目次
この記事の対象と結論
会社をたたむ費用がいくら必要なのか、不安を感じている経営者に向けた記事です。借入の連帯保証があり、廃業後の生活まで心配している方も対象です。
費用は、会社の債務をすべて支払えるかどうかで大きく変わります。完済できるなら、解散・清算にともなう登記や公告、専門家への報酬が中心です。支払えない場合は、法人破産など裁判所が関与する手続きも検討対象になります。
ただし、手元資金が少ないからといって、会社を放置するのは危険です。事業に価値が残っていれば、M&Aで雇用や取引を引き継ぎ、譲渡代金から費用を精算できる可能性もあります。
「会社を消す費用」だけを見るのではなく、借入、連帯保証、税金、従業員への支払いまで含めて出口を設計する必要があります。
会社をたたむ費用は終わり方によって変わる
解散と清算は同じ手続きではない
日常会話では、廃業、解散、清算、破産が同じ意味で使われがちです。しかし、法律上の位置づけは異なります。
解散は、会社が通常の営業活動を終える入口です。株式会社は、株主総会の決議によって解散できます。会社法471条に定められた解散事由の一つです。
株主総会による解散には特別決議が必要です。議決権を行使できる株主の過半数が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成を要します。根拠は会社法309条2項11号です。
解散した会社は、会社法475条にもとづいて清算に入ります。清算では、資産の換金、債権の回収、債務の支払いなどを進めます。その後、残余財産を株主へ分配し、清算結了の登記をおこなう流れです。
つまり、解散の登記をしただけでは会社は消滅しません。清算を終えるための費用と実務が続きます。
債務を完済できるかが大きな分岐になる
会社をたたむ費用を考える最初の分岐は、すべての債務を支払えるかどうかです。
債務には、金融機関からの借入だけでなく、次のような項目があります。
- 買掛金や外注費
- 従業員の給与や退職金
- 税金や社会保険料
- リース料や違約金
- 原状回復費や撤去費
- 解散後に発生する専門家報酬
資産を売却し、売掛金を回収しても債務が残るなら、通常清算だけでは終えにくくなります。清算株式会社に債務超過の疑いがある場合、清算人には特別清算の申立義務が生じることがあります。会社法511条2項が根拠です。
また、支払不能であれば、破産手続も検討対象です。破産法2条11項の支払不能とは、弁済期にある債務を一般的かつ継続的に弁済できない状態を指します。
帳簿上の債務超過だけで結論を出すのではありません。手元資金と今後の入出金を確認し、どの支払いがいつ止まるかを見る必要があります。
費用は法定費用と実務費用に分ける
会社をたたむ費用は、大きく二つに分けると整理しやすくなります。
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| 費用区分 | 主な内容 | 金額の性質 |
|---|---|---|
| 法定費用 | 登録免許税 | 法令で定まる |
| 裁判所費用 | 印紙・予納金 | 手続きで変動 |
| 専門家報酬 | 弁護士・司法書士等 | 個別見積り |
| 事業整理費 | 撤去・解約・精算 | 会社ごとに異なる |
法定費用だけを足しても、必要額の全体は分かりません。店舗や工場があれば、明渡しや設備処分の費用が発生します。従業員がいれば、給与や退職にともなう支払いも確認が必要です。
反対に、換金できる在庫や設備、回収可能な売掛金があれば、費用の原資になります。数字は支出だけでなく、回収できる資産と並べて考えるべきです。
会社を放置しても費用問題は消えない
営業を止めたまま登記や申告を放置しても、会社を正式にたたんだことにはなりません。契約や債務も、そのまま残る可能性があります。
最後に登記をした日から12年を経過した株式会社には、会社法472条のみなし解散制度があります。ただし、これは正式な清算を済ませる制度ではありません。債務や資産の整理を省略できる仕組みでもないのです。
