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「うちは対象になるのか」がわからないまま時間だけが過ぎていませんか
資金繰りが厳しくなってくると、経営者保証(連帯保証)がずっと頭の片隅に居座るようになります。「経営者保証ガイドラインというものがあるらしいが、うちの会社は使えるのか」「条件を調べても専門用語ばかりでよくわからない」という状態で、相談する相手も見つからないまま時間だけが過ぎていく経営者の方は少なくありません。
先に結論からお伝えします。経営者保証ガイドラインが使えるかどうかの条件は、大きく2つの場面で変わります。ひとつは事業を続けながら保証を外す場面、もうひとつは廃業や再生の過程で保証債務そのものを整理する場面です。この2つは目的も、相手にする金融機関の見方も、求められる状態もまったく違います。まず自分がどちらの場面にいるのかを整理することが、条件を理解する最初の一歩になります。
2つの「使い方」を最初に分けて考える

経営者保証ガイドラインという同じ制度でも、使う場面によって中身が別物になります。まずは表で全体像をつかんでください。
| 事業継続中に保証を外す場面 | 廃業・再生時に保証債務を整理する場面 | |
|---|---|---|
| 目的 | 新規・既存の融資について、経営者個人の保証をつけない、または外す | 事業をたたむ、または再生する過程で、残った保証債務の負担を軽くする |
| 主な相手 | 融資を受けている金融機関 | 金融機関(複数行の場合は全行)、場合により弁護士・支援機関 |
| 求められる状態 | 法人と個人の分離、財務基盤の安定、適時の情報開示 | 誠実な資産開示、破産より回収見込みが増えること、免責不許可事由がないこと |
| タイミング感 | 決算内容が整った段階でいつでも相談可能 | 事業の継続が難しくなった段階、または廃業を決めた段階 |
「保証を外す」ことと「保証債務を整理する」ことは、似ているようで目指すゴールが違います。前者は会社を強くして保証がいらない状態を作る話で、後者は事業が立ち行かなくなった後の後始末の話です。ご自身がどちらの立場に近いか、まずこの表で当てはめてみてください。
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経営者保証ガイドラインとは
経営者保証ガイドラインとは、中小企業の融資で経営者個人に求められる保証について、金融機関と経営者が検討・協議する際の考え方を示した枠組みです。正式には「経営者保証に関するガイドライン」といい、全国銀行協会と日本商工会議所が事務局を担っています。一定の要件を満たす場合に、新たな融資を経営者保証なしで受けること、既存の保証を見直すこと、事業再生や廃業時に保証債務を整理することなどを求める枠組みが示されています。詳しい資料は全国銀行協会の経営者保証ガイドラインで確認できます。
ガイドラインがあるからといって、申請すれば機械的に保証が解除される制度ではありません。会社と経営者個人の資産・経理が分離されているか、会社だけで返済できる財務基盤があるか、金融機関へ適時適切に情報を開示しているかなどを踏まえ、個別に検討されます。銀行との協議中に「ガイドラインの対象ではない」と説明された場合も、理由が法人と個人の未分離なのか、返済見通しなのか、情報開示の不足なのかを切り分けることが重要です。
信用保証協会の保証付き融資との関係
「経営者保証ガイドラインと保証協会は同じ制度なのか」と疑問を持つ方もいますが、両者の役割は異なります。信用保証協会は、中小企業が金融機関から融資を受ける際に信用保証を行う機関です。一方、経営者保証ガイドラインは、経営者個人の保証をどのように扱うかについての考え方を示します。信用保証協会の保証付き融資であっても経営者保証の有無が論点になるため、「保証協会が付いているから個人保証の検討は不要」と言い切れるほど単純ではありません。
関連する仕組みとして事業承継特別保証制度や経営者保証改革プログラムが存在します。ただし、利用可能性は融資の内容や会社の状況によって異なります。銀行交渉中であれば、経営者本人が金融機関へ、どの要件が判断材料になっているのか、追加資料で補える点があるのかを確認すると、次の対応を整理しやすくなります。
確認したい資料は、借入一覧、保証契約の内容、直近の決算書、試算表、資金繰り表、役員貸付金・仮払金の明細などです。複数の金融機関や信用保証協会が関係するときは、借入ごとに保証の構造を一覧化すると、論点の混同を抑えられます。必要に応じて弁護士等の専門家へ依頼し、経営者本人が協議の主体となって進めます。破産手続きを主に扱う専門家と、事業を残す前提の再生を扱う専門家では得意分野が異なり、状況によっては法的整理(破産・清算)が適切な場合もあります。
