目次
この記事の対象と結論
会社の資金繰りが厳しく、廃業後も借入の連帯保証が個人に残るのではないか、自己破産以外に道はないのかと不安を抱えている中小企業経営者に向けた記事です。
連帯保証の解除では、金融機関の担当者から口頭で了承を得るだけでなく、誰の、どの借入に対する保証を、いつ、どの条件で解除するのかを書面で確認する必要があります。その書面は「連帯保証解除合意書」とは限らず、変更契約書や確認書などの場合もあります。
赤字や債務超過であっても、事業に引継ぎ価値があれば、再生型M&A、借換え、返済条件の整理などを組み合わせ、連帯保証の解除を目指せる可能性があります。会社を閉じる判断を急ぐ前に、保証契約と事業価値の両方を整理することが出発点です。
連帯保証の解除合意書とは
連帯保証の解除合意書とは、会社の借入などについて経営者個人が負っている保証責任を終了させることを、債権者と保証人との間で確認する書面です。
会社の借金そのものを消す書面ではありません。主債務である会社の借入と、経営者個人の連帯保証は別の法律関係です。そのため、会社を売却した、買い手が借入を引き継いだ、代表者を交代したという事情だけで、旧経営者の保証も外れたと判断するのは避ける必要があります。
実務で使用される書面の名称と役割は、次のように異なります。
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| 書面の名称例 | 主な役割 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 連帯保証解除合意書 | 保証契約の終了を当事者間で合意する | 対象債務、解除日、解除条件 |
| 変更契約書 | 融資契約や保証条項を変更する | 旧保証人が明確に削除されているか |
| 解除確認書 | 保証が解除された事実を確認する | 解除の効力と対象範囲 |
| 承諾書・同意書 | 債権者が一定の内容を承諾する | 条件付きの承諾ではないか |
| 債務引受契約書 | 第三者が債務を引き受ける | 元の債務者や保証人が免責されるか |
書面の表題よりも、保証責任がどの範囲で終了するのかが重要です。「解除に向けて手続きを進める」「一定期間後に解除を検討する」といった記載は、すでに解除が成立したことを示すとは限りません。
また、売主と買い手が締結するM&A契約書に「買い手は売主の連帯保証を解除する」と記載しても、債権者である金融機関がその合意に当然に拘束されるわけではありません。金融機関側の承認と契約手続きを別途確認する必要があります。
詳しくは会社を売却しても連帯保証が外れない理由と解除に向けた進め方をご覧ください。
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解除合意書で確認したい7つの事項
解除合意書を受け取ったときは、「解除」という言葉の有無だけでなく、対象、時期、条件、残る負担を一つずつ確認します。
1. 合意の当事者を確認する
債権者、主債務者である会社、連帯保証人である経営者が正しく記載されているかを確認します。氏名、会社名、住所などの誤記にも注意が必要です。
2. 対象となる借入を特定する
契約日、契約番号、融資の種類などにより、どの借入の保証を解除するのかを確認します。複数口の融資がある場合、一部だけが対象になっていることもあります。
3. 解除される保証債務の範囲を確認する
元金に加え、利息、遅延損害金、費用なども含めて保証責任が終了するのかを読み取ります。「当該債務」や「一切の債務」が何を指すのか曖昧な場合は、締結前の確認が必要です。
4. 効力発生日を確認する
合意書の締結日に解除されるのか、株式譲渡、借換え、一定額の返済などが完了した日に効力が生じるのかを確認します。署名した日と解除日が同じとは限りません。
5. 解除の前提条件を確認する
買い手による借換え、新たな保証人の提供、担保設定、売却代金からの返済などが条件とされる場合があります。条件を満たしたことを、誰がどの書類で確認するのかまで整理します。
6. 個人担保や別契約の有無を確認する
連帯保証が解除されても、経営者個人の不動産に設定された担保や預金担保まで同時に外れるとは限りません。保証契約と担保契約を分けて確認してください。
7. 原契約やM&A契約との関係を確認する
元の保証契約、変更契約、株式譲渡契約などに異なる記載がある場合に、どの文書が優先されるのかを整理します。
合意書の法的な効力や文言の解釈については、弁護士へ確認を依頼する方法があります。財務状況の整理、返済原資の検討、事業価値の説明、M&A条件の設計については、会計や再生型M&Aの専門家と役割を分けると進めやすくなります。
合意書を取り交わすまでの進め方

金融機関が保証解除を判断する際は、書面の文案だけでなく、解除後も返済を継続できるか、会社の事業が維持されるか、新しい経営主体に信用力があるかといった事情も検討材料になります。
そのため、解除合意書の作成を先行させるのではなく、次の順序で準備します。
1. 借入、保証、担保を一覧化する
金銭消費貸借契約書、保証約定書、変更契約書、返済予定表などを集めます。金融機関ごとに借入の種類、残高、返済条件、保証人、担保を整理してください。
2. 会社と経営者個人の資産・負債を分ける
会社への貸付金、会社からの借入金、個人名義の不動産、会社借入のために提供した担保などを確認します。法人と個人のお金が混在している場合は、その経緯も説明できる状態にします。
3. 資金繰りと返済可能性を把握する
直近の試算表、資金繰り表、借入返済予定を用いて、資金が不足する時期を確認します。税金や社会保険料、取引先への支払いも含めて整理すると、相談先へ状況を伝えやすくなります。
4. 事業価値を可視化する
赤字の原因だけでなく、継続取引、従業員、許認可、設備、技術、顧客基盤など、買い手が評価し得る要素を整理します。帳簿上の債務超過と、事業の引継ぎ価値は同じではありません。
5. 保証を外す方法を比較する
既存借入の返済、買い手による借換え、保証人の交代、担保の見直し、事業譲渡代金の充当などを比較します。詳しくは連帯保証を解除する方法とは?経営者保証を外す4つの選択肢をご覧ください。
