目次
この記事の対象と結論
個人で持つ自社株を第三者へ売る場合、税金は原則として売却で得た利益にかかります。代金の全額に税率を掛ける計算ではありません。ただし、自社に買い取ってもらう場合は、配当として課税される部分が生じることがあります。
廃業を考えるほど資金繰りが厳しいと、税金まで心配する余裕はないかもしれません。それでも、売却価格だけで返済や生活費の計画を立てると、納税時に資金が足りなくなるおそれがあります。
税金と費用を引いた手取り、売却後に残る連帯保証は、別々に確かめてください。 会社の借入がどう扱われるかまで見て、譲る場合とたたむ場合を比べます。廃業を迷う段階で相談する経営者は珍しくありません。方針を決めきれていなくても、整理は始められます。
自社株を売る税金は、売る相手と利益で変わる
自社株の売却では、買い手が第三者か、株式を発行した自社かで課税の扱いが変わります。個人が第三者へ売る場合は、売却代金から取得費と譲渡費用を差し引いた利益が計算の出発点です。
第三者への売却では、株主個人の利益を計算する
経営者が個人で所有する非上場株式を、別の会社や個人へ売る場面を考えます。税金を計算する対象は、株主が売却で得た利益です。会社の売上とは分けて扱います。
株式を手に入れるために支出した金額を、取得費と呼びます。設立時の出資や、その後の買い取りなどが確認対象です。売却のために直接かかった費用も、利益の計算に関わります。
給与などの所得と分けて株式の譲渡益を計算する仕組みが、「申告分離課税」です。会社の決算が赤字かどうかだけでは、株主個人の税額は決まりません。
なお、株式を持っているのが法人なら、個人向けの計算はそのまま使えません。会社名義の株式と経営者個人の株式が混ざっていないか、最初に売り手を確認してください。
税率は売却代金ではなく、差し引き後の利益に掛ける
個人の株式等の譲渡益には、復興特別所得税を含めて20.315%の税率が適用されます。平成25年から令和19年までの扱いです。国税庁「株式等を譲渡したときの課税」の説明に基づきます。確認時点は2026年8月です。
概算は、次の順序で組み立てます。
1. 売却代金から取得費を差し引く。
2. 譲渡費用に該当する金額を差し引く。
3. 残った譲渡益に税率を掛ける。
代金だけでは計算できません。取得費が分かる資料と、売却にかかる費用の内訳をそろえます。
また、税率から手取りの割合を決めつけないでください。税金のほかに仲介報酬などの支払いもあります。税額の計算と、実際の現金の出入りは別の表で確認すると混乱を防げます。
自社による買い取りには、みなし配当の確認も要る
株式を発行した会社自身に買い取ってもらう場合、受取額の一部が税務上の配当になることがあります。その部分を「みなし配当」と呼びます。
非上場会社のみなし配当は、総合課税の配当所得として扱われます。第三者への株式売却と同じ税率で、受取額全体を計算すると読み違えるおそれがあります。譲渡所得と配当所得にどう分かれるかを確認してください。
買い取り資金の出どころにも目を向けます。自社が支払うため、会社に残る現金は減るからです。経営者にお金が入っても、給与や仕入れの支払いが苦しくなれば、廃業判断にも影響します。
税負担の比較に加え、買い取りを実行できる条件も確認します。詳しくは自社株を会社が買い取る税金の内訳と、廃業を考える社長が残せるお金の見方をご覧ください。
株式代金と仲介報酬では、消費税の扱いも分ける
株式の譲渡は、消費税では非課税取引とされています。国税庁も、株券などの有価証券の譲渡を非課税の対象に挙げています。通常の商品販売と同じ感覚で税金を上乗せする取引ではありません。
一方、売却に関連する支払いまで、すべて非課税になるわけではありません。仲介サービスへの報酬は、株式そのものの売買とは別の取引です。見積書では、実際に支払う税込みの金額を見ます。
確認する欄を分けておきましょう。
- 株式そのものの譲渡代金。
- 仲介報酬の税込み支払額。
- 別途請求される費用の有無。
株式売却が消費税の非課税取引でも、譲渡益への所得税などは別に検討します。「非課税」という言葉だけで、売却に関する税負担がなくなると受け取らないでください。
手取りを見積もるときは、過去の取得費と今の支出を分ける
