目次
この記事の対象と結論
倒産しても、会社の負債がそのまま社長個人の借金になるわけではありません。ただし、連帯保証をしている債務は、会社の整理とは別に請求を受ける可能性があります。会社の負債と、社長が保証している範囲を分けて確認してください。
返済日が近づき、廃業や自己破産が頭をよぎっている。家族の暮らしまで失うのかと、不安を抱えている経営者もいるはずです。確認の出発点は、負債の総額だけではありません。借り手の名義と保証契約、担保の内容です。
法人破産でも事業の譲渡でも、個人保証の扱いを別に確かめます。資金繰りや連帯保証について相談する経営者は珍しくありません。会社を閉めると決めていなくても、支払いの見通しが立たない段階から整理を始められます。
倒産後の負債は、清算するか再建するかで扱いが変わる
倒産後の負債は、選ぶ手続きに沿って処理されます。営業停止だけでは返済義務は消えず、財産を清算する場合と、事業を続ける場合で道筋が異なります。
「倒産した日」に借金が消えるわけではない
「倒産」は、特定の手続きを指す法令上の名称ではありません。支払いが行き詰まった状態や、破産などの手続きを広く指す言葉です。そのため、倒産という言葉だけでは負債の行方を判断できません。
店を閉めても債務は残ります。営業を休止しても、借入金や未払いの請求書がなくなるわけではありません。終了していない契約があれば、賃料などの支出が続く場合もあります。
解散の登記をした場合も同様です。株式会社が任意に解散した場合は、原則として清算に進みます。一方、破産手続開始による解散では、破産手続の中で財産や債務を処理することになります。
次の状態を区別すると、残っている作業が見えます。
- 営業を止めただけの状態
- 解散して清算を進めている状態
- 裁判所の手続きが進んでいる状態
- 財産や債務の処理が終わった状態
解散と清算の関係は、会社法第471条・第475条に定められています。登記の有無と、負債の処理状況は分けて確認してください。
法人破産では会社の財産を換金して配当に充てる
法人破産では、会社の財産を調べ、換金できるものを換金します。その資金から、法律上の扱いに沿って債権者への配当などがおこなわれます。債権者とは、会社に支払いを求める権利がある相手です。
預金だけを見る手続きではありません。売掛金や在庫、設備なども調査の対象です。帳簿に載っている金額と、実際に回収・売却できる金額には差が生じる場合があります。
財産が足りなければ、債権者が全額を回収できないこともあります。通常、法人は破産手続による清算を経て消滅に至ります。ただし、その未回収分が社長へ一括して移る仕組みではありません。社長への請求は、保証など別の根拠で判断されます。
破産法第1条は「適正かつ公平な清算」を目的に掲げています。親しい取引先から順番に返す発想とは異なります。出典:破産法。
会社の資産から返す問題と、保証人に請求する問題。この区別が、倒産負債の行方を考える土台になります。
再建する場合は、計画に沿って負債の返済を続ける
事業を続けながら負債を整理する手続きもあります。そのひとつが民事再生です。再生計画に沿って返済しながら、事業の立て直しを目指します。
社長が返済額を決めるだけでは成立しません。民事再生法第1条は「その債権者の多数の同意」を得ることを示しています。裁判所の認可も条件です。出典:民事再生法。
判断の材料は、返済負担を軽くした後の収支です。借金を減らしても日々の営業で資金が減り続けるなら、事業の内容にも手を入れなければなりません。
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| 進め方 | 事業の扱い | 負債の処理 |
|---|---|---|
| 法人破産 | 原則として終了 | 財産を清算して配当 |
| 民事再生 | 継続を目指す | 再生計画に沿って返済 |
| 任意の解散・清算 | 終了する | 債務を弁済して整理 |
| 再生型M&A | 承継を目指す | 手法と合意で異なる |
再生型M&Aは、それ自体が借金を免除する法的手続きではありません。事業の引継ぎと、会社に残る負債の処理を組み合わせて検討します。どの道でも、経営者個人の保証債務を置き去りにしないことが前提です。
借入金以外の負債も、支払先と契約ごとに洗い出す
倒産時に整理する負債には、銀行借入以外の未払いも含まれます。支払先によって扱いが異なるため、借入残高だけでは資金不足や周囲への影響をつかめません。
銀行借入は残高と保証契約を並べて確認する
