目次
会社をたたんだら、借金は自分に残るのか
「会社をたたんだら、借金は自分に降りかかってくるのだろうか」。資金繰りが苦しくなってくると、夜中にふとこの不安がよぎる経営者の方は少なくありません。
先に結論をお伝えします。会社(法人)が負った借金は、原則として法人のものです。会社をたたんでも、経営者個人が自動的に背負うわけではありません。ただし、多くの中小企業融資では経営者が連帯保証人になっているのが実情です。連帯保証をしている場合は、法人の債務が個人に残る可能性があります。つまり結論は「保証の有無」で変わります。まずはご自身の状況がどちらに当てはまるかを、一緒に整理していきましょう。
まず確認すべきこと

不安を減らす一番の近道は、現状を正確に把握することです。以下の3点を確認してみてください。
1. 借入の契約書(金銭消費貸借契約書) どの借入にご自身の署名・押印があるかを確認します。
2. 保証の有無 契約書に「連帯保証人」として経営者個人の名前が入っているかどうかです。代表者印だけでなく、個人の実印・住所が記載されていれば連帯保証と考えられます。
3. 保証の範囲 保証が全額に及ぶのか、一部限定なのかも確認しておきたいポイントです。
信用保証協会付きの融資の場合、金融機関だけでなく信用保証協会も関与します。協会が金融機関に代位弁済(肩代わり)した後、協会から保証人に請求が来る、という流れになるのが一般的です。保証協会付きだからといって経営者の保証責任がなくなるわけではない点には注意が必要です。
無料お役立ち資料
『自己破産しないで、会社をたたむ・譲る方法』
会社のたたみ方5つの比較、事業だけを譲るという考え方、費用と「間に合う時期」を1冊に。赤字・債務超過のM&Aを年間60件以上手がける会計事務所がまとめました。
保証している場合に残るもの・残らないものの整理

廃業後にどうなるかは、債務の種類によって扱いが変わります。一般的な考え方を整理すると次のようになります。
→ 横にスクロールできます
| 債務の種類 | 保証の状況 | 廃業後に個人に残るか(一般論) |
|---|---|---|
| 法人の借入(連帯保証なし) | 保証なし | 原則、個人には残らないとされています |
| 法人の借入(連帯保証あり) | 経営者が連帯保証人 | 保証している範囲で残る可能性があります |
| 信用保証協会付き融資 | 経営者が連帯保証人 | 代位弁済後、協会から請求される可能性があります |
| リース債務 | 連帯保証・個人契約が多い | 契約内容次第で残る可能性があります |
| 買掛金(仕入先への未払い) | 通常は法人の債務 | 原則、法人の債務として処理されます |
| 税金・社会保険料の滞納 | 保証の概念になじまない | 免除されないのが一般的です |
表からも分かる通り、鍵になるのは「連帯保証をしているかどうか」です。逆に言えば、保証をしていない借入や買掛金については、法人が消滅すればそれで完結するのが原則です。個人に無関係な債務まで抱え込んでいると思い込み、必要以上に恐れている経営者の方も少なくありません。
残った保証債務を整理する方法
連帯保証債務が残ってしまう場合でも、選択肢は自己破産だけではありません。「経営者保証に関するガイドライン」という、金融機関団体などが策定した準則が存在します。全国銀行協会のガイドラインページにも、廃業時の考え方を示した資料が用意されています。
このガイドラインに基づく整理は、自己破産と比べて次のような違いがあるとされています。
- 一定の生計費や、自宅など生活に必要な資産を残せる可能性がある
- 保証人が個人信用情報(いわゆるブラックリスト)に登録されない運用が想定されている
- 誠実に事業を清算したことなどが要件になる
金融庁も経営者保証に依存しない融資慣行に関する施策のページで、廃業時のガイドライン活用を後押しする方針を示しています。