取得費は税額を求めるための数字であり、売却時に再び支払う費用とは限りません。手取りは、売却代金から今回支払う費用と税金を引いて見積もります。
取得費は、設立から現在までの記録で確かめる
長く経営してきた会社では、株式を取得した当時の記録が見つからないことがあります。創業時の出資に加え、親族から買い取った株式が含まれる場合もあります。記憶だけで金額を決めないでください。
確認に使うのは、次のような資料です。
- 設立時に出資した記録。
- 株式を買い取った際の契約書。
- 増資に応じて払い込んだ記録。
- 相続や贈与による取得の経緯。
現在の会社の資本金だけでは、自分の取得費を確定できない場合があります。誰が出資し、その後に誰が株式を取得したかをたどるためです。
相続や贈与で得た株式も、受け取ったときの評価額をそのまま使えるとは限りません。取得の経緯を税理士と共有します。資料が見つからない箇所は「不明」と残し、確認済みの金額と区別しておけば、概算の前提が伝わります。
譲渡費用は、請求名目だけで判断しない
売却のために直接かかった費用は、譲渡益の計算に関わります。仲介報酬も、契約内容や支出の目的に沿って確認します。会社経営に関連する支払いだからといって、すべてを差し引けるわけではありません。
以前から受けていた経営相談と、今回の株式売却に直接関わる業務では、費用の性質が異なります。同じ請求書に載っている場合も、内訳を確かめてください。
記録しておきたい事項は次のとおりです。
- 契約した人と、費用を支払う人。
- 支払いの対象となる業務。
- 株式売却との具体的な関係。
- 契約書と請求書の対応。
会社が支払う費用と、株主個人が支払う費用も分けます。個人の利益から会社の支出をそのまま差し引かないためです。負担する人がまだ決まっていない費用は、税額を固める前に契約条件を確認します。
税金の計算表と、現金の計算表を作る
税務上の利益と現金の残額は、同じ数字にならないことがあります。過去の取得費を売却時の支出としてもう一度引くと、手取りを少なく見積もってしまいます。
違いは次の表で整理できます。
→ 横にスクロールできます
| 項目 | 税額計算での扱い | 今回の現金への影響 |
|---|---|---|
| 株式の売却代金 | 収入の基礎 | 入金になる |
| 株式の取得費 | 利益から差し引く | 過去の支出が中心 |
| 譲渡費用 | 該当分を差し引く | 支払時に減る |
| 売却益への税金 | 利益から算定 | 納付時に減る |
取得費を税額計算で引くことと、売却代金から現金を支払うことは別です。 仲介報酬を代金から精算する場合も、精算後の入金額から同じ報酬を再び引かないようにします。
そのうえで、個人が負担する返済などを加え、生活に回せる残額を見ます。詳しくは自社株の利益にかかる税金と手取りの計算帳|廃業・売却で混同しやすいお金をご覧ください。
分割入金では、納税時に現金が足りるかを確かめる
売却代金を分けて受け取る契約では、総額と手元の現金に差が生じます。後日入る予定のお金は、今日の返済には使えません。税額が見えても、資金繰りの確認は残ります。
税金についても、受け取った分だけを順番に申告すればよいと自己判断しないでください。所得を計上する時期と入金時期の関係は、契約内容に沿って確認します。
予定表には、次の日付と金額を載せます。
- 株式を引き渡す予定日。
- 代金を受け取る日と受取額。
- 費用を支払う日と支払額。
- 納税の時期と見込額。
後払いの代金に条件が付くなら、その条件も記録します。予定どおり入金されない場合に、納税や生活費をどう賄うかまで考えます。売却総額が高くても、必要な時期に資金が足りない提案なら、支払条件から見直す余地があります。
会社の赤字や借入だけでは、社長個人の税額は決まらない
会社が赤字でも、株主個人に株式の譲渡益があれば課税の検討対象になります。会社の損失や借入残高を、個人の売却益からそのまま引く計算はできません。
赤字決算と、株式を売った損益は別の計算
廃業を考えていると、「これだけ会社が苦しいのに税金までかかるのか」と感じるかもしれません。会社の事業で生じた損失と、株主が株式を売った損益は、分けて計算します。
赤字の会社でも、株式の売却代金が取得費などを上回る場合があります。反対に、会社が黒字でも、株主個人の売却で利益が出るとは限りません。
確認する資料も異なります。