借入金は、金融機関ごとの残高と、保証が付いている契約を照合します。同じ銀行からの借入でも、すべて同じ保証条件とは限りません。
返済予定表は入口です。保証や担保の内容は、契約書や変更書類と合わせて確認してください。借換えや追加融資がある場合、古い保証書だけでは現在の範囲を判断しきれないことがあります。
確認項目は、次のとおりです。
- 借り手の名義と現在の残高
- 返済期日と延滞の有無
- 保証人の氏名と保証の範囲
- 担保に入っている財産
- 契約変更を示す書類の有無
保証書の写しが見つからなくても、「保証していない」と結論づけないでください。民法第446条は保証契約に書面を求め、電磁的記録も認めています。手元にないことと、契約が存在しないことは別です。
また、残高の合計だけで個人の負担額を決めないようにします。保証の対象や上限がどう定められているかを、依頼する弁護士等が確認できる形に整えてください。
買掛金や外注費は、請求書が届いていない分も拾う
仕入代金や外注費も会社の負債です。請求書が届いた分だけを合計すると、納品済みの商品や完了した作業の未請求分を落とす場合があります。
締め日前にも目を向けます。納品書と発注記録を照らし合わせれば、帳簿に反映されていない支払いが見つかることがあります。取引先の請求額と社内記録が違うときは、差額と理由を残してください。
金額に争いがある請求も、一覧から消さないでください。「支払義務を認めている額」と「内容を確認中の額」を分ければ、専門家が確認すべき箇所が伝わります。
長年付き合った相手には、先に返したいと感じるかもしれません。しかし、支払いが行き詰まった段階で一部の相手だけに返すと、後の手続きで問題になる場合があります。
支払い順を変える前に、判断を担当する弁護士へ事情を伝えます。取引先への説明でも、未確定の入金を根拠に支払日を約束しないようにしてください。記録と説明が食い違うと、その後の整理も難しくなります。
未払給与は、従業員への説明と記録の保全を進める
倒産の可能性があっても、給与の支払義務がなくなるわけではありません。従業員ごとに未払額と対象期間を確認し、実際に支払った分と区別します。
記憶だけに頼らず、次の資料を残してください。
- 賃金台帳と給与明細
- 出勤簿などの勤怠記録
- 雇用契約書と就業規則
- 退職金の規程と計算資料
一定の条件を満たす倒産では、未払賃金立替払制度が使える場合があります。賃金を受け取れないまま退職した労働者に、その一部を立て替える仕組みです。定期賃金や退職手当が対象となり、賞与は含まれません。
退職や申立ての時期などにも条件があります。「倒産すれば制度で全部払われる」と説明するのは避けてください。事業主側の要件と、従業員側の要件の両方を確かめます。
雇用を引き継ぐ案がある場合も、未払給与の扱いは別に詰めます。働く場所が残ることと、過去の未払いが精算されることは同じではありません。制度の説明は労働者健康安全機構の公式資料に掲載されています。
税金・社会保険料と契約終了費用を加える
税金や社会保険料の未納も、負債一覧に含めます。銀行借入とは扱いが異なるため、同じ返済条件になるとは考えないでください。納期限や督促状の内容まで確認します。
営業を止める際には、既存の未払いに加えて費用が生じる場合があります。賃貸借やリースなど、継続中の契約も対象です。
- 賃貸物件の解約条件
- 原状回復の範囲と見積もり
- リース物件の返却条件
- 契約終了に伴う精算金
請求済みの金額と、今後生じる見込み額は分けて記載します。契約内容が不明なら、仮の金額を確定額として扱わず「未確認」と残してください。
たとえば、営業を止めても物件を返せなければ、費用が続く場合があります。終了予定日だけで計算せず、解約通知から明渡しまでの条件を確かめると、資金不足を見つけやすくなります。
会社に課された税金と、社長個人に課された税金も別です。請求の名義を確かめずに、すべて個人負担になる、すべて整理で消える、と考えないようにしてください。
社長や家族への請求は、連帯保証と担保の内容から判断する
社長個人への請求は、肩書だけで決まるものではありません。借入や保証の契約、担保の設定、個別の責任の有無を確認します。
連帯保証人には会社の清算が終わる前でも請求があり得る
会社が主な借り手でも、社長が連帯保証人なら個人への請求が問題になります。会社の財産をすべて処分し終えるまで、請求が来ないとは考えないでください。
通常の保証には、一定の条件で先に借り手へ請求するよう求める権利があります。また、借り手の財産から先に回収するよう求められる場合もあります。連帯保証人には、これらの権利が認められていません。