代表者が連帯保証人であれば、会社を休眠させても保証契約が消えるわけではありません。詳しくは廃業したら連帯保証はどうなる?残る理由と整理の道をご覧ください。
資金が減ってから動くほど、選べる手段が狭くなります。営業を止める日より先に、出口までに必要な資金を見積もることが大切です。
解散・清算で会社をたたむ場合の費用
登録免許税は合計4万1千円
株式会社を株主総会の決議で解散し、通常清算を終える場合、登記ごとに登録免許税がかかります。
登録免許税法別表第一第24号では、次の金額が定められています。
| 登記の種類 | 登録免許税 |
|---|---|
| 解散の登記 | 3万円 |
| 清算人の登記 | 9千円 |
| 清算結了の登記 | 2千円 |
| 合計 | 4万1千円 |
解散の登記は、解散の日から2週間以内におこないます。清算人の登記も、原則として解散の日から2週間以内です。清算結了の登記は、決算報告が株主総会で承認された日から2週間以内となります。
この4万1千円は登録免許税だけです。官報公告の実費や、司法書士等へ依頼する場合の報酬は含まれません。
債権者への公告と催告にも費用がかかる
清算株式会社は、解散後遅滞なく債権者へ申出を求める公告をしなければなりません。判明している債権者には、個別の催告も必要です。
債権申出期間は、2か月を下回ることができません。会社法499条1項に定めがあります。
官報公告の実費は、登録免許税とは別に発生します。法定額ではなく、官報販売所の料金体系や掲載内容によって扱いが変わります。そのため、登記費用だけで清算できると考えるのは早計です。
清算中には、郵送、証明書取得、振込などの実費も生じます。金額が小さく見えても、複数の手続きを通じて積み上がります。
税務申告と専門家報酬は会社ごとに異なる
解散後も、税務申告や会計処理が終わるわけではありません。資産を売却すれば、売却損益の計算が必要です。債権放棄や役員借入金がある場合も、会計・税務上の確認事項が増えます。
専門家報酬には全国一律の基準がありません。会社の資産、債権者数、帳簿の状態、申告の難易度などにより、各事務所が料金を決めます。
見積りを取る際は、次の範囲が含まれるか確認してください。
1. 解散・清算人の登記
2. 官報公告の手配
3. 解散後の税務申告
4. 資産と債務の整理
5. 清算結了の登記
安く見える見積りでも、申告や公告が別料金の場合があります。総額だけでなく、作業範囲を並べて比べることが欠かせません。
撤去・解約・従業員対応が大きな支出になりうる
実際の廃業では、法定費用より事業整理費のほうが重くなる場合があります。
店舗や工場では、原状回復や設備撤去が必要になることがあります。リース契約やフランチャイズ契約には、中途解約にともなう支払いが定められていることもあるでしょう。
従業員がいる会社では、最終給与や退職金の確認も要ります。賃金は、通貨で直接、全額を支払うのが原則です。毎月1回以上、一定の期日に支払うことも労働基準法24条に定められています。
退職した従業員から請求があった場合、賃金などは7日以内に支払うのが原則です。争いがある場合も、異議のない部分は対象になります。根拠は労働基準法23条です。
このため、先に撤去費を払って給与原資が不足するような順番は避ける必要があります。資金の配分は、弁護士や税理士等と相談しながら慎重に決めます。
法人破産で会社をたたむ場合の費用
裁判所へ納める費用の基準
債務を支払えない会社では、法人破産が検討対象になります。東京地方裁判所の令和8年1月1日版資料では、法人の自己破産に関する費用が示されています。
申立手数料は1,000円です。自己破産申立ての予納郵券は4,950円で、大型合議事件は6,000円とされています。
管財事件のうち自己破産申立事件では、予納金基準額は最低20万円です。これに法人1件あたり16,264円が加わります。中目黒庁舎で現金納付する場合は17,000円です。
| 裁判所費用 | 金額 |
|---|---|
| 申立手数料 | 1,000円 |
