 法人の登記内容と定款
  • 借入契約書と保証契約書
  • 建物の賃貸借契約書
  • 医療機器の購入・リース契約書

院長が把握している名義と、書面上の名義が違うこともあります。通帳だけで判断せず、契約の当事者まで確かめてください。

個人の借入と法人借入の連帯保証を分ける

個人開設の院長が本人名義で借りている資金は、本人の借入として整理します。法人の借入を院長が連帯保証している場合とは、責任の根拠が異なります。

借入一覧には、残高に加えて「借りた人」と「保証した人」を記載してください。家族が保証している契約や、不動産を担保に入れた契約も別に確認します。

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確認対象 見る書類 整理する内容
借入の名義 借入契約書 個人か法人か
保証の範囲 保証契約書 保証人と対象債務
担保の対象 担保関係書類 対象資産と所有者
毎月の返済 返済予定表 金額と支払日

契約書が手元に見当たらないときは、「保証していない」と結論づけず、未確認として残します。写しの所在を調べることと、保証の有効性を判断することも別です。

最終診療日と撤去日を同じ日にしない

閉院の予定表には、診療終了から事務処理までの間隔を設けます。最終診療日に機器や通信環境をすべて撤去すると、検査結果の連絡や請求の確認が難しくなるためです。

決める日付は、閉院日だけでは足りません。

  • 最終診療日
  • 検査結果を確認する日
  • 従業員の最終勤務日と退職日
  • 設備の搬出日と建物の明渡日
  • 請求処理と問い合わせ対応の終了予定日

同じ日になる項目があっても構いません。ただし、後の作業に必要な人や設備が残るかを確かめます。

最終診療後の事務作業を院長だけで担う計画なら、実際の処理量も見てください。受付や請求担当者が退職した後では、引継ぎ直しが難しくなります。

株式会社の解散手続きをそのまま使わない

医療法人の終了を、株式会社の解散・清算の説明に当てはめないでください。法人の種類が異なるため、一般企業向けの記事にある決議や登記の手順だけでは判断できません。

診療所を閉じても法人を残すのか、法人自体の終了も検討するのか。まず、この方針を分けます。そのうえで、定款や法人の状況に応じた手続きを確認する順序です。

関連する別会社がある場合にも注意が要ります。建物や機器の所有会社と、診療所の開設者が異なることがあるためです。

「クリニックを閉じる」という言葉の中に、複数の主体が隠れていないか。名義を整理すると、誰の資産を処分し、誰の債務を残すのかが見えてきます。

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届出の準備は、患者と記録を引き継ぐ段取りと一緒に

診療終了後の作業まで見通す
閉院準備の進め方

クリニックの閉院では、開設に関する手続きと保険診療に関する手続きを分けて確認します。同時に、患者への案内と診療記録の管理を決め、診療終了後も必要な対応ができる状態を整えましょう。