民法第454条の核心は「前二条の権利を有しない」という点です。会社に資産が残っていることだけを理由に、個人への請求を退けられるわけではありません。出典:民法第452条〜第454条。
請求書や督促状が届いている場合は、宛名を見てください。会社宛てか、社長個人宛てか。対象となる借入や保証契約も照合します。
個人宛ての請求を会社の請求書に混ぜたままにすると、対応すべき期限を見落とすおそれがあります。受領した日と回答期限を記録し、契約書と一緒に確認できる形にしておきます。
法人破産と社長の自己破産は別に検討する
法人の破産と、経営者個人の自己破産は別の手続きです。会社が破産したという理由だけで、社長についても破産手続が始まるわけではありません。
まず、個人が負う債務の範囲を確かめます。そのうえで資産や収入から返済できるかを見ます。保証債務があっても、その負担額によって検討内容は変わります。
一方、返済の見込みが立たず、他の整理も難しい場合は、自己破産が適切なこともあります。会社を残せるかどうかだけで、個人の手続きまで決めないようにしてください。
個人の自己破産では、財産を清算する手続きと、免責の判断を区別します。免責は、一定の債務について支払責任を免れるための判断です。申立てだけで、請求に関する問題がすべて終わるわけではありません。
整理後の生活も検討対象です。今後の収入や家計の支出を確認し、法的な判断を依頼する弁護士に伝えます。「会社の負債が多いから自分も破産」と、金額だけで結論を出す必要はありません。
家族の責任と自宅への影響は分けて確認する
配偶者や子どもは、家族というだけで会社の借金を負うわけではありません。ただし、家族自身が保証人になっていたり、財産を担保に提供していたりすれば、扱いが変わります。
自宅は名義だけでは判断できません。住宅ローンの状況に加え、会社借入の担保になっていないかも確認します。家族が返済義務を負う問題と、自宅が担保として処分の対象になる問題は区別してください。
家計側では、次の内容を書き出します。
- 家族が署名した保証契約
- 自宅の名義と担保の設定
- 個人名義の借入残高
- 日々の生活にかかる支出
不安から自宅や預金の名義を移すと、後の手続きで問題になるおそれがあります。財産を動かす前に、目的と経緯を依頼する弁護士へ伝えてください。
家族への説明も、確認できた事実から始めます。「自宅を失うかもしれない」という不安と、担保に関する確認結果を混ぜないこと。未確認の部分を言葉にすると、次に調べる項目がはっきりします。
退任や会社の譲渡だけでは保証契約は終わらない
代表者を交代したり、保有株式を譲ったりしても、それだけで保証が外れるわけではありません。会社での地位と、債権者との保証契約は別だからです。
買い手との契約に保証解除の約束があっても、金融機関の同意に代わるものにはなりません。売買契約上の義務と、保証契約の変更を分けて確認します。
譲渡を検討する段階で、保証解除の対象となる借入を特定してください。そのうえで解除の条件や提出書類、完了の確認方法まで詰めます。口頭の説明だけで、個人の責任がなくなったと受け止めないようにします。
退任済みの経営者も同じです。現在の代表者が誰かを確認するだけでは、以前の保証契約の扱いまでは分かりません。過去の変更書類を含めて確認してください。
詳しくは廃業したら連帯保証はどうなる?残る理由と整理の道をご覧ください。
負債の整理は、返済原資と会社側の手続きを合わせて選ぶ
負債の整理方法は、使える資金と事業の収支から判断します。経営者保証の整理を検討する場合も、会社側の手続きとの関係を確認します。
資産で支払い切れるかは、換金額と終了費用まで計算する
会社の資産で負債を支払える見込みがある場合は、解散・清算を検討できます。ただし、帳簿上の資産が負債を上回っているだけでは、資金が足りるとは判断できません。
売掛金の回収時期と、設備などの売却見込額を確認します。さらに、営業終了に伴う費用を加えます。最終的に資金が残る計算でも、支払日に現金がなければ資金繰りは詰まります。
次の区分を混ぜずに計算してください。
- すでに使える現預金
- 回収時期が読める売掛金
- 売却先が未定の財産
- 支払額が確定している負債
- これから生じる清算費用
「設備を売れば足りる」という見込みは、売却先と入金時期まで確認して評価します。販売用の在庫も、帳簿価格のまま売れるとは限りません。
価格が下がった場合や回収が遅れた場合にも、支払いを続けられるかを見ます。不足が見えたら、任意の清算だけを前提にせず、手続きの選び方を再検討してください。
返済できない場合は、手続き費用も含めて資金を残す