ただし、このガイドラインは「知っていること」と「実務として使えること」が別物である点が悩ましいところです。金融機関が最終的に見ているのは、返済計画の見通しと、その裏付けとなる財産・収支の数字です。ここには財務の整理とM&Aの実務知識の両方が必要になり、対応できる専門家が限られる分野だとも言われています。弁護士に相談したところ自己破産を勧められた、あるいは他のM&A仲介会社に相談したが断られた、という状態からご相談いただくケースも数多くあります。破産手続きを主に扱う専門家と、事業を残す前提の再生を扱う専門家では得意分野が異なります。状況によっては法的整理(破産・清算)が適切な場合もあります。
たたむ前にできること
借金が気になって「たたむ」ことばかり考えてしまいがちですが、その前に一度立ち止まって確認したいことがあります。それは、事業そのものに値段がつくかどうかです。
赤字が続いていても、取引先との関係、従業員の技術、許認可、設備などに価値が残っているケースは珍しくありません。事業を第三者に譲渡する再生型M&Aという選択肢が使えれば、廃業よりも保証解除につながりやすい場合があります。全国信用保証協会連合会の事業承継に関するページでも、経営者保証が不要な事業承継向けの保証制度が紹介されています。
また、各都道府県に設置されている中小企業活性化協議会という公的機関に相談する方法もあります。中小機構の中小企業活性化協議会のページにあるとおり、事業再生や廃業・再チャレンジの相談を秘密厳守で受け付けています。
自己破産以外の選択肢について詳しくは、自己破産しないで会社をたたむ方法の記事もあわせてご覧ください。運送業など特定の業種特有の事情については、運送業の廃業と連帯保証でも触れています。
会社をたたむとき、会社の資産はどうなるのか
会社をたたむ際の資産は、経営者が自由に持ち帰れるものではありません。現預金、売掛金、在庫、機械、車両、不動産、敷金、保険の解約返戻金、知的財産などは、原則として法人に帰属する資産です。廃業を決めた後は、これらを洗い出して換価可能性を確認し、債務の支払いに充てる流れを検討します。帳簿に載っていても買い手が見つかりにくい資産がある一方、帳簿上の金額が小さくても、許認可、顧客基盤、技術、従業員の組織などが事業として評価される場合もあります。
最初に会社資産と個人資産を分ける
焦って資産を処分する前に、会社名義と個人名義を区別することが重要です。会社名義の預金や車両を個人の生活費に回したり、相場を確認せず関係者へ譲ったりすると、後の清算や説明が複雑になる可能性があります。反対に、経営者個人が会社へ貸し付けた資金や、個人所有の不動産を会社へ賃貸しているケースでは、法人と個人の権利関係を契約書や通帳から整理する必要があります。
まずは直近の決算書、試算表、固定資産台帳、預金通帳、売掛金・買掛金の一覧、借入契約書、リース契約書、不動産や車両の資料をそろえます。資産ごとに「名義」「帳簿価額」「換価の見込み」「担保設定」「事業継続に必要か」を一覧にすると、処分と事業譲渡のどちらを検討すべきか見えやすくなります。
資産を売る順番で選択肢が変わることがある
機械や車両を先に売却すると、一時的な資金は得られても、事業を続けるための基盤を失い、事業譲渡の可能性が狭まることがあります。数ヶ月の検討期間があるなら、個別資産として換価する場合と、従業員・取引関係・設備を含む事業として譲渡する場合を比較する余地があります。赤字や債務超過でも、事業の一部に価値が見いだされる可能性はあります。
売却代金をどの債務へ充てるかについても、経営者だけで判断できるほど単純ではありません。担保、税金・社会保険料、従業員への支払い、借入、買掛金などの状況により、確認すべき事項が異なります。債権者や金融機関との協議は経営者本人が行い、必要に応じて弁護士等の専門家へ依頼します。あさひ国際会計株式会社は、資産・負債資料の整備、選択肢の条件設計、説明資料の作成を通じて、ご本人の協議を支える立場です。破産手続きを主に扱う専門家と、事業を残す前提の再生を扱う専門家では得意分野が異なり、状況によっては法的整理(破産・清算)が適切な場合もあります。
資産の処分を始める前に、会社全体の資産と負債、連帯保証、担保、資金繰りを同じ表で確認しておくと、廃業、清算、事業譲渡の比較がしやすくなります。
よくある質問
税金の滞納は会社をたたんだら消えますか?