- 会社の損益は決算書などで確かめる。
- 取得費は出資や売買の記録で確かめる。
- 売却収入は株式の売買契約で確かめる。
決算書の赤字額を、個人の税金の計算表へ転記しないでください。説明を受けるときも、「誰の、何にかかる税金か」を聞くと、話を追いやすくなります。会社の申告と株主個人の申告を、一緒のものとして扱わないことです。
債務超過でも、事業を引き継ぐ余地は残る
資産より負債が多い会社でも、買い手が事業の継続に価値を見いだす場合があります。ただし、株式を売るか、事業を売るかで代金や債務の扱いは変わります。
当社が支援して成約した案件には、売上が1億円前後の会社もあります。債務超過は5,000万円規模、借入は8,000万円規模でした。当社の成約資料に基づく、2026年8月確認の事例です。
この金額から、別の会社の売却価格や税額を推定することはできません。事業の内容も、引き継ぐ条件も異なるためです。債務超過という言葉だけで、譲渡の検討を終えないための事例として受け止めてください。
買い手から価格が出ていない段階では、税額も未確定です。それでも、取得費や売却費用の資料は先に整理できます。提示を受けてから慌てて探すより、手取りへの影響を確かめやすくなります。
社長が会社へ貸したお金は、株式代金と別に扱う
経営者が私財を会社へ入れてきた場合、会社に対する貸付金が残っていることがあります。会社の帳簿では、役員借入金などとして表れます。株式を持つことによる権利とは別です。
買い手から示された受取総額に、貸付金の返済が含まれていないか確かめてください。全部を株式代金として計算すると、税額や契約内容を読み違えるおそれがあります。
提示額は、支払いの内容に沿って分けます。
- 株式そのものに対する代金。
- 会社への貸付金に関する支払い。
- 引き継ぎ業務などに対する報酬。
支払う人や、税務上の扱いが異なる場合もあります。口頭で「全部込み」と説明されても、書面には内訳を残します。名目を付け替えるだけで税金が減ると考えず、実際の権利や業務との対応を確認してください。
借入残高を、個人の受取額から機械的に引かない
株式譲渡では、借入の債務者である会社は通常そのまま存続します。株主が変わることと、借入の返済が済むことは別です。借入残高の全額を個人の代金から引くとは限りません。
一方、取引の条件として返済を求められる場合もあります。その資金を会社が出すのか、買い手が用意するのか、売り手に負担があるのかで結果は変わります。
確認するのは、次の点です。
- 会社に残る借入の額。
- 売却時に返済する借入の有無。
- 返済資金を用意する人。
- 経営者個人に残る支払い。
「借入込みの価格」という説明だけでは、個人の手取りまで分かりません。株式代金と借入の処理を分けて確認します。借入返済に代金を使う予定があっても、その使い道だけで個人の譲渡益が減るわけではありません。
廃業との比較は、お金の受取人と課税の段階をそろえる
株式譲渡では株主に、会社による事業譲渡では会社に代金が入るのが基本です。廃業と比べる際は、入金先と支払いをそろえてから、経営者に残るお金を見積もります。
株式譲渡では、自分が売る株式の代金を見る
個人が所有する株式を第三者へ売る場合、代金を受け取るのは株主です。会社の設備などを売る取引とは異なります。個人の手取りは、自分に支払われる株式代金から計算します。
親族など、ほかにも株主がいる会社では、会社全体の提示価格と自分の受取額を分けてください。代表者だからといって、代金の全額を受け取るとは限りません。
契約案では、次の対応を確かめます。
- 株式を売る人は誰か。
- それぞれ何株を売るのか。
- 各売り手はいくら受け取るのか。
株主ごとに取得の経緯が違えば、税金の計算も異なります。会社全体の税引き後の金額を一度求めて、単純に配分する考え方は避けてください。本人の受取額と取得費が分かってから、家族の生活に回せるお金を見積もります。
事業譲渡では、会社に入る代金の使い道を追う
会社が事業や資産を売る場合、代金は会社に入ります。その入金を経営者個人の生活費として、そのまま数えることはできません。会社と個人のお金を分けて追います。
事業譲渡による資産の譲渡益は、法人の所得計算に関わります。会社全体の費用や損失も含めた計算となり、個人の株式売却に使う税率とは異なります。
