目次
この記事の対象と結論
廃業しても、借入金や社長の連帯保証が自動的に消えるわけではありません。返済が苦しく会社を閉めたいときは、会社の債務と個人の保証を分けて整理します。
「営業をやめたら、残りは自分で払うしかない」。そう感じていても、借入契約や資産の状況によって検討できる道は異なります。会社の財産で返す道も、債務を整理する道も、事業を譲る道もあります。
借入が残っていることだけで、社長の自己破産まで決まるものではありません。 ただし、営業停止を先に進めると、返済原資や引継ぎ先を失うおそれがあります。
まず手元資金と次の支払日を確認してください。廃業や連帯保証について相談する経営者は珍しくありません。資料がそろわなくても、状況を言葉にするところから始められます。
廃業しても借入金が残る理由と、返す人の違い
営業をやめることと借入契約の終了は別
店を閉めたり、受注を止めたりしても、それだけで借入契約は終わりません。廃業は事業をやめるという判断です。残ったお金をどう返すかは、別に決める必要があります。
株式会社が株主総会の決議で解散した場合、その後に清算を進めます。会社の財産や債務を調べ、売掛金の回収や債務の弁済などをおこなう段階です。解散登記をした時点で、借入金の処理まで済むわけではありません。
会社法第471条は解散の事由を、第475条は清算が必要となる場合を定めています。破産手続開始による解散では、その後の処理は破産手続の中で進みます。任意に解散する場合とは流れが異なります。
「廃業届を出せば終わる」と考えると、返済や契約の処理を取り残しかねません。営業を止める日と、債務の処理を終える日。それぞれに必要な準備を確認してください。
法人の借入と社長個人の借入を分ける
借入一覧を作るときは、借りた人の名義から確かめます。会社名義の借入と、社長が個人で借りて会社に入れた資金は、同じ扱いにはできません。
会社名義なら、返済義務を負うのは会社です。社長個人にどのような責任があるかは、保証契約などで確認します。代表者であることと、連帯保証人であることは別の話です。
一方、個人名義で借りた資金は、会社の運転資金に使っていても本人が借主です。法人の廃業だけで処理できると考えないでください。
→ 横にスクロールできます
| 借入の形 | 主な返済義務者 | 確認する書類 |
|---|---|---|
| 会社名義の借入 | 会社 | 借入契約書 |
| 社長が連帯保証 | 会社と保証人 | 保証契約書 |
| 社長個人の借入 | 社長本人 | 個人の借入契約書 |
| 個人事業の借入 | 事業主本人 | 借入契約書 |
この記事は主に法人の経営者を対象としています。個人事業では、法人と個人を分ける前提が異なります。相談時には、法人か個人事業かも伝えてください。
連帯保証では会社の財産処分より先に請求されることもある
「会社の財産を全部売ってから、社長への請求になる」。連帯保証では、そう待ってもらえるとは限りません。
通常の保証には、一定の条件で会社への催告や財産への執行を先に求める権利があります。しかし、民法第454条は連帯保証人にこれらの権利を認めていません。会社からの回収が終わるまで安心、とは考えにくいのです。
請求の時期や範囲は、契約と債務の状況によります。廃業を考えただけで個人への全額請求が決まる、という説明も正確ではありません。
確認の出発点は保証書です。手元に写しがないことと、保証契約が存在しないことは違います。民法第446条は書面による契約を求めていますが、電磁的記録も書面とみなされます。
詳しくは廃業したら連帯保証はどうなる?残る理由と整理の道をご覧ください。
出典:民法第446条・第452条〜第454条(e-Gov法令検索)
無料お役立ち資料
『会社が倒産したら、自己破産するしかないのか?』
社長・家族・自宅・連帯保証はどうなるのか。会社の倒産と社長個人の破産を分けて整理し、事業を譲る道まで。赤字・債務超過の会社のM&Aを専門に扱い、M&A仲介で年間60件以上の成約実績がある会計事務所がまとめました。
借入金を返せるかは、換金後に残るお金で判断する

決算書の資産合計をそのまま返済原資にしない
決算書の資産合計が借入残高を上回っていても、完済できるとは限りません。回収や売却によって、実際にいくら入るかを調べます。
売掛金には、支払日が先のものもあります。取引先との間で金額が確定していない請求もあるかもしれません。入金済みのお金と、これから入る予定のお金は分けてください。
設備も同様です。帳簿に残る価格と、買い手がつける価格には差が生じます。運搬費や撤去費がかかる場合もあり、売却額だけでは手取りがわかりません。