提出先ごとに書類・期限・添付物を一覧にする

開設に関する届出は、所在地を管轄する保健所等の行政機関で確認します。保険診療に関する廃止等の手続きは、地方厚生局等の所管事項を別に整理してください。

行政への提出先の確認は、経営相談とは別の実務です。様式名や提出期限は、開設形態と対象手続きに応じて確定させます。

確認用の一覧には、次の項目を設けましょう。

  • 手続きの名称と提出先
  • 提出期限と期限の起算日
  • 提出する人と名義
  • 添付書類と返却する書類
  • 提出した控えの保存場所

閉院後に提出する書類でも、添付物の準備は先に進められます。反対に、事前確認が必要な作業を「閉院してから」でまとめないようにしてください。

医療機器や取り扱う薬品、受けている指定の内容でも確認項目は変わります。開設時の書類だけで終えず、その後の追加・変更をたどると漏れを減らせます。

患者への案内は診療の途中経過から考える

患者への告知日は、院内掲示を作るだけで決めないでください。治療中の患者に必要な説明や、引継ぎにかかる時間を見て組み立てます。

特に、検査結果がまだ出ていない患者や、継続診療が必要な患者は個別に整理します。最終診療日以降に誰が連絡するのかまで決めておきましょう。

案内に盛り込む内容は、次のように分けられます。

  • 最終診療日と予約の扱い
  • 継続診療に関する案内
  • 検査結果の連絡方法
  • 診療情報の提供に関する手順
  • 閉院後の問い合わせ方法

承継先を探している段階では、未確定の内容を確約しないようにします。「同じ場所で診療が続く」と伝えるには、引継ぎの条件を確かめる必要があるからです。

告知後に不安が集中することも想定し、受付担当者と説明内容をそろえてください。担当者ごとの回答の違いは、患者の不安を増やします。

カルテと電子データは保管と閲覧をセットで設計する

診療記録は、閉院を理由に一括処分するものとして扱わないでください。記録の種類ごとに保存義務や保存期間を確認し、保管責任者と場所を決めます。

電子データでは、保存しただけで安心できません。契約を終了した後も、必要な記録を読み出せるかが問題になります。

システム事業者との確認事項は、具体的に書き出しましょう。

  • 契約終了後に閲覧できる範囲
  • データを書き出せる形式
  • 閲覧に必要なソフトや機器
  • 保管と維持にかかる費用
  • 問い合わせや開示への対応方法

患者情報を含む機器を売却する場合は、記録の保存と機器内データの扱いを分けます。承継を検討する段階でも、患者名入りの情報を候補先へ安易に渡さないでください。

紙の記録を外部で保管する場合も、取り出し方と費用を確認します。保管先が決まっていても、院長が必要なときにアクセスできなければ実務が止まります。

最終請求と入金確認に必要な環境を残す

最後の診療が終わっても、請求内容の確認や入金管理が残ることがあります。診療報酬の入金予定と支払い予定を重ね、事務処理の終了時期を見積もってください。

通帳の残高と、これから入る予定の金額は分けます。請求額をそのまま使える資金と見込まず、確認中の分を区別しておくと判断しやすくなります。

残すか検討するものは、次のとおりです。

  • 請求に使うシステムと端末
  • 必要な通信回線
  • 入金を受ける口座
  • 請求担当者への連絡手段
  • 関係書類の保管場所

口座やシステムの解約日は、費用を減らす都合だけで決めないようにしましょう。再契約やデータ復元が必要になると、かえって負担が増えることがあります。

従業員・設備・賃貸契約は、相互の順序を確かめて終える

従業員の退職日や設備の撤去日は、患者対応と建物の明渡しに影響します。契約ごとに条件を確認し、閉院予定表へ落とし込むと、支払いと作業の抜けを見つけやすくなります。

従業員には決定事項と未定事項を分けて伝える

従業員への説明では、閉院の理由に加えて勤務と支払いの見通しを伝えます。承継の検討中なら、雇用継続が決まっているかどうかも明確にしてください。

説明の準備には、次の情報を使います。

  • 閉院予定日と今後の勤務予定
  • 雇用契約の終了に関する扱い
  • 給与と退職金の確認状況
  • 残っている休暇の扱い
  • 退職後に交付する書類

解雇か合意による退職かで、確認する手順は異なります。予告や手当の扱いを含め、適用される労務上のルールを確認してから日程を伝えましょう。

見通しが不確かな給与を「払える」と約束しないことも必要です。未定の項目には次に回答する時点を示します。従業員が次の生活を考えられるよう、情報を止めない姿勢が求められます。

給与・退職金は根拠書類と支払時期を確認する

退職金の有無や計算は、雇用契約や就業規則などの定めを確かめます。閉院するという理由だけで、支給額を決められるものではありません。

給与について、労働基準法24条は「その全額を」と定めています。閉院費用が足りない場合も、未払い分を曖昧にせず記録してください。出典は同条の原文です(2026年8月19日確認)。

退職者から請求がある場合の期限にも注意が要ります。同法23条は「権利者の請求があつた場合においては七日以内に」と規定しています。対象は賃金の支払いと金品の返還です。争いがある場合も、異議のない部分について同じ期限が示されています。

これは退職しただけで一律に生じる期限、という説明ではありません。請求の有無と内容を記録し、退職金の扱いは規程等も含めて確認します。出典:労働基準法23条・24条(e-Gov法令検索)(2026年8月19日確認)。

医療機器は所有者と返却条件を確かめてから動かす

院内にある機器が、すべて自由に売れるとは限りません。購入品とリース品を分け、所有権や契約上の処分条件を確認します。

機器一覧には、次の情報を記載してください。

  • 所有者と契約先
  • 残っている支払い
  • 解約・返却の条件
  • 搬出と撤去の費用
  • データ消去や保管の作業

譲渡を検討するなら、買い手が使いたい設備を先に撤去しないようにします。ただし、売却を期待して保管し続ける費用も比較が必要です。

薬品や廃棄物についても、通常の家具と同じ扱いで処分しないでください。種類ごとの処理方法を確認し、処理を依頼した記録を残します。担当者が退職する前に、在庫と保管場所を把握しておくと作業が進みます。