| 予納郵券 | 4,950円 |
| 予納金 | 最低20万円 |
| 法人加算額 | 16,264円 |
金額は事案に応じて変更されることがあります。また、債権者破産申立事件や本人申立事件には、負債総額に応じた別の基準があります。
弁護士費用は裁判所費用とは別に必要
上記は、裁判所へ納める費用です。申立てを依頼する弁護士への報酬は含まれていません。
弁護士費用には全国一律の報酬基準がなく、各事務所が料金体系を決めています。債権者数、従業員数、資産処分の難しさ、帳簿の状態などが見積りに影響します。
法人破産と代表者個人の自己破産を同時に検討する場合は、それぞれの費用を確認します。会社と個人は別の法的主体だからです。
相談時には、次の金額を分けて提示してもらうと把握しやすくなります。
- 法人の申立てにかかる報酬
- 代表者個人の手続きにかかる報酬
- 裁判所へ納める費用
- 実費や追加報酬の条件
着手時に必要な金額も確認してください。総額を払えるとしても、支払時期が合わなければ申立て準備に影響します。
会社の資金を無計画に動かさない
破産が頭をよぎると、「払える相手から払いたい」と考える経営者は少なくありません。しかし、特定の債権者だけへ支払うことが問題になる場合があります。
親族や知人からの借入を先に返すことも、慎重な判断が必要です。会社資産を安く売却したり、個人名義へ移したりする行為にも法的な検討が要ります。
この段階では、次の対応を急がないでください。
- 一部の債権者だけへ返済する
- 会社資産を親族へ移す
- 在庫や設備を廉価で売る
- 帳簿や契約書を処分する
- 個人資金と会社資金を混ぜる
状況によっては法的整理が適切な場合もあります。破産手続きを主に扱う専門家と、事業を残す前提の再生を扱う専門家では、得意分野が異なります。どちらか一方の見方だけで決めず、残せる事業価値があるかも確認したいところです。
個人の連帯保証は法人破産と別に残る
会社が破産しても、代表者の連帯保証が自動的に消えるわけではありません。
民法446条では、保証人は主たる債務者が履行しないときに責任を負うと定めています。連帯保証人には、民法452条の催告の抗弁と、453条の検索の抗弁がありません。民法454条が根拠です。
そのため、会社が支払えなくなれば、代表者へ請求が及ぶ可能性があります。会社の破産費用だけを用意しても、個人保証への対応が残るのです。
経営者保証に関するガイドラインには、一定の要件を満たす保証人が保証債務の整理を申し出る枠組みがあります。ただし、利用には複数の要件があります。
主たる債務者の法的債務整理や準則型私的整理の状況、債権者にとっての経済合理性などが検討されます。単に会社が廃業したという事情だけで利用結果が決まる制度ではありません。
会社をたたむ費用を払えない場合の考え方
支払予定を日付順に並べる
費用を払えない可能性があるときは、まず資金繰りを日付で確認します。決算書だけでは、いつ資金が尽きるか分かりません。
最低限、次の資料を集めてください。
1. 預金口座の残高
2. 今後の入金予定
3. 給与と外注費の支払日
4. 借入の返済予定
5. 税金と社会保険料
6. 保証契約書の写し
保証契約は、保証の対象、極度額、保証人を原本や写しで確認します。「昔の借入だから保証は終わっているだろう」という推測では判断できません。
個人根保証では、極度額を定めなければ効力を生じないと民法465条の2に定められています。ただし、契約の有効性は個別の内容によるため、弁護士等へ確認するのが安全です。
税金と社会保険料にも猶予の制度がある
税金を一時に納められない場合、事情によっては納税の猶予が検討対象になります。
国税通則法46条2項では、事業の廃止や休止、著しい損失などがあり、一時に納付できないと認められる場合を定めています。納税者の申請にもとづき、納付できない金額を限度として1年以内の猶予が認められる可能性があります。
換価の猶予は別の制度です。国税徴収法151条の2では、納期限から6か月以内の申請などが要件になります。事業の継続や生活の維持が困難になるおそれと、納税への誠実な意思も考慮されます。