確認する項目は次のとおりです。
- 売掛金ごとの入金予定日
- 回収が難しそうな請求の有無
- 在庫や設備の売却見込み額
- 売却や撤去にかかる費用
- 担保が設定された資産の範囲
見積りが出ていない資産は、未確定として扱います。希望額を返済原資に置くと、廃業を進めた後に不足が見つかるおそれがあります。担保付きの資産も、売却代金を自由に使える前提には置けません。
借入以外の支払いと廃業費用を差し引く
借入金だけを完済できても、会社を閉めるお金が足りないことがあります。営業停止までの支出と、止めた後の支出も計算に入れてください。
確認したいのは、次の費目です。
- 従業員への給与や未払賃金
- 仕入先や外注先への未払い
- 税金や社会保険料の未納分
- 賃貸物件の明渡しにかかる費用
- 契約終了に伴う支払い
- 登記や専門家への依頼費用
契約終了の費用は、解約日によって変わる場合があります。閉めたい日だけ先に決めると、予定外の支払いが発生しかねません。契約書と請求見込みを照合します。
返済に使えるお金は、必要な支出を差し引いた後の額です。ただし、これは資金計画上の整理です。実際の支払順序は、債務の性質や手続きに応じた確認が必要になります。
入金と支払日のずれも見逃せません。設備の売却代金が入る前に給与日が来れば、合計額が足りても資金不足になります。日付を並べた資金繰り表で、途中の残高まで確かめてください。
完済できる場合と、残債務が出る場合を分ける
資産と支出の見込みがそろったら、残る借入金の扱いを検討します。現在の残高だけを見るより、不足額と不足する日を把握するほうが判断につながります。
→ 横にスクロールできます
| 資金の状態 | 検討する方向 | 確認する条件 |
|---|---|---|
| 費用込みで完済可能 | 解散・清算 | 換金額と支払時期 |
| 完済は難しく原資あり | 返済条件の協議 | 債権者の合意 |
| 返済原資が不足 | 債務整理の検討 | 会社と個人の資産 |
| 引き継げる事業がある | M&Aとの比較 | 買い手と保証の扱い |
返済原資があっても、廃業後に従来の分割返済を続けられるかは別問題です。契約の内容と債権者の判断を確認する必要があります。
返せない額が見えた段階で、登記だけを先に進めないでください。 債務超過の疑いや支払不能があるなら、法的な手続きも検討対象です。解散すれば不足額の問題が軽くなる、という関係ではありません。
事業を譲る案も、買い手が見つかるかだけでは決められません。成約まで営業を続ける資金と、譲渡後に残る債務の処理を合わせて考えます。
廃業後に借入金を返せないときの整理の道
分割返済を続けたいなら、廃業後の原資を説明する
事業をやめても返済を続けたい場合は、何を原資に払うか具体化します。売掛金の回収で返すのか、資産売却の入金を待つのか。根拠のある計画が必要です。
返済条件を変える協議は、経営者本人と金融機関などが進めます。法的な交渉や債務整理が必要な場合は、依頼する弁護士等の専門家が担います。
説明のために、次の内容を整えてください。
- 廃業を検討している理由
- 今後の入金と支払いの見込み
- 売却を予定する資産の内容
- 希望する返済条件とその根拠
- 保証人や担保への影響
返済額を下げても、入金の見込みがなければ問題は残ります。猶予を得るだけで終わらせず、その間に何を完了させるかまで考えます。
相談しただけでは、返済日や契約は変わりません。合意した内容と、まだ決まっていない内容を分けて記録してください。口頭の感触をもとに支払いを止めたり、資金計画を書き換えたりしないようにします。
会社の破産と社長の自己破産は別の手続き
会社の財産や今後の入金で債務を処理できない場合、破産などの法的整理を検討します。期限の来た債務を一般的・継続的に払えない状態を、支払不能と呼びます。
破産法第15条は、支払不能の場合に裁判所が申立てによって開始を決定すると定めています。営業停止の届出とは異なる手続きです。
法人が破産しても、社長の保証問題まで同じ手続きで終わるわけではありません。保証債務の額と個人の資産を確認し、本人について別に検討します。保証以外の個人借入があれば、それも判断材料です。
自己破産は、生活を立て直すための選択肢でもあります。破産法第1条には、公平な清算とともに、経済生活の再生の機会を確保する目的が示されています。
事業の譲渡だけにこだわると、対応が遅れるおそれもあります。状況によっては法的整理(破産・清算)が適切な場合もあります。
ガイドラインの利用には会社の債務整理の申立てが必要