賃貸借の解約は原状回復の範囲と合わせて決める

建物の明渡しには、解約通知の時期と原状回復の範囲が関わります。契約書の記載を読み、貸主との確認内容を記録してから工事を手配しましょう。

見積もりでは、単に「撤去一式」となっていないかを見ます。設備の取り外しと内装の復旧が重複していれば、費用の比較が難しくなるためです。

確認対象は、次の項目です。

  • 解約通知と明渡しの条件
  • 原状回復の対象範囲
  • 工事業者に関する指定
  • 敷金等の精算方法
  • 残置物を引き継ぐ場合の条件

承継先が同じ場所を使う場合でも、賃貸契約が自動で引き継がれるとは考えないでください。貸主の了解や契約条件を確かめる必要があります。

撤去工事を確定した後で承継の話がまとまると、予定の変更が難しくなります。工事発注の期限を、承継を検討できる期限として予定表に入れておきましょう。

閉院費用は、診療終了後の支払いまで積み上げる

閉院に必要な資金は、届出に関する費用だけでは見積もれません。人件費や撤去費に加え、終了後の保管・事務処理・借入返済まで含めて確認します。

見積もりは支出の性質ごとに分ける

設備や賃貸契約の条件が違うため、クリニックの閉院費用を一律の相場で当てはめるのは避けましょう。手元の契約と見積書から積み上げた方が、資金不足の時期を見つけやすくなります。

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支出の区分 主な確認対象 金額の根拠
従業員への支払い 給与・退職金等 契約・規程
物件の終了費用 賃料・原状回復 契約・見積書
設備の終了費用 解約・撤去・処分 契約・見積書
閉院後の費用 記録保管・事務処理 利用条件・見積書

借入返済や税金等は、この表とは別の債務一覧で管理します。閉院作業の費用と混ぜると、費用を払った後にどの債務が残るか分からなくなるからです。

金額が分からない項目には、空欄ではなく「見積もり待ち」と記載してください。未確定の負担をゼロ扱いしないための工夫です。

売却代金や敷金の返還は、入金日も確認する

機器を売却できても、その代金が撤去費の支払日に間に合うとは限りません。敷金等の返還も、控除額と返還時期を確かめるまでは予定額として扱います。

資金繰り表では、日付の順に入出金を並べてください。

  • 現時点で使える預金
  • 診療報酬等の入金予定
  • 資産売却による入金予定
  • 給与や契約終了費の支払予定
  • 借入と税金等の支払予定

売却価格が未定なら、入金を見込まない場合も試算します。予定どおり売れなかったとき、給与や記録保管の資金まで不足しないかを見るためです。

閉院日より先に確認したいのは、資金が不足する日です。 その日より後まで続く計画なら、支払い条件や終了時期を見直す必要があります。

閉院費用が足りないときは追加契約を急がない

資金不足が見えた段階では、撤去工事や新たな借入の契約を急がず、全体の支払いを見直してください。追加費用を負うことで、選べる終了方法が狭くなる可能性があります。

借入先ごとの返済や、関係者への支払いを独断で進めることにも注意が要ります。債務整理を検討する状況では、資産の移転や支払い方が法的な問題になる場合があるためです。

家族からの借入を考えているなら、閉院費用の不足額だけで決めないようにしましょう。追加資金で何が完了し、なお何が残るかを確認します。

支払いの見通しが立たない場合は、法的整理が適切な場合もあります。経営者本人が依頼する弁護士による判断を組み込み、支払期限を含む資料をそろえて検討を進めます。

院長と家族の生活費を事業資金から区別する

閉院予算を作るときは、家族の生活に必要な支出も別表にしてください。診療所の口座残高を見ただけでは、閉院後の暮らしまで見通せません。

住居費や生活費に加え、次の仕事による収入がいつ始まるかも整理します。収入見込みが未確定なら、期待額をそのまま計上しない方が判断しやすくなります。

家族への説明では、「借金がある」とひとまとめにしないでください。本人の借入か、法人借入の保証か、家族が契約に関わっているかを分けると、確認すべき範囲が伝わります。

生活費を確保したい場合も、財産の名義を変えたり移したりする前に法的な確認をおこないます。今ある資産と必要な生活費を正直に整理する方が、具体的な検討につながります。