社会保険料を滞納すると、督促を経て国税滞納処分の例による処分が可能になります。厚生年金保険法86条の定めです。
猶予があるから放置してよいわけではありません。申請期限や必要書類があるため、納付が難しいと分かった段階で整理を始めます。
未払賃金には立替払制度がある
倒産によって従業員の賃金を払えない場合、未払賃金立替払制度が利用できることがあります。対象は一定の要件を満たす労働者です。
立替払額は、未払賃金総額の8割です。年齢ごとに上限があります。
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| 退職時の年齢 | 賃金の上限 | 立替払の上限 |
|---|---|---|
| 45歳以上 | 370万円 | 296万円 |
| 30歳以上45歳未満 | 220万円 | 176万円 |
| 30歳未満 | 110万円 | 88万円 |
対象となるのは、定期賃金と退職手当です。賞与、解雇予告手当、延滞利息などは対象外です。未払賃金総額が2万円未満の場合も対象になりません。
退職時期や請求期限にも条件があります。制度があることを理由に、給与支払いを後回しにするものではありません。従業員への説明と手続きは、弁護士や労務の専門家と確認しながら進めます。
費用が足りなくなる前に相談する
破産費用も用意できなくなると、会社を正式に整理することが難しくなります。経営者個人の生活費まで失えば、冷静な判断もしにくくなるでしょう。
一方、会社に次の資産があれば、資金を確保できる可能性があります。
- 回収可能な売掛金
- 売却できる設備や車両
- 換金できる在庫
- 返還される敷金や保証金
- 買い手が評価する事業価値
ただし、処分方法や代金の使い方は自由に決められるとは限りません。法的整理の可能性がある場合は、売却前に弁護士へ確認する必要があります。
費用を工面するために高金利の借入を増やすと、問題が深くなることもあります。「あと少し借りれば続けられる」という見込みではなく、入金と支払いを日付で検証してください。
廃業だけでなくM&Aも費用比較に入れる

会社に値段がつくかは純資産だけで決まらない
債務超過だから売れないとは限りません。買い手は、貸借対照表だけでなく、事業を引き継ぐ価値も見ます。
評価される可能性がある要素には、次のようなものがあります。
- 継続的な取引先
- 許認可や営業基盤
- 経験のある従業員
- 車両や設備
- 仕入先との関係
- 地域での信用
当社が支援して成約した案件では、財務概要が残る9件のおよそ3分の2が債務超過でした。債務超過額は、3,000万円から6,000万円規模が中心です。
たとえば、運送業で売上1億円台、債務超過3,000万円規模、従業員10名前後の会社も対象になっています。
ただし、同じ財務状況でも買い手の評価は異なります。詳しくは債務超過の会社を買ってくれる会社の探し方をご覧ください。
廃業とM&Aでは資金の流れが異なる
廃業では、会社の資金から撤去費、解約費、専門家報酬などを支出します。資産を処分した代金も、債務の弁済へ充てることになります。
M&Aでは、買い手が事業や株式に価値を認めれば、譲渡代金が発生します。会社をたたむために支出するだけでなく、事業価値を資金化する視点が加わります。
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| 比較項目 | 解散・清算 | 法人破産 | M&A |
|---|---|---|---|
| 前提 | 債務を完済 | 支払い困難 | 買い手が必要 |
| 主な費用 | 登記・公告 | 裁判所・弁護士 | 成功報酬 |
| 事業 | 終了 | 原則終了 | 引継ぎを検討 |
| 雇用 | 終了を検討 | 終了を検討 | 継続の余地 |
あさひ国際会計株式会社の報酬は、相談無料、着手金なしの成功報酬のみです。成約時に譲渡代金の中から精算するため、売り手の手元からの持ち出しは0円です。