個人の破産を避けながら、保証債務の整理を目指す枠組みもあります。「経営者保証に関するガイドライン」です。借入が残る経営者なら誰でも利用できる、という内容ではありません。
保証債務の整理を申し出るには、第7項(1)の要件をすべて満たす必要があります。保証を求めない融資について定めた第4項(1)とは、確認する要件が異なります。
主たる債務者である会社が、法的整理または準則型私的整理を申し立てていることが要件です。 ガイドラインの利用と同時に申し立てる場合も含みます。すでにその手続きが係属している場合や、終結している場合も対象となり得ます。
会社が廃業を考えているだけでは、この要件を満たしません。金融機関に返済延期を相談しているだけの状態とも区別します。
対象となる会社の手続きには、次の例があります。
- 破産や特別清算などの法的整理
- 民事再生や会社更生の申立て
- 中小企業活性化協議会の再生支援スキーム
- 事業再生ADRや特定調停等
加えて、以下の要件も確認します。
- 保証契約が第3項の要件を満たすこと
- 債権者にも経済的な合理性があること
- 所定の免責不許可事由等がないこと
債権者側の合理性としては、破産より多く回収できる見込みなどが挙げられます。会社と保証人の資産・債務を合わせて検討するため、両方の資料が必要です。
免責不許可事由は、破産法第252条第1項第10号を除く事由が対象です。その事由が生じておらず、生じるおそれもないことが求められます。該当性は、依頼する弁護士等が個別に確認します。
出典:全国銀行協会「経営者保証に関するガイドライン」第7項(1)
自宅を残せるかは、早期着手と回収見込みにもよる
連帯保証があると、自宅のことが頭から離れない方もいます。保証債務を整理するときに残せる財産は、借入残高だけで決まるものではありません。
ガイドラインには、早期に事業再生や事業清算へ着手した場合の扱いがあります。一定期間の生計費に相当する額や、華美でない自宅等を残すことを検討する内容です。
ただし条件があります。対象債権者の回収見込額の増加額の範囲内での検討です。自宅を残せると約束する制度ではなく、担保の設定状況なども確認が必要になります。
個人の預貯金を会社へ追加投入する前に、廃業後の生活費も書き出してください。住宅費や家族の支出を把握すると、会社へ入れようとしている金額の意味が見えてきます。
詳しくは自己破産しないで会社をたたむ方法をご覧ください。
借入金が多くても、引き継げる事業が残っている場合がある
買い手は借入残高と事業の中身を合わせて見る
継続する取引や、従業員が積み重ねた経験。設備を売るだけでは評価されにくいものも、事業を引き継ぐ相手には価値となる場合があります。
買い手が確かめるのは、引継ぎ後に事業が成り立つかです。赤字の会社でも、受注や費用の構造を調べると、改善を検討できることがあります。借入金の額だけでは判断がつきません。
確認したい材料は、次のようなものです。
- 継続している取引と受注の見込み
- 引継ぎ後も働く意思のある従業員
- 事業に必要な設備や拠点
- 許認可や契約の承継条件
- 経営者が退いた後の運営体制
当社が支援して成約した案件には、売上1億円前後の会社があります。債務超過5,000万円規模、借入8,000万円規模という状態でした。
同じ財務状態なら売れる、という意味ではありません。借入残高だけで検討を打ち切らず、事業の中身を調べる余地があるという実例です。資金が続く期間も含めて判断します。
株式譲渡と事業譲渡では借入金の扱いが異なる
株主が株式を売る形を、株式譲渡と呼びます。会社は同じ法人として続くため、借入金などの債務も基本的にその会社に残ります。
事業や対象財産を選んで譲る形が、事業譲渡です。引き継ぐ範囲を設計できますが、元の会社に残る借入金の処理も必要になります。
→ 横にスクロールできます
| 比較する内容 | 株式譲渡 | 事業譲渡 |
|---|---|---|
| 譲る対象 | 株式 | 選んだ事業や財産 |
| 元の会社 | 同じ法人が続く | 原則として残る |
| 借入金 | 会社に残る | 承継条件等を確認 |
| 個人保証 | 別に扱いを確認 | 別に扱いを確認 |
事業譲渡なら買い手が債務を負わない、と単純には説明できません。会社法第22条には、商号を続けて使う場合の責任に関する規定があります。
債権者を害すると知って事業を譲った場合にも、責任を問われることがあります。借入だけを残して財産を移す案を、自己判断で進めないでください。譲渡価格の妥当性と、残る債権者への影響を確かめます。