比較する際の順序は次のとおりです。
1. 会社が受け取る譲渡代金を確認する。
2. 会社の税金と費用を見積もる。
3. 会社の債務への支払いを整理する。
4. 個人への支払いの有無と根拠を確かめる。
事業が買い手へ移っても、元の会社に債務が残る場合があります。引き継ぐ事業だけを見て、残る会社の処理を後回しにしないでください。保証の扱いも含めて、譲渡後に誰が何を負担するかを条件表へ書き込みます。
清算後の分配にも、みなし配当が生じる場合がある
会社を解散し、債務などを整理した後に財産が残れば、株主へ分配される場合があります。その一部は、税務上のみなし配当として扱われます。
国税庁は、残余財産の分配などについて課税の区分を示しています。みなし配当部分を除いた金額を、株式等の譲渡所得等の収入金額とする扱いです。受取額全体を、第三者への株式売却と同じ計算にしないでください。
非上場株式の清算に伴うみなし配当は、総合課税の配当所得として扱われます。分配額をどのように区分するかは、会社の資料をもとに税理士が確認する領域です。
借入の返済や清算費用で会社の資産がなくなるなら、分配が生じない場合もあります。先に確かめるのは、株主へ渡せる財産が残る見込みです。廃業費用を引く前の預金残高だけでは判断できません。
出典:国税庁「株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされる場合」、国税庁「配当金を受け取ったとき」
税負担だけで、譲渡と廃業を選ばない
譲渡と廃業は、税金のほかに費用や債務の負担を含めて比較します。取引を実行するまでの運転資金も見込んでください。納税額が少なくても、それまでに支払いが止まる計画では進めにくくなります。
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| 選択肢 | 主な入金先 | 個人の課税の見方 | 別途確認すること |
|---|---|---|---|
| 第三者へ株式譲渡 | 株主 | 株式の譲渡益 | 保証解除の条件 |
| 自社による買い取り | 株主 | 配当部分も確認 | 会社の資金余力 |
| 会社による事業譲渡 | 会社 | 個人への支払い次第 | 債務と残る会社 |
| 解散・清算 | 分配があれば株主 | 配当部分も確認 | 分配できる残額 |
従業員の雇用や取引先への供給をどう扱うかも、判断材料になります。家族には売却への期待だけを伝えず、手取りが未確定になる理由も共有すると、生活費の計画を立てやすくなります。
比較には、同じ時点の財務資料を使います。資料の時期が違うと、営業を続ける間の損失や支払いを見落としがちです。状況によっては法的整理が適切な場合もあるため、譲渡だけを前提に結論を急がないでください。
連帯保証の扱いが未定なら、手取りを生活費として使い切らない
株式の売却や代表者の退任だけで、連帯保証が自動的に外れるわけではありません。個人に残る負担を判断するには、金融機関が同意した保証の扱いまで確認します。
買い手の約束と、金融機関の同意を区別する
買い手から「保証を引き継ぐ」と説明されても、その発言だけで解除を確認したことにはなりません。株式の売買契約と金融機関との保証契約は、別の関係だからです。
代金が入ったことと、保証の負担が終わったことは別です。 保証付きの借入が複数ある場合は、借入ごとに進み具合を確認します。
書面で整理したい事項は次のとおりです。
- 保証の対象となっている借入。
- 金融機関が示した解除の条件。
- 条件を満たすための担当者。
- 解除の完了を確認する書類。
金融機関との協議や交渉の主体は、経営者本人です。必要に応じて依頼する弁護士等の専門家も担います。仲介会社から受けた説明についても、誰の同意に基づく内容なのかを確かめてください。
価格と保証は、同じ条件表の別欄で比較する
代金が高い提案でも、保証の扱いが未定なら、個人の負担を見積もりきれません。価格を下げれば保証が外れるとも限りません。金融機関の判断が関わるためです。
買い手の提案は、次の項目で比べます。
- 税金と費用を引いた受取見込額。
- 代金が実際に入る時期。
- 保証解除について確認済みの内容。
- 売却後に残る経営者の義務。
未確認の事項は、空欄にせず「未確認」と書きます。希望と合意済みの条件を混ぜないためです。引き継ぎの仕事や、売却後の追加負担についても、期間や対象を契約案で確かめます。
