この記事の対象と結論

会社の借入について連帯保証人になっており、「返済や会社売却が終われば解除通知が届くのか」「金融機関から何も届かないのは、保証が残っているからなのか」と不安を抱えている経営者に向けた記事です。

結論からいえば、連帯保証は、返済・廃業・代表者変更・株式譲渡といった事実だけで自動的に外れるとは限りません。また、「解除通知」という名称の書類が常に発行されるわけでもありません。大切なのは通知を待つことではなく、保証契約、借入残高、担保、金融機関の承諾内容を整理し、連帯保証が終了したことを確認できる書面を残すことです。資金繰りが厳しい段階でも、破産や廃業だけに選択肢を絞らず、返済、借換え、事業承継、再生型M&Aなどを比較する余地があります。

連帯保証の「解除通知」とは何を指すのか

経営者が探している「連帯保証の解除通知」は、法律上の統一された書式名とは限りません。実務では、金融機関や契約内容によって、保証解除承諾書、変更契約書、保証契約終了の確認書、完済証明書など、異なる名称の書面が使われることがあります。

そのため、「解除通知という表題の郵便が届いていない」という理由だけで、保証が残っているとも、すでに終了しているとも判断できません。書類の名称より、次の内容が確認できるかが重要です。

  • 対象となる借入契約が特定されているか
  • 連帯保証人の氏名が記載されているか
  • 保証債務を解除または終了させる旨が明記されているか
  • 解除の効力が生じる日が分かるか
  • 条件付きの場合、その条件が満たされているか
  • 金融機関など債権者の承諾が確認できるか

一方、経営者本人から金融機関へ「保証契約を解除します」と通知しただけでは、相手方の承諾を得たことにはなりません。連帯保証契約は債権者との契約であるため、一方的な意思表示だけで終了すると考えるのは危険です。

また、融資を完済した場合は、元となる債務が消滅することで保証債務も通常は役割を終えます。ただし、複数の融資、当座貸越、根保証、条件変更契約などがあると、どの債務まで整理されたのか分かりにくいことがあります。完済証明だけでなく、保証の対象範囲を契約書と照合してください。

解除時に取り交わす書面の内容については、詳しくは連帯保証の解除合意書とは?経営者保証を外す条項と手続きの注意点をご覧ください。

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解除通知が届かない主な理由

通知が届かない背景は一つではありません。状況を切り分けるため、代表的なケースを整理します。

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状況 連帯保証の扱い 確認したい書類・事項
借入を完済した 元の債務が消滅していれば保証債務も通常は終了する 完済証明書、残高証明書、保証契約書
代表者を退任した 退任だけでは解除されないことがある 金融機関の承諾書、変更契約書
株式や事業を譲渡した 売却契約だけでは金融機関を拘束しない 融資契約、M&A契約、解除承諾書
会社を廃業・清算した 会社に債務が残れば保証履行を求められる可能性がある 借入残高、清算計画、担保状況
新代表者が保証人になった 旧保証人との入替えが明記されているか確認が必要 新旧保証人の変更契約書
借換えを行った 旧融資と旧保証の終了、新融資の条件を分けて確認する 旧融資の完済資料、新融資契約
口頭で解除可能と言われた 正式な承認手続きが未了の場合がある 決裁結果、承諾書、合意書

特に注意したいのが、会社売却や代表者交代です。株式譲渡契約書に「買い手が保証を引き継ぐ」「売り手の保証を解除する」と記載しても、それだけで金融機関の承諾を示すことにはなりません。M&Aの当事者間で決めた条件と、金融機関が承諾した融資条件は分けて確認する必要があります。

また、「新しい社長が保証人になるから、前の社長は外れる」とも限りません。新しい保証の追加なのか、旧保証との入替えなのかによって結果が異なります。旧保証人を解除する旨が書面に記載されているかを確認してください。