出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン」、会社法第22条・第23条の2(e-Gov法令検索)
保証解除の約束と金融機関の同意を分けて確認する
買い手が「保証は引き受けます」と話しても、その言葉だけで元の社長の保証は外れません。売り手と買い手の契約、金融機関との保証契約を分けて確認します。
中小M&Aガイドライン第3版では、保証の扱いを最終契約の主要項目としています。解除や引継ぎの義務に加え、実施されなかった場合の契約解除や補償等も検討対象です。
それでも、解除や移行は最終的に金融機関等の判断によります。M&Aが成約した後も、保証の解除まで完了確認が必要です。
契約を確かめる際は、以下を区別します。
- 対象となる借入と保証契約
- 買い手が負う義務の内容
- 金融機関の同意を確認する段取り
- 解除されない場合の契約上の扱い
- 解除完了を確認する書面
当社の役割は後方支援です。借入資料や事業価値の説明資料を整え、M&Aの条件設計を通じて経営者本人の協議を支えます。債権者との交渉主体は本人と、必要に応じて依頼する弁護士等です。
買い手を待てる期間は支払予定から決める
譲渡の可能性があっても、成約までの資金が不足すれば実行は難しくなります。返事を待つ間にも、給与や仕入れの支払日は来ます。
資金繰り表に照らして、検討の区切りを設けてください。希望価格で売れるまで待つという考え方では、先に運転資金が尽きるおそれがあります。
人の退職や主要契約の終了によって、引き継げる内容が変わることもあります。資金残高に加え、事業の状態をいつまで保てるかも確認します。
当社には、相談から最短5日でクロージングした実績があります。ただし、すべての案件に当てはまる日程ではありません。資料の状況や買い手の確認、金融機関の判断などに左右されます。
検討が進まない場合は、法的整理を含む別案も見直します。詳しくは廃業とM&Aの比較|メリット・デメリットと判断基準を解説をご覧ください。
廃業や債務整理の費用は借入返済と別に見積もる
完済できる会社にも解散・清算の費用がかかる
借入金を全額返せる会社でも、解散・清算の手続き費用がかかります。株式会社の登記に関する登録免許税は、次の額です。
| 登記の内容 | 登録免許税 |
|---|---|
| 解散の登記 | 3万円 |
| 清算人等の登記 | 9千円 |
| 清算結了の登記 | 2千円 |
合計は4万1千円です。官報公告の実費や、依頼する司法書士等への報酬は含みません。この額が廃業費用の総額ではありません。
税務申告など、閉める際の事務も残ります。依頼する業務の範囲を決め、見積りを確認してください。残った資金をすべて借入返済に使う計画では、手続きの途中で不足するおそれがあります。
また、会社法第499条では、清算株式会社の債権申出期間を2か月以上としています。解散登記が済んだ日に清算まで終わる、という流れではありません。期間中に発生する支出も予算に入れます。
出典:登録免許税法別表第一第24号、会社法第499条(e-Gov法令検索)
法人破産は裁判所への費用と弁護士費用を分ける
法人破産では、裁判所へ納める分に加え、弁護士費用が必要です。弁護士報酬には全国一律の基準がなく、依頼内容や事案によって異なります。
東京地方裁判所の令和8年1月1日版の一覧には、次の基準があります。下表は、弁護士を代理人とする法人の自己破産申立てについての整理です。
| 費用の区分 | 基準額 |
|---|---|
| 申立手数料 | 1,000円 |
| 管財事件の予納金 | 最低20万円 |
| 法人1件あたりの加算 | 16,264円 |
| 予納郵券 | 4,950円 |
予納金は、最低20万円に法人1件あたり16,264円が加わる形です。加算額は中目黒庁舎で現金納付する場合、17,000円となります。
本人申立てや債権者申立てには、負債総額に応じた別の基準があります。大型合議事件の予納郵券は6,000円です。下限の数字を、どの会社にも当てはまる総額として扱わないでください。
裁判所の資料には、金額は事案に応じて変更される旨も記されています。社長個人の自己破産も検討するなら、その費用を含む見積りか確認が必要です。
払える資金が少ないときは、必要な時期まで確認する
費用を払えそうにないときも、債務や手続きが消えるわけではありません。使える現金と回収予定を整理し、何の費用をいつ用意する必要があるか確認します。
総額だけでは判断できません。契約時と申立て時の支払いが分かれているかなど、支払時期も確認してください。用意できない見込みがある場合は、その段階で伝え、進め方を検討します。