あさひ国際会計株式会社は、資料の整備、条件設計、説明資料の作成を通じて、ご本人による協議を支える立場です。数ヶ月の時間軸で見直しを目指す場合は、結論を急ぐ前に、現在の保証関係と不足資料を可視化するところから始めると、金融機関の説明に対する不信や焦りを整理しやすくなります。
事業を続けながら保証を外す場合の条件

事業継続中に保証を外す、または新規融資で保証なしを目指す場合、全国銀行協会が公表している経営者保証に関するガイドラインでは、大きく3つの経営状況が判断材料とされています。金融庁の資料でも同様の考え方が示されており、経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向けた施策として整理されています。それぞれ、実務では何を見られるのかまで具体的に見ていきましょう。
1. 法人と個人の資産・経理が分離されているか
金融機関がまず確認するのは、会社のお金と社長個人のお金がきちんと分かれているかという点です。具体的には、
- 社長への役員貸付金・仮払金が多額に残っていないか
- 社長個人名義の不動産を会社が事業用として無償・低廉で使っていないか(逆に会社所有の資産を社長が私的に使っていないか)
- 交際費や生活費が会社の経費に紛れ込んでいないか
といった点です。役員貸付金が長年解消されずに残っているケースは実務上かなり多く見られますが、これは「分離できていない」と判断される典型例です。
2. 財務基盤が強化されているか
業績や財務内容そのものが、保証がなくても返済に支障が出ないと判断できる水準かどうかです。黒字化しているかだけでなく、キャッシュフローの安定性、借入金の返済年数(債務償還年数)、自己資本の厚みなどが総合的に見られます。単年度の黒字よりも、複数年での改善トレンドが評価される傾向があります。
3. 適時適切に情報開示ができているか
決算書を年1回出すだけでなく、試算表や資金繰り表を定期的に(多くの場合、四半期に一度程度)金融機関に提出し、経営状況を継続的に見える化できているかという点です。開示の頻度と質は、金融機関との信頼関係そのものに直結します。
この3要件は、それぞれ単独で満点を取る必要があるわけではなく、総合判断です。ただし「何を見られているか」を知らないまま経理を続けていると、改善できる部分を見過ごしてしまいます。M&Aによる事業承継の場面でこのガイドラインをどう活用するかについては、経営者保証ガイドラインのM&A活用法でも詳しく触れています。
廃業・再生時に保証債務を整理する場合の条件
一方、事業の継続が難しくなり、廃業や会社の売却、法的整理を検討する段階では、保証債務そのものをどう整理するかが問題になります。この場面でのガイドライン適用には、主に次のような条件が求められるとされています。
- 誠実な資産開示:保有する資産・負債の状況を、金融機関に対して偽りなく開示すること。財産を隠す、贈与で移すといった行為があると、そもそも対象外になります
- 経済合理性:破産手続で処理した場合よりも、債権者(金融機関)にとって回収見込みが多くなること。これは弁済計画や会社の清算・譲渡の中身によって具体的に判断されます
- 免責不許可事由がないこと:破産法上、免責が認められない事情(財産の隠匿、著しい浪費、詐術による借入など)が原則としてないこと
これらの条件を満たした場合、破産手続によらずに保証債務の整理を進められる可能性があり、一定期間の生活費に相当する資産や、華美でない自宅を手元に残せる余地があるとされています。これは自己破産と比較したときの大きな違いのひとつです。自己破産をしない選択肢について詳しくは自己破産しないで会社をたたむ方法、会社の売却と保証の関係については会社を売却しても連帯保証が外れない理由もあわせてご覧ください。
なお、廃業や事業再生の相談窓口としては、各都道府県に設置されている中小企業活性化協議会が公的な窓口として機能しています。秘密を厳守した無料相談を受け付けており、収益力改善支援や再生計画策定支援なども行われています。
条件を満たしていない場合はどうするか
「うちはまだこの条件を満たせていない」と感じた方も多いと思います。ここで大切なのは、条件を満たしていない=道がない、ということではないという点です。
今からでも整えられるものもあります。役員貸付金の整理、試算表の提出頻度を上げる、資産の私的流用を見直すといった部分は、決算をまたぐ前に着手できることが少なくありません。一方で、財務基盤の強化や資産開示の準備には、専門家と一緒に時間をかけて取り組む視点が必要になる部分もあります。特に廃業・再生の場面では、資産状況の整理と弁済計画の組み立てを同時並行で進める必要があり、財務の実務とM&A・事業承継の知識の両方が求められます。
制度の存在を知っていることと、実務としてそれを使いこなせることは、実は別の話です。金融機関が最終的に見ているのは、制度の理解度ではなく、返済の見通しと数字の裏付けです。この部分は財務分析とM&Aの実務経験が問われる領域であり、対応できる専門家が限られる分野でもあります。
よくある質問
赤字でも経営者保証ガイドラインは使えますか?