売却価格の見方から整理したい場合は、詳しくは自社株がいくらで売れるかを知るための価格と手取り、廃業時の連帯保証の見方をご覧ください。
返済を急ぐ前に、納税資金と生活資金を見積もる
売却代金が入ると、支えてくれた家族や取引先へ早く返したくなるかもしれません。その気持ちと、支払える金額の計算は分けてください。納税見込額を残さず使うと、後から資金不足が生じます。
個人の債務整理も検討しているなら、特定の相手への返済には法的な確認を伴います。納税用として分けたお金も、整理手続き上の扱いを自己判断しないようにします。
見積もる用途は次のとおりです。
- 株式売却に伴う納税資金。
- 契約に基づいて支払う費用。
- 個人が負担する債務への支払い。
- 当面の暮らしにかかるお金。
見積もりは、その順に支払うよう勧めるものではありません。実際の支払いは、契約や債務整理の状況を確認して決めます。家族への影響を抑えるためにも、入金前に使い道を整理しておきましょう。
当社は資料整備と条件設計で、本人の協議を支える
あさひ国際会計株式会社は、再生型M&Aの仲介を扱っています。連帯保証の解除を見据えた条件設計と、事業価値の説明資料の作成が当社の役割です。
金融機関との協議に向けて、会社の財務や譲渡条件を説明する資料を整えます。当社は資料整備などを通じた後方支援を担います。協議や法的な交渉は、経営者本人と、必要に応じて依頼する弁護士等が進めます。
これまで成約に至った案件では、いずれも連帯保証の解除まで見届けています。ただし金融機関の同意が前提です。すべての会社で同じ結果になると言い切れるほど単純ではありません。
税額の計算や申告は、税理士の担当領域です。保証解除の見込みだけで取引を進めず、税務の確認結果も売却条件に反映します。事業の継続が難しい状況では、法的整理が適切な場合もあります。
売却相談には、株式の記録と支払予定を持ち寄る
相談時点で、税額を自分で計算し終える必要はありません。株式を取得した経緯と、会社・個人の支払予定が分かれば、不足している情報を整理できます。
最初の連絡では、廃業を考えた理由を伝える
税金を調べていても、不安の中心が返済や連帯保証にあるなら、そのまま伝えてください。「税額だけを聞かなければ」と話を狭める必要はありません。売却を決める前でも相談は始められます。
最初は、分かる範囲で次の内容を共有します。
- 会社の業種と、おおよその規模。
- 廃業を考えた理由。
- 支払いに困っている内容と期日。
- 借入と連帯保証の状況。
資料がない事項は、不明と伝えて構いません。書類を探しきるまで連絡を待つより、支払期限が迫っていることを先に共有してください。
従業員や家族へまだ話していない場合も、現状として伝えます。誰に、いつ、どこまで説明するかは、事業の引き継ぎや営業継続に関わります。説明する順序を考える際も、売却の見込みと未確定の条件を分けて扱います。
税務と法務の担当には、同じ売却条件を共有する
株式売却では、価格の調整と税額の計算は異なる仕事です。保証や債務整理に関する法的判断にも担当があります。役割が違っても、前提に使う条件はそろえます。
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| 担当 | 主に扱う内容 | 確認する成果物 |
|---|---|---|
| M&A仲介 | 買い手探しと条件設計 | 譲渡条件の整理 |
| 税理士 | 税額計算と申告 | 納税見込額と時期 |
| 弁護士 | 契約と債務の法的判断 | 義務とリスクの整理 |
| 経営者本人 | 方針決定と必要な協議 | 合意内容の確認 |
担当者ごとに違う価格を伝えると、税額や手取りの説明も食い違います。価格が変わった場合は、入金条件や費用負担も含めて変更点を共有してください。
初回相談では、当社の担当範囲と専門家の確認事項を整理します。担当を選ぶ際は、株式売却の税務や再生・廃業の事情を扱うかも確認します。状況によっては法的整理が適切な場合もあるため、法的な助言と譲渡の検討を対立させないことです。
成功報酬の精算と、納税の準備は別に考える
当社への相談は無料で、着手金はありません。報酬は成功報酬のみです。成約時に譲渡代金の中から精算するため、売り手の手元からの持ち出しは0円となる費用設計です。