当社のM&A仲介は、相談無料・着手金なしの成功報酬のみです。報酬を成約時に譲渡代金の中から精算するため、売り手の手元からの持ち出しは0円です。成功報酬そのものが無料という意味ではありません。
会社の運転資金や未払金、別途依頼する法的手続きの費用は分けて考えます。譲渡代金の受取人も、株式譲渡か事業譲渡かで異なります。会社と個人、それぞれの入出金を確認します。
成約条件が整わなければ、この精算方法だけで問題は解消しません。費用の心配も、初回相談でお伝えください。
相談の準備は借入一覧と直近の支払予定から始める

借入先ごとに保証と担保の欄を作る
借入金の総額だけでは、誰にどの責任があるか判断できません。借入先ごとに契約の内容を並べます。残高は概算からでも構いません。
- 借入先と現在の残高
- 次の返済日と返済額
- 借主の名義
- 保証人の氏名と保証の範囲
- 担保に入っている財産
- 延滞や条件変更の有無
複数の保証契約を、ひとまとめにしないでください。特定の借入を保証しているのか、一定範囲の債務をまとめて保証しているのかも確かめます。
後者のような保証を根保証と呼びます。民法第465条の2は、個人の根保証について極度額の定めを求めています。ただし、写しの一部だけを見て有効・無効を決めないようにしてください。
請求書や督促状が届いていれば、封筒も含めて保管します。通知の内容と期限が、対応を考える材料になります。見つからない契約書は「未確認」と記し、資料不足のために相談全体を止めないようにします。
財産の名義変更や一部だけの返済を急がない
家族から借りたお金だけは返したい。自宅を家族名義にすれば守れるかもしれない。そう考えて財産を動かしたくなることもあるかもしれません。
債務を払えない状況での財産移転や返済は、後の手続きで問題になる場合があります。名義を変えれば安心、という判断は避けてください。
相談時には、すでにおこなった資金移動も伝えます。会社から個人への送金や資産売却について、日付と目的がわかる記録を残してください。後から情報が出てくると、資金計画や手続きの検討をやり直すことになります。
家族が保証人なら、その人の契約も別に確認します。社長の保証を整理すれば、家族の保証も同じ扱いになるとは限りません。
設備の処分にも順序があります。売却で現金が入っても、受注をこなせなくなるおそれがあるためです。返済への効果と事業への影響を、処分前に比べてください。
従業員への支払いと説明を資金計画に入れる
借入返済が気になるときも、従業員への給与を資金繰り表から外せません。未払いの有無と、次の給与日に必要な額を確認します。
労働基準法第24条は、賃金を毎月1回以上、一定の期日に払うことを定めています。廃業の検討だけで、支払義務がなくなるものではありません。
退職者への支払いにも期限の規定があります。同法第23条は、権利者から請求があった場合に、7日以内の支払い等を求めています。争いがある場合も、異議のない部分については同じ期限です。
事業を止めるか引き継ぐかによって、雇用への影響は変わります。未確定の雇用継続を約束することも、説明を先送りし続けることも避けたいところです。
決まった内容と未確定の内容を分けて、説明の準備を進めます。取引先への納品や家族の生活も含め、いつまでに何を決めるか整理してください。具体的な説明時期は、依頼する専門家と確認します。
初回相談で会社の出口と個人保証の担当を確認する
会社を譲る話だけが進み、個人の保証が未確認のまま残る状態は避けたいものです。相談時には、誰がどこを担当するか確かめてください。
依頼を受けた弁護士等は、法的な判断や債務整理を担います。M&A仲介では、引継ぎ先の探索や譲渡条件の設計を扱います。登記や税務を含め、必要な作業の担当範囲を整理します。
初回相談では、次の点を聞いてください。
- 会社の残債務をいつ確認するか
- 個人保証の整理を誰が担当するか
- 法的整理が必要な場合の進め方
- 成約しない場合の費用負担
- 譲渡後の保証をどう確認するか
あさひ国際会計株式会社は、再生型M&Aの仲介を専門としています。年間60件以上のM&A仲介の成約実績があります。
これまで成約に至った案件では、いずれも連帯保証の解除まで見届けています。ただし金融機関の同意が前提です。すべての会社で同じ結果になると言い切れるほど単純ではありません。
ご連絡の際は、借入残高と手元資金、最も近い支払日をお伝えください。平日の営業時間内のご連絡には、最短当日に対応します。
よくある質問
借入金が残っていると廃業できませんか?