会社売却後に保証が残る構造について、詳しくは会社を売却しても連帯保証が外れない理由と解除に向けた進め方をご覧ください。

通知を待つ前に行う確認手順

保証終了を書面で残す
通知を待たず確認

不安が強いと、金融機関からの郵便を待ち続けてしまいがちです。しかし、解除の進捗や必要条件は、こちらから確認した方が整理しやすくなります。次の順番で進めてください。

1. すべての借入と保証契約を一覧にする
金融機関名、融資の種類、契約番号、借入残高、返済期限、担保、保証人を一つの表にまとめます。会社借入だけでなく、リース、信用保証協会付き融資、代表者貸付なども分けて整理します。

2. 原契約と変更契約を時系列で並べる
最初の金銭消費貸借契約だけでなく、返済条件の変更、追加融資、借換え、保証人変更に関する書類も確認します。後から締結した契約によって保証範囲が変わっている場合があります。

3. 金融機関の担当者へ書面で照会する
経営者本人から、対象融資、現在の保証状況、解除の承認状況、追加で必要な手続き、発行される書面の名称を確認します。電話だけで終えず、面談記録やメールなど、照会内容が残る方法を併用すると整理しやすくなります。

4. 解除条件を具体化する
全額返済、借換え、新保証人への変更、担保提供、買い手の信用力確認など、何が整えば解除を検討できるのかを確認します。「M&A成立後」などの曖昧な表現ではなく、実行日や必要書類まで明らかにします。

5. 解除または終了を確認できる書面を受け取る
書面の表題にこだわらず、対象債務、対象保証人、効力発生日、解除条件、債権者の意思が読み取れるかを確認します。条件付き承認であれば、条件が成就したことを示す資料も一緒に保管します。

6. 専門家に契約関係を確認してもらう
契約の法的解釈、保証債務の存否、債権者との法的な折衝が必要な場合は、弁護士への相談が適しています。財務資料の整理や事業価値の把握、M&A条件の設計は、再生やM&Aを扱う専門家に相談する方法があります。

金融機関から届いた書類に「解除」という言葉がなくても、内容から保証終了を確認できる場合があります。反対に、「保証見直し予定」「解除を検討する」と書かれているだけでは、承諾が完了していない可能性があります。表題ではなく、本文と条件を確認することがポイントです。

資金繰りが厳しいときの解除方法と選び方

資金繰りに応じて比較
解除方法の選択肢

借入を一括返済できれば関係は整理しやすくなりますが、資金繰りが厳しい会社にとって現実的とは限りません。連帯保証の解除を目指す方法には、主に次の選択肢があります。

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選択肢 仕組み 検討時の注意点
返済・借換え 既存融資を返済し、保証なしまたは条件の異なる融資へ切り替える 新規融資の審査、返済能力、担保条件を確認する
保証人の変更 後継者や買い手側への変更を金融機関に申し入れる 旧保証の解除が書面化されるか確認する
経営者保証の見直し 財務や法人・個人の分離状況を示し、保証条件の見直しを求める 決算内容、資金使途、情報開示体制の整備が必要になる
再生型M&A 事業や株式の譲渡代金、買い手の信用力、事業継続計画を用いて債務整理と保証解除を目指す M&A契約と金融機関の承諾を連動させる
法的・準則型の整理 弁護士等の関与のもとで債務と保証問題を整理する 会社と個人の資産・負債を分けて把握する

どの方法が適するかは、営業利益だけでなく、事業の将来性、資産の換価価値、借入総額、担保、後継者の有無によって変わります。赤字や債務超過でも、顧客基盤、許認可、人材、取引網などに価値があれば、事業を残す前提で買い手候補を探せる場合があります。

M&Aを利用する場合、連帯保証の解除は「売却後に考える事項」ではなく、初期段階から条件設計に組み込む必要があります。株式譲渡の実行だけが先行し、保証解除の承認が後回しになると、経営権を失った元経営者に保証だけが残るおそれがあるためです。

あさひ国際会計株式会社は、金融機関との協議に必要な財務資料の整備、事業価値の説明資料の作成、買い手候補の探索、連帯保証解除を前提としたM&A条件の設計を通じて、経営者ご本人の協議を後方から支えます。法的な折衝や代理が必要な場合は、経営者ご本人から弁護士へ依頼していただく体制を取ります。