免除されないのが一般的です。税金や社会保険料は連帯保証という概念とは別の枠組みで扱われ、法人が消滅しても滞納そのものが自動的になくなるわけではないとされています。分納の相談など、早めに担当窓口へ相談することが望ましいです。
連帯保証をしていると、自宅は取られますか?
自己破産の場合は原則として処分の対象になりますが、経営者保証ガイドラインに基づく整理では、一定の生計費とあわせて自宅を残せる可能性があるとされています。どちらの結果になるかはケースによって異なるため、早い段階で専門家に相談することが大切です。
保証していなければ本当に無関係ですか?
原則として、連帯保証をしていない法人の借入について、経営者個人が返済義務を負うことはないと考えられています。ただし、契約書に見落としていた保証条項が含まれている場合もあるため、思い込みで判断せず、契約書自体を確認しておくことをおすすめします。
誰に相談すればいいですか?
まずは現状の借入と保証の状況を、無料で秘密厳守の相談先に整理してもらうことをおすすめします。あさひ国際会計株式会社では、赤字・債務超過企業の再生型M&Aと連帯保証解除の支援を専門に行っており、年間60件以上のM&A仲介を行っています。弁護士から自己破産を勧められた方、他のM&A仲介会社で断られた方からのご相談も歓迎しています。破産手続きを主に扱う専門家と、事業を残す前提の再生を扱う専門家では得意分野が異なります。状況によっては法的整理(破産・清算)が適切な場合もあります。
会社をたたむ前に資産を売ってもよいですか?
売却自体を検討できる場合はありますが、名義、担保、売却価格、代金の使途を確認せずに進めると、清算や債権者への説明が複雑になる可能性があります。事業譲渡の余地が狭まることもあるため、資産と負債を一覧にしたうえで処分時期を検討することが望ましいです。
まとめ
会社をたたんだときに借金が個人に残るかどうかは、連帯保証をしているかどうかで結論が変わります。保証をしていない借入や買掛金は、原則として法人の清算で完結します。一方、連帯保証をしている借入やリース債務は、経営者保証ガイドラインなどを活用した整理を検討する余地があります。たたむ前に、事業に値段がつかないか確認することも、選択肢を広げる一歩になります。
一人で抱え込まず、まずは現状を整理するところから始めてみませんか。あさひ国際会計株式会社では、経営者保証ガイドラインに基づく解除・整理を、弁護士など専門家と連携しながら支援しています。ご相談は無料、秘密は厳守します。お電話は03-5657-7496(平日9:00〜19:00)、またはお問い合わせフォーム(https://asahi-int.com/contact/)からお気軽にご連絡ください。
次に読む
取り得る選択肢を比べたい方は、次にこちらをご覧ください。
→ 自己破産しないで会社をたたむ方法|借金・連帯保証が残る社長の「第三の選択肢」
あわせて読みたい
あさひ国際会計株式会社は、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録された支援機関です(登録支援機関による支援は、事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)の補助対象とされています)。
この記事を書いた人
あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を伴う再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介に携わっています。
NHKスペシャル・週刊ダイヤモンドなどメディア掲載多数。
他社で断られた案件のご相談も承っています。ご相談は無料です。
無料相談はこちら / お急ぎの方はお電話でも承ります 03-5657-7496
最終更新日: 2026年8月17日
▶ 関連資料:『自己破産しないで、会社をたたむ・譲る方法』(全14ページ・無料)をダウンロードいただけます。