財産や事業収益で負債を支払い切れない場合は、法人破産などを検討します。支払不能や債務超過に当たるかは、資料をもとに弁護士等が判断します。
手続きにも資金が要ります。東京地方裁判所の令和8年1月1日版では、法人の自己破産申立手数料は1,000円です。弁護士を代理人とする自己破産の管財事件では、予納金は最低20万円です。これに法人1件あたり16,264円が加わります。出典は同裁判所の費用一覧、資料確認日は2026年8月20日です。
これは裁判所に納める費用の一部です。弁護士費用などは別で、本人申立てには別の基準があります。事案によって金額が変わるため、この金額だけで総額を見積もらないでください。
費用を払えない場合も、放置によって負債が整理されるわけではありません。手元資金と回収予定を示し、費用の見積もりと準備方法を確認します。
残る預金をすべて返済に回す前に、終了までの支出を把握してください。ただし、支払いを独断で止めたり選別したりせず、手続きの判断と合わせて方針を決めます。
保証債務の整理には、会社の法的整理か準則型私的整理が要る
経営者保証に関するガイドラインを使った保証債務の整理には、会社側の手続きも要件となります。会社が法的整理または準則型私的整理を申し立てていることを、保証人側の要件と合わせて確認します。
具体的には、会社が法的債務整理手続または準則型私的整理手続を、ガイドラインの利用と同時に申し立てる場合が対象です。会社側の手続きが係属中、またはすでに終結している場合も含まれます。資産を正直に開示するだけで利用できる仕組みではありません。
すでに負っている保証債務の整理は、ガイドライン7.(1)の要件で判断します。確認事項は次のとおりです。
- 保証契約が第3項の要件を満たしている。
- 会社側の整理手続きが要件に合っている。
- 対象債権者に経済的な合理性が見込める。
- 所定の免責不許可事由が生じていない。
経済的な合理性は、破産手続による配当より多く回収できる見込みなどから判断します。保証人側では、破産法252条1項の免責不許可事由が対象です。同項10号は除かれ、対象事由が生じるおそれもないことが求められます。
これらの要件を満たしたうえで、対象債権者との合意を目指します。申出だけで保証が解除されるわけではありません。
なお、新たな融資で保証を付けないための4.(1)の要件とは別です。出典:全国銀行協会「経営者保証に関するガイドライン」。
生活費や自宅を残せる範囲も、整理の条件に含めて検討する
保証債務の整理では、生活のためにどの財産を残せるかも検討します。同ガイドラインには、生計費に相当する額や華美でない自宅等についての記載があります。
ただし、希望する自宅をそのまま残せるという意味ではありません。早期に事業再生や清算へ着手したことなどを踏まえます。そのうえで、対象債権者の回収見込額が増える範囲で検討されるものです。
担保の設定も関係します。自宅の扱いだけを先に決めず、会社と個人の財産、債務、手続きの条件を照らし合わせてください。
家計の支出も数字にします。整理後の収入から生活を続けられるかを確認しなければ、返済案に無理があるか判断しにくくなります。住居費や扶養家族の支出も、会社の経費とは分けて記録します。
状況によっては法的整理が適切な場合もあります。負債をどう処理するかと、経営者がその後どう暮らすかを、同じ段階で検討してください。
事業を譲る場合も、会社に残る負債と個人保証を確認する
再生型M&Aでは、引き継ぐ価値のある事業を買い手につなぎます。成約しても負債や保証が自動的に消えるわけではなく、譲渡の手法と合意内容によって扱いが変わります。
株式譲渡では、借入金は同じ会社に残る
株式譲渡は、会社の株主が変わる取引です。法人そのものは変わらないため、借入金などの債務は引き続きその会社に残ります。
買い手は負債を含めた会社の状況を調べます。売り手側は決算書に載った借入だけでなく、未払いや契約上の負担も示してください。後から債務が見つかれば、合意した条件に影響するおそれがあります。
社長が受け取る株式の譲渡代金と、会社の借入金も別です。株式を売った代金が、そのまま会社の返済資金になるとは限りません。
事業が続く場合でも、売却後の資金繰りを確認します。買い手が会社へ資金を入れるのか、借入条件をどう扱うのか。保証解除の条件と合わせて、取引全体で検討します。
中小企業庁の中小M&Aガイドラインも、株式譲渡では法人格に変動がないと説明しています。株主の交代と、債務・保証の処理を分けて確かめてください。
事業譲渡では、売り手の会社に残る負債まで計画する