これは成功報酬が無料という意味ではありません。譲渡代金から精算することで、事前の資金負担を抑える仕組みです。
廃業との違いは、廃業とM&Aの比較|メリット・デメリットと判断基準を解説でも整理しています。
株式譲渡と事業譲渡で債務の扱いが異なる
株式譲渡では、会社の法人格は変わりません。借入などの債務も会社に残ります。買い手は簿外債務や偶発債務を確認するため、詳細なデュー・ディリジェンスをおこなう傾向があります。
事業譲渡では、承継する資産や契約を選べます。ただし、許認可の取得や契約の移転など、個別の手続きが必要です。
「事業譲渡なら債務は移らない」と単純化することもできません。譲受会社が譲渡会社の商号を使い続ける場合、会社法22条により債務を弁済する責任を負うことがあります。
また、残存債権者を害することを知って事業を譲渡した場合、会社法23条の2が問題になります。譲受会社へ、承継財産の価額を限度とする請求が認められる場合があるためです。
手法は節税や手続きの簡単さだけで決めず、債務、契約、許認可、保証を一体で設計します。
M&Aでも連帯保証は自動解除されない
M&Aが成立しても、金融機関と経営者の保証契約が自動的に消えるわけではありません。
中小M&Aガイドライン第3版では、経営者保証の解除または引継ぎを最終契約で取り決める主要項目としています。しかし、正式な解除や移行は金融機関等の判断によります。
M&A支援機関協会は、自主規制ルールを改正しました。2025年1月1日施行の広告・営業規程では、最終契約書の草案作成時に、経営者保証の解除を譲受け事業者へ義務付ける条文案を盛り込むことを定めています。
ただし、売り手と買い手の契約だけで金融機関を拘束することはできません。買い手の信用力や取引条件も確認されます。
当社では、金融機関との協議に必要な資料の整備、事業価値の説明資料の作成、M&Aの条件設計を通じて、経営者ご本人の協議を支えます。法的な対応が必要な場合は、経営者が依頼する弁護士等が担います。
これまで成約に至った案件では、いずれも連帯保証の解除まで見届けています。ただし金融機関の同意が前提です。すべての会社で同じ結果になると言い切れるほど単純ではありません。
会社をたたむ費用を見積もる実務の順番

最初に会社と個人の資産を分ける
最初に、会社の財産と経営者個人の財産を分けます。預金口座、保険、車両、不動産などについて、名義と実際の支払者を確認してください。
役員貸付金や役員借入金がある場合は、残高と発生経緯を調べます。会社と個人の資金移動が多いと、清算や破産の際に説明が必要になることがあります。
経営者保証に関するガイドラインでも、保証を求めない融資に向けた経営状況として、法人と経営者の関係の明確な区分・分離を挙げています。
この項目は、保証債務を整理するための要件とは別です。制度の異なる部分を混同しないよう注意が要ります。
次に資産を処分価格で見直す
決算書に載っている金額と、実際に売却できる金額は異なります。設備、車両、在庫、売掛金などを、現実的な回収額で見直します。
次の三つに分けると整理しやすくなります。
1. 短期間で現金化できる資産
2. 売却に時間がかかる資産
3. 回収が難しい資産
売掛金は額面どおりに回収できるとは限りません。在庫も、通常販売できる場合と、廃業処分する場合では価格が変わります。
一方、決算書に表れにくい顧客基盤や従業員の技能は、M&Aでは評価対象になることがあります。清算価値と事業価値を分けて見ることが必要です。
支払いを期限と優先度で整理する
債務一覧には、金額だけでなく支払日を入れます。いつ資金不足になるかを見えるようにするためです。
| 支払項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 給与 | 支払日・未払額 |
| 借入 | 返済日・保証 |
| 税金 | 納期限・滞納 |
| 社会保険 | 納期限・督促 |
| 取引債務 | 支払日・契約 |
| 撤去費 | 見積り・期限 |
