用語集 > 株式譲渡

株式譲渡とは、会社の所有者である株主が、持っている株式を他者に売ることです(会社法127条)。会社そのものは変わらないため、借入などの債務も会社にそのまま残ります。経営者の連帯保証も、株式を譲るだけでは自動的には外れません。

条文・原文の核心

『株主は、その有する株式を譲渡することができる』会社法127条(原文)

仕組み

株式譲渡では、売り手の株主が買い手に株式を渡し、会社の経営権が買い手に移ります。会社の法人格はそのままなので、借入などの債務、取引先との契約、従業員の雇用契約は、原則としてそのまま会社に残ります。中小企業庁の「中小M&Aガイドライン(第3版)」は、手続が比較的シンプルな一方、簿外債務や偶発債務のリスクが比較的高くなりやすく、より詳細なデューデリジェンス(買い手による調査)が行われる傾向にある、と説明しています。

条件と注意点

  • 譲渡制限株式は会社の承認が要る。株式の譲渡に会社の承認が必要と定款で定めた株式(譲渡制限株式)の株主は、会社に承認するかどうかの決定を請求できます(会社法136条)。会社が承認の決定をするには、原則として株主総会(取締役会設置会社では取締役会)の決議が必要です(139条1項)。定款で別の定めをすることもできます。
  • 債務は会社に残る。株式を譲っても、会社の借入が消えたり、買い手に移ったりするわけではありません。買い手が会社の債務ごと引き継ぎます。
  • 連帯保証は自動では外れない。経営者保証の解除や引継ぎは、最終契約で取り決める項目です。最終的な判断は金融機関が行い、正式な解除・移行はクロージング後に代表者が登記上で変更されてからになります。
  • 契約に、代表者の変更や株主の変更があったときの条項(取引先や家主の同意が必要になる定めなど)がないかを確かめます。

中小企業の社長にとっての意味

許認可や取引先との契約を会社ごと引き継げるため、事業を止めずに交代できる方法です。他方で、会社の債務と簿外のリスクも買い手に引き継がれるので、赤字・債務超過の会社では買い手が慎重になります。事業譲渡と比べて、どちらで進めるかを決めます。

よくある質問

株式譲渡で会社を売ると、連帯保証は外れますか

自動では外れません。経営者保証の扱いは最終契約で取り決め、解除するかどうかは最終的に金融機関が判断します。正式な解除や移行は、クロージングで代表者が変わったあとになります。

株式を売るのに、会社の承認は必要ですか

株式に譲渡制限が付いている場合は必要です。会社法136条により、株主は承認するかどうかの決定を会社に請求します。株式に譲渡制限がなければ、原則として自由に譲渡できます(127条)。

関連する用語

  • 事業譲渡:事業譲渡とは、会社が事業の全部または一部を、資産・契約・従業員などを個別に移す形で他社に譲ることです。
  • 債務超過:債務超過とは、会社の財産をすべて使っても、負債を完済できない状態のことです。
  • 経営者保証ガイドライン:経営者保証ガイドラインとは、中小企業の借入で経営者個人の保証に頼らない融資のあり方と、すでに負っている保証債務を整理するときの準則を示した指針です。

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出典

この用語集は一般的な制度の説明です。個別の会社への当てはめは、弁護士など専門家にご相談ください。条文は e-Gov 法令検索の原文で確認しています(2026年10月23日時点)。法令や制度は改正されることがあります。

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