事業譲渡では、引き継ぐ事業や財産を選んで取引します。代金を受け取るのは、通常、事業を売る会社です。その資金をどう使い、残る負債をどう整理するかまで計画します。
従業員の働く場所や顧客との取引が引き継がれても、売り手法人の整理が終わったとは限りません。事業承継後の会社に、未処理の債務が残る場合があります。
「事業譲渡なら買い手は債務を負わない」とも言い切れません。会社法第22条は、商号を引き続き使う場合の債務弁済責任を定めています。責任を負わないための登記や通知など、個別の確認が求められます。
また、債権者を害すると知りながら財産を移す取引にも、法的な問題が生じます。価格の根拠と代金の使途を説明できる状態で進めてください。安く譲って借金だけを残す発想では、整理が行き詰まるおそれがあります。
詳しくは事業再生とM&Aの違いとは?定義と比較でわかる選び方をご覧ください。
買い手の約束と、金融機関の保証解除は別の確認になる
売買契約に保証解除に向けた義務を定めても、それだけで金融機関が解除に同意したことにはなりません。買い手の資力や借入条件によっては、想定どおり進まないリスクがあります。
契約を詰める際は、次の内容を確認します。
- 保証解除の対象となる債務
- 買い手が負う義務の内容
- 金融機関の同意条件
- 解除されない場合の取り決め
- 完了を確認する書類と担当者
譲渡後にも確認項目が残ります。代表者変更などの手続きを経て、対象保証が実際にどう扱われたかを確認してください。買い手との合意書だけで、金融機関との保証関係も終わったと判断しないようにします。
解除まで期間があるなら、その間の返済がどう続くかも確認します。事業を渡した後に、元経営者だけが状況を把握できなくなる事態を避けるためです。
売却代金の受領だけを完了の目印にせず、保証に関する確認事項を予定表に残しておきます。
債務超過でも、承継後の収支に見込みがあれば検討余地がある
負債が資産を上回っていても、買い手が事業に価値を見いだす場合があります。取引関係や従業員の技能など、帳簿の数字だけでは測れない要素があるためです。
ただし、債務超過なら売れるという意味ではありません。引継ぎ後の収支や追加資金を確認し、買い手が負担できる条件かを検討します。成約までの営業資金が持つかも判断材料です。
あさひ国際会計株式会社は、事業価値の説明資料を作成し、M&Aの条件を設計します。金融機関等との協議の主体は経営者本人です。法的な交渉や手続きは、必要に応じて依頼者が委任する弁護士等が担います。
当社の役割は、経営者本人が協議に使う財務資料や事業計画を整える後方支援です。仲介業務では買い手候補との条件設計を進め、事業の引継ぎを検討します。
支払期限が迫っている場合は、M&Aの検討だけで時間を使い切らないようにします。状況によっては法的整理が適切な場合もあり、その判断と並べて進めます。
支払いが厳しいときは、負債一覧と入出金の予定を同時に作る
相談の準備では、負債の総額と直近の支払い予定を一緒に示します。資料がそろい切っていなくても、分かる範囲から始められます。
次の支払日までに使える資金を把握する
最初に見るのは、現在の預金残高と次の支払日までの入出金です。年間の損益だけでは、目の前の支払いに間に合うか判断できません。
作業は次の順序で進めます。
1. 現在の現預金残高を確認する。
2. 入金予定日と回収見込みを記す。
3. 支払日と金額を並べる。
4. 資金が不足する日を特定する。
入金予定は、確定しているものと未確定のものに分けてください。売却先が決まっていない設備代金を、今ある現金と同じように扱わないことです。
すでに支払期限を過ぎている場合は、その請求を相談時に先に伝えます。督促への回答期限なども記録してください。連絡が来た順に支払いを約束すると、全体の資金計画と食い違う場合があります。
追加借入や個人資金の投入も、その後の見通しまで確認します。一時的に払えても、次の支払日には不足する計画なら、資金の投入だけでは問題が残ります。
会社と個人の資料を分けて用意する
会社の負債を調べる資料と、社長個人の責任を調べる資料は分けます。どちらに不明点があるかが伝われば、確認する順序を決めやすくなります。
会社側で用意したい資料は、次のとおりです。
- 直近の決算書と試算表
- 借入残高と返済予定が分かる資料
- 売掛金と未払金の一覧
- 資産と継続中の契約の一覧
個人側では、保証契約を中心に整理してください。
- 保証契約書と変更に関する書類
- 個人名義の借入に関する資料
- 自宅などの名義と担保の資料
- 家計の収入と生活費のメモ