優先順位を経営者だけで決めると、後の手続きへ影響することがあります。資金が足りない場合は、弁護士等へ全体を開示したうえで対応を決めます。
資金繰り表を作る目的は、会社を延命することだけではありません。従業員や取引先への影響を把握し、説明の順番を整える目的もあります。
複数の出口を同じ数字で比べる
通常清算、法人破産、M&Aを比較するときは、同じ基準日と同じ数字を使います。資料ごとに前提が違えば、正しい比較ができません。
比較する項目は次のとおりです。
- 手続き開始時に必要な現金
- 将来回収できる資産
- 専門家報酬と法定費用
- 従業員への支払い
- 連帯保証の残額
- 経営者の生活資金
M&Aを検討する場合も、買い手が見つからない場合の案を残します。反対に、破産を検討していても、事業価値が残るなら譲渡可能性を確認する余地があります。
状況によっては法的整理が適切な場合もあります。会社を残すことだけを目的にせず、経営者、家族、従業員、取引先への影響を含めて判断します。
よくある質問
会社をたたむ費用は最低いくらですか?
債務を完済できる株式会社の通常清算では、解散、清算人、清算結了の登録免許税が合計4万1千円です。ただし、官報公告、税務申告、司法書士等への報酬、撤去や解約の費用は別です。4万1千円だけで会社をたためるとは限りません。
法人破産の費用を払えない場合はどうなりますか?
申立ての準備が進められず、会社や債務が放置されるおそれがあります。まず、預金、売掛金、在庫、設備などから費用原資を確認します。資産の処分方法が後の手続きへ影響する場合があるため、売却や返済の前に弁護士へ相談してください。
廃業すれば銀行借入の連帯保証もなくなりますか?
廃業や解散だけでは、代表者の連帯保証はなくなりません。会社が返済できなければ、連帯保証人へ請求が及ぶ可能性があります。保証契約書を確認し、会社の出口と個人保証への対応を一緒に検討する必要があります。
債務超過でもM&Aを検討できますか?
債務超過でも、取引先、許認可、従業員、設備などに事業価値があれば、買い手がつく可能性があります。当社が支援して成約した案件にも債務超過企業が含まれます。ただし、買い手の判断や金融機関の同意が関係するため、成約や保証解除を一律に見込めるものではありません。
まとめ
会社をたたむ費用は、登記費用だけでは判断できません。債務を完済できる通常清算なのか、支払不能による法人破産なのかによって、必要な手続きと金額が変わります。
株式会社の通常清算では、登録免許税は合計4万1千円です。これに官報公告、税務申告、専門家報酬、撤去や解約などの費用が加わります。
法人破産では、裁判所へ納める費用と弁護士費用を分けて見積もります。東京地方裁判所の自己破産申立事件における管財事件では、予納金基準額は最低20万円です。法人1件あたり16,264円も加わります。
費用を払えない可能性があるなら、資金が尽きる前に次の順番で整理してください。
1. 手元資金と入金予定を確認する
2. 債務と連帯保証を一覧にする
3. 資産の処分価格を見直す
4. 清算・破産・M&Aを比較する
5. 専門家へ同じ資料を開示する
会社に事業価値が残っていれば、M&Aによって雇用や取引を引き継げる可能性があります。譲渡代金を費用の原資にできる場合もあります。
あさひ国際会計株式会社では、再生型M&Aと連帯保証の解除を見据えた条件設計を扱っています。平日の営業時間内にいただいたご連絡には、最短当日に対応します。
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この記事を書いた人
あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を見据えた再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介の成約実績があります。
他社で断られた案件のご相談も承っています。ご相談は無料です。
無料相談はこちら / お急ぎの方はお電話でも承ります 03-5657-7496
最終更新日: 2026年9月7日