借入と連帯保証は、閉院届とは別に整理する

クリニックを閉院しても、借入契約や保証契約の処理が自動で終わるわけではありません。返済可能な額を確認し、残る債務と保証の扱いを別に決める必要があります。

連帯保証では院長への請求も想定しておく

法人が返せなくなったとき、連帯保証人には「先に法人へ請求してほしい」と主張する権利がありません。民法454条は、連帯保証人について「前二条の権利を有しない」と定めています。

前二条とは、催告の抗弁と検索の抗弁に関する規定です。会社への請求や財産への執行を先に求める権利を指します。連帯保証では、法人の財産処分が終わるまで院長への請求が来ない、と想定しないでください。

出典:民法452条〜454条(e-Gov法令検索)(2026年8月18日確認)。

保証契約ごとに対象の借入を結びつけると、閉院後に残る責任を把握しやすくなります。詳しくは廃業したら連帯保証はどうなる?残る理由と整理の道をご覧ください。

完済できるかは、処分後の手取りで判断する

帳簿上の設備価格を足して借入を返せそうでも、実際の売却額は別です。撤去費や処分費、契約の精算を差し引いた後に残る資金で考えます。

不動産や設備に担保が付いている場合は、そのまま自由に使える売却代金とは扱えません。売却に必要な条件と、代金の使途を確認してください。

返済の検討では、次の資料をそろえます。

  • 債権者ごとの残高と返済予定
  • 資産の査定額と売却条件
  • 閉院費用の見積もり
  • 未払いの給与や税金等
  • 院長個人の借入と保証の一覧

全額返済が難しいなら、閉院届の準備だけを進めても問題は残ります。資金が尽きる時期と残債を示し、債務整理を含む方針を検討する段階です。

保証債務の整理はガイドラインの要件を分けて読む

一定の条件のもとで、保証債務の整理を検討する枠組みがあります。「経営者保証に関するガイドライン」です。資産を開示すれば、そのまま保証が免除される制度ではありません。

保証債務の整理に関する要件では、主たる債務者側の手続きも問われます。法的債務整理か準則型私的整理の申立てを同時におこなう場合のほか、係属中・終結済みの場合が示されています。

さらに、対象となる保証契約であることも条件です。債権者にとって、破産時より多くの回収が見込めるなどの経済的合理性も求められます。所定の免責不許可事由が生じておらず、そのおそれもないことが要件に含まれます。

出典:全国銀行協会「経営者保証に関するガイドライン」7.(1)(2026年8月19日確認)。

医療法人や個人開設の案件で利用できるかは、対象範囲を含む個別確認が必要です。これから保証を付けない融資の要件と、すでにある保証債務を整理する要件を混同しないでください。

法的整理も含め、診療の終了と本人の再出発を考える

借入が残るからといって、閉院と同時に院長の自己破産が決まるわけではありません。一方、承継先を探せば解決するという前提も置けません。

返済原資が不足し、事業を続ける資金もない場合には、法的整理が適切な場合があります。診療所や法人の整理と、院長個人の債務の扱いを合わせて検討してください。

法的な方針や手続きは、依頼者が委任する弁護士等の専門家が担います。会計資料の作成や事業価値の整理と役割を分けることで、判断材料をそろえられます。

借入の残高だけを伝えるより、支払期限と資産の状況まで示す方が具体化しやすくなります。取引先から届いた請求書や通知も、捨てずに保管しておきましょう。

閉院と承継の比較は、撤去や解約を確定する段階までに

残る負担と実行条件を確認
閉院と承継の比較

閉院の準備と承継の検討は、同時に進められます。ただし、買い手が決まる前提で支払期限を延ばし続けず、継続できる資金の範囲内で判断してください。

比べるのは価格だけでなく、残る負担と実行条件

承継を検討するときは、譲渡価格に加えて、閉院費用がどこまで変わるかを比べます。設備を引き継げる場合でも、借入や患者対応の作業がすべてなくなるわけではありません。

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比較項目 閉院を進める場合 承継を検討する場合
患者への対応 診療終了と紹介を準備 診療継続の条件を確認
従業員 退職と支払いを整理 雇用継続の条件を確認
設備・物件 処分と明渡しを準備 引継ぎの可否を確認
借入・保証 残債の処理を検討 解除等の条件を検討