赤字であることだけを理由に対象外になるわけではありません。ただし、廃業・再生の場面では経済合理性(破産より回収見込みが多いこと)が問われるため、赤字の背景や今後の見通しをどう整理するかが条件を満たせるかどうかを左右します。事業継続中に保証を外す場面では、赤字からの改善トレンドが評価対象になることもあります。
3つの条件・要件を全部満たさないと使えませんか?
全項目を完璧に満たしていないと一切使えない、というものではなく、総合的な判断とされています。一部が弱くても、他の部分での改善や説明で補える場合があります。ただし、どの部分が弱いのかを客観的に把握できていないと、金融機関への説明も後手に回りがちです。
金融機関がガイドラインの適用に応じてくれない場合はどうすればいいですか?
金融機関ごとに判断や温度感には差があります。応じてもらえない場合、資産開示の内容や弁済計画の精度、他の金融機関との足並みなど、見直す余地が残っていることが多くあります。弁護士など専門家と連携しながら、ガイドラインに基づく整理を進めていく形が一般的です。
自社がガイドラインを使える状態か、誰に見てもらえばいいですか?
まずは財務内容と保証の状況を客観的に整理してくれる専門家に見てもらうのが近道です。あさひ国際会計株式会社では、赤字・債務超過企業の再生型M&Aと経営者保証の解除支援を専門に、年間60件以上の支援実績があります。弁護士に相談して自己破産を勧められた、他のM&A仲介会社に断られた、という状態からのご相談も数多くお受けしています。破産手続きを主に扱う専門家と、事業を残す前提の再生を扱う専門家では得意分野が異なり、状況によっては法的整理(破産・清算)が適切な場合もあります。相談は無料、秘密は厳守しますので、まずは現状だけでもお聞かせください。
経営者保証ガイドラインは信用保証協会の保証付き融資にも関係しますか?
信用保証協会の保証と経営者個人の保証は役割が異なるため、保証付き融資でも経営者保証の扱いが検討事項になる場合があります。まず借入ごとの保証契約を確認し、経営者本人が金融機関へ判断理由や必要資料を尋ねることが整理の出発点です。必要に応じて弁護士等の専門家へ依頼できますが、得意分野はそれぞれ異なり、状況によっては法的整理(破産・清算)が適切な場合もあります。
まとめ
経営者保証ガイドラインが使えるかどうかの条件は、「保証を外す場面」か「保証債務を整理する場面」かで大きく変わります。前者は法人個人の分離・財務基盤・情報開示の3要件、後者は誠実な資産開示・経済合理性・免責不許可事由の有無が判断材料になります。どちらの場面でも、制度を知っているだけでなく、金融機関に対して数字で説明できる状態を作れるかどうかが分かれ目です。
条件を満たせていないと感じても、今から整えられる部分は残されています。経営承継や事業承継の場面での保証制度については運送業の廃業と連帯保証や連帯保証を解除する方法4つでも具体的な整理をしています。
あさひ国際会計株式会社は、経営者保証の解除・整理と再生型M&Aを専門に、年間60件以上の支援実績を持つ会計事務所です。NHKスペシャルや週刊ダイヤモンド、物流ウィークリーなどのメディアにも取り上げられてきました。弁護士など専門家と連携しながら、経営者保証ガイドラインに基づく解除・整理を支援しています。ご自身の会社が条件を満たしているか判断がつかない場合も、まずはお電話(03-5657-7496)かお問い合わせフォームからご相談ください。相談は無料、秘密は厳守いたします。
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進め方を具体的に知りたい方は、次にこちらをご覧ください。
→ 経営者保証ガイドラインのM&A活用法|保証解除の条件と流れ
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あさひ国際会計株式会社は、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録された支援機関です(登録支援機関による支援は、事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)の補助対象とされています)。
この記事を書いた人
あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を伴う再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介に携わっています。
NHKスペシャル・週刊ダイヤモンドなどメディア掲載多数。
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最終更新日: 2026年8月17日
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