結論:「廃業=自己破産」ではありません

会社に借入が残っていても、自己破産をせずに会社をたたむ・引き継いでもらう方法はあります。代表的な道は次の3つです。

  • 経営者保証ガイドラインを活用して、保証債務を整理する
  • M&Aで会社や事業を引き継いでもらい、その過程で連帯保証の解除を図る(再生型M&A)
  • 事業を新会社に移して、旧会社を整理する(第二会社方式)

どの道が使えるかは、会社の状況(債務の内容・事業の価値・タイミング)によって変わります。この記事では、それぞれの仕組みと向き不向きを、再生型M&Aを専門とする会計事務所の立場から解説します。

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最も大切なのは「資金繰りが完全に行き詰まる前に動き始めること」です。手元資金が残っているうちに動けば選択肢は複数ありますが、時間の経過とともに一つずつ消えていきます。

自己破産を避けて会社をたたむ3つの方法(経営者保証ガイドライン・再生型M&A・第二会社方式)の図解

なぜ会社をたたむと借金が個人に残るのか

会社をたたんでも連帯保証(経営者保証)の債務が経営者個人に残る仕組みの流れ図

日本の中小企業向け融資の多くには、経営者個人の連帯保証(経営者保証)が付いています。会社を廃業して法人を清算しても、この保証債務は自動的には消えません。会社が返しきれなかった借入は、連帯保証人である経営者個人への請求に変わります。

「廃業したら借金だけが自分に残る。だから自己破産しかない」と考えてしまう経営者の方が多いのは、この仕組みが原因です。しかし国も、経営者保証が事業の再生や承継の妨げになっている問題を認識しており、保証に依存しない融資慣行への転換を進めています(出典: 中小企業庁「経営者保証」)。

方法1|経営者保証ガイドラインで保証債務を整理する

経営者保証に関するガイドラインは、中小企業の経営者保証について金融機関と経営者の間の自主的なルールとして定められたもので、2014年2月から適用が始まり、その後も改訂が重ねられています(出典: 全国銀行協会「経営者保証に関するガイドライン」)。

一定の要件を満たす場合、破産手続によらずに、保証債務の免除・減額を含む整理を金融機関に申し出ることができます。

ガイドラインの要件やM&Aの場面での活用方法は、経営者保証ガイドラインのM&A活用法で詳しく解説しています。

  • 法人と経営者個人の資産・経理が明確に分離されていること
  • 財務状況を適時適切に開示していること
  • 誠実に資産開示を行うこと

このガイドラインに沿った整理では、次のような取扱いがあるとされています。

項目 自己破産 経営者保証ガイドライン
自宅 原則手放す 「華美でない自宅」は残せる場合がある
生活費 自由財産の範囲のみ 一定期間の生活費(インセンティブ資産)を残せる場合がある
信用情報 事故情報として登録 信用情報機関に報告・登録されない取扱いとされている
官報公告 あり なし

実務上のポイント

  • 金融機関との協議は早めに始める(M&Aや廃業を決めた後ではなく、検討段階が理想です)
  • 直近3期分の決算書・資金繰り表を整備しておく
  • 法人のお金と個人のお金の分離を、日頃から明確にしておく
  • 取引金融機関が複数ある場合は、メインバンクとの協議から始めるのが一般的です

方法2|会社を引き継いでもらう(再生型M&A)

「赤字だから」「債務超過だから」という理由だけで、会社の買い手がいないと決まるわけではありません。事業そのもの——従業員、取引先、許認可、技術、地域でのシェア——に価値を見出す買い手は存在します。運送業の許可とドライバー、建設業の許可と技術者などは、その典型です。

再生型M&Aの仕組みそのものは再生型M&Aとは?通常M&Aとの違いと対象企業で詳しく解説しています。

M&Aで会社や事業を引き継いでもらう場合、譲渡の条件交渉の中で、買い手側と金融機関の間の調整を通じて経営者の連帯保証の解除が図られます。業界のルールも整いつつあり、M&A仲介協会は2025年1月から、買収契約における売り手経営者の連帯保証の解除を業界ルールとして義務付けました(出典: 日本経済新聞)。

運送業の実情に即した解説は運送業の廃業と連帯保証はどうなる?をご覧ください。

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廃業では従業員の雇用も取引先との関係も失われますが、M&Aなら事業と雇用を残したまま、経営者は保証から解放される道を探れます。「たたむ」前に「引き継げないか」を検討する価値があります。