院長の健康や、残る診療体制も判断材料です。承継の可能性があっても、検討期間中の診療を維持できなければ日程を変える必要があります。

詳しくは廃業とM&Aの比較|メリット・デメリットと判断基準を解説をご覧ください。一般企業との共通点を押さえたうえで、医療の開設・運営に関する条件は別に確認します。

診療所の承継を通常の株式譲渡に当てはめない

医療法人を引き継ぐ話に、株式会社の株式売却の説明をそのまま使わないでください。法人の形態や定款、開設者の変更の有無などを確認して、実行できる方法を検討します。

個人開設の場合も、設備の売買だけで診療を引き継げるとは限りません。引継ぎ後の開設・保険診療に関する手続きと、契約の扱いを合わせて確かめます。

候補先に確認する条件は、次のように整理できます。

  • 診療を担う人と運営体制
  • 開設等に必要な手続きの日程
  • 従業員の雇用に関する条件
  • 物件と設備を使うための条件
  • 患者への説明と記録の管理方法

買い手の希望日だけで引継ぎ日を決めず、必要な準備から日程を組みます。診療の空白が生じる可能性も、患者への案内を作る前に検討してください。

買い手との約束だけで保証解除を済ませない

買い手が借入を引き受ける意向を示しても、金融機関との契約確認が残ります。M&A当事者の合意だけで、院長の保証責任が消えるとは考えないでください。

経営者保証の扱いは、一般企業のM&Aでも契約上の主要な確認事項です。解除等の実施には金融機関等の判断が関わります。出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版(2026年8月18日確認)。

検討中は、保証の対象債務を特定し、解除等の条件を確認します。実行後に誰が何の書類で結果を確かめるかも決めておきましょう。

借入と事業の引継ぎを分けて考える道筋は、自己破産しないで会社をたたむ方法でも整理しています。医療分野では、開設形態に応じた追加の確認が必要です。

あさひ国際会計が担うのは資料整備と条件設計の後方支援

あさひ国際会計株式会社では、借入と資産の整理から承継の可能性を検討します。ただし、クリニックを含む医療・調剤分野の成約実績は、提示している実績情報ではありません。

他業種の経験を医療分野の実績として示すことはせず、医療固有の条件を確認したうえで支援範囲を整理します。法的手続き等は、必要に応じて依頼者が委任する専門家の領域です。

当社の役割は後方支援です。金融機関との協議に必要な資料を整え、事業価値の説明資料を作成します。M&Aの条件設計とともに、経営者本人の協議を支えます。交渉の主体は経営者本人と、必要に応じて依頼する弁護士等の専門家です。

相談は無料で、着手金はありません。仲介報酬は成約時に譲渡代金から精算するため、売り手の手元からの持ち出しは0円です。閉院費用や税金、別途依頼する専門家の費用まで無料になる意味ではありません。

よくある質問

クリニックの閉院手続きは、閉院届を出せば終わりますか?

閉院届の提出後も、請求・入金の確認や記録の保管、契約の精算などが残り得ます。借入や連帯保証も別に整理します。行政手続きの完了と、診療所に関する実務の完了を分けて管理してください。

閉院を検討している段階で患者や従業員へ伝えるべきですか?

全体への告知は、最終診療日や雇用の扱いを整理してから内容を決めます。ただし、準備が整うまで説明を遅らせ続けると、診療の引継ぎや労務上の対応が間に合わなくなる場合があります。告知の準備と、告知時期の法的・実務的な確認を並行して進めましょう。

借入が残っていても閉院を検討できますか?

借入が残っている段階でも、閉院の準備と返済方法の検討は進められます。ただし、診療をやめても借入の支払いがなくなるわけではありません。閉院費用を引いた後の資金で返せるかを計算し、不足する場合は保証を含む債務整理の方針を検討します。

承継先を探している間に資金が尽きそうな場合はどうしますか?

買い手が現れる前提を外し、確定している資金でどこまで対応できるかを確認します。給与や患者対応を続けられない見込みなら、承継の検討期限を見直す必要があります。追加の契約や資産処分を進める前に、法的整理も含む判断を組み込んでください。

まとめ

開設関係の書類と借入契約書を手元に置き、最終診療後までの入出金を予定表にしてください。資金不足が見える場合は、撤去や解約の契約を確定する段階までに、残債・保証の整理と承継の可能性を合わせて相談しましょう。

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この記事を書いた人

あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を見据えた再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介の成約実績があります。
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最終更新日: 2026年9月18日

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