6. 経営者本人が金融機関と協議する
必要に応じて弁護士へ依頼し、解除の条件や必要書類を確認します。会計・M&Aの専門家は、経営者本人や弁護士が説明に使用する財務資料、事業計画、譲渡条件などを整備します。
7. M&Aと保証解除の実行順序を設計する
株式譲渡だけが先に完了し、旧経営者の保証が残る状態を避けるため、保証解除、借換え、譲渡代金の支払いをどの順番で実行するか検討します。
8. 解除を示す書面を受領して保管する
対象債務、効力発生日、条件達成の有無を確認し、締結済みの書面を保管します。金融機関が複数ある場合は、それぞれについて手続きが必要です。
資金繰りが切迫してからでは、資料整備や買い手探索に使える時間が限られます。返済の遅れが発生する前でも、今後の資金不足が見えている段階で相談する選択肢があります。
再生型M&Aと連帯保証解除を連動させる方法

赤字や債務超過の会社であっても、事業を引き継ぐ買い手が見つかれば、事業継続と連帯保証の整理を同時に検討できる場合があります。これが再生型M&Aの一つの考え方です。
代表的な選択肢を比較すると、次のようになります。
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| 選択肢 | 会社・事業の扱い | 連帯保証への対応 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 株式譲渡 | 会社を買い手へ引き継ぐ | 保証解除や保証人交代を個別に合意する | 株式の移転だけでは保証が残る場合がある |
| 事業譲渡 | 事業の一部または全部を移す | 譲渡代金による返済などを検討する | 借入は原則として元の会社に残る |
| 借換え | 新たな融資で既存借入を返済する | 旧借入の完済と保証終了を確認する | 新しい保証や担保の条件も確認する |
| 廃業・清算 | 事業を終了して資産を換価する | 残債について保証履行を求められる可能性がある | 廃業だけで保証が解除されるわけではない |
| 私的整理・法的整理 | 手続きに沿って債務を整理する | 個人保証を含めて専門家と検討する | 会社と個人では手続きが異なる |
M&Aで連帯保証の解除を目指す場合、買い手との契約、金融機関の承認、借換えや返済の実行を連動させることがポイントです。たとえば、金融機関の解除手続きが完了することを株式譲渡の実行条件とする、同日に借換えと旧借入の返済を行うといった設計が考えられます。
一方、買い手から「譲渡後に保証を外す」と説明されただけで株式を移転すると、会社の経営権を手放した後も保証責任が残るおそれがあります。解除の時期や条件を曖昧なままにせず、金融機関が関与する書面と実行手順を確認してください。
廃業かM&Aかで迷っている方は、詳しくは自己破産しないで会社をたたむ方法|借金・連帯保証が残る社長の「第三の選択肢」をご覧ください。
あさひ国際会計株式会社は、金融機関へ提示するための財務資料の整備、事業価値の説明資料の作成、M&Aの条件設計を通じて、経営者ご本人の協議と、必要に応じて依頼する弁護士等の専門家の活動を後方から支えます。金融機関との協議や法律事務を担うのは、経営者ご本人と弁護士等の専門家です。
よくある質問
連帯保証の解除合意書には決まった書式がありますか?
一律の書式が用いられるとは限りません。金融機関所定の変更契約書、解除確認書、承諾書などが使用される場合もあります。名称だけで判断せず、対象となる借入、解除範囲、効力発生日、前提条件、個人担保の扱いが明確になっているかを確認してください。
金融機関から口頭で了承を得れば連帯保証は外れますか?
担当者から前向きな説明を受けても、金融機関内部の承認や契約手続きが完了していない場合があります。口頭の説明だけで解除済みと判断せず、どの保証がいつ終了するのかを、金融機関が発行または締結する書面で確認することが大切です。
M&A契約書に保証解除条項があれば足りますか?
売主と買い手のM&A契約に保証解除条項があっても、その条項だけで金融機関の同意が成立するとは限りません。金融機関による承認、保証解除を示す書面、借換えや返済の実行を組み合わせ、株式譲渡との前後関係を確認する必要があります。
赤字や債務超過でも連帯保証の解除を目指せますか?
赤字や債務超過だけで結論が決まるわけではありません。事業の収益力、引継ぎ価値、買い手の信用力、売却代金による返済、借換えの可能性などによって選択肢は変わります。資金が尽きる前に状況を整理すると、廃業を含む複数の方法を比較しやすくなります。
まとめ
連帯保証の解除合意書では、書面の名称よりも、誰のどの保証を、いつ、どの条件で解除するのかが明確であることが重要です。会社の売却、代表者の交代、借入の引継ぎだけで、旧経営者の保証責任まで終了したと判断するのは早計です。
まずは金融機関ごとの借入、保証、担保を一覧化し、資金繰りと事業価値を整理してください。そのうえで、経営者ご本人が金融機関と協議し、法的な確認は弁護士、財務資料やM&A条件の整備は会計・再生型M&Aの専門家と役割を分ける方法があります。
あさひ国際会計株式会社は、再生系M&Aを専門とし、連帯保証の解除と、赤字・債務超過企業のM&A仲介に取り組んでいます。中小企業庁のM&A支援機関登録制度に登録し、海外13ヶ国の提携ネットワークがあります。相談は無料で、着手金はなく、報酬は成功報酬のみです。
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この記事を書いた人
あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を伴う再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介に携わっています。
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最終更新日: 2026年8月17日
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