見つからない書類は、その旨を伝えれば構いません。資料探しを終えるまで相談を待つと、支払期限に間に合わなくなる場合があります。
残高に自信がないときは、確認した日も添えてください。決算時の残高と現在の残高を区別できれば、古い数字をもとに判断する行き違いを減らせます。
財産を動かす前に、支払いと説明の方針をそろえる
財産の移転や一部の相手への返済は、後から経緯や妥当性を問われる場合があります。会社や家族を守りたい気持ちからであっても、独断で進めないようにしてください。
判断に迷う行為は、実行前に内容を記録します。目的と対象財産、相手方、予定金額が分かるようにし、手続きの判断を担う弁護士に伝えます。
従業員や取引先への説明もそろえます。担当者ごとに違う支払予定を伝えると、混乱につながります。決まっている事実と未確定の事項を分け、見通しが変わった場合の説明担当も決めておきます。
帳簿や契約書は捨てずに残してください。支払いに関するメールや取引先とのやり取りも、負債の内容を確かめる資料になります。
整理を進める間も、日々の入出金は続く場合があります。相談時点の一覧をそのまま使い続けず、支払った分や新たに判明した未払いを更新すると、判断のずれを抑えられます。
相談では希望と資金の期限を一緒に伝える
相談時には「何を残したいか」と「いつ資金が不足するか」を一緒に伝えてください。雇用を残す希望と、自宅への影響を調べる希望では、確認すべき資料が異なります。
最初の説明は、次の内容から始められます。
- いちばん近い支払日
- 現在の資金不足の見込み
- 借入と連帯保証のおおよその範囲
- 残したい事業や雇用
- 家族の暮らしについての心配
依頼先の役割も確認します。法的判断や債権者との交渉は弁護士等、税務の確認は税理士、M&Aの仲介や条件設計はその担当者が担います。誰が何を確認し、どの費用がかかるかを明らかにしてください。
あさひ国際会計株式会社の相談は無料で、着手金はありません。仲介報酬は成約時に譲渡代金の中から精算するため、売り手の手元からの持ち出しは0円です。成功報酬まで無料という意味ではありません。
法的手続きなどを別途依頼する費用は、仲介報酬と区別します。詳しくは自己破産しないで会社をたたむ方法をご覧ください。
よくある質問
会社が倒産したら、残った負債は社長が全額払うのですか?
会社の負債が、そのまま社長個人に移るわけではありません。ただし、連帯保証をした債務などは個人への請求が問題になります。会社の残高だけで判断せず、保証契約ごとに対象範囲を確認してください。保証以外の責任が問われる事情がある場合も、個別に確認します。
営業を止めて休眠状態にすれば、借金の返済も止められますか?
営業を止めても、契約上の返済義務が自動的になくなるわけではありません。返済条件を変えるには、債権者との合意などが求められます。賃料などの費用が続く場合もあるため、休止中の支出も含めて資金を確認してください。事業を動かさないことと、負債を整理することは別です。
会社の財産を売れば、連帯保証も外れますか?
財産を売っただけで連帯保証が外れるわけではありません。代金で対象債務を返済できるか、未返済分が残るかで確認内容が変わります。担保付きの財産では、売却条件や代金の使途も確認対象です。売却前に、返済後の債務と保証がどう扱われるかを整理してください。
借金の総額を把握できていなくても相談できますか?
分かる範囲の資料から相談を始められます。借入残高や保証の範囲が不明でも、そのことを伝えて構いません。最初は直近の支払日と現在の預金残高を示してください。総額の確認と並行して、差し迫った支払いへの対応を検討できます。
まとめ
借入残高が分かる資料と保証契約書を手元に置き、次の支払日までの不足額を書き出してください。会社を閉めるか譲るかが決まっていなくても、その資料から負債と暮らしの整理を始められます。
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この記事を書いた人
あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を見据えた再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介の成約実績があります。
他社で断られた案件のご相談も承っています。ご相談は無料です。
無料相談はこちら / お急ぎの方はお電話でも承ります 03-5657-7496
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最終更新日: 2026年9月30日