方法3|事業を新会社に移して整理する(第二会社方式)

第二会社方式のしくみ(事業を新会社へ譲渡し旧会社を整理する流れ)の図解

収益性のある事業だけを新会社(第二会社)に譲渡し、債務が残った旧会社を清算する手法です。事業と雇用を守りながら債務を整理できる可能性がある一方で、次の点に注意が必要です。

  • 事業の譲渡価格は、DCF法や純資産法などによる適正な評価に基づく必要があります(不当に安い譲渡は詐害行為と判断されるおそれがあります)
  • 債権者への丁寧な説明と理解が前提になります

保証を外す方法を体系的に知りたい方は連帯保証を解除する方法とは?経営者保証を外す4つの選択肢もご覧ください。

  • 従業員の雇用契約の承継、取引先への通知など、実務手続きが多岐にわたります

スキームの設計を誤ると、かえって紛争の原因になります。検討する場合は、初期段階から専門家が関与することが不可欠です。

3つの方法の比較

方法 向いているケース 主な留意点
経営者保証ガイドライン 法人と個人の分離ができている・金融機関と誠実に向き合える 要件を満たす必要がある。早期の着手が有利
再生型M&A 事業・人材・許認可に価値がある(赤字・債務超過でも可能性あり) 買い手探しと条件調整に時間がかかる。資金繰りに余力があるうちに
第二会社方式 一部の事業に収益性がある 適正価格の評価と債権者の理解が前提。設計を誤るとリスク大

よくある質問

Q. 債務超過でも、会社を買ってくれる相手は本当にいるのですか?

います。買い手が見ているのは貸借対照表の数字だけではなく、事業の中身です。特に人手不足の業界では、従業員と許認可を一括で引き継げるM&Aに価値を感じる買い手が少なくありません。ただし、財務状況が悪化しきってからでは選択肢が狭まるため、早めの相談をおすすめします。

Q. いつ相談するのがよいですか?

「まだ数ヶ月は資金が回る」段階が理想です。運転資金が残っているうちであれば、ガイドラインの活用もM&Aも検討できます。支払いが止まってからでは、取れる手段が大きく減ってしまいます。再生型M&Aを専門とするあさひ国際会計では、「まだ大丈夫」の段階のご相談こそ歓迎しています(相談無料)。早いほど、ご一緒にできることが多くなります。

Q. 自己破産すると何を失うのですか?

原則として、自宅を含む一定額以上の財産を手放すことになり、信用情報にも登録されます。だからこそ、その前に「自己破産しない選択肢」を検討する意味があります。

Q. 相談に費用はかかりますか?

当社の初回相談は無料です。状況をお聞きした上で、どの道が現実的かを一緒に整理するところから始めます。

まとめ|ひとりで抱え込む前に、選択肢を知ってください

借金と連帯保証を抱えたまま「もう破産しかない」と思い詰めてしまう前に、知っておいてほしいことがあります。廃業・破産のほかに、保証債務を整理する道、事業を引き継いでもらう道があります。そして、どの道も早く動くほど使いやすくなります

あさひ国際会計株式会社は、赤字・債務超過企業のM&Aと経営者保証の解除支援を専門とする会計事務所です。「連帯保証でも、自己破産は回避ができる」を信条に、年間50件以上の再生型M&Aを支援しており、NHKスペシャルや週刊ダイヤモンドでも活動をご紹介いただきました。

ご相談は無料です。お電話(03-5657-7496・平日9:00〜19:00)またはお問い合わせフォームからご連絡ください。

他のM&A仲介会社に断られた案件や、「自己破産しかない」と言われた状況からのご相談も数多くお受けしています。メールでのご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。

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この記事の執筆者

金子広夢(あさひ国際会計株式会社 代表取締役)

赤字・債務超過企業のM&Aと経営者の連帯保証(経営者保証)解除支援を専門とする。年間50件以上の再生型M&A支援に携わり、NHKスペシャル、週刊ダイヤモンド、物流ウィークリー等で活動が紹介された。東京都中央区日本橋兜町。

あさひ国際会計株式会社は、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録された支援機関です(登録支援機関による支援は、事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)の補助対象とされています)。

最終更新日: 2026年7月19日

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