成功報酬まで無料という意味ではありません。精算後に振り込まれる金額から、納税などに備えます。他の専門家への依頼費用についても、当社の報酬と区別して確認してください。
契約前にそろえる情報は次のとおりです。
- 成約時に精算する報酬額。
- 別途発生する費用の有無。
- 税理士や弁護士等への依頼費用。
- 譲渡代金で費用を賄える条件。
費用が代金を上回る見込みなら、不足を残したまま進めないでください。負担方法や取引条件を確認し直します。報酬の具体額が未定の段階では、手取りも未確定です。費用の見積もりを受け取ってから、税額と合わせて残額を確かめます。
納税が難しい見込みは、契約前に共有する
納税資金が足りない見込みなら、契約前から税理士と共有します。入金時期を含めて検討するためです。売却代金を使った後で不足に気づくと、対応の選択肢が狭くなります。
国税通則法には、「納税者がその事業につき著しい損失を受けたこと」との定めがあります。その事情に基づき一時に納付できないなどの要件が、納税の猶予にはあります。会社の損失だけで、株主個人の税金にも適用されると考えないでください。
財産の換価を猶予する別の制度もあります。国税徴収法の要件には、「その事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれ」との文言があります。納税の猶予とは、対象や申請要件の確認を分けます。
申請による換価の猶予には、国税の納期限から6月以内という申請期限があります。根拠は国税徴収法151条の2で、2026年8月に条文確認済みの情報です。猶予を前提に代金を使わず、対象となる税金と適用要件を先に確かめます。
出典:e-Gov法令検索「国税通則法」「国税徴収法」(2026年8月条文確認)。いずれも、税金そのものをなくす制度ではありません。
よくある質問
自社株を売る代金が少額なら、税金はかかりませんか?
少額というだけでは、税金の有無は決まりません。個人が第三者へ売る場合は、代金から取得費と譲渡費用を差し引いた利益を確認します。自社による買い取りなら、みなし配当の検討も加わります。金額だけを見ず、誰に売る取引なのかを先に確かめてください。
会社の借入返済に使った分は、売却益から引けますか?
借入返済に使ったという理由だけで、個人の株式譲渡益から差し引けるものではありません。取得費や譲渡費用の計算と、売却後の使い道は分けて扱います。個人の代金を会社へ入れる場合も、出資か貸付けかなど、実態に沿って整理してください。
株式を売って社長を辞めれば、連帯保証も終わりますか?
株式の売却や代表者の退任だけで、保証が自動的に終わるわけではありません。金融機関の同意と、保証解除の手続きを確認します。買い手の約束と解除の完了は別です。代金の入金だけで判断せず、借入ごとの保証の扱いを書面で確かめてください。
価格や取得費が分からない段階でも相談できますか?
未確定の段階でも相談できます。株式の所有状況や取得の経緯を整理し、会社の財務や保証の状況と合わせて確認します。当社への相談は無料です。平日の営業時間内のご連絡には最短当日に対応しています。税額を固めるには具体的な条件が要りますが、資料の不足や費用負担は先に整理できます。
まとめ
株式の取得が分かる資料と直近の財務資料を手元に置き、支払期限と連帯保証の不安を書き出してください。廃業か売却かを迷う段階でも、状況によっては法的整理が適切な場合もあることを踏まえ、無料相談で税金・費用・保証の確認事項から整理を始められます。
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この記事を書いた人
あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を見据えた再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介の成約実績があります。
他社で断られた案件のご相談も承っています。ご相談は無料です。
無料相談はこちら / お急ぎの方はお電話でも承ります 03-5657-7496
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最終更新日: 2026年9月21日