借入が残っているだけで、事業をやめる判断ができないわけではありません。ただし、営業を止めても債務の処理は残ります。資産の換金で返せるかを調べ、不足する場合は債務整理を含めて検討します。返せない借入を残したまま、登記だけで終えようとしないでください。
廃業後もこれまでどおり分割返済を続けられますか?
借入契約と債権者の判断によります。従来の返済日程をそのまま使えるとは限りません。廃業後の返済原資と入金時期を説明できる状態にし、条件変更を希望する場合は協議が必要です。合意した内容を確認してから、資金計画へ反映してください。
社長を辞めたり会社を売ったりすれば連帯保証は外れますか?
退任や会社の譲渡だけで、保証契約が自動的に終わるわけではありません。金融機関等の同意と、解除の確認が必要です。買い手との契約で保証の扱いを定めることと、金融機関との保証契約が解除されることを分けて確認します。成約後の確認方法も決めておきます。
決算書や保証契約書がそろっていなくても相談できますか?
当社への初回相談は、資料がそろう前でも承っています。借入残高の概算と手元資金、次の支払日が出発点になります。督促や請求が届いている場合は、その内容も伝えてください。足りない書類は、必要な順番を確認しながら集められます。
まとめ
借入先ごとの残高・保証・担保と、次の支払日を手元の資料から書き出してください。返済や保証の扱いに迷う場合は、その一覧をもとに、あさひ国際会計株式会社の無料相談で事業譲渡を含む出口の検討を始められます。
あわせて読みたい
- 破産開始決定とは、裁判所の決定で変わる会社の財産と社長の連帯保証の扱い
- 廃業と倒産の違いから考える、借入がある会社の終わらせ方と社長の連帯保証
- 株式会社廃業の現実と選択肢|閉じる費用、借入の返済、社長の連帯保証まで
- 廃業と倒産の違いは「借金が消えるか」では決まらない|会社と社長の出口を整理
- 廃業手続きの出発点は返済の見通し、会社と社長の暮らしを整理する実務ガイド
この記事を書いた人
あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を見据えた再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介の成約実績があります。
他社で断られた案件のご相談も承っています。ご相談は無料です。
無料相談はこちら / お急ぎの方はお電話でも承ります 03-5657-7496
—FIGURES—
[
{“type”:”cards”,”title”:”借入が残る会社の選択”,”subtitle”:”返済原資と事業の状態で検討”,”after”:”## 借入金を返せるかは、換金後に残るお金で判断する”,
“items”:[[“1″,”完済して閉める”,”資産の換金額から廃業費用まで払えるか確認”],[“2″,”債務を整理する”,”会社の借入と個人の保証を分けて検討”],[“3″,”事業を引き継ぐ”,”譲渡後の残債務と保証の扱いまで確認”]]},
{“type”:”steps”,”title”:”相談へ進む準備”,”subtitle”:”資料がそろう前でも相談可能”,”after”:”## 相談の準備は借入一覧と直近の支払予定から始める”,
“items”:[“借入先ごとに残高・保証・担保を整理”,”手元資金と直近の入金・支払日を確認”,”無料相談で会社と個人の状況を伝える”]}
]
—END FIGURES—
最終更新日: 2026年9月20日
▶ 関連資料:『会社が倒産したら、自己破産するしかないのか?』(全20ページ・無料)をダウンロードいただけます。
▶ あわせて読まれています:『相談してから、事業が引き継がれるまで』(全14ページ)(無料)