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廃業とM&A、どちらを選べばいいか迷っていませんか
「もう続けられないかもしれない」「でも、従業員や取引先のことを考えると簡単にはやめられない」。資金繰りが厳しくなってくると、頭の中で廃業とM&Aの二つの選択肢がぐるぐると回り続けることになりがちです。どちらが正解かは、実は会社の状況次第で変わります。
先に結論をお伝えすると、判断軸は次の4つに整理できます。
1. 事業に値段がつくだけの価値が残っているか
2. 連帯保証(経営者保証)をどう扱いたいか
3. 従業員と取引先をどうしたいか
4. 手続きにかけられる時間とお金の余力があるか
この4つを一つずつ確認していくと、廃業とM&Aのどちらが自社に合っているか、輪郭が見えてきます。この記事では、それぞれの判断軸の考え方と、両者を7項目で比較した表、そしてメリット・デメリットを整理します。
判断軸を先に押さえる

比較表を見る前に、4つの判断軸それぞれで何を確認すべきかを簡単に整理します。
①事業に価値が残っているか
赤字であっても、取引先との関係や技術、許認可、従業員の技能などに買い手がつく可能性はあります。逆に、事業として継続する見込みが薄い場合は、M&Aの相手を探すこと自体が難しくなります。
②連帯保証をどうしたいか
経営者保証(連帯保証)が残ったまま会社をたたむと、保証債務だけが個人に残ってしまうケースがあります。この保証債務の扱いについては、全国銀行協会の経営者保証に関するガイドラインに整理の考え方が示されており、国も経営者保証に依存しない融資慣行の確立を進めています。M&Aで会社ごと引き継いでもらえれば、経営者保証ガイドラインに基づいた保証解除の余地が生まれる場合もあります。
③従業員と取引先をどうしたいか
廃業は雇用と取引関係を清算する形になります。M&Aが成立すれば、事業自体は形を変えて存続し、雇用や取引先との関係が続く可能性が高まります。
④時間とお金の余力
M&Aは相手探しから成約まで数ヶ月〜1年以上かかることも珍しくありません。資金や時間の余力がどれだけ残っているかも、現実的な判断材料になります。
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廃業とM&Aの比較表
7つの項目で、廃業(清算)とM&Aの一般的な傾向を比較します。個別の状況によって差はありますが、目安として参考にしてください。
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| 比較項目 | 廃業(清算) | M&A |
|---|---|---|
| 費用 | 解散・清算登記費用、在庫処分費用、原状回復費用などが発生 | 仲介手数料などが発生するが、対価(譲渡代金)で相殺できる場合がある |
| 期間 | 解散決議から清算結了まで数ヶ月程度が目安 | 相手探しから成約まで数ヶ月〜1年以上かかることが多い |
| 従業員 | 原則として雇用契約は終了する | 事業とともに雇用が引き継がれる可能性がある |
| 取引先 | 契約関係は清算に伴い終了する | 取引関係が事業とともに継続する可能性がある |
| 連帯保証の扱い | 保証債務が残りやすく、個人が返済義務を負う場合がある | 経営者保証ガイドラインに基づき、解除を検討できる余地がある |
| 経営者の手残り | 清算後の残余財産があれば手元に残るが、多くの場合は限定的 | 譲渡対価を受け取れる可能性がある(事業価値による) |
| 心理的負担 | 自分の意思で区切りをつけられる一方、従業員に説明する負担がある | 相手が見つからない不安があるが、事業の存続という安心材料もある |
この表からもわかる通り、廃業は「自分のタイミングで終われる」という明確さがある一方、M&Aは「時間はかかるが、雇用・取引先・保証の面で選択肢が広がる」という違いがあります。
廃業のメリット・デメリット
メリット
廃業の最大のメリットは、自分の意思とタイミングで会社を終わらせられることです。買い手を探す必要がなく、社内の状況だけで手続きを進められるため、見通しを立てやすいという面があります。
デメリット
一方で、廃業には解散登記・清算手続き・在庫や設備の処分など、想像以上に費用がかかる一般的な傾向があります。さらに、会社の借入に経営者保証が付いている場合、清算後も保証債務が個人に残ってしまうことがあります。従業員の雇用と取引先との関係も、清算に伴って終了せざるを得ません。
M&Aのメリット・デメリット
メリット
なお、廃業と再生のどちらを選ぶ場合でも、各都道府県の中小企業活性化協議会が無料の相談窓口として利用できます。
M&Aが成立すれば、事業そのものは形を変えて存続します。従業員の雇用や取引先との関係が引き継がれる可能性があり、経営者も譲渡対価を受け取れる場合があります。加えて、経営者保証ガイドラインに沿って、会社の債務とともに保証を整理できる余地が生まれることもあります。
デメリット
ただし、M&Aは買い手探しに時間がかかり、条件が合わなければ成約に至らない可能性もあります。事業に値段がつくかどうかは、赤字の程度や業種、取引先との関係性など様々な要素に左右されます。「相手が見つかるまで」の資金繰りをどう持ちこたえるかも、あわせて考えておく必要があります。
ここで一つ、実務上の注意点があります。経営者保証の解除は、制度としてのガイドラインを知っていることと、実際に金融機関との整理の中で外せることは別物だという点です。金融機関が見ているのは、返済の見通しと数字の裏付けです。財務の再構築とM&Aの実務が一体になって初めて、解除に向けた道筋が見えてくることが多いというのが実情です。弁護士に相談して自己破産を勧められた、あるいは他のM&A仲介会社では対応が難しいと言われた、という状態からの相談も少なくありません。連帯保証の解除は実績がものを言う分野であり、対応できる専門家が限られているという事実があります。
このあたりの考え方は、経営者保証ガイドラインのM&A活用法でも詳しく解説しています。
どちらを選ぶか、順番に整理する

最後に、4つの判断軸を順番にたどることで、方向性を絞り込む考え方を紹介します。
ステップ1:事業に価値が残っているか
赤字であっても、技術・取引先・許認可などに買い手がつく可能性があるなら、M&Aの検討を先に進める価値があります。事業としての継続が現実的に難しい場合は、廃業を軸に検討することになります。
ステップ2:資金と時間の余力があるか
M&Aには相手探しの期間が必要です。その間の運転資金が持ちこたえられるかどうかが、大きな分かれ目になります。余力が乏しい場合は、廃業と並行してM&Aの可能性も探る、という進め方も選択肢の一つです。
ステップ3:連帯保証の状況はどうか
経営者保証が残っている場合、廃業前にM&Aや保証整理の余地がないか確認しておく価値があります。保証が付いていない、あるいはすでに整理されている場合は、廃業の手続きに集中しやすくなります。
この順番で考えていくと、「まずはM&Aの可能性を探りながら、並行して廃業の準備もしておく」という現実的な進め方が見えてくる経営者の方が多い印象です。実際、自己破産の前に検討したい会社売却でも、両者を並行して検討する考え方に触れています。
よくある質問
M&Aがだめだったら廃業に切り替えられますか?
切り替えは可能です。M&Aの相手探しと並行して廃業の準備を進めておき、成約に至らなかった場合に廃業へ移行するという進め方は、実務上よく取られています。ただし、廃業への切り替えが遅れるほど資金繰りが厳しくなる傾向があるため、早い段階から両方の選択肢を視野に入れておくことが望ましいとされています。
廃業とM&A、費用はどちらが高いですか?
一概には言えません。廃業は解散・清算登記や在庫処分などの費用が発生し、それらを補う収入源がない状態で支出だけがかさむ傾向があります。M&Aは仲介手数料などがかかるものの、譲渡対価によって費用を相殺できる可能性があります。どちらが実質的に負担が軽いかは、事業価値や負債の状況によって変わってきます。
従業員にはいつ伝えるべきですか?
一般的には、方針がある程度固まってから伝えるケースが多いとされています。M&Aの検討段階で広く伝えてしまうと、交渉前に動揺や離職につながる可能性があるためです。廃業の場合も、労働関係法令に沿った適切な時期と手順で伝える必要があります。時期や伝え方については、社会保険労務士や弁護士など専門家と連携しながら進めることが一般的です。
廃業とM&A、どちらが良いか診断してもらえますか?
あさひ国際会計株式会社では、赤字・債務超過の状態にある会社を対象に、廃業とM&Aのどちらが現実的かを個別に整理する相談を受け付けています。年間60件以上の支援実績があり、弁護士に相談して自己破産を勧められた方や、他のM&A仲介会社で断られた方からの相談も数多く受けています。相談は無料で、秘密は厳守されます。まずは現状を整理するところから始めていただければと思います。
まとめ
廃業とM&A、どちらが良いかは会社の状況によって変わります。事業に価値が残っているか、連帯保証をどうしたいか、従業員と取引先をどうしたいか、時間とお金の余力があるか。この4つの判断軸に沿って考えると、進むべき方向が見えてきます。
一人で抱え込まず、早い段階で専門家に相談することが、選択肢を広げる一歩になります。連帯保証や事業承継の考え方については、連帯保証を解除する方法4つや運送業の廃業と連帯保証もあわせてご覧ください。
あさひ国際会計株式会社は、赤字・債務超過企業の再生型M&Aと経営者保証(連帯保証)の解除支援を専門としており、NHKスペシャル、週刊ダイヤモンド、物流ウィークリーなどのメディアにも取り上げられてきました。廃業とM&Aのどちらが自社に合うか迷っている段階からのご相談も歓迎しています。相談は無料、秘密は厳守します。まずはお電話(03-5657-7496、平日9:00〜19:00)か、お問い合わせフォームからご連絡ください。
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あさひ国際会計株式会社は、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録された支援機関です(登録支援機関による支援は、事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)の補助対象とされています)。
この記事を書いた人
あさひ国際会計株式会社 代表取締役 金子広夢
東京都中央区日本橋兜町17番2号 兜町第6葉山ビル4階/中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関
連帯保証の解除を伴う再生型M&Aを専門に、年間60件以上のM&A仲介に携わっています。
NHKスペシャル・週刊ダイヤモンドなどメディア掲載多数。
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最終更新日: 2026年8月17日
参考:
- 全国銀行協会「経営者保証に関するガイドライン」
- 金融庁「経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向けた施策等について」
- 全国信用保証協会連合会「事業承継をお考えの方」
- 中小企業基盤整備機構「中小企業活性化協議会による支援」
▶ 関連資料:『会社をたたむのに、いくらかかるか』(全11ページ・無料)をダウンロードいただけます。