解除方法全体を比較したい方は、詳しくは連帯保証を解除する方法とは?経営者保証を外す4つの選択肢をご覧ください。

解除通知を確認するときの注意点

書面を受け取った後も、その内容が経営者の想定と一致しているか確認が必要です。見るべきなのは、単に「保証解除」という一文があるかどうかではありません。

まず、対象債務の特定です。同じ金融機関から複数の融資を受けている場合、一件だけ解除され、別の融資に対する保証が残ることがあります。契約番号、融資実行日、当初借入額などを原契約と照合します。

次に、効力発生日を確認します。「譲渡代金の入金を条件とする」「借換えの実行を条件とする」など、停止条件が付いている場合、その条件が満たされるまでは解除の効果が生じていない可能性があります。M&Aの実行日、融資の返済日、解除日がずれていないかも見てください。

さらに、根保証や将来債務への言及も確認します。個別融資の完済資料があっても、別の保証契約が存続していれば、すべての関係が終わったとは判断できません。不明な条項がある場合は、自己判断で署名せず、弁護士等に確認するのが安全です。

書類は会社にだけ保管せず、元保証人本人も写しを保管してください。M&A後は経営権や書類管理者が変わるため、後から会社の契約書を自由に確認できなくなることがあります。原本または写し、送付状、メール、完済資料を一式として保存します。

よくある質問

連帯保証を解除すると、金融機関から通知が届きますか?

書面が発行されることはありますが、「連帯保証解除通知」という統一名称で届くとは限りません。保証解除承諾書、変更契約書、保証契約終了の確認書などの場合もあります。金融機関に、解除の成否だけでなく、発行される書面の名称と交付時期を確認してください。

会社を売却すれば元社長への解除通知は自動で届きますか?

株式や事業の売却だけで、元社長の連帯保証が自動的に解除されるとは限りません。金融機関の承諾手続きをM&Aの条件に組み込み、株式譲渡の実行前に解除条件を確認する必要があります。売却契約と解除承諾の双方を書面で確認してください。

解除通知がなくても、借入を完済していれば問題ありませんか?

元となる借入を完済すれば、その借入に付随する保証債務も通常は役割を終えます。ただし、複数融資や根保証があると、別の債務が保証対象として残る場合があります。残高がゼロであることに加え、保証契約の対象範囲を確認し、完済証明などを保管してください。

金融機関への確認は誰に相談すればよいですか?

まず経営者本人が金融機関の担当者へ現在の保証状況を照会します。法的な判断や代理による折衝が必要な場合は弁護士、財務整理やM&Aの条件設計が必要な場合は再生型M&Aを扱う専門家への相談が考えられます。専門分野に応じて役割を分けると、論点を整理しやすくなります。

まとめ

連帯保証の解除通知が届かないときは、郵便を待つだけではなく、借入と保証契約を一覧化し、金融機関に解除の承認状況と必要手続きを確認してください。「解除通知」という書類名にこだわらず、対象債務、保証人、効力発生日、解除条件、債権者の承諾が確認できる書面を残すことが大切です。

廃業や代表者交代、会社売却をしても、手続きの設計によっては連帯保証が残る可能性があります。資金繰りが苦しいときほど、返済、借換え、保証条件の見直し、再生型M&A、債務整理を早い段階で比較してください。

あさひ国際会計株式会社は、再生系M&Aを専門とし、年間60件以上のM&A仲介に携わっています。相談は無料で、報酬は成功報酬のみ、着手金はありません。海外13ヶ国の提携ネットワークも活用しながら、財務資料の整備、事業価値の可視化、買い手候補の探索、連帯保証解除を見据えたM&A条件の設計により、経営者ご本人の意思決定と協議を後方から支えます。

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進め方を具体的に知りたい方は、次にこちらをご覧ください。

連帯保証の解除合意書とは?経営者保証を外す条項と手続きの注意点

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この記事を書いた人

あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
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最終更新日: 